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2011年07月19日

●ルーコン祭りで首位やがな (FC東京×FC岐阜)


FC東京 4−0 FC岐阜 (J2第21節 味の素スタジアム)
 
 
前節大分で連勝がストップして迎えた一戦。まだ蒸し暑さの残る中、現地で観戦した。

試合は序盤から東京ペースとなった。3分、谷澤のFKにフリーの高橋が飛び込んで頭で合わせたが、枠をとらえられず。東京は最近の定石どおり落ち着いてパスを回し、羽生・谷澤の飛び出しに徳永の果敢な上がりを加えて岐阜の守備を揺さぶっていく。5分には梶山のミドルシュートがバーを越え、10分前後の波状攻撃ではボックス内でつなぎまくった末に谷澤がシュートするも、GK野田に防がれた。

対する岐阜は嶋田を中心にカウンターを狙うも効果は薄く、東京が一方的に押し込む展開に。それでも岐阜が人数をかけた守りでしのぐ場面が続いていたが、東京にややミスが出始めた22分、先制点が入る。左サイドでキープした田邉がSBの背後を狙う絶妙の浮き球を入れ、DFを振り切ってゴール前へ突進した徳永が野田の脇を抜いてゲット。田邉の戦術眼と徳永の積極性が生んだゴールだった。1-0。

その後も東京の優勢は動かない。26分、カウンターをくらいかけてヒヤリとするが、西川の強シュートは枠外へ。28分と31分には徳永の突進からシュートチャンスとなるも、セザーは宇宙開発し、谷澤は野田の正面を突いてしまう。33分には羽生のスルーパスで、39分には自らのドリブルからセザーがシュートするが決めきれない。追加点を奪えない不満を微妙に残しながら、ハーフタイムへ。
 
 
後半立ち上がり、岐阜はラインを上げて反撃を試みようとする。49分、速攻から押谷が撃ったミドルを塩田が弾き出した。だが東京の優位は動かず、51分、谷澤の右サイド突破からセザーが中に切れ込んで田邉とワンツー、かと思いきや、田邉は意表を突く急反転でDFを振り切り、野田との一対一を落ち着いて決めた。2-0。勢いに乗る東京は、前がかりになる岐阜の背後を攻めて次々にチャンスを作っていく。

60分、左サイドを疾走する羽生のクロスを北斗がスルー、フリーになった谷澤がシュートするが今度はふかしてしまった。ゴール裏の一部からブーイング。真剣なものではないのだろうが……。後半半ばになると、東京は攻めも守りも無理をしない「省エネモード」に移行。69分、谷澤のミスから自陣深くで奪われるも、嶋田がシュートをふかして命拾い。谷澤、どうもリズムを崩してしまったような。

72分、余裕の徳永温存。その直後には梶山のパスで羽生がDF裏に飛び出し、野田と一対一となるがシュートをGKにあててしまう。しかし74分、田邉のフォアチェックからセザーが左サイドを突進、一気にボックスへ突入してゴール右に決めた。3-0。と、ここでスタンドから大きなどよめきが。ついに復帰のクロマティ、じゃなかった、ルーカス投入である。いきなりドリブルでスタンドを沸かせるルーコン。

とどめの4点目は79分。羽生のスルーパスで猛然とボックスへ走り込んだセザーが倒されてPK。スタンドからは「ルーコンに蹴らせろ」圧力が高まるが、セザーは敢然とボールを渡さず(そりゃそうだよな(笑))自らゴール左隅に決めて4-0。お祭り騒ぎの東京はさらに攻撃を継続し、88分には谷澤のパスを受けたルーカスがシュートするも野田がキャッチ。結局、そのまま4点差で東京が勝利を収めた。
 
 

まあ、鳥取戦と同じように、不満の非常に少ない完勝だったかと。

暑さの残る夏の夕方の試合だけに、効率良いサッカーが求められているのは試合前から明らかだった。なので、開始直後のチャンスを高橋が外した時にはちらと嫌な感じもしたのだが、変なミスが増え始めた時間帯に先制できたのは幸いだったし、その後は危なげのない試合運びができた。彼我のキープ力の違いは明らかで、加えて東京が相手陣でボールを失った時にすぐ奪い返しに行く動きが徹底されていたため、ハーフコートゲームになったのも当然だろう。

