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2011年07月03日

●「J2仕様」東京がゆく (FC東京×ガイナーレ鳥取)


昨日の夜は、味の素スタジアムでJ2第19節。FC東京 3−0 ガイナーレ鳥取。5月下旬に思いきった新布陣へのシフトを断行して以来、5勝2分けの快進撃で一気に3位へ浮上した我らが東京。今回はJ2参戦初年度のガイナーレとの初対戦であった。試合は、序盤から完全にボールを支配した東京が後半にセットプレーとミドルシュートで3ゴールを重ね、全く危なげなく勝利。シーズン序盤の迷走が嘘のような胸のすくような快勝で連勝を「5」に伸ばした。
 
 
キックオフ直後から「おっ」と思わされたのは、東京の選手たちのプレーから彼らの自信が伝わってきたこと。時間帯を問わず焦りや迷いの見えまくっていた2ヶ月前までとは全然別人のように、落ち着いてよくボールを動かし、下位の相手に対して確実にペースをつかんでいく。「なるほどこれが4連勝の効果なのか」と妙に感心させられた。それに歩調を合わせるように東京側のファン・サポーターも、ある程度の余裕を持って青赤のパス回しを眺めているようだった。

ただし、チャンスはなかなか生まれない。鳥取の組織守備の手強さに加えて水戸戦から中2日の影響か、攻撃陣の動きが少なく、あまり前線にボールが入らない。それでも鳥取のカウンターを素早い戻りで抑えながら慌てずパスを回し、守備の穴を探していく。14分、右サイドの羽生から斜めのパスで徳永がボックスへ突入するが、カバーのDFがクリア。20分には左サイドの梶山・田邉のパス交換からボールを戻し、高橋がミドルシュートを撃つがポスト右に外れ。

前半半ばを過ぎる頃からは個人能力の差も出て、ほぼ一方的な東京の攻勢になっていく。23分、ハーフウェー付近からセザーがDFを引きずるように突進、低く鋭いシュートをGK小針が横っ跳びで押さえる。25分、CKの折り返しを今野がオーバーヘッドで狙うが味方に当たってしまいノーゴール。一方の鳥取は29分、CKからの混戦の中で服部がヘッダーを撃ち、塩田が体勢を崩したもののボールはポスト左に抜けてくれた。ちょっとヒヤリとしたシーン。

35分、右サイドから徳永がDFをかわしてボックスへ突入し、クロスを梶山が逆サイドへ流してどフリーになった田邉がシュートするも、コースが甘く小針がセーブ。もったいない。39分、羽生のパスを受けた谷澤がCBの間に突入するもシュートできず。44分にはボックス手前で鳥取のFK。「そういや昔、磐田時代の服部に直接FK決められたことあったな」と嫌な記憶が頭をよぎるが、美尾のシュートは壁に当たって外れてくれた。0−0でハーフタイムへ。
 
 
後半開始早々の49分、またボックス手前で鳥取のFKとなるが、壁の下を抜く美尾のシュートは塩田がガッチリとキャッチ。安心のゴールマウス。東京が主導権を握っている状態は前半と変わらず、その後はまたも一方的な攻勢となっていく。51分、左サイドをドリブル突破した北斗がクロスを入れ、谷澤が飛び込むが間一髪届かず。54分、オフサイドギリギリで右サイドに飛び出した谷澤のクロスをファーのセザーがボレーで狙うが、当たりが弱く小針がキャッチ。

そして58分、左サイドで北斗が倒されFKの場面。谷澤が判断良く素早く前に蹴り出し、フリーでボックス左に飛び出した羽生がクロス。これをセザーがダイレクトで蹴り込んで東京が先制した。相手の虚を突くクレバーなクイックリスタート。こういう人を食った得点は個人的にすごく好きである(笑)。1−0。61分、左サイドのパスワークから田邉が走ってクロス、ファーにアタッカーが走り込んでおり届けば1点だったが、小針がジャンプ一番指先で弾き出す。

その後は一時試合を落ち着かせるようなパス回しが続いたが、66分、鳥取陣深くでパスカットした高橋が迷わず右足を一閃!狙いすましたミドルシュートはきれいな弧を描いてゴール右上に決まった。小針が一歩も動けない見事な一撃。2−0。これで「勝負あり」。となればイケイケとなるもので、67分、フェイントでDFを振り切ったセザーのシュートがポスト左を抜け、71分には田邉がゴールライン際から折り返したクロスをセザーが狙うがDFがブロック。

