« スタア誕生 (FC東京×川崎フロンターレ) | メイン | 味わいがいのあるしょっぱさ、かな? (FC東京×大分トリニータ) »

2008年04月27日

●「10番」の浮遊ぶりに業煮え (清水エスパルス×FC東京)

昨日の午後は日本平スタジアムでJ1第8節。清水エスパルス 1-0 FC東京。3連勝中の好調東京、GW連戦の第1戦は調子の上がらないエスパルスとアウェイで対戦。試合は悪天候の中行われ、序盤から押し込んだ清水が前半の「いい時間帯」に先制、後半は東京が攻め立てるものの1点が奪えずにそのまま完封負け。チームと一部選手の未熟さが目立つ内容であったが、できれば勝点を持って帰りたい「もったいない」ゲームでもあった。



清水へ遠征するのは00年のGW以来、実に8年ぶりのこと。「後半に神野先生の倒れ込みシュートで先制したんだけど、ヒゲの平松に2発やられたんだよな」などと東すか編集長と当時の思い出話をしながら、新幹線→東海道線→シャトルバスで日本平へ。まずは富士宮焼きそばと生ビール。角が立っていて美味かった。ところが、食べている間に冷たい海風が吹きつけだし、パルちゃんショーと「オレンジウェーブ」を楽しむうちに雨が降り出した。うーむ。
 


どんどんと強くなる雨の中、キックオフ。いきなり1分、梶山の展開パスを左に流れた赤嶺が折り返し、駆け上がるカボレが切り返しでDFをかわしてシュート、GK西野がパンチではじき出す。幸先の良い立ち上がり。しかし、すぐにホームの清水がペースをつかむ。清水はラインを高く保ち、さほどタイトではないがきっちりとした守備ブロックを形成。ボールを奪うと素早く繋いで持ち上がり、藤本やフェルナンジーニョの個人技を加えて攻めたてる。

7分、藤本から駆け上がる右SB市川へ素早く展開、西澤を狙ったクロスを今野が際どくカット。この場面に限らずこの試合の清水は東京のSB、特に長友の後方を狙う意識が強かった。11分、中盤のパス交換から右のスペースへ抜け出した藤本がカーブをかけてファーを狙い、塩田がわずかに触ったボールがバーを叩いて冷や汗。その直後にはボックス内外でフェルナンジーニョと原のコンビから市川がシュート、浅利がスライディングでブロック。14分にも中央を上がるフェルナンジーニョがフェイントでDFをかわしてシュート、ポストのわずか右。

もっとも、東京DFの出来は決して悪くなかった。藤山は鋭い読みと出足で度々パスをカットし、佐原は粘り強いマークとカバーで清水FWを封じ込める。中を崩される場面はほとんどなし。問題だったのは中盤で、ただでさえ流動性をあまり期待できない組み合わせである上に、中心たるべき梶山の出来が悪かった。ボールさばきはまあまあながら、攻撃の際の判断の悪さ、守備におけるザルっぷりが目立ち、彼の周りが相手の攻撃の起点になる有様。

21分、清水陣ボックス手前で赤嶺がDFと競って落としたボールに先発起用の大竹が反応し、ダイレクトでシュート、ゴールわずか右に外れる。23分、フェルナンジーニョのスルーパスで原がボックス内へ抜けるが折り返しは佐原がカット。27分にはCKから混戦になって佐原がヘッドでクリアするも、こぼれ球を拾った梶山が超軽いプレーですぐに相手にボールを渡してしまい、メインスタンドで観ていた僕は思わず悶絶したのであった(笑)。頼むよ!

それでも、前半半ばを過ぎると清水の攻めあぐね感が漂い始め、35分を過ぎると膠着に近い状態に。38分、右に流れた原の突破から低いクロスが入るも西澤の前で塩田がキャッチ。そもそも「前半我慢、後半爆発」が今年の東京のパターンだから、前半0-0なら上出来だな……と思っていたロスタイム、右CKから藤本のクロス、走り込む青山に徳永が付ききれず、叩きつけるヘッドが塩田の頭上を抜いた。なんと嫌な時間帯にとられたのだろう。0-1。


後半も立ち上がりは清水ペースで試合が進む。50分、速いパス回しから右の市川、さらにDFの間へ走り込むフェルナンジーニョへダイレクトのパスがつながるがシュートはバーの上を越えてくれた。さらに53分、原の思い切ったミドルシュートがゴール右を抜ける。当たり前の話だが、雨で濡れたピッチではどんどんシュートを撃っていく事が肝心である。ミスの多くなる条件であればあるほど、意思と判断の良し悪しがはっきり見えてしまうもの。

