●両脇甘甘 ('09ナビスコ杯 vs柏レイソル)
水曜の夜は、日立柏サッカー場でナビスコカップBグループ第1節。柏レイソル 3-1 FC東京。今年からACLの参加チーム拡大に伴って、7チーム1回戦総当たり制(上位2チームが準々決勝進出)に変更されたグループリーグ。長友・今野の代表勢以外はリーグ戦と同じメンバーで臨んだ東京だったが、対照的に大幅に先発を入れ替えてきた柏の優勢を許し、サイドを幾度か崩されて3失点の完敗。今後に向けて不安の残る内容と結果になってしまった。
雨のちらつく中でキックオフ。まずボールを支配したのは柏。李・フランサ・大谷・古賀・菅野らを「温存」した布陣ながら、北嶋のポストプレーとポポのキープに的確なフォローがついて押し上げてくる。3分、右サイドを駆けるポポのクロスから北嶋のヘッダーがバーを叩く。これに対し、東京はなかなかトップにボールが収まらない。10分にはドリブルでボックスに突入した大津を藤山が倒して止める危ない場面、こぼれ球を鎌田がミドルシュートするもバーの上。
10分を過ぎると東京にも好機が生まれるように。12分、梶山のボール奪取から、石川がDFの間に突っかけて撃ったミドルシュートは惜しくもバーを直撃。14分、石川のスルーパスでカボレが抜けるがGK南が前へ出てセーブ。その直後、右サイドを球足の長いパスで太田が突破、クロスを権田が飛び出してクリア。手数をかけないグラウンダーの攻め合い。柏×東京らしい玉突き的攻め合いだが、不安定な位置取りの藤山の後方を度々突かれるのが気になった。
16分、カボレの長いドリブルからボックス内の平山にパスが通るが、シュートは失敗。17分、石川とのワンツーで太田がまたも右サイドを突破、その流れからのクロスに北嶋が合わせてヒヤリ(オフサイド)。19分には東京に大チャンス。スローインから巧みなトラップでDFを外したカボレがボックス内でシュートを撃つが、南が横っ跳びでビッグセーブ、さらにこぼれ球を平山が狙うも決められず。東京の2トップはDFの脅威になってはいるのだが、あと一押しが。
22分、柏に先制点が入る。左でサイドチェンジを受けた石川が羽生・徳永を前にして縦に走り、グラウンダーのクロス。DFの反応が遅れたところを詰めていた山根が押し込んだ。藤山のサイド(左)が危ない、と思って観ていたら、右もだった(笑)。0-1。東京もすぐさま反撃、引いてボールを呼び込む平山経由で攻め込んでいく。24分には羽生のミドルシュートに梶山が詰めたきわどいシーンも。だが、「粘りの守りから逆襲」は柏の得意とするところであった。
32分、こぼれ球への競り合いで徳永がファウルしてボックス手前のFK、これをポポが低く沈むキックでゴール左に決めてゲット。0-2。お見事、だった。しかしその直後、蔵川の不用意なバックパスで南がもたついたところをカボレが奪い取り、ゴール右へ流し込んでゲット。1-2。だた、この「プレゼント」も流れを変えるには至らない。その後も柏は速いパス回しからチャンスを作り、37分にはポポの直接狙ったCKがニアポストを直撃。1点差のまま前半終了。
後半立ち上がり。中盤の争奪戦でボールを拾った北嶋から右の太田へ展開、さらにボックス内の大津へ。大津が切り返そうとしたところ、藤山が引き倒して(?)PK。これを大津が自ら決めた。1-3。意気消沈のビジターサイド。その後は前半0-1の時と同じように東京の攻勢となるが、柏の守りはしぶとい。52分、羽生OUTで鈴木IN。直後、左サイドをえぐる石川のクロスからゴール前で混戦となるが、梶山の反転シュートは南とDFが折り重なるようにブロック。
57分、鈴木のクロスをゴール前で競り勝った平山が落とし、カボレがプッシュするもオフサイド。59分には柏のカウンター、太田→北嶋→大津と滑らかにつながってシュート、権田が横っ跳びでセーブ。東京はボールは支配するものの引いて守りを固める柏に対して楔のパスが入らず、オーバーラップや左右への揺さぶりからDFを背走させる場面も非常に少ない。要は、得点の香りがしない。59分に消え始めた平山に替えて赤嶺、63分には石川→大竹の交代。