鳥取はハメド、阿部祐大朗(おお、大熊門下生(笑))と新しいアタッカーを投入するも、流れは変わらず。79分、ボックス手前で谷澤がスラロームドリブルからシュート、ポストのわずか右を抜けた。うーむ、谷澤にかけられた「どうしてもシュートが枠に行かない」魔法はまだ解けていないようである。82分、鳥取はセットプレーのこぼれ球を金がミドルシュートするが、バーをわずかに越える。東京は85分になってようやく初めてのカードを切り、セザー→大竹。

とどめの得点は89分。右CKで大竹が素晴らしいインスイングのボールを入れ、ニアサイドに躍り上がった森重がヘディングシュートをゴール左隅に流し込んだ。クロスもシュートも100点満点の得点。3−0。そして、そのまま試合終了となった。5連勝!!
 
 

この試合を見る限り、そろそろ「J2戦仕様」の東京ができてきたのかな、と。

これ以上ないくらいの完勝であった。序盤こそ連戦の疲れがあったのかやや動きが重く「ボールは動くが人は動かない」状態だったものの、ボールは完全に支配して主導権を握り、後半になってからセットプレーと相手のミスを突くミドルシュートで3得点。守っても鳥取に許したシュートは4本のみで、今季8回目の完封。正直なところ観ていて負ける気は全くしなかった。あえて言うならば前半のうちに得点できればなお良かったのかもしれないが……まあまあ(笑)。

個人的に評価したいのは、変な言い方かもしれないけど、派手すぎず地味すぎず「J2で勝ってくにはこの位かな」という戦いぶりができていること。広島が落ちた時のように好内容で圧倒しつつ進撃できればそれに越したことはない訳だが、序盤戦であれだけ怪我人が出てコンセプトも迷走した時点でそれは望むべきではない。現状では、特に下位チームに対して「確実にボールを保持する」「セットプレーかミドルで得点する」の2点ができていれば良しとするべきだ。

つーか、少なくとも、シーズン序盤に比べればずっとマシになっているのは間違いない。選手たちの連携と落ち着きぶり、監督の選手起用(徳永のSB回帰と、梶山の他にパスのさばき役を作ったこと)、そしてスタンドの雰囲気。よくここまで持ち直したなあ、という気さえしてしまう。

もちろん、まだまだ盤石とまでは言えず、大熊監督がインタビューで「まだ三分の一」と言っていたように、安心するには早いのも確かだ。これからはますます相手チームのマークも厳しくなってくるだろうし、しばらくほぼ同じメンバーで戦っているだけに夏場の疲労なども心配にはなってくる。この試合ではベンチに入らなかった石川や鈴木、この日久しぶりに姿を見ることのできたルーカスあたりの働きもきっと必要になってくるのだろう。総力戦の時は近いかもね。

個々の選手では、まずMVPは高橋だろうか。試合にカタを付ける2点目のスーパーシュートも素晴らしかったが、守備の方で鳥取の守→攻の切り替えどころでよく潰してくれていた。なんつーか、常識的な選手が1人いると安心するんだよね(笑)。DFでは徳永が攻守で良く効いていた。塩田・今野はさすがの安定感。北斗はフィジカルで勝ちまくって活躍できた。使い所次第の選手なんだね。森重は得点は良かったけど、守備で軽いプレーがまた増えてきたような。

攻撃陣では、梶山・羽生はここ最近の元気さは影を潜めていたけど、合格点のプレーぶりだったと思う。草民は少しお疲れな感じかな。谷澤は相変わらずヤザーで、チームのためにものすごく仕事をしているのにシュートの精度がイマイチでもったいない印象。大竹はひと仕事できて良かった。セザーは、「俺が取りたい」時間帯と味方をうまく使う時間帯が極端で笑える選手だな、と。ただ、DFに倒されてもあまり吹いてもらえないのが可哀想というか心配というか。

ともあれ。連勝は気持ちいいもんだね連勝は!!なんたって5連勝である。僕の記憶が正しければ、次勝てばチームとしての新記録になるはず。大分戦(こつこつ庵か……)で是非とも達成して、昇格戦線の見通しをさらに良くしてほしいもんだと思う。頑張ってや〜〜〜。
 

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