この攻勢をしのいだところで東京もパスが回り始めた。ダイレクトパスが増え、梶山もようやく目が覚めたのか味方をよくつなぎ、清水陣ボックス付近での攻防が増えていく。56分、ボックス右で徳永がFKを獲得し、大竹のキックをファーで浅利が落とすもDFカット。清水のDFは堅い。4バックの強さもさることながら、MFも楔のボールに対する守備意識が高い印象。カボレや梶山がコンビパスから中央突破を狙うも崩せず、サイドへ追いやられがちなのが辛い。

62分、東京は浅利に代えて森村を投入。前に出てパス回しに加わる人数が増えたことで東京の攻撃は厚みを増す。しかし前がかりになるだけ逆襲を受ける危険性も高まるわけで、66分、カウンターからフェルナンジーニョが左タッチ際を持ち上がり、森村が追いすがったところで逆サイドを駆け上がる藤本へ大きく振るパス。すわやられたか……というその時、長駆戻っていた梶山が素晴らしいスライディングタックルを決めた。ところが「やればできる!」と叫んだ次の瞬間、梶山の軽率なパスが相手にかっさらわれ、ガッツポーズ寸前でズッコけた(笑)。味方の勢いを大いに削ぐ「いけない」ワンプレー。

68分に惜しい場面。サイドチェンジから徳永が持ち上がってボックス角付近の大竹へパス。大竹は一瞬タメてからヒールでゴールライン方向へ流し、追い越す徳永が裏へ抜けた。で、グラウンダーのクロスを高木がカットしたボールは、あわやオウンゴールかという弾道で際どくバーの上へ。「また高木か!」と思ったのだが。その直後にも徳永のアーリークロス、走り込むカボレが目に入ったのか西部がファンブルする場面が。何とかなりそうな雰囲気は、あった。

もうカウンター狙いの清水は西澤OUT矢島INの交代。71分、インターセプトから藤山が一気に敵陣まで持ち上がり(一番燃えるシチュだ)、パスを受けたカボレが切れ込んで強烈なミドルシュート、西部がはじいて高く跳ねたボールに赤嶺が競りかける。だが、空中でぶつかり合った児玉が倒れたところで赤嶺ファウルの判定。きれいな競り合いに見えたのだが……ゴール裏からは「クソレフリー!」コール。さらに、なぜか激高した西部が赤嶺を小突く。

その後も攻め続ける東京だが、守りを固める清水に対してあと一押しが足りない状況。清水のカウンターに対しては藤山や佐原が体を張って防ぎ続ける。75分、ボックス正面で赤嶺がFKを獲得、梶山が動かしたボールを大竹が狙うも大ハズレ。ここで大竹に代えて平山投入。平山は前線で左右に流れてよくパスを引き出すも、それで中の枚数が足りなくなる場面が頻発。「お前中にいろよ!!」と叫んだ東京ファンは多かったものと思われる(笑)。

78分、徳永の突破からグラウンダークロスにカボレ飛び込むもわずかに合わず、さらに左サイドから赤嶺が仕掛けて森村とのコンビからシュート、DFブロック。80分、赤嶺と森村の頑張りから左に流れる平山につなぐも、あっという間にDF2人に挟まれてロスト。清水はフェルナンジーニョ→岡崎で完全「堅守速攻」体勢。82分には敵陣中央でボールを奪った今野からカボレがパスを受け、左隅を狙ったミドルシュートを撃つが、西部キャッチ。

一方的な攻勢ながら、清水DFの頑張りでどうしても1点が取れない。83分にも右CK、森村のクロスをファーで徳永が落とし、ゴール前で赤嶺の前に落ちるもDFが折り重なるように防ぐ。85分、逆襲から矢島が放ったドリブルシュートは塩田ががっちりキャッチ。結局、東京は最後までオレンジ色の壁を破ることができず、ロスタイムのCKでは岩下が手でボックスからボールをかき出すも笛はならず、そのまま試合終了。東京は今季リーグ戦2敗目となった。

 

終わってみれば、気迫負けというべきか。前半ホームの清水にある程度押されるのは折込済みだったけれど、淡泊ないしチグハグなプレーが散見されたのは残念だったし、それでも無失点でしのいで「しめしめ」と思っていたロスタイムで集中が切れてしまった。逆に言えば、堅守速攻型でどうしても先制点がほしい清水にしてみれば、その執念が実ったということでもある。ただ、後半こちらの流れになって引き分けに持ち込める雰囲気もあったのだが……。

