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2010年08月18日

●息もできない (セレッソ大阪×FC東京 テレビ観戦)

セレッソ大阪 4−1 FC東京 (J1第19節 キンチョウスタジアム)
 
 
スカパー!でテレビ観戦。現地は30度超の蒸し暑さだったそうだ。

序盤からペースを握ったのはセレッソだった。ゆったりとしたパス回しから徐々にスピードアップする攻撃でチャンスを作る。対する東京は守備の動きが連動せず、相手のパス&ムーヴを後追いするばかり。4分、右サイドを突破した家長が柔らかいクロス、ファーに流れたアドリアーノがヘッダーを叩きつけた。サイドも中もマークがズレて……。0−1。その後もセレッソはスイスイとパスを回してチャンスを作り、今野の奮闘やシュートミスで何とか逃れる場面が続く。

セレッソの守備もタイトではないため東京も敵陣へボールを運べるのだが、最後の仕掛けが単調で崩せない。前半半ば、焦れた城福監督は今野と森重を入れ替えて前がかりになろうとする。ところが、これが裏目。梶山・キムが不調な中で攻撃の圧力を一身に受けた森重は立て続けにファウルを犯してしまい、37分に退場。あいや…。10人の東京は逆にキビキビとした動きで攻めに出るが、43分松下のミドルシュートはポストに当たって決まらず。1点差で後半へ。

後半は、再びネジを巻き直したセレッソの攻勢に。50分、左サイドで仕掛けた小松が北斗を抜いてクロス、逆サイドに抜けたボールを高橋大輔が押し込んだ。0−2。苦しくなった東京はリカ→大竹、大黒→平山、石川→重松と交代していくが、試合の流れは変わらない。セレッソのアタッカーが全く圧力のかからない中盤を抜けてボックス内へ突入し、しかしやや雑なフィニッシュに命拾いすることが幾度か。64分、ゴール前へ突入した家長のシュートもわずかに枠外。

決定的な3点目は79分。右サイドから切れ込む黒木が30m超の距離で左足一閃。強烈なシュートはギュン!と曲がってゴール左上に飛び込んだ。0−3。勝負あり。86分には東京も意地を見せ、中央で仕掛けた大竹が平山のヒールパスでゴール前へ抜け、ゲット。1−3。ところがその直後、ボックス左手前から石神が撃ったミドルシュートを権田がキャッチし損ね、何と後方にそらしてゴールイン。信じられない。1−4。東京は力尽き、そのまま試合終了となった。
 
 
とんでもない試合だった。ただただ、観ているのがつらかった。

試合を通じて、何から何まで上手く行かなかった。こういうのも珍しい。まず、スタメンで徳永が左サイドのMFに入っているのを見てズッコケた(笑)。羽生の代わりがいない苦しさはわかる。が、この用兵は意味不明である。徳永をSBで使ってはいけないルールでもあるのか?スタメンを固定しちゃいけない契約でもあるのか?おまけに左SBが松下だし。で、案の定連携不足で守備が機能せず、セレッソのパス&ムーヴで左サイドのマークが混乱して早々の失点。

次のポイントは、今野と森重のスイッチである。確かにゲームプランは狂っていたのかもしれない。でも、相手がイケイケで来ている時間帯の布陣変更はリスクが大きかった。梶山らの不調もあり、森重はセレッソ攻撃陣の仕掛けをせき止められずに退場。森重も不用意ではあったが……中途半端な時間帯のオプション行使が混乱をもたらした面もあると思う。で、暑い季節の連戦最中、パスサッカー相手に数的不利に陥っては勝負にならない。結果はスコアの通り。

なんというか、先日のボランチ談義の最後の方にも書いたけど、チームの目指すスタイルがあってそれに見合う起用をするのであれば、今野や森重みたいな選手はどこで使ってもいいし、フィットするまでに多少時間がかかっても仕方ないと思うのだ。でも、今の東京は……どういうサッカーをやりたいのかが正直わからないし、結果が出ないうちにメンバーもコロコロ変わって連携も深まらず空回り。磐田戦名古屋戦を比べるまでもなく、出来不出来の落差も大きい。

この敗戦で東京は大宮と山形に抜かれて14位に後退した。首位名古屋とは勝点18、4位川崎とも15の差である。鹿島戦の後、「両面待ちを作る事に夢中になって気付いたら流局になっていた麻雀みたいなシーズン終了は避けて」とFCNTさんが書いてたけど、本当にそんな感じになってきてしまった。W杯中断明けはけっこういい入り方をしたと思ったのになあ……とか言ってたら、秋になってまた調子が上がってナビスコカップはとっちゃったりしてね。いやー。

とにかく、もう3日後にはホームの広島戦も控えているわけで、色々な面で早急な立て直しが必要になるのだろう。4失点目をくらった後、あの気丈な権田が何だかうつろな表情を浮かべていたように見えて、ちょっと(いやかなり)心配である。ムチャクチャ蒸し暑かったみたいだし選手も辛かったろう。参っちゃったね、ホントに。
 

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コメント

権田君は試合後のあいさつでも目がうつろで、夢遊病者のように見えました。平山にポンと体を叩かれ励まされていましたよ。

SBに関しては攻撃は最大の防御って考えて起用してるのでしょうが確実に左サイドは狙われてました、守備力が有る人選で願いたい物ですですよね。(椋、徳、キム)
羽生さんの代役でリガ戦で結構良かったそうたんは小平ではそんなに信用ないのかな?って思いました。

徳永はこの無茶な起用法で潰れてしまわないか?が心配です、3バックなら尚更、後ろで使うべきだろうしなぁ…。
監督は梶山を交代する勇気位は持ちあわせて欲しいです、

酷い試合でしたが良い薬に成れば良いかと。

こんにちは、取り上げて頂きまして恐縮です。
最近の城福監督の選手起用に関する疑問(批判じゃないところが心痛い訳ですが)は、東京ファンやサポーターを越えて他サポさんや所謂評論家の興味の対象になりつつあるようです。自分はいじり過ぎと言う『程度の問題』と捉えておりますが、パスサッカーには不適格との印象で東京を去ったモニが、あれだけ生き生きとプレーしている姿を見せつけられると少しばかり心が揺れました。

>cooperさん

権田は先日まで体調不良でメンバーを外れていたはずですから、4点目のミスを見てもその時の表情を見ても「まだ調子が悪いんだろうな」という気はしました。ましてあの暑さだし。

>古美根さん

松下は松下で、左SBで使っても(ある程度守備に目をつぶれば(笑))いいところがあるとは思うんですけど。何も徳永を前に置いて使うことはないんじゃないかとは思いましたね。つーか、徳永があのポジションはやはり不自然。

梶山ははっきり不調でしたね。ただでさえ1人足りないところに梶山・徳永のところで全くアタッカーにプレッシャーがかからず……そりゃ4失点もするだろう、と。

>FCNTさん

「いじり過ぎ」、まさにその通りですね。僕はある程度チームに柔軟性とかオプションはあった方が良い(もちろんベースをある程度固めた上で)と思っているので、こういう試合が続くことで「やっぱり固定メンバーだ!」とか極端な風潮に振れてしまわないかと心配です。

茂庭は、元々そんなに不器用と言うほどでもないので、心機一転吹っ切れれば、あれくらいはやってもおかしくないと思います。どういうサッカーの中でも。

「今、僕は」と立ち止まって考える必要があるかも知れませんね。
あ、もう終わっちゃったか。

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