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2006年11月02日

●馬場憂太選手の守備と運動量について(10/29)

オフィシャル風のタイトルに、特に意味はない(笑)。



先週末の大宮戦@駒場はバックスタンドで観戦した。昨年の同じ会場での試合も同じ場所で観ていて、馬場憂太の的確なパス捌きを中心としたサッカーに歓喜を覚えたものだが、今年は全くの凡戦。出だしこそ良かったものの、前半途中から足は止まるわ、石川は空回りするわ、茂庭退場以降は引きっぱなしになるわ……大宮の拙攻に助けられた勝利であった。

まあ、それだけなら今年いくらでもあるトホホな試合なんだけど、後半東京が自陣に押し込められてからの時間帯、数m離れたところでやたら憂太の名前を連呼している人がいることに気がついた。連呼といってもポジティブなそれではなく、「ゆーたー!動けー!もっと、う、ご、けー!!」という、良く言えば叱咤激励、悪くいえば罵倒の類である。

僕の目には、その日の憂太は、攻撃での見せ場こそ少なかったものの、守備では奮闘しているように見えた。確かにルーカスほどの運動量はないかもしれないが、チーム全体の押し上げがない中で前からきっちりプレッシャーをかけ、自分がボールをとられればしつこく相手を追いかけ続ける。ルーや今野は別格として、その他のチームメイトの誰よりもよく走っていたと思う。運動量不足をなじるなら、もっと相応しい選手がいたろうに。

まあ、入団当時の憂太が、守備や運動量という面で不満の残る選手だったのは事実ではあるが……。攻撃時にも軽いプレーが多く、正直ピッチ上で浮いているというか、彼の出場時にはある種の違和感を感じたものだ。実際、彼のミスがチームの「綻び」となることも多く、特に03年大分戦で彼が途中出場してから後の「恐怖の15分間」は強烈な印象として残っている。

だが、原監督の根気強い起用の甲斐あって違和感は次第に減り、ついにあのヴェルディ戦を迎えることになった。「期待の若手」から「頼れる男」へ。昨年終盤の東京なんて、完全に「憂太のチーム」だったと思う。大きく進歩したのは、やはり守備と走力。ガチッと体を当てるディフェンスと、粘り強いチェイスは周りにわかりやすい形で闘志を伝え、そのおかげでボールがよく集まるようになり、そして本来持っていた攻撃の才能が開花したのだ。

なのに、今回に限らず、未だにスタンドで彼に対する「もっと動け!」「走れ!」「サボるな!」といった類の声が聞こえるのはどうしたことか。期待の大きさの裏返しだろうか?ならばいいのだが、どうも敬意や思いやりに欠ける野次が多いような……。やっぱり昔の印象というか、「憂太は走らない」という思い込みが強すぎるのだろうか。そこらの「10番タイプ」よりよっぽど走ってるんだがなあ。ちょっと残念、である。

おそらく、そういうイメージを覆すには、より強いイメージで上書きしてしまうしかないのだろう。僕なんかはひいき目もあって、既に東京の「10番」という目で見ているから、彼に要求したいのももっと別のもの(他人を引っ張るリーダーシップとか)なんだけど、野次る人々から見ればまだ活躍が足りないのかもしれない。「走るくらいしろ!」と。確かに、なんだかんだ言って1年を通してレギュラーで活躍した試しがないからな……。

結論。憂太よ、今季の残り、試合で結果を出すこともちろん大事だけど、怪我をしっかり治して体のケアも抜かりなくやって、来年こそは万全の体で開幕を迎えてほしい。それに君を中心に据えてくれる采配が加わったりすれば……もうスタンドで君にたらたら文句を言うヤツなんてきっといなくなるさ。そうなれば、日本代表のユニフォームだってすぐ目の前だと思うぜ。


……というのはちょっとひいきの引き倒しかな(笑)。まあ、僕自身も、逆に梶山や徳永に対してはやや厳しい目で見過ぎのような気がしないでもないので(物足りない部分がイロイロとあるのも事実だが)、やっぱり公平に見ようとする姿勢を忘れてはいかんよな、と自らを戒めておこう。茂庭とか石川くらいになると、また別の意味で評価が難しくてうなっちゃうんだけど。

とにかく、みんな、頑張れ!!……と無理矢理まとめてみる(笑)。

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コメント

はじめまして、いつも楽しく拝見させて頂いてます。
憂太に限らず今年は特に色眼鏡をかけてみている人が多い気がします。
その中でも憂太、梶山は「走らない」「サボる」というイメージが強いよう楽しくで、スタジアムでも特に野次が多いような気がします。
僕からみれば徳永の方がよっぽど走ってない気がするんですが、これも色眼鏡のせいですかね。
憂太に関しては去年、ガツンと当たって守備が出来るようになってから運動量も増えてかなり良くなっていると思うのですが、そういう風にみていない人が多いみたいで残念です。
murataさんが書いているように去年の終盤なんて、まさに「憂太のチーム」って感じで嬉しくて仕方がなかったんですが・・・。
はやく一年通してチームの中心として活躍する憂太がみたいです。

はじめまして。
憂太や梶山は「走らないヤツ」という固定観念のある人、確かにバクスタには特に多いですね。
いつの試合を観てるんだ?と言いたくなります。目の前の試合を観て言ってるの?って。
憂太も梶山も二人ともだいぶ成長して、90分走れるようになってきたことがなによりの証拠だと私は思っているんですが…

あとはこの間の増嶋に対しても酷いことを言っている方がいて、聞いていて辛かった。
彼も加入時に比べたら成長しているだけに、ちゃんと観てから言いなさい、と思っちゃいます。(もっともっと伸びて欲しいですが)