大竹の先発起用は、この試合に限っていえば成功とは言えなかった。やっぱりここぞという場面で使ってこその「スイッチ」か。ただ、城福監督の視座がこの1試合のみに向けられているはずもなく、今はチームにとっても彼にとっても必要なのは経験から学んでいくことだろう。市川に裏を狙われていつも通りの活躍ができなかった長友も同じこと。連戦の厳しい日程の中では修正も容易でないかもしれないが、この数試合でシーズンが終わるわけでもない。

全体的にみれば、やはり負傷欠場の影響は大きいのかな、と思う。今回のメンバーでも従来よりワンタッチ・ツータッチのパスはよく回るようになっているのだが、羽生やエメがいないと人の「出し入れ」が足りない感じ。今野が守備(つーか梶山のフォロー)に引っ張られ、おまけにSBの上がりがきかない状況だとカボレ頼みにならざるを得ないのかな、と。観客とは勝手なもので、普段プレーぶりに不満を感じているくせに、こうなると「栗澤がほしいな」と思ってしまう。

思わず憤慨したのは(特に前半の)梶山。攻撃では判断が鈍くて変なところでボールを失いまくり、守備でもマーク相手の後追いばかりで中盤をふらふらと浮遊。時折良いフィードやドリブルは見せるものの、マイナス面がプラス面を大きく上回っているように見えた。つーか、そもそも判断力がなくてチームを操れず、おまけに汗かきディフェンスもできない「ボランチ」ってどうなのよ。いつまでも「たまの超絶プレーで帳尻合せ」じゃいかんよ。頼むぞ、ホントに。

どうも羽生やエメルソン、あと石川もまだ復帰には時間がかかりそうだし、しばらくはこの試合と同じようなメンバーでやっていくしかないのだろう。次はホームで、「ハードワーク」が持ち味の大分相手。やはり栗澤先発で前半は様子を見るような戦い方になるのだろうか。梶山は連戦になると目覚める時間が早くなる傾向があるので(笑)、今度は最初からチームの足を引っ張る出来でないといいのだけど。気ままなプレーぶりじゃ背中の「10番」が泣くぜ。

まあ、ミもフタもない言い方をすると、せっかく清水まで行ったのだから勝点1くらいは持ち帰りたかったな、と。試合が終わった途端に雨が上がったのがまた腹立たしくて……(笑)。
 
 

試合後は、清水駅近くの居酒屋でお疲れ様会。鮪、鰹、鯵、あら煮、黒薩摩揚げ、桜海老のかき揚げ、浅利じゃなかった浅蜊の酒蒸し、でビールをジョッキ何杯(編集長は日本酒を何合)か。「清水で魚なんて、ベタだなあ」と思わないでもなかったのだが、やはり大変美味しゅうございました。美味いものは美味い。あと、行く前は「13時試合開始なんて早すぎる!」とか文句を言ってたのだが、カミさんの機嫌が悪くなる前に帰れるのはけっこうグーかもね(笑)。
 
 
[追記]
この試合のレフリングについて。

レフリーにしろ副審にしろ、スタンドに座っている我々よりも近くでプレーを見ているわけで、少なくともボールのあるところのプレーについては大抵の場合観客よりも審判の判断が正しい、と僕は思っている。だけど、この試合は、東城レフリーにしろ2人の副審にしろ首を捻ってしまう判定がいつもより多かったような気はする。特に70分過ぎ、ゴール前でこぼれ球に競る赤嶺がファウルをとられた場面については、「それはないだろう」と思ってしまった。

あの場面、赤嶺はまっすぐ(ほぼ真上の)ボールに向かって跳び上がっただけで、倒れた児玉に対しては何もしていない。あれが反則なら、FWはあの種のルーズボールに対して何もできないことになってしまう。昔の「キーパーチャージ」じゃあるまいし……。あれは跳び遅れた児玉が勝手にぶつかって倒れただけだと思うのだが。そこで逆上して赤嶺を小突いた西部は全くの見当違い、つーか、あれこそ「乱暴な行為」で警告の対象となるべきではなかろうか。

ただし、それらのシーンを見てゴール裏から沸き起こった「クソレフリー」コールはどうなんだろう、とも思う。その後、それまでは単に下手だった東城さんの笛が清水寄りに傾いたように見えたのだが、気のせいだろうか?最後のハンドくさいシーンなんて「意地でもとってやるもんか!」みたいにブンブン腕を振って否定してたし。審判だって人間だもの、そういうことだってあり得るような気がするのだ。しつこい「クソレフリー」コールとクソ判定の悪循環、というか。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2377

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)