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2007年09月29日

●負けるな、川崎フロンターレ

もう旬は過ぎつつある話題かもしれないが。

川淵会長、川崎に苦言 主力温存して大敗で (スポーツナビ=共同通信)

川崎Fチャーター機使用も敗退にJ聴取へ (ニッカンスポーツ)

川崎F関塚監督が「犬飼発言」に反論 (ニッカンスポーツ)
 
 
僕は、この件に関しては全面的にフロンターレを支持したい。
 

川淵・犬飼両発言の不適切さ、川崎側の主張の正しさは言うまでもない。協会・J首脳の無神経ぶり(発言内容も、それが公然となされたことも)と「サポーター」という存在に対する無理解、10日強で日本とイランを往復しながら4試合をこなす川崎の超過酷な日程(チャーター機は不十分な代償措置に過ぎない)、そしてそもそも、問題とされるメンバー編成がJリーグの規定に適うものであったこと。

レイソル戦を実際に現地で観た僕としては、川崎の思いきったメンバー編成とその彼らの熱い戦いぶり(内容はスコアほどひどくはなかった)、そして状況をよく理解したサポーターのバックアップに感心させられたところだった。また、セパハン戦において、蓄積疲労から川崎の選手が辛い戦いを強いられていたのは明らかであった。きっと、セパハン戦のメンバーで固定したら2試合とも惨敗だったろう。

犬飼さんと川淵さんのズレぶりには、腹が立つやら情けないやら……何考えてんだホントに。
 
義憤に駆られたいちサッカーファン(笑)としては、フロンターレに対して「チャーター代つっかえしちゃえ!」「浦和への情報提供もしてやることないよ!」とでも言ってあげたいところだが、結局翌々日になって鬼武チェアマンと川崎の武田社長の間で「手打ち」が成立したようだ。

やむなしと判断 川崎の主力温存でJリーグ (スポーツナビ=共同通信)

大人の解決、か。「やむなし」との判断は正しいことだし、そこに「ファンの声」が届いているのだとすればJリーグも捨てたものでもないのかな、と思う。でも、Jリーグが「合法的なターンオーバーを問題にしてしまったこと」「幹部がクラブのトップに対して公然と不穏当な発言をしたこと」についての反省を公にすることはないだろう。我那覇の冤罪事件の時と同じように。

聞くところによれば、今現在Jリーグに鬼武チェアマンへのインタビューを申請すると「我那覇事件の話はNGで」という条件が付くそうである。Jリーグも、全体としては間違った方向へ向かっているとは思わないけれど、その存在が大きくなるにつれ組織としての病理や一部の人間の傲慢ぶりが目立ってきているということなんだろうか。


まあ、これで今回の事件は落着、ということになるのだろう。問題は今後に及ぼす影響である。

今後も日程等に関してリーグの全面バックアップが得られないとすれば(いや得られたとしても、か)、本気でACLを獲りに行くJクラブは程度の差こそあれターンオーバー作戦をとらざるを得ない。しかし、その際に今回の件がチームの選択肢を狭めてしまうとすれば、単純にACL制覇が遠のき試合の質が下がるだけでなく、選手の健康にも悪影響を及ぼすに違いない。

浦和レッズとて他人事ではない。今回はたまたま比較的移動の少ない組合せに恵まれているが(決勝まで行くとさすがにキツいかと思ったけど、11月は結構配慮されてるのね)、来年以降今回のフロンターレと同じような日程に遭遇した時にも今のように「ベストメンバー」とやらを貫けるかどうか。どうも、レッズ系のブログとかが冷え気味なのが気になるんだよな……。


川崎フロンターレの選手やスタッフ、そしてサポーターにとっては、セパハン戦の悔しい悔しい敗北の直後にこのような酷い仕打ち。今は憤懣やるかたない、といったところだろう。まことに気の毒である。ただ、第三者的な視点から見ると、こうした出来事は自分たちのアイデンティティや立ち位置、チームへの愛を確認する絶好の機会になるだろう、とも思う。

熱心な応援者とは、単に喜びや楽しみを得ようとするだけではなく、チームへの共感・愛情・自己同一化……胸の内から沸き起こる情動に突き動かされる存在だ。そしてそれらは、敗北や困難に遭遇した時にこそ顕在化するものだ。あえて「ファン」と「サポーター」を区別するとすれば、「ファンは勝利から生まれ、サポーターは敗北から生まれる」のである。

同じ事は、6月のジュビロ戦を観た時にも書いた。おそらく、今回の一件で川崎の「サポーター」はチームへの愛をより深めるだろう。ただの「ファン」から「サポーター」へと境界線をまたぐ人もいるかもしれない。また、選手やスタッフも「この悔しさをバネに」奮起するに違いない。そうなれば、災い転じて何とやら、である。やっぱり羨ましいな(笑)。


とにかく、フロンターレにはイチャモンに負けず胸を張ってもらい、と思う。ガンバレ!!
 

