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2010年07月30日

●だって夏バテだもの (FC東京×ジュビロ磐田)


昨晩は、国立霞ヶ丘競技場でJ1第15節。FC東京 1−1 ジュビロ磐田。くそ暑いこの7月半ばに週3試合の連戦という、W杯のあおりなのか何なのか、とにかく厳しい日程を戦う我らが東京。ミッドウィークの今回は似たような順位でもがくジュビロとのホームゲーム。試合は、インターバルが1日多い相手にフィジカルで押される苦しい展開となり、大黒の一発で先制したもののセットプレーで追いつかれ、権田の好セーブ連発で何とか勝点1を確保するにとどまった。
 
 
立ち上がりから主導権を握ったのは磐田。整然とした速い寄せでボールを奪っては2トップへのロングボールを軸にシンプルにシュートへつなげていく。開始早々西がたて続けにミドルシュートを放ち、13分にはカウンターから駒野のクロスに前田が頭で合わせ、復帰の権田が横っ跳びで弾き出す。対する東京は磐田のプレスに押されてパスミスが多く、なかなか攻撃を組み立てられない。6分、北斗のアーリークロスに大黒が飛び込んだ場面は間一髪届かず。

18分、右サイドのFKで松下のDF裏に曲がり落ちるキック、どんピシャで走り込んだ今野森重がゲットしたかに見えた場面はオフサイド。残念ではあったが、セットプレーに光明が。ただ、その後も全体的には磐田ペース。東京がこぼれ球に足が出ない一方で、磐田は前田が今野に競り勝って(!)落とすボールを拾い、チャンスにつなげていく。20分、右に流れた前田のクロッシュートを権田がパンチ。24分にはリカのミスから前田のシュートがポスト右を抜ける。

28分、今野と競りながらロングボールを胸で受けた前田が反転シュート、威力なく権田が押さえた。東京は自らも体の重そうな梶山が、前線の動き出しの少なさに苛立ちを隠せない。38分、東京のパスミスから磐田のショートカウンターとなる危ない場面は、成岡のシュートをキムがブロック。終了間際にはようやく東京がチャンスを作るも、森重の機転の利いたスルーで抜けた北斗のシュートがブロックされるなど、得点には至らない。「やれやれ」とハーフタイムへ。
 
 
しかし後半開始直後、先制したのは東京だった。46分、右サイドの丁寧なつなぎの中でリカが倒されてFKを獲得。ここで梶山が早いリスタートで絶妙のコースにクロスを上げ、ファーでマークを外した大黒が渾身のヘディングを叩きつける。ボールはワンバウンドしてGK八田の指先を抜け、ゴール右隅に吸い込まれた。なんというか、「これが東京のプレーなのか」と目を疑うような、抜け目のない判断ととてつもない決定力が生んだ得点であった。ビバ!1−0。

ところが、この1点が相手の攻勢を再加速させることに。それまで鳴りを潜めていた細かいパスワークで攻め入る磐田。我慢したい東京だが自陣に押し込まれる形に。そして50分、左サイドからのCKで大井がDFを押しのけて撃ったヘッダーは権田がパンチで押し出したものの、次の右CKを今度は那須が頭で叩きつけ、大きく弾んだボールが権田の頭越しにゴールイン。前節スーパークリアを見せた松下がまたカバーに入っていたのだが、惜しくも届かず。1−1。

リードをふいにした東京は前がかりになろうとする。が、コンビミスやパス・クロスのぶれなどからチャンスには至らず、逆に磐田が右サイドから攻め入る姿が目につく。56分、アーリークロスを前田がゴール前に落とす際どい場面、松下が懸命にかき出す。ここで東京は大竹に代えて石川を投入。しかし流れは変わらない。59分、梶山のところで奪われて磐田のカウンター、ジウシーニョの強烈なシュートを権田が横っ跳びでビッグセーブ!権田1人だけキレキレだ。

