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2009年10月26日

●「チャンピオンズ」まで、あと一歩 (清水エスパルス×FC東京)


昨日の午後は、アウトソーシングスタジアム日本平でJ1第30節。清水エスパルス 1-2 FC東京。長丁場のリーグ戦もいよいよ終盤戦。ここ数試合調子上昇中ながら、前節アクシデントでチーム得点王を失ってしまった我らが東京、今回は優勝争いに食い込む4位清水との大一番であった。試合は、中盤の攻防で終始優位に立つ東京が前半に奪ったリードをそのままキープし、快勝。ACL出場権へ向けて大きな大きな勝ち点3を手に入れた。
 
 
直接順位争いに関わる大事な一戦らしく、両チームとも気合い十分。序盤はボールが激しく行き来する攻め合いとなった。いきなり4分、清水陣ゴールライン際への速い縦パスに鈴木達が快足を飛ばして追いつき、左サイド→右サイドへ素早くつないで徳永がクロス、DFのマークを外した鈴木が思い切りよくヘッダーを突き刺した。望外の早い先制点。1-0。しかし清水もすぐに反撃し、5分、ボックス左手前のFKで山本真のシュートがポストわずか右を抜けた。

7分、攻撃参加した市川のクロスを権田が弾いたところ、兵働がボレーで狙うもDFがブロック。その兵働が蹴ったCKにフリーの岡崎が頭で合わせてゲット。東京は悪癖のマークミスが出てしまった。1-1。その後はしばらく一進一退。ともに奪われてからのフォアチェックが早く、速攻は封じられてしまうことが多い。ビルドアップとブロック守備とのせめぎ合いが続く。18分には鈴木が、21分には枝村が敵陣深く進入するが、いずれもクロスはシュートに至らず。

25分、怪我をおして出場した長友の状態が思わしくなく、早くも椋原と交代。が、椋原は堅実なプレーを見せて影響をほとんど感じさせない。27分、清水のカウンターから岡崎のシュートのこぼれ球がヨンセンの足下に落ちるが、トラップミスで命拾い。局面局面では激しいぶつかり合いが繰り広げられ、28分には平山が岩下を思いっきり倒してイエローカード。大事な試合で退場が明暗を分けるというのはよくある話。特に平山は目立つだけに心配だったが……。

実際には、このあたりから東京の優位が明らかになっていく。ヨンセンの動きが重くMF陣も雑なプレーが目立つ清水に対し、梶山・平山の出来が良い東京はパス回しの安定感で大きく上回っていた。33分には吸い寄せられるようにセカンドボールが立て続けに梶山に集まり、波状攻撃で押し込む場面も。36分、中盤で鈴木が倒されている間に羽生の浮き球スルーパスを受けた赤嶺がGK山本の脇を抜いてゲットしたかに見えたが、これはオフサイドの判定。

そして39分、左サイドでキープした平山から外を追い越す徳永へパス。徳永が切り返してから右足でクロスを入れたところ、ファーに抜けたボールをクリアし損ねた太田が頭で押し込んでしまい、オウンゴール。若い選手だけに少し慌てたか。2-1。41分、枝村の左サイドからのクロスをヨンセンがニアサイドで狙ったシュートは権田がキャッチ。終了間際には梶山・平山のコンビでゴール前に迫る場面もあったが、シュートできず。東京リードでハーフタイムへ。
 

後半も東京の順調なパス&ムーヴが続く。一方の清水はワンタッチのパス回しに固執しすぎ、どこかでチグハグなミスが出てしまう。47分、梶山がボックス手前で粘り、戻したボールを米本が鋭いミドルシュート(山本キャッチ)。守っても東京が連動した動きでボールを追い込むのに対し、清水はプレスが単発的な印象であった。57分、太田のアーリークロスにヨンセンが飛び込むも、ジャンプ一番権田がキャッチ。直後の兵働のミドルシュートも権田が押さえる。

余裕の出始めた東京は中盤で落ち着かせるようなパス回しを披露、ゴール裏からの「オーレ!」のかけ声もそれを後押しする。59分、延々続くパスワークから平山が落としたボールを鈴木がシュート、バーのわずか上に外れる。さらにCKから波状攻撃、今野のシュートは枝村がブロックし、赤嶺を狙う平山のクロスは間一髪山本がキャッチ。攻めあぐむ清水は次第にアーリークロスが増えていくが、63分に岡崎が抜けかけた場面もカバーの赤嶺(!)がカット。

清水はフィニッシュについてもヨンセンを狙いすぎるきらいがあったが、東京にしてみれば怖いのは岡崎の方。65分、今野の背後に走り込む岡崎にパスが通るピンチ、ブルーノのカバーが効いてシュートは枠外。これは危なかった。70分には逆襲速攻で伊東がヨンセンへラストパスを送るが、足が出ず追いつけない。清水は兵働・山本真OUT藤本・原IN。これで一応攻撃の勢いが増し、72分には市川のクロスに岡崎が飛び込むも、出足よく権田がキャッチ。

74分、平山→追い越す羽生→ゴール前へ飛び込む赤嶺と通るもオフサイド。76分、CKに合わせたブルーノのヘッダーは惜しくも外れ。終盤になると東京は鈴木・羽生に替えて平松・藤山を投入し、自陣でがっちりと守備ブロックを形成。清水は放り込みで打開を図るが、東京DFのカバーが速くこぼれ球を拾えない。藤本のクロスやヨンセンの縦パスに岡崎が飛び込む場面も堅実な守備で防ぐ。最後は平山キープ大作戦も駆使し、東京が逃げ切りに成功した。
 
