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2008年05月26日

●城福東京、「中断」中も順調なり ('08ナビスコ杯第4節vsヴェルディ)


昨日の午後は、味スタでナビスコカップグループB第4節。FC東京 3-0 東京ヴェルディ。3年ぶりで嬉しいな、のはずが、1年に4回もあることでありがたみが薄れそうでちょっと心配な(笑)「東京ダービー」その2。主力の幾人かを代表に拠出した東京にしてみれば、今季蓄えてきた「層の厚さ」を試される一戦でもあった。上達したパスワークで攻めたてる東京が多くの時間帯で主導権を握り、「しとめ」には手間取ったものの、終わってみれば3点差の快勝。


立ち上がりの数プレーは縦の蹴り合いが続いて前回の対戦と同様に動きの少ない序盤になるかと思われた。ところが2分、DFライン手前で楔のパスを受けた羽生が丁寧にはたき、中央上がるブルーノ・クアドロスがそのままミドルシュート!ゴール右上にきれいに決まった。いきなりの先制点。続いて4分、カボレが敵陣中央でボールを奪い、猛烈な加速でDFの壁を突き破りながら突進、こぼれたボールを羽生がシュートするもゴール左に外れ。

梶山・今野・長友を欠く東京は羽生・浅利・ブルーノ・エメルソンで中盤を構成。浅利が守備に専念して残りの3人が流動的に動きながらパスコースを作ることで、これまでとはひと味違うパスワークによってヴェルディの守備網を翻弄する。また、右SBに抜擢された新人の椋原も浅利や佐原のフォローを受けながらレアンドロやフッキを相手に果敢な守備を見せ、スラインディングタックルでボールを奪うなどスタンドを沸かせた。完全な東京ペース。

6分、バイタルエリアでのパス交換からカボレが浮き球を入れ、ブルーノがDFに競り勝ってライン裏に出るが、土肥をかわしたシュートは惜しくもポスト右。その後も服部を子供扱いするエメの超絶テクを軸に、東京があと一歩の好機を作り続ける。一方のヴェルディはブラジルトリオ頼みで、中盤でもたつくうちに東京の寄せにあってボールを失う場面が多い。フッキの強引なロングシュートも塩田がキャッチ。東京としては早くもう1点ほしいところだったが……。

しかし追加点が入らないうちに前半も半ばを過ぎて、東京の攻めもやや息切れ状態。徐々にヴェルディにもチャンスが生まれるように。23分、CKからセカンドボールを土屋が拾ってシュート、こぼれ球をボックス内で那須が拾ってシュートするが塩田がキャッチ。28分、佐原のチェックにフッキが大げさに倒れてボックス左角でFK、ゴール右上を狙う大野のシュートを塩田がはじき出す。さらにCKから福西が強烈なヘディングシュート(枠外)。

30分、羽生の好フィードから左サイドをカボレが抜け、深くえぐってグラウンダーのクロス。走り込むブルーノが合わせたが至近距離のシュートは土肥が右腕1本ではじき出す。さらに二次攻撃から椋原のクロスに平山がフリーでヘッダーを撃つも、バーを直撃してノーゴール。さすがにこの逸機には嫌な予感がした。逆に40分、DFラインのギャップに入り込んだレアンドロにパスが通り、ドリブルから塩田と一対一のシュートは左に外れる幸運。1-0のまま後半へ。



ハーフタイム明け、練習から引き上げる際に那須とじゃれ合う茂庭。あのねキミね(笑)。

後半は開始からヴェルディが左右に揺さぶりながら前へ出て、より激しい攻め合いとなった。47分、左→右の大きな展開から椋原のクロスに平山が飛び込む惜しい場面。53分、右スローインからまた椋原のクロス、逆サイドの羽生が中央へ折り返し、走り込むエメがシュートするもふかしてしまう。うーむ。55分、東京陣中央のFK、フッキの弾丸シュートがポスト右を抜けてヒヤリ。58分にも自陣でボールを奪われ和田のきわどいクロスが入るピンチ。

ヴェルディの前へ出る勢いはなかなかのもので、パスの成功率が落ちた東京はやや引き気味にバランスをとり、速攻を狙う形に。数分に1回、定期的にフッキの弾丸ミドルシュートが飛んで少し冷や汗。61分、カウンターからカボレのスルーパス、抜け出しかけた平山がDFに倒されてPKか、という場面。しかし笛は鳴らず。64分にはフッキが、65分にはディエゴがボックスへ突入するピンチも、椋原の頑張りと藤山の鋭い読みで切り抜ける。

再び攻撃に勢いをつけたい東京は平山に代えて近藤祐介を投入。さっそく66分、右サイドでDFに挟まれかけたエメが巧みなボールさばきで中央に持ち出し、左サイドフリーで上がる徳永へパス。速いクロスが上がり、飛び込む祐介が頭で合わせたがバーの上に外してしまう。どんピシャのタイミングに見えたのだが……。その直後にはフッキが浅利をかわして右サイドを突進、グラウンダーのクロスが塩田の前を抜けていった。とにかくフッキだけは怖い。

その後も東京は自陣で耐える展開が続く。ただし、ヴェルディのパス回しにさほど味がなく崩されはしないため、「このまま何とかなるかな」という感じではあったが。唯一「やられたか」と覚悟したのは78分、よくわからないファウルでヴェルディにボックスすぐ外のFKが与えられた時。しかし、フッキのシュートは塩田の正面で命拾い。東京はブルーノOUT金沢INの交代。ピッチを出る際に金沢と、そして城福監督とがっちり抱き合うブルーノさん。

