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2009年02月20日

●城福東京、08年から09年へ (2009年展望 前編)

ということで今回と次回は、もうすぐ始まる09シーズンの展望なぞ。まず今回は前編として、現状の整理をしてみよう。
 
 
1 変わらない「Moving Football」
 
2009年FC東京のチームスローガンは昨シーズンとほぼ同じ、「Moving Football ~観ている人の心を動かせ~」となった。城福監督のコメントからもうかがえるように、今年は昨年1年間で築いたベースからのレベルアップを図る年ということになるのだろう。スタイルとしては「人もボールも動くサッカー」の継続・発展、順位的には「雲の上」でなくなった(はずの)優勝争いに今度こそ加わる、といったあたりか。そして観ている人を感動させるぞ、と。

「2年目」としては、これ以上ないくらいにまっとうな目標だと思う。なんだかんだ言ってファン・サポーターの大半は昨季の戦いにポジティヴな印象を持っているだろうし、個人的にも「人もボールも~」のコンセプトには大いに共感するところがあるので歓迎したい。もともとJ1昇格後の東京は漸進型のクラブであったわけで、06~07年の迷走を教訓にしているのかどうかは知らないが、腰をドッシリすえて取り組むこと自体は正しいことだと思うから。

もっとも、今年のFC東京をめぐる環境には「今年はレベルアップの年」などと悠長にはしてられない事情もあるわけで……これについては後述したい。

 
2 東京らしい「地味」だが「的確」な補強

チームコンセプトと同様というべきか、今年は移籍の方でも(今のところ)1年前ほどの激動はなく、ファンも比較的心穏やかに過ごせるシーズンオフとなった。

チームを去ったのは、レンタルから完全移籍となった増嶋・リチェーリ・小澤・池上、レンタル延長の栗澤、新規レンタルの森村、レンタル終了の荻、完全移籍の鈴木健、そして引退してコーチになった川口で、計9人。レンタルの5人と鈴木は元々戦力の計算外。森村や信男さんは出場機会が少なかったし、荻も権田の成長を見込めば大丈夫だろう(と思ったらGK陣に病人・怪我人続出でエライコトになっとるが)。手痛い流出はなかったと言っていい。

……と書いたところで、エメルソンが契約満了で退団になったのを思い出した。これはさすがにもったいなかったかも。確かに終盤戦ではプレーぶりが浮くようなところも見られたし、ベンチ外になることも多かったから「ダメージ」とは言い難いのかもしれないが、彼の終盤戦の低調ぶりはチーム全体のパスサッカーが失速したせいもあったのではなかろうか、と思う。個人的にはもう1年見たかった。それとも、意外と高額な選手だったのだろうか。

一方で加入の方は、福岡から中村北斗(フルネームで記したくなるな、彼は)を、水戸から平松を獲得。横河武蔵野から廣永が復帰し、高卒で田邉・米本が入団。高卒の2人は不透明だが、とりあえず「後ろの方が多いな」というのが第一印象。まあ、今年はW杯予選で今野や長友がしばしばチームを離れることになるだろうから、そこに穴を作らないという意味では的確な補強と言えるのではないだろうか。少なくとも戦力の底上げにはなった。
 
 
3 足りないピースは何か

ということで、前項で見たとおり、戦力としては現状維持か微増といったところだろうか。昨今の厳しい経済情勢もあって多くのJチームが選手の維持獲得に苦しむ中で、現状維持は相対的には戦力UPと言えるのかもしれない。だが、優勝争いを狙うとすれば、浦和や鹿島、川崎のように元々豊富な戦力を有しているクラブや、「バレー資金」で大補強を行ったガンバがライバルとなる。ここではあえて意地悪に(笑)足りなそうな部分を突いてみよう。

GKは、キャンプの時点で塩田の虫垂炎をはじめとして病人・怪我人が続出しているのが心配だが、これは早い回復を祈るしかない(廣永ガンバレ)。DFと守備的MFは中村・平松の加入で層が厚くなった。長友や藤山、今野、ブルーノが複数のポジションをこなせるせいもあり、心配はない。できればもう少し高さがほしいな、というくらいか。攻撃的MFは激戦区。梶山、石川、羽生、鈴木達、大竹……エメがいなくなってもこれだからな~という感じ。

薄いように思えるのは、まずFW。カボレ・赤嶺・平山・近藤の4人で回すことになるのだろうが、近藤は昨年見た限りではプレーぶりが不安定だし、カボレのコンディションも心配。残り2人が怪我なくやってくれればいいけど。それと、これは長年の懸案だが、MFに1人リーダーシップと経験のある選手がほしいところではある。フィジカル的には大したことがなくてもいいから、視野が広くて判断力のある。イタリアで言うところの「レジスタ」タイプで。

ここら辺は贅沢を言えばきりがなく、そもそもDF・守備的MFにしたってもっとレベルの高い選手に来てもらえるにこしたことはないのだ。おそらく、城福監督としては既存の選手たちをみっちり鍛えることでチームをレベルアップさせていくことになるのだろう。お金もないだろうし(笑)。後は、現段階で1名空いている外国人枠の使い方がキーポイントになるのかもしれない。パサータイプの不在を、梶山の爆発に期待するか、新外国人で埋めるか……。
 
 
4 後半有利?な日程

発表された日程を見ると、5月下旬~6月下旬にリーグ戦が中断となり、その間はナビスコ杯予選の後半を消化する、という昨年同様の流れになっている。とりあえず浦和戦に勝って勢いをつけたい。そして、GWと5月後半に試合がたて込んでいるが、ここをどう乗り切ることができるか。というより、昨季夏場までいい流れだったのが中断明けに失速したことを考えると、今年も代表戦で主力が抜けるその時期をどう過ごすかがポイントになるかもしれない。

後半は、ナビスコ杯で勝ち抜いているかどうかで違ってくるが、ACLに出場する鹿島・川崎・名古屋・ガンバはACL決勝ラウンドとナビスコ杯決勝ラウンド、そしてリーグ戦を併行して戦うことになる可能性もあり、うまくすれば東京は日程的に相当有利な状況になるはず。8月のアウェイ川崎戦・鹿島戦を終えたところで上位に生き残っていれば、秋以降疲弊したライバルが星を落とす一方で東京が猛スパート、勢いに乗って初優勝……なんてこともあるかも。

ま、あくまで皮算用なんだが(笑)。
 
 
後編へ続く)
 

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