 

上位に肉薄する勝点3であり、内容的にも満足の行く勝利だった。これは大きい。

今のFC東京と清水エスパルスには共通点が多い。強いパスサッカー指向、4-4-2の布陣、ポストプレーヤーと速いアタッカーの組合せ、等々。だが、今回はありがちな「ミラーゲーム」の膠着状態にはならなかった。なぜなら東京の出来が清水を大きく上回っていたから。連動した守備の寄せとこぼれ球への素早い反応、オフ・ザ・ボールの動きの多さと長短入り混ぜた攻め手、そして状況判断。スコア的には1点差だったが、内容的にはもっと差があった。

特に、梶山を軸とした中盤のパスゲームで清水に完勝したのは……。昨年の4月に同じ日本平で戦った時には、梶山のふがいない出来もあって惜敗。半年後の10月、4-3-3の布陣で臨んだ味スタでの対戦では中盤の組織力で圧倒されて1-5の大敗。そこから1年で力関係をひっくり返したように見えるのだから、実に感慨深いものがある。まあ、もう1~2点取ってほしかった気持ちもあるので万々歳というわけではないが、それは今後の課題ということで。

しかし、先週も書いたけど、磐田戦の後半以降はチーム全体が本当に見違えるようである。夏場の停滞ぶりとカボレの移籍から「このまま今年はジリ貧かも」と思った僕が間違いだった。カボレと石川を失って、選手も監督もある意味吹っ切れたのだろう、プレーにも采配にもあまり迷いが見られなくなったのが素晴らしい。もちろん石川やカボレがいなくなって良いわけではないけれど、1年半の積み重ねとチーム一丸の姿勢が上昇気流を生んだのは間違いない。

この試合のMVPには梶山を挙げたい。スーパープレーと凡ミスが混在していた選手から凡ミスを取ったら、単にスーパーな選手になったという。梶山がボールを持つたび、清水ファンから「その10番にもたすなー!」「早く止めてー!!」などと悲鳴が上がっていた(笑)。梶山に比べれば地味ながら、米本や羽生もきっちり仕事をしていた。鈴木達は石川とは違った速さ(長刀・短刀の違いかな)を生かして大いに前線をかき回してくれた。先制ゴールもお見事。

FW陣では、ヨンセンの不調もあって平山の良さが目立っていた。あれだけ引き出して収めてくれたら、そりゃあ味方は助かるわな。赤嶺も効果的にパスに絡めていて、オフサイドはちと不運だった。もう少し枠内シュートを撃ってほしいかな。DF陣では、ブルーノと今野はカバーの関係が随分よくなってきた。徳永はさりげなく良い仕事ぶり。椋原は普通にレギュラーでも大丈夫そう。権田はノーミス。平松と藤山もよく頑張った。いや、この試合はみんな良かった!
 

これで東京は4連勝、勝点を49に伸ばして5位に浮上した。川崎と鹿島がともに勝ったので優勝争いとは少し差があるが(いやこれもまだわからんが)、3位のガンバ(勝点51)まではもはや射程内。今後の対戦相手も比較的恵まれているようにも思え、いよいよACL出場権が見えてきた。いやー、なんつーか、リーグ戦でここまで盛り上がるのは2003年以来だろうか。あの時は「アマラオ最後のシーズン」という事情もあったのだが……あ、今回は藤山か……。

そして、次のリーグ戦の前には、いよいよナビスコ杯の決勝がある。フロンターレは今節7-0で勝って絶好調の様子だが、恐れることはない。圧勝の次の試合では案外と苦戦するのがフットボールというものである。実際、川崎は2年前のナビスコ決勝前にもに7-0で某チームに(笑)圧勝しているが、肝心の決勝ではガンバ相手に0-1で苦杯を喫している。まあ、これも何かの縁というか、今年の2敗の雪辱の機会でもあるし、今からすっげー楽しみである。
 
 
[付記]
昨年行った時もそうだったのだが、日本平は天気が悪いと海側から吹き上げる風が強くて……夏ならむしろ良いのかもしれないが、この日は曇りで気温も低く、けっこうこたえた。というか、わざわざバックスタンドまで焼きたてを買いに行った富士宮焼きそばが、メインまで持ち帰った時にはすっかり冷めてしまったのが残念(それでも美味しいんだけど)。あと、一緒に持っていた生ビールの泡もいつの間にか吹き飛ばされてしまって唖然とした。来年はも少し厚着かな。

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コメント

お疲れでした、今年は清水さんに負けない年を守れて良かったです、来年は更に頑張ってジンクスを破りたい物ですね。
梶山の空中パスカット芸とか呼吸が合っていたFW二人とかたまに怖いブルーノさん、徳永2アシストか…とか見所満載だった気もします。

フロンタさん凄すぎ、でも、秘策今ちゃん前目、長友の回復次第で左SH起用ってのも有るんじゃないかと。
両方の知将の采配も楽しみですね。

>来年は更に頑張ってジンクスを破りたい物ですね。
なんか、1年おきに勝ったり負けたり決まってるみたいですね、東京と清水。初めて1部に上がった2000年が1勝1敗だったので、個人的にはどうも実感が薄いのですが……。まあ、来年は4勝はいらないので、2勝0敗くらいで(笑)。

>両方の知将の采配も楽しみですね。
特に、東京がリードして川崎の怒濤の攻撃を前に「どう逃げ切るか」という展開になると面白そうです。城福さんの采配も、一時より思い切りがよく、冴えているように見えますもんね。

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