« 城福東京、08年から09年へ (2009年展望 前編) | メイン | 清宮氏とサンゴリアスの大きな宿題 ('09ラグビー日本選手権決勝) »

2009年02月22日

●城福東京、08年から09年へ (2009年展望 後編)

前編から、2009年FC東京の展望の続き。今回はいちファンとしての要望的な話を。
 
 
5 「内容」と「結果」の両立を

僕が今年のFC東京に望みたいのは、ズバリこれ。もちろん優勝ないし昨年以上の順位という「結果」を残すことが最も大事なのは疑いのないことだ。ただ、一方で贅沢なファンとしては、「Moving Football」の旗の下に高い志を掲げている今の東京だからこそ、そこに「内容」も伴ってほしいとも思うのである。つまり、「人もボールも動くサッカー」を高いレベルで実現すること。そのサッカーで優勝争いをし、人々を感動させ、FC東京の名を高めること。

そう思う一つの理由は、昨季の前半戦と後半戦との落差である。先日の回顧記事でも書いたとおり、4月から5月にかけては戦績的には一進一退ながら、一昨年までとは見違えるような鮮やかなパス攻撃が炸裂する場面があり、東京ダービーや多摩川クラシコ、大宮戦や磐田戦といった素晴らしい勝利があった。それに比べれば夏の苦戦から立ち直った秋~冬は5連勝など勝ち星は多かったものの、内容は春に比べてやや見劣りがしたように思う。

また、中長期的な観点から見ても、安定して良い成績を残すためには内容の良さを追い求めながらスタイルを固めることが必須なのではなかろうか。黄金期のヴェルディ、鹿島、磐田、今のガンバ……別に彼らと同じようなサッカーをすべきという意味ではなく、チームとして「自分たちの」「いいサッカー」を持つのが肝心ということ。城福監督のスカウティング能力や個々の選手の成長で成績が上がっていくことはもちろん歓迎すべきだが、それだけでは限界がある。

加えて、忘れてはいけないのは、昨年のアウェイ浦和戦で負けた後に城福監督がレッズの堅守リアリズムサッカーを評して「こういう志向のチームに負けたことが一番悔しい」とコメントしていたことである。はっきり言って負け惜しみだしみっともない発言には違いないのだが、その自爆気味の「悪あがき」の中にこそ僕は逆に可能性を感じた。今年、仮に浦和に勝つことができたとして、フィンケ監督に内容を揶揄されるようなことはあってほしくない。
 
 
6 「10番」の飛躍に期待

個々の選手に着目すると、まずはやはり「10番」のさらなる飛躍に期待したいところ。

これまでも何回か書いてきたことだが、僕は梶山という選手をあまり評価していなかった。ボール扱いは非常に巧く、時折見せる発想力とパワーも確かに凄い。だがその反面、試合ごと、時間帯ごとの出来の幅が大きく、「中盤の真ん中」に最も求められる信頼性には欠けていた。はっきり言って一昨年までの彼は過大評価を受けていたと思う。だが、前々回書いたように、昨年のGWから人が変わったように頼もしくなった。特に5月の磐田戦

これまでの練習試合のメンバー構成を見ると、城福監督には梶山を昨年までよりも前寄りでプレーさせる構想もあるようだ。うまく機能するならば、これは大変魅力的な試みである。おそらくこれまでのように「ボランチ」の役割でも今の彼ならば上手くこなせるのだろうが、やはりあの超絶的な技巧と身体的な強さは「トップ下」的な位置でより生きるのではないか。昨年も、遠慮なく前に出て行ける3ボランチ気味の布陣の時の方がより輝いていたように思うし。

04年以降の東京は多くの試合で梶山・今野のコンビが中盤を担ってきたが、それは選手層の薄さから選択肢が限られていたせいでもあった。だが、今野・浅利に加えてブルーノさんらも加わった今の東京ならば、今度こそ梶山に前のポジションで創造性を発揮させてあげられるのではないか。今野はしっかり守備に比重を置いた使い方をした方が再生するような気もするし、いつまでも「梶山抜きだとポゼッションできない」とか言ってちゃいかんだろうし。

いずれにせよ、せっかく背番号10を付けているのだから梶山には「10番」らしい活躍をしてほしいと願う今日この頃だったりするのである。いや、全然異質のプレーぶりで「10番」の概念なんてぶっ壊してくれるくらいの大活躍をしてくれるのならば、それはそれで嬉しいのだけれど。