勝負が決したのは、ヴェルディが2人入れ替えた直後の80分。ボックス左でカボレが倒されてFK。徳永のインスイングのクロスになぜかフリーになった佐原が飛び込み、ドーンと頭で叩き込んだ。2-0。ゴール裏に走りながら両手を掲げる佐原。いいぞ、鬼太郎(←田の中勇の声で)!!1点差の緊張感から解放された東京はノビノビとした攻撃を再開し、41分にはボックス付近でヴェルディDFを翻弄するゴキゲンなパス回しからカボレがシュート(枠外)。

クライマックスは88分。左サイドでカボレとパスを交換したエメルソンが突如右足アウトでスルーパスを出し、タイミングよく抜けた祐介がDFを振り切って左足シュート、なんと土肥の股間を抜いてゲット!!祐介は先日の名古屋戦でPK外した悔しさもあったから、さぞ嬉しかったことだろう。その彼を飛びついて祝福するエメ。いい光景だ。結局、ロスタイムFKのピンチもフッキのシュート(しかないのな、彼は)を塩田がきっちり防いで、3-0のままタイムアップ。
 
 

快勝、と言っていいだろう。前半の流れのいい時間帯にチャンスを何度か逃して1点止まりだったのは残念だったけれど、中盤からの組み立てでしっかり崩せていたことや、後半自陣に押し込まれた時間帯も慌てずバランスを保って逆に何度もチャンスを作ったことなど、チームの成長をしっかり感じ取ることができた内容だったと思う。で、終盤にセットプレーとカウンターから突き放して3点差なんだから、まあ形としては言うことがないわな。

特に嬉しかったのは、梶山と今野と長友が不在だったにも関わらず、チームのパフォーマンスの低下が全く感じられなかったことである。つーか、手っ取り早くパスサッカーを仕立てるのならば、中盤はこの日のメンツの方が良いのではないかと思ったくらい。改めて今年の東京に「特等席」はないこと、別の角度から見れば「戦う集団として機能している」ことを印象づけられた。この状態はたぶん梶山や今野にとっても良い刺激になりうるのではないだろうか。

殊勲としては、やはりまずはブラジルトリオを挙げるべきだろう。異次元の技術と豊富なアイデア、90分間走り回る運動量でチームの軸となったエメルソン。スピードとパワーでDFを脅かすのみならず、組み立てに参加して周りを生かすなど、やはり高い技術と献身性が光るカボレ。そして久々の登場ながら、特長を生かすシステムの下で攻守ともにブレイクしたブルーノ・クアドロス。3人とも本当に頼もしい。エメが祐介に飛びついて祝福するシーンはちょっと泣けた。

その他では、佐原・藤山のCBコンビは前へのアタックとカバーリングのバランスがとれていて、いい組合せだと思う。佐原はセットプレーでも期待できるのがいい。初出場の椋原は守備も良かったけど、クロスの精度の高さに驚かされた。徳永は左の方がいいかも(笑)。浅利・羽生・金沢はよく周りを助けて役割を果たしていたように思う。塩田はまあまあかな。祐介は、もう少しDFと駆け引きできればもっとやれる。そして平山は……ボールは収まるんだけどねえ。

試合後の挨拶回りの時、椋原が夢中で「シャー」をやってしまい、他の選手たちがメインスタンド前で待ちぼうけを食らったのには笑った。城福監督も思わず苦笑い。大型新人(笑)。

これで東京は勝点7となり、2位をキープ。まだ1位抜けの可能性もあるし、残り2試合どちらか勝てば決勝ラウンド進出はほぼ決まり(と思ったのだが、今年は2位じゃ上がれない可能性があるのか……)。次の清水戦は間違いなくハードは試合になるが、できれば勝点3がほしい。最終戦、追い詰められた相手は不気味だし。ものすご~く先回りして言うと、「1年目」だけにまだリーグ戦の優勝争いは厳しくとも、カップを1個獲っておくのは幸先がいいよね(笑)。


最後に、ヴェルディについてちょっと。終始エキサイトして審判に食ってかかり続け、報復(?)気味にエメルソンを背後から倒し、味方が倒れているのに不服そうにボールを蹴り出す(緑の)ブラジルトリオを見て、「こんな連中に負けるわけにはいかない」と強く思った。あれはないでしょ、あれは。なんつーか、ヴェルディファンの人には申し訳ないけれど、彼らのふるまいにも、それにブレーキをかけられないチームにも、何だか不健全な香りを感じてしまったのだ。

ヴェルディにしてみれば、降格を避けるためには彼ら3人の個人能力に頼らざるを得ない、という事情はあるのだろう。でも、チームプレイより少数の個人が優先されているかのような現状を目の当たりにすると、本当にそれでいいのか、とは余計なお世話ながら思ってしまうのだ。まあ、ここ数年の事を考えれば、こちらもあまり大きな事は言えないかもしれないのだが……少なくとも、ヴェルディ側のスタンドに閑古鳥が鳴いてるのは戦績のせいだけではないのでは。

やせても枯れても名門「読売クラブ」だろう、キミたちは、という。
 

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コメント

ダービーなのに「大勝した前節清水戦後、チームのモチベーションが上がらなかった。」という試合後の柱谷監督のコメントには、驚きました。

どんな相手でも手を抜かない、徹底的に叩きのめすイヤなチームというのが、緑組の伝統と思っていたのですが、どうやら違うようです。

現役にはヴェルディ魂の後継者がおらず、常務と監督だけでは無理もないかと思いますが、寂しい話です。

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