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2008年06月02日

●チグハグな「ホームゲーム」 ('08ナビスコ杯第5節vs清水)


一昨日の午後は、松本平広域公園総合球技場「アルウィン」でナビスコカップグループB。FC東京 1-1 清水エスパルス。グループリーグもいよいよ佳境の第5節。現在2位につける我らが東京、今回は首位清水との直接対決であった。試合は、序盤猛攻を見せた東京がラブリーきわまるゴールで先制しながら追加点が奪えず、後半清水の追い上げにさらされる。柔軟な布陣変更も繰り出して逃げ切れるか、という終盤に痛恨の退場&同点ゴールが。
 
 
僕は今回が「第2のホーム」アルウィンへの初見参。新宿から京王観光の専用列車で3時間余、塩尻駅からバスで20分。2万人収容の球技専用ということで、ピッチも近く非常に見やすかった。問題は、屋根がスタンドの一部にしかかからないことか。雨の日はツライ。昼食は、コンコースの売店で天玉そば。美味かった(でも、ちょっとぬるかった)。まあ、周りの環境は自然いっぱいで良さげだし、気候の良い時期に年1回来るならいいかな、というのが率直な感想。

 

曇り空が明るくなり、降り続く雨が上がり始めたかな、という午後2時にキックオフ。濡れたピッチに双方足をとられながら、速いパス回しで前へ前へとボールを動かす攻め合いとなる。まず主導権を握ったのは東京。4分、左→中→外と数人の流れるようなパスワークから羽生がインスイングのクロス、平山が競りかけてGK西部がはたいたボールを金沢がボレーシュート、DFに当たったボールがボックス内カボレの足下に落ちるがシュートはDFブロック。

先制点は9分。左サイドでワンタッチのパス交換が何度か続き、浅利からSBの後方へ飛び出す羽生へスルーパスが通る。羽生は一気にゴールライン際までえぐってから左足でクロス、ボールは中央でDFを引きつけるカボレ・平山の頭上を越し、ファーに走り込んだブルーノが右足のダイレクトボレーでシュート!ゴール右上に突き刺さった。細かいつなぎから一気の展開・突破、そして囮の動きと豪快な2列目からの飛び出し。シビれる得点だった。1-0。

10分、右サイド持ち上げるエメがボックス手前でDFの間に切れ込んでラストパス、ブルーノのスルーでボックス内左寄りにいた平山に通り、平山は切り返しでDFを外してシュートするがサイドネット。これも決定機だった……。その後は清水が反撃、13分に東京陣でのFKから波状攻撃となるがこれは東京DFが粘り強くクリアを続けてしのぐ。17分にはFKからのハイボールに東京DFが触れずボックス内で跳ね、こぼれ球が原の足下に落ちるも塩田が押さえる。

前半中頃になると試合はやや膠着。東京はブラジルトリオと羽生のパスワークは見事ながら、平山が(一生懸命ついて行こうとはするのだけれど)流れにブレーキをかける場面が多い。一方の清水は枝村・兵働の仕事ぶりが目立つものの、最終局面でひと工夫が欠ける印象。28分、金沢が相手FWが残っているところにバックパス(?)、佐原が何とかカバーするも冷や汗。31分には金沢の意表を突いたロングシュートを西澤が弾くが、FWは詰め切れず。

その後も東京が六分四分くらいで優勢ながら、決定打が出ない。35分、羽生とエメのパス交換からペナルティアーク付近のカボレがポストプレー、斜めに走り込むエメがゴール左上を狙うシュートを撃つがわずかに外れ。38分、CKからの二次攻撃、高木の強烈なミドルシュートを塩田がキャッチ。39分には清水陣のFKからアーリークロスをはね返され、拾った金沢の丁寧なクロスをカボレがゲットしたかに見えたがオフサイド。結局1-0でハーフタイムへ。