東京はリカ→赤嶺、磐田は西→金沢の交代。東京は石川の前にロングボールを入れるも精度が低く、また石川の動きも鋭さを欠いて全くチャンスにつながらない。68分、一発のパスでDFのギャップに飛び込んだ成岡の強シュートを権田がまたしても跳んで止め、さらに次のCKのセカンドボールを叩いた山本のシュートも片手一本で弾き出す。特に後者はDFの隙間をグラウンダーで抜けてくる極めて難しいボールで、場内がどよめくほどのスーパーセーブであった。

73分、磐田は波状攻撃から上田のクロスに成岡が合わせたが、松下が競りかけて枠外。東京は羽生OUTで鈴木IN。対する磐田は引き分けでも良しと見たか、終盤に船谷・岡田を投入。ここに至ってやっと東京にも好機が生まれ、86分、左サイドに流れた森重→鈴木→ゴール前の赤嶺とつながるが、戻りながらのシュートはDF直撃。ロスタイムには赤嶺のサイド突破から森重がシュートチャンスを得るも、これもDFがブロック。結局、同点のまま試合終了となった。
 
 

負けなくてよかった。ホームなのにそう思ってしまうくらい、内容は良くなかった。

ただでさえ暑い季節に中2日の連戦、おまけに相手は中3日。この条件が試合に与えた影響はとても大きなものに見えた。動き出しの少なさと、それが引き起こす連携ミス。こぼれ球への反応の遅れに、パスやクロスのぶれ。そして判断の悪さ。もちろん磐田の守備が、特に前半は整然と圧力をかけてきたせいもあるけれど、後半は選手交代の不成功もあってバラバラになってしまった。権田の「当たり」がなかったら、もしくは磐田が最後まで本気で勝ちに来てたら……。

ただ、まあ「仕方がないのかな」という気もする。日程やコンディションの問題は自分たちではどうにもならない部分がある事だし、加えて、W杯中断明けから春とはガラリと違うメンバーで形づくりをしている段階なのだから。もはや恒例となった感のあるチーム作りの遅れはこういう「待ったなし」の状況でモロに試合に出てしまう。それでも、緊急補強の大黒の一発と、この試合でようやく復帰した権田の素晴らしい活躍で負けなかったのだからよしとすべきか、な?

ああ、でも、次また中2日で試合があって(相手の新潟は中3日)、来週はスルガ銀行チャンピオンシップで(他のチームは試合をしない)水曜日に試合をしなきゃいかんのか。そりゃあ厳しい。どこかでうまく楽をしないと、とてももちそうにないなあ……。

この試合、MVPは間違いなく権田。失点に関してはどうしようもない弾道だったけど、それ以外では全くシュートが入る気のしない鉄壁ぶりだった。塩田も優れた選手だけど、こういうのを見るとやっぱり第1GKは権田なんだろうね。攻撃の方ではもちろん大黒。劣勢の中であのヘディングシュート以外にも惜しい場面を幾つか作ってくれて、もう堂々たる中心選手である。というか、この試合は大黒と森重のところしか点の入りそうな感じがしなかった(笑)。

一方、出来の悪かったのは梶山か。やはり毎試合フル出場で負担が大きいのか、この日は攻→守の切り替えの遅さや相手へのプレゼントパスなど悪目立ちした。それでも一つ決定的な仕事をしたのはさすがだが。調子で言えば、石川も良くなかった。一対一であれほど何もできない石川は久しぶりに見たかも。大竹もかなりつぶされてたけど、石川と赤嶺の投入順は逆でも良かったような。あと、森重はミスもあったけど、それでも他の選手よりは頼もしく見えたね。

とにかく、次節まで時間がないけれど、とりあえずみんな涼しい部屋でゆっくり休んだ方が。
 
 
ジュビロ磐田は、柳下監督のチームらしく全体的に小粒だけどソリッドにまとまったチームで、少なくとも今の13位という順位よりは上げてくるのではないか、と思った。試合の終盤はちょっと引き分け狙いっぽいところも見えたけど、あれはあれで仕方がないのかな。少なくともこっちは助かったぞ(笑)。目立った選手としては、やはり前田遼一。器用な万能系のイメージがあるFWだが、ヘディングでことごとく今野に競り勝ったのには驚いた。能力高いんだねえ。
 

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