ユースから上がってきた選手達が、チームの中心として活躍してくれたら、本当に嬉しいなぁ、と思います。

こんにちは。コメントありがとうございます。

まあ、別に僕とかだってもちろん「色眼鏡」から自由であるはずもなく、このblogで書いていることにも当然かなりのバイアスがかかっているわけですが。

目の前で現に走って、当たっている選手に向かって「動けー!!」とか叫ぶのってどうなんだろうと、素朴に思ったわけです。

憂太も梶山も最近じゃよく走ってるし、増嶋は元々一生懸命やる選手のようです。そんな彼らに対して、どうも的外れな批判が多いような気がするのです。

例えば憂太なら、「もっと試合の流れを読んでプレーしなきゃ」「周りの選手に対してリーダーシップを発揮してほしい」とかいう注文になるはずではないのか。今の彼のレベルから考えれば。

まあ、期待の選手たちだからこそ厳しく、というのもわからないではないのですが、でもやっぱり、ねえ。最近の駄目っぷりで言えば、徳永や茂庭やジャーンや文丈の方がひどいと思うんですけど……。

増嶋については、次の天皇杯4回戦では先発が濃厚らしいので、悪意ある見方をはね返すだけのプレーを見せてほしいですね。

とにかく、みんながんばれ!!と言いたい。

興味深い記事でした。

大宮戦の憂太に関しては良く走って…というか前線から積極的に守備をしていたと思いました。記事におけるヤジは的外れだと僕も思います。

ただ組み立ての部分で凡ミスがあったのがなぁ…。

走る・走らないに関しては、もっと“ボールを走らせる”ことが出来るサッカーを、憂太・梶山中心で見せて欲しいのが希望かな。

>組み立ての部分で凡ミスがあったのがなぁ…。
そうですね。今の憂太は、昨年に比べても、確かにミスが目立つような気はします。ただ、今の東京のサッカーだとどうしても憂太向きのシチュエーションができない(いいパスを出そうにもターゲットがない)傾向があるのも確かですが。

>もっと“ボールを走らせる”ことが出来るサッカーを、憂太・梶山中心で見せて欲しい
同感です。フィジカル勝負の一対一サッカーで「なんとかしてしまう」のではなく、もっとボールを速く正確に動かしてほしい。その実現のためにより多くの運動量が必要ならば、その時こそ「もっと走れ!」と叫びたいです。

はじめまして。
よくぞ書いて下さいました、という感じです。
私も憂太に対するいわれのない非難に日々心を痛めている一人です。「ひいきの引き倒し」的な面があるところも否定しませんが(笑)。

守備に関してはここで繰り返すまでもなく、ご指摘のとおりです。泥臭く相手のパスコースを絞り、ミスを誘っています。去年よりやや接触に対して慎重な印象を受けるのがやや心配ですが、人並み以上に効いていると思います。

攻撃に関しても、視野が広く繋ぐ意識が強いですし、彼がいることで攻撃に落ち着きと間を生み出していると思います。去年の方がパス・アンド・ゴーが出来ていた気がするのは確かですが。

人にパスを出す側であり、必死に走って他人が出したパスに追いつく、というシーンが少ない分、頑張ってる印象が薄いのは仕方ないのでしょうかね。

彼に注文があるとすれば、もう少し強引さを見せてくれ、ということです。

例えば、サイドにボールが出ると、いつもファーサイドや二列目でこぼれ玉を拾おうとしていて、それはそれでよいことですが、時には混戦の中に割って入るくくらいの強引さがあってもいいと思います。特に負けている時は。

そうすると、今まで伝わらなかった人にも彼の熱さが伝わるんじゃないかな、と思います。

こんにちは。>fct-fanさん

おっしゃるとおり、憂太は守備も攻撃もちゃんとやってると思いますけど、確かに昨年に比べると攻守とも積極性に欠ける部分はあるかもしれません。そこら辺は、やっぱり負傷が多くて欠場続き、という現状から本人が慎重になってるのかな、と思います。

>彼に注文があるとすれば、もう少し強引さを見せてくれ、
そうですね。どうしても、そつなくきれいにやろうとしているように見えるプレースタイルですからね。たまには……というのはあります。

今日あたり、どーんと2点くらいとって、存在感を見せつけてくれんかな。

いつも更新を楽しみにしてます。

今回の記事を読んで、とても嬉しくなりました。わたしも大宮戦はバックスタンドで応援してましたが、周囲の声はどうあれ、ほんとよく走ってたと思いマス。すごく頼もしくも感じました。ケリーが憂太に「あとはハートだけ」と言ったことを思い出しましたよ〜。確かに不用意なパスを出したりする場面もありましたが、あんなに走る憂太を観れたことが嬉しかったですわ…。おなじように憂太の成長をひしひしと感じているヒトがいることも、とても嬉しいです。

>今日あたり、どーんと2点くらいとって、存在感を見せつけてくれんかな。
キター!!!

>いせくまさん
どうもありがとうございます。

憂太は、前はチーム全体と自分とで意図やプレーが合わないとすぐに気分を損ねて「浮いて」しまうところがありましたが、最近はきちんと闘志を試合にぶつけられるようになったようで、頼もしいですね。

頼りなかった新人の頃から見始めて、その選手が1人だちして主力になっていく過程を追い続けることができるのは、ある意味クラブのファンの特権だと思いますよ。

ただ、彼にもまだまだ足りない部分(試合の流れを読んだプレーや周りへの働きかけなど)があると思いますので、これからも成長し続けていってほしいですね。

視線は優しく、要求は厳しく、ということで行きましょう。

>キター!!!
惜しい、あとちょっとでハットトリックだったのに(笑)!!

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