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2010年08月09日

●こんだけ攻めても駄目なんかい (FC東京×名古屋グランパス)


昨日の夜は、味の素スタジアムでJ1第17節。FC東京 0ー1 名古屋グランパス。暑さもピークの時期に迎えたリーグ戦の折り返し。3位グランパスとの対戦は、前半戦不本意な順位に甘んじている東京にとって反転攻勢のきっかけとしたい一戦であった。試合は、東京が省エネサッカー(?)の名古屋相手に快調に攻め続けて幾度か決定機を得るも決められず、土壇場の後半ロスタイムに闘莉王のヘッダー一発で敗戦。ホームでの無敗記録もストップしてしまった。
 
 
スルガ銀行杯優勝で弾みがついたか、この日の東京は夏の連戦も何のその、序盤から快調な攻撃を見せる。1分、FKからの長いボールを大黒が好トラップで左へ流し、走り込む羽生のシュートがGK楢崎の正面を突く。その直後、羽生の速いクロスに大黒が飛び込む際どい場面があり、さらに右CKから森重のヘッダーがポスト左。東京は梶山・森重を中心とするテンポ良いパスワークと平山のポストプレーでフリーのアタッカーを作り、次々前を向いて仕掛けていく。

一方の名古屋はスローペースの立ち上がりで、後方の幅広いパス回しからサイド経由で機会をうかがう。が、東京の寄せの早さに押されてなかなかボールを前へ運べない。9分、ロングボールを平山が落として石川がボックス前へ進出し、ラストパスを受けた羽生がシュートするもポストのわずか右。17分には大黒のパスで左サイドに飛び出した平山が振り向きざまに強烈なシュート、楢崎がかすかに触ったボールはバーに当たってゴールラインの外へ。惜しい!

前半半ばになると名古屋も攻撃意識が高まって攻防が激しくなるが、しかしパスワーク・守備の寄せのいずれも東京の方が小気味よい。30分、カウンター攻撃から平山がボックスへ突入、闘莉王のスライディングに倒されPKか、の場面はノーファウルの判定。32分、右から椋原のアーリークロス、走り込んだ大黒がゲットする寸前でDFがブロック。直後、CKのこぼれ球を今野がシュートするがバーの上。圧倒しているのだが……まだかまだかの先制点が遠い。

34分、石川の鋭いミドルシュートは楢崎がキャッチ。36分、逆襲から梶山のロングフィードを大黒が巧みに落とし、左サイドを抜けた平山が勝負してシュートするも楢崎の正面。前半終わり近くになるとようやく名古屋も金崎・マギヌンらのパスワークからチャンスを作るが、東京DFは落ち着いてはね返す。40分、金崎のクロスのこぼれ球をダニルソンがシュートするが、バーを越えた。結局、動きの重い名古屋相手に東京が一方的に攻めながら、無得点で前半終了。
 
 
この日は恒例の「ファイヤーワークスナイト」ということで、ハーフタイムには300発(だったよな確か)もの花火が打ち上げられた。いやーきれいだね、と楽しみつつも、「ファイヤーワークスナイトって、負けて「収穫は花火だけだった」とかなりがちなんだよな……」とネガティブな考えが頭をよぎる(笑)。
 
 
後半、いきなりCKから闘莉王のヘッダーがバーを越える。東京も47分、右サイドから大黒の上げたクロスを羽生が左足ボレーで叩くも枠外。名古屋はダニルソンのボール奪取から本来の持ち味であるハイクロス攻撃や闘莉王の上がりも出始め、前半と異なりほぼ互角の攻防に。開始後しばらくは双方がCKやクロスをはね返すシーンが続いた。56分、右サイドのFKから玉田がインスイングのクロス、ケネディが塩田とすれ違いざまに頭で叩くも左に外れ、命拾い。

モメンタムを取り戻したい東京は羽生→徳永の交代。ボランチ徳永で左SHに梶山が上がる形に。だが、皮肉なことに疲労の見える梶山はここから存在感を失ってしまう。東京のプレスの強度全体も落ち、名古屋のパス回しに余裕が出始めた。60分、速いパス交換から右へ展開し、田中隼のクロスをフリーの金崎がヘディングするも枠外。もっとも名古屋も不用意なミスパスでボールを失う場面が多く、またバイタルエリアの守備が甘いなど、どうもシャンとしない印象。

後半半ばになると中盤が空いてやや緩めの攻防に。67分、バイタル前の混戦から左サイド平山の足下にボールがこぼれたが、シュートは枠外。70分、楔のパスを大黒が落として徳永が弾丸シュート!楢崎届かずも、きわどくサイドネット。72分、名古屋がボックス左手前でFK獲得、ダニルソンの超音速シュートを塩田が横っ跳びで弾き出す。74分には大黒の反転パスで(途中から右サイドに回った)徳永が突破、クロスのこぼれ球を北斗がシュートするも枠外へ。