梶山の事ばかり書いてしまったが、もちろん他の選手たちにも期待している。やはり昨年大きく成長した赤嶺。フル出場する体力がつけばどれだけの仕事をするのか楽しみな大竹。石川の座を脅かすであろう鈴木達。実は羽生と並ぶ「Moving Football」のキーマンかもしれないブルーノさん。復活してチームの大黒柱になりつつある茂庭。代表の経験も生かして伸びてほしい長友。早く東京に家を買ってほしい佐原。新戦力の中村北斗、平松。etc。

いやあ、だんだんテンションが上がってきて、開幕がすげー楽しみになってきたぞ(笑)。
 
 
7 今年の東京をとりまく「状況」
 
最後に、今年、FC東京というクラブが置かれている状況の一端についてちょっと。
 
まずは言わずもがな、「100年に1度」の経済危機。スポーツ界への影響も既に現れており、親会社の経営不振やスポンサー撤退で苦しんでいるJクラブも多いようだ。幸い、FC東京は特定少数の企業に依存せず堅実経営の方針でやってきているようだから比較的大丈夫だとは思う。でも、スポンサー集めも厳しくはなっているのだろうし、世の人々の財布の紐がこれまでになく固くなる中で観客動員などにどれだけの影響が出るのか、心配ではある。

それと、こちらの方が将来的により深刻な話だが、味スタとその周辺の整備を巡る問題。12月に発行されたファンクラブ通信にも書かれていたように、都と地元自治体は2013年に開催される国体とそれ以降に向け、味スタ及びその西側地域を総合スポーツ施設として整備していく方針であり、FC東京にもとっても無視できない影響が生じてくる。たとえばピッチ周りの陸上トラック化や、工事や準備のために年に数回ホームゲームが開催できなくなる、とか。

目に見える形での影響が出るのは2010年以降になるので、まだ先の話かもしれない。しかし、おそらく味スタ周辺の先行きについてはオリンピック招致と密接に関係しているはず(味スタは五輪のサッカー会場候補でもある)で、招致の成否は今年の10月に決定する。また、それとタイミングを合わせたのか国体から逆算してということなのか、味スタ周辺の再開発については来年度中に基本計画を策定することになっているようだ(ここの19頁参照)。

その計画の中で具体的に描かれるのかどうかはわからないが、これら「オリンピック・国体関連」の一連の流れの中で、今年から来年にかけて味スタとその周辺の将来像が検討され、定まっていく可能性は大きい。問題は、しばしば村林社長がコラム等において残念がっているように、FC東京(とそのファン)がそうしたプロセスから「蚊帳の外」に置かれているように見えることである。都内の、特に多摩地区に本拠を置く数少ないプロスポーツクラブなのに。

五輪や国体そのものの是非は置いても、やはりこれは残念、というよりマズい状態ではなかろうか。ファンの立場からしても、五輪と国体の事ばかり考えてガンガン改修されて、終わってみたら今よりも観づらいスタジアムになっていた、なんてことにでもなったらたまらない。それと、晴海に作られる予定のスタジアムは五輪後はどうするのだろうか。まさか勝手にFC東京が使うことにされている、なんてことはないのだろうが……(ちなみに、東京と開催を争っているマドリードのメインスタジアムは、大会後アトレティコのホームになる計画だそうな)。

前に味スタの芝問題の時にも書いたけど、問題の根本としては、結局東京の中で「FC東京」の存在感というのは大したことがないんだなあ、と。昨年の社長牽制球の効果もあって味スタ自体は以前より気をつかってくれそうな気配はあるのだが、政治とか世論とかそういうレベルでは全然まだまだ、という感じである。そういや今の都知事も、東京の試合には味スタのこけら落としで一度来たきりだしね。日本サッカー協会とは蜜月みたいだけど。

だから、やっぱり、できれば今年、優勝して目にもの見せてやらないと(笑)。それもいいサッカーで、ね。よろしくお願いします。
 
 
 
[追記]

各所で話題沸騰(笑)の東京ドロンパだが、個人的には「ヘンテコだけど、想像してたよりマシで良かった」という感じである。だって、最初にあのイラストを見たときには、本気で絶句したぞ、絶句。まあ、大分のニータンにしろ大宮のアルディ&ミーヤにしろ、イラストはあんまり可愛くない割には実物が激萌えだったからな……やっぱり、中の人、じゃなかった、コア(笑)が入るとフォルムが柔らかくなって良いのかな。今に恋人とかもできるのだろうか……。
 

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2465

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)