後半頭から清水は藤本淳吾を投入し、山本1ボランチで二列目に3枚並べる攻撃的な形へシフトした。しかし、先に好機をつかんだのは東京。49分、カボレのボックス内キープから戻して金沢がクロス、DFの前で待ちかまえる平山へピタリ。だが、倒れながらのヘッダーはゴール左に外れ。うーむ。53分、バイタルエリアでの速いパス交換から岩下が速いクロス、これは塩田がはじき出すものの、さらに兵働のミドルシュートがポスト右を抜ける。

早くも足が止まり始めた東京は前線の動き出しとフォローが連動せず、攻撃が停滞。珍しく選手たちがお互い不満を露わにする場面も。これに対して清水は藤本、さらに57分に投入されたアウレリオが流動的にかき回して好機をつくる。攻守ともに中盤で劣勢となり、フォローしようと金沢が寄ったところでその裏に出されてピンチ、という場面が幾度か。64分には東京陣でボールを奪った清水のカウンター、徳永をかわしたアウレリオのシュートはきわどく右に外れた。

盛り返したい東京はエメOUT石川IN。さっそく69分、カボレの落としから石川がボレーシュート、惜しくもサイドネット。直後には藤山のパスカットから石川が躍り込むようにボックス右へ突進。しかし「石川効果」も長持ちせず、72分、左サイドのパス交換からアウレリオのスルーパスで藤本が抜け、藤山と競りながらマイナスのクロス、走り込む枝村のシュートを塩田がストップ。その直後にはアウレリオが右サイドからドリブルシュート、これも塩田が何とか押さえる。

東京は赤嶺を投入。外れるのは平山、ではなくカボレ。「え?カボレ?!」。何か故障でもあったのだろうか。確かに運動量は落ちていたが……これで東京は前線と後方が完全に分断され、攻→守の切り替えが遅いせいもあって押されっぱなしに。74分、CKで藤本のクロスに岩下がフリーで飛び込んでヒヤリ(枠外)。81分、右CKからのこぼれ球がファーでフリーになっていた佐原の足下に落ちるが、右足で撃ったシュートはGKの正面に飛んでしまう。

ここで東京はガス欠のブルーノを外して茂庭投入。モニと佐原でCBを組ませ、「藤山ミサイル」発射!である(笑)。ところがこの日はミサイルの効きが悪く、相変わらずバイタルエリアでつながれ続け、82分に正面から藤本のミドルシュート(枠外)、84分にはゴール前の藤本にラストパスが通りかけるピンチ。85分にはカウンターから石川が右サイドを突破するも、グラウンダーのクロスにDFと競りながら飛び込んだ赤嶺のシュートはバー直撃。無念。

そして問題の87分。東京陣中央で佐原と小競り合い(?)になったアウレリオが倒れ、佐原が2枚目のイエローで退場。「でもモニが入ってるからCBは足りるぞ」と思って見ていたら、藤本が蹴ったFKは両チーム競り合う頭上を越してゴール手前でワンバウンド、横っ跳びの塩田も届かず左隅に飛び込んだ……同点。東京もロスタイムに反撃に出るが、時既に遅し、である。1-1で試合終了。決勝ラウンド進出をほぼ決めて喜ぶ清水、勝点2を逃して肩を落とす東京。
 
 

やっぱり勝点3をとっておくべき試合だった、と思う。

序盤に素晴らしいパスワークからの猛攻で先制点を奪ったものの、その後の好機をものにできず、後半に入って相手の反撃に遭う。要は前節ヴェルディ戦と同じ展開。ただ、ヴェルディは流れを変えられる駒を持っていなかったんだけど、エスパルスには藤本とアウレリオがいた。彼らの投入により前半の枝村・兵働が生真面目に2トップまでボールを運ぶサッカーにはなかった「変化」が生まれ、結果として後半の清水ペースにつながった、と。

そんな清水のシフトチェンジに対し、後半の東京はチグハグなサッカーに終始してしまった印象。滑るピッチでのハイペースな前半がこたえたのか、足の止まり方はいつになく早かったし、駒が限られていたせいもあって交代もハマらなかった。一旦大竹に準備させてから茂庭にチェンジしたシーンやカボレのご不満ポーズを見ると、ベンチも、選手たちも、攻めるのか守るのか、どうやって試合を終わらせるのか、はっきりしないところがあったのかもしれない。