こうなると1点勝負である。東京は平山→重松に続いて石川→リカルジーニョ、名古屋は不調の玉田に替えて杉本、さらにマギヌンに替えて三都主。79分、左CKから波状攻撃となり、ボックス正面のこぼれ球をキムがシュートするがこれもきわどくポスト左。86分、左サイドに開いた重松からボックス内のリカへパスが通るも、シュートは楢崎が横っ跳びでキャッチ。名古屋も87分と88分には小川が渾身のミドルシュートを撃つが、いずれも塩田がナイスセーブ。

ロスタイム。ここに来て完全に足の止まった名古屋はクリアもままならないように見え、混戦から大黒と重松がボックス内でシュートチャンスを得る場面もあったが、いずれも楢崎がセーブ。そして94分、名古屋はFKを得ると素早くボックス左に走る金崎へ。金崎はヒールパスでオーバーラップの三都主へ流し、フリーで抜けた三都主のクロスを、ファーで今野に競り勝った闘莉王が頭で叩き込んだ。まさかの「サヨナラゴール」。土壇場で名古屋が勝点3を手中に。



もったいない星を落とした。つーか、あんだけ攻めて無得点かよ、みたいな(笑)。

前半の内容はとても良かったと思う。心配された連戦の疲れはさほど見えず、ホームらしい攻撃サッカーを披露。2トップの安定したポストプレーのおかげで余計な回り道が少なかったし、速攻できない時でも梶山・森重を軸とするパスワークで名古屋のダルな守備を簡単にかいくぐることができた。選手の距離感や攻守の比重などもバランスが良く、もしかしたら今季一番の出来だったかもしれない。あとは、シュート(特に17分の平山)が一本でも入ってくれれば。

で、後半に入って動きが落ちて、ネジを巻き直した名古屋との攻め合いの流れに巻き込まれてしまった、と。それでも勝つチャンスはあったのだが……徳永を(最初ボランチに)入れたのは、中盤の強度を増して叩き伏せにかかったのだろう。ただ、名古屋はSBを除けば「強い」選手の揃っているチームであり、また梶山がバテ始めていたところでもあり、効果としては微妙なところだったかも(サイドに回ってからは良かった)。70分のシュートは惜しかったけど。

スタンドから見ていると、名古屋の守備はバイタルエリア(ボックス前)に入ってくる選手へのマークがユルく、あそこをどう使うかが勝敗の鍵に思えた。そういう観点からすると、この試合の交代はちょっとどうなんだと思わないでもない。でも城福監督もわかっていて、そこで重松やリカがドリブルで仕掛けるイメージだったのかな。まあ、この試合に関してはシュート力と、ピクシーのコメントのとおり最後の局面での「精神力の強さ」が勝負を分けたのかもしれない。

いずれにせよ、少なくともこの試合については、やっているサッカーは決して悪くなかった。中断明けから結果は伴っていないにせよ、チームの可能性は広がっているように思う。怪我人も帰ってきた。平山や石川などコンディションが心配された選手も調子を上げてきている。あとはホントに結果なんだよね、欲しいのは(と、いつも言っているような気がするな)。次は鹿島とのアウェイ戦か。マルキーニョスが負傷しておそらく出られないとはいえ、厳しいな……。
 
 
名古屋グランパスは、なぜか東京と戦うときはいつもこんな感じで省エネモードというか、出来がイマイチに思えるんだけど気のせいだろうか?それとも何か相性の問題なんだろうか?この試合について言えば、最後の場面のアイデア・技術と集中力は見事というしかないのだが、前半は出足は悪いわ連携はとれてないわで、正直2位のチームとは思えなかった。ただ、それでも何とか無失点で切り抜けて後半勝負に持ち込めるあたり、ツキはあるのかもしれない。

しかし闘莉王は大したもんだ。彼みたいな選手に決められるのが一番悔しい。けど、それ相応に「持ってる」男であることも認めざるを得ない。てか、ゴール(しかも今野に競り勝ったヘッダー)を決めた後で両手を広げて「あつまれ〜!」ポーズをやっていたように見えたのだが(ホントにやってたらしい)。味スタでもケンタッキーフライドチキン売ってるしな!!くそ。
 

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コメント

妖精がなにをほざこうが・・・

今ちゃんより高く飛べる田中さんに1カボレ

そういえば、ピクシーが就任時に「これからはミスターと呼んでくれ」とか言ってましたけど、どうなってるんしょうね。あと「スーパーハードワーク」も(笑)。

いや、でも、田中さんの決定力にはホント参りました。名古屋の初優勝があってもちっともおかしくないな、と思った瞬間でした。

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