65分、FKのこぼれ球をカボレが拾ってクロス、さらにこぼれ球を正面から鈴木が狙うもバーの上。67分、柏は足下のつなぎから大津がボックスへ突入してシュートを狙うが、茂庭が体を張って防ぐ(そして茂庭が倒れて佐原がエキサイト)。68分、鈴木がおそらく無回転の弾丸ミドルシュート、南が正面に弾くもFWは詰められず。69分には蔵川がもたついたところをフォアチェックで奪って前がかりになるチャンスも、徳永のクロスはゴールラインを割ってしまう。
その後は主審の基準が厳しくなったのと東京側に焦りもあるのか、ファウルが増加。佐原も警告を受ける。77分、左タッチ際で柏のFK、ポポのインスイングのクロスから混戦の中でゴールインしたかに見えたが、オフサイド(?)で取り消し。81分、大竹からボックス内へ走り込む鈴木へ浮き球が通り、小林のカバーではね返されたボールを大竹が拾ってシュート、枠外。とにかくシュートの数は多いのだが、いずれもやや距離が長い。そして皆孤軍奮闘……。
東京の攻勢は続く。84分、ボックス正面の大竹から反転パス、右サイドを抜けた鈴木のシュートはポスト左。85分、左サイドを突破したカボレのシュートが逆サイドに抜けたところをまた鈴木が拾って折り返すが、フォローが間に合わない。その直後、大竹から徳永に展開し、意表を突くシュートが枠内に飛ぶが南セーブ。その後は小林がカボレをハードマークで封じる姿が目立ち、ロスタイムに金沢が苦し紛れに撃ったシュートも南が弾き出す。そのまま試合終了。
ある意味、浦和戦以上にヘコむ敗戦だった。左右からワンツーパンチを食らった感じ。
柏は直前のリーグ戦からスタメンの半分以上を入れ替えたようだが、戦いぶりにおいて見劣りはしなかった。いやむしろ、卓越した個人能力を持つ選手が少ない分、プレス守備や組織的なパス攻撃をやりきろうという姿勢が明確になり、レイソル色はいつも以上に出ていたかもしれない。今季はポゼッション強化が課題だそうで、そのせいか失点の多さに苦しんでいるようだが、いざとなれば立ち戻る「ノブリンベース」があるのだから多分大崩れはしないだろうね。
一方の東京は、相変わらずチグハグというか。石川を筆頭として、個々の選手は気持ちを込めて頑張っているように見える。だが、それがチームとして機能していない。人やボールを動かそうとしても、個々の意志が連動しない11人孤軍奮闘状態。昨年に比べてもえらく目立ってしまっている羽生の空回りぶり、山形戦を除いてはほぼ劣勢続きの両サイド。既に薄々わかっていたことが、柏のような相手に完敗したことで明らかになってしまったように思えた。
おそらく、城福監督にしてみれば、昨年秋~冬に一定の成果を収めた「個々の特長を生かす」サッカーでは(同じメンツでは)限界があるということで、昨春に目指したような「人もボールも動く」「ラブリーな崩し」をもう一度追求したいという意図を持っているのだろう。しかし、残念なことにチーム作りの過程で失敗があったのか、今のところは思惑とは逆に中途半端な一対一サッカーになってしまっている状況である。昨年の後半バージョンのチームが劣化した感じ。
まあ、東京の場合ピッチ上の選手にはリーダーシップを期待できず、監督の迷走がそのままチームの迷走になってしまう。だから、結局、アプローチはどのようなものであれ、城福監督がどこまで割り切った選手起用ができるか、という話になってしまうのかもしれない。個人的には、ナビスコカップではできるだけ若い選手を使ってほしいな、と思う。もうSBとしては力の限界が知れている藤山を使うくらいなら、椋原を抜擢した方がナンボかマシではあるまいか。
てなことをブツブツ口の中でつぶやきながら、柏駅まで速攻ダッシュして、21時11分発の常磐線に飛び乗って帰宅。
試合前に柏駅前の某店でビール(エーデルピルスとマレッツブロンド)を飲んで、日立台まで意気揚々と歩く間は楽しかった……。BGMはもちろん、コーネリアス『太陽は僕の敵』(笑)。