個人的には、平山が最後までピッチに立っていたのが釈然としないところ。途中まではパス交換にも積極的に参加してここぞという場面で前線に顔を出し、まあ調子は悪くないのかなという感じだったのだけれど、やはりシュートは決められないし、判断の遅さも目立っていた。あの勝負所でカボレ外して平山残すのは……。カボレの体調等に不安があったのか、それとも途中からブラジルトリオがあまり平山にパス出さなくなっていたあたりが関係しているのか。

あと、結果的に致命傷となってしまった佐原の退場について。終盤のラフプレー(?)についてはその瞬間を見ていないので何とも言えないが、1回目の警告は余計なジェスチャーによるもの。それら以外では安定したプレーを見せていただけにもったいないと思う。多摩川クラシコでも退場の危険があったように持ち味の「熱さ」が一歩間違えればこうなるということだが、開幕前の予想よりもはるかに頼りになる選手だけに、もうちょい上手くやってほしいところである。

その他の選手では、ブラジルトリオのパスワークは相変わらず素晴らしいのだけれど、ちょっと自分たちだけでやりすぎる傾向が出てきたかな。羽生は調子が上がってきたようで、高いレベルで潤滑油の役割を果たしてくれている。両SBはあまり良くなかった。徳永はやはり左の方がいいかも。石川は切れてきた。藤山と浅利はいつも通りだったけれど、ミスをした時に助け合う姿が何だかほほえましい(笑)。塩田は……どうもDFとの連携が良くないんだよな。

まあ、ともあれ、これで最終節のヴェルディ戦は勝たざるを得ない状況となった。しかも(大分と神戸が勝った場合は)できるだけ点差をつけて。となると、場合によってはいつも以上に攻撃的にならざるを得ないし、その時は向こうのブラジルトリオによる逆襲が怖くなってくる。……つまりは、だ。平山と茂庭、君たちの出番だ、ということ。ここでやらずにいつやるんだ、というか、ここで男にならなきゃもしかするともうチャンスはないかもしれないよ。
 
 

帰りは塩尻のイトーヨーカドーで酒とつまみを買い込み、車内でカミさんと2人でささやかな残念会。海老と空豆のつまみ揚げ、ウマッ!!「よなよなエール」、ウマッ!!で、爆睡して3時間弱、気がついたらもう新宿だった。こうしてみると、松本って近い……のか(笑)?次回は祝勝会しながら帰りたいな。
 

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コメント

うーん……モニはともかく平山にはこれまでさんざんチャンスを与えてきたにも関わらず結果を残せていないんで、個人的にはさすがに「もういい」んじゃないかな、と思います。(カボ+赤嶺のツートップに祐介控えで十分ではないかと)
本人の意識の問題なのかも知れませんが、自分がやりたいプレーに終始するあまり周りが見えてないんではないかなぁ、と……

公式戦で1点決めれば気持ちも違ってくるんではないかと思いますが、そのお膳立てになるような試合はもうないんじゃないかな、と思っております。
東京は平山のためだけのチームじゃないですから……

そうですねえ……いや、確かに平山はもう2年近くもチャンスを与えられ続けている(赤嶺と比べても優遇されている)し、「もういい」のかもしれないですね。私も、どちらかと言えば平山よりも祐介が見たいですね。タイプは違うにしても。

ただ、彼は元々良くも悪くもマスコミへの露出が高い選手ですし、「男になれ」横断幕に象徴されるように、夏に五輪がある(そしてその代表から外れた)こともあって、サポーターの中にも未だ拘りを捨てられない人はけっこういるのかな、と。

だから、せっかくナビスコカップという機会なのだから、まあ「最後のチャンス」くらいに見てあげてもいいのかな、と。逆に言えば、リーグ再開前に結果を出せなければ移籍先を探さないと駄目でしょうね。早くそうなっちゃった方が、彼にとってはいいような気もしますし。

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