あえて文句をつけるとすると、(それほど多くなかった)自陣でのパス回しにおいて軽率なミスがやや目立った事だろうか。せっかく押し込んで圧倒できていても、一つのミスで台無しになってしまうのがサッカーという競技。下位の相手には特に問題にはならずとも、これが栃木あたりが相手だとガラリと展開は変わってしまうかもしれない。「勝って兜の緒を締めよ」とはこういう時のためにある格言ではないか……いや、ニヤケながら書くのも何だけどさ(笑)。

MVPには羽生を挙げたい。引き出し、運動量、パスの全てにおいて高いレベルの仕事をしてくれた。谷澤も羽生と同じくらい仕事をしていた功労者だと思うんだけど、相変わらず「シュートが決まらない魔法」が解けてなくて気の毒。あのブーイングは何だったんだろう(ある種の「冷やかし」なのかな)。2得点のセザーはもちろん殊勲の働き。田邉も攻撃で持ち味が出せてよしよし、という感じ。梶山・高橋は黒子の動きに徹していて、この日はそれが適切だった。

DF陣では、何といっても徳永だろう。右サイドを完全支配、というか、なんか1人だけで岐阜の左サイドを粉砕した感があった。やっぱSBとしての能力を取り戻せば代表級の選手だよ、彼は。北斗はいつもより堅実な感じで、今野・森重はまあまあ、といったところか。塩田はキックがちょっとお粗末なのが多かったかな。GKといえば心配になるのは権田で、彼のような将来のある選手をこのままベンチに置いておいていいもんなんだろうかと、ちょっと考えてしまう。

あとルーカスについては……予想していたよりも動けてたし、スタンドも大いに盛り上がった。おそらくフル出場は難しいのだろうが、十分戦力にはなるだろう。実は、個人的には「今さらルーカスかよ!」という思いもあったんだけど、スカパー!で流れたインタビューとか見るとやっぱり好感が持てる男である。昨年から辛い事の多い東京ファンにとってはある意味ご褒美なのかな、と。頑張ってほしい。

とにかく、これで東京の2ヶ月間負けなしの快進撃は継続し、栃木と千葉が勝点を落としたことでついに首位に浮上することとなった。いやー、首位ですか。春頃の苦しみを考えたらちょっと早すぎるくらいかも(笑)。いや、4位の栃木と勝点差が「2」しかない状況では全然安心できないのはわかりつつ、やっぱり素直に嬉しいのも確か。この調子で行ければいいがのー。
 
 
[付記1]

FC岐阜の試合を観るのは、2006年12月の全国地域リーグ決勝大会以来である。あの時は前日に九州石油ドーム(現・大分銀行ドーム)でJ1の最終戦(ジャーンの東京での最後の試合ね)があって、こつこつ庵で宴会した翌日観に行ったんだった。岐阜には元東京の小峯と伊藤哲が在籍しており、さらに森山や小島、池元といった有力選手がいた。それでも当時はまだギリギリでJFLに昇格するようなチームだったわけで、出世したもんだよなあ岐阜、という(笑)。


[付記2]

64分、交代で出てきた岐阜のブルーノが最初のプレーで脚を痛めて退場した場面について。東京ゴール裏からは(以前東京に在籍していたブルーノ・クアドロスと同じリズムで)「ブルーノ!」コールが飛び、僕の座っていたメインスタンドでも「何しに出てきたんだ!」と笑っている人が多かった。まあ、確かにコミカルではあったし、からかいたくなる気持ちはわかる。ただ、ほどほどにしておかないと、シリアスな怪我だった場合にシャレにならんぞ、とも思う。

つーか、仮に同じような状況でセザーなりルーカスがああいう退場をしたとして、相手方のスタンドがあのような揶揄の雰囲気だったとしたら、怒り狂うのではないかな、東京ファンの多くは。
 

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コメント

[付記2]について。

テレビ観戦だったのですが、中継でも「ブルーノコール」が聞こえてきて「えっ?」って思いました。そういうことだったのですか。
昔からこういう時の調子乗りは度を超すことが多いですね。
その場にいたら乗っかってたかもしれないので自戒自戒、と。

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