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コメント

圧倒的に試合数の少ないクラブのファンが、あの11月の日程を「配慮されている」などと気安く言わないで欲しいね。しっかし、声が大きいだけのオッサン達の発言に、いちいち目くじら立てているヒマがあるのが羨ましい。あんなの聞き流しなよ(笑)。
勝負ってのは、まずそのルールをノドの奥まで飲み込んで覚悟を決める事から始めるもの。移動が長かろうが日程が厳しかろうが、粛々と試合に挑むだけ。敗戦に備えて様々なエクスキューズを用意しておく輩は、スタジアムでも仕事でも遊びでも結局勝てないと思う。
川島や森のコメントにある通り川崎の選手達の方がよっぽど前向き。やはり彼らは「選択される世界」に生きている。外野なのにヒステリックに騒ぐよりも、問題の当事者となれた時点で一言ぶちかませば?
キミも境界線をまたげてないんじゃない?レッズサポが冷めているのは当たり前。俺達が注力すべきはスタジアムで起こること。いま見据えるのは明日の新潟戦のみ。マスコミの字面に踊らされない方がいいよ~。

はじめまして、フロンターレのサポーター(と確信)です。

FC東京サポさんから、こういった激励をもらえることに、非常にうれしさを感じています。
今回、他サポさんからも、いろいろと同調するようなコメントがあり、応援するチームこそ違えど
サッカーが好き、好きなチームそしてそのバックにあるリーグが、好きなんだなぁと感じました。

そして、明日もいつもと変わらず等々力に行きます。
チームを応援し、チームや選手を鼓舞していこうと思います。

長文失礼しました。ありがとうございました。

ホント川崎にはこんなことに負けずがんばってほしいですね。
もともと川崎は、クラブとサポの関係がとてもいいようですが、ここでまた結束を強めてますますよいクラブになっていくんではないでしょうか。

お偉いさん方のこういった体質が変わっていかないと、ACLはただの罰ゲームになってしまいます。
この、独特の魅力のある、価値のあるACLに立ちたいから精一杯がんばっていく・・・
そんなJリーグになればうれしいですね。

皆さま、コメントありがとうございます。

>外野はお気楽だなぁ…さん
そもそも、こういうネームでコメントを投稿するところからして「お気楽だなあ」と思いますし、あと「いま見据えるのは明日の新潟戦のみ」という書き方からして「明日は我が身」という言葉を全く理解されていないようですが、特に浦和レッズさんについてどうこう申し上げる気はございませんので、唯我独尊でこれからも一戦一戦頑張って下さい。

>まずそのルールをノドの奥まで飲み込んで覚悟を決める事から始めるもの
川崎はそのルールをしっかり飲み込んで守ったのですが。そして、その上で一番良い結果を出すために「覚悟を決め」て策をとったように私には思えました。え、もしかして川崎が「エクスキューズ」を作るために今回のような策に出たとでも(笑)?ホントお気楽ですね、アナタは。

>キミも境界線をまたげてないんじゃない?
おっしゃるとおり。あなたみたいに「またげている」と何の疑問もなく確信できている方が羨ましいですね。

>フロンターレサポさん
やっぱり、浦和には情報あげない方がいいんじゃないですか(笑)。という冗談はともかく、ひいきのチームがどこであれ、サッカー好きという観点からはACLの戦いについてフロンターレに共感せずにはいられないです。変に同情するわけではないですが、がんばってください。これは偽りのない本当の気持ちです。

>ACLはただの罰ゲームになってしまいます。
ホント、それが一番怖いですよね。せっかく、浦和と川崎がJの代表として堂々と頂点目指して戦ってくれているのに、それにJリーグのトップが水を差すなんてね。

>独特の魅力のある、価値のあるACLに立ちたいから精一杯がんばっていく・・・
>そんなJリーグになればうれしいですね。
まったく同感です。頑張りましょう。

「外野」としては無視した方が余程「お気軽」なんですけどね。

最初のコメントの人は、いろんなクラブのサポが何に突き動かされてそれぞれ発信しているのか、分からないんでしょうね。

スタジアムでは目の前の試合だけに集中するとしても、普段、サポには試合以外の心配の素はたくさんある。
今回の「ベストメンバー規定」や「リーグとクラブの関係」もそういったもののひとつでしょ?
今回の当事者はたまたま川崎だったけど、どのクラブにも降りかかりかねない問題ですよね。他サポは決して「外野」じゃない。

最初にコメントをした人は試合にだけ集中しているようですが、仮に存続問題や経営問題を抱えたチームのサポであっても同じ台詞を吐けるんでしょうかね?だとすれば、余程の鈍感か「ロッソ・アントラーズ」でしょ。

今のレッズは概ねすべてが上手くいっているから、一部のサポは試合や勝ち負け以外のことに鈍感でいられるのかもしれない。「お気軽」なのはどちらやら。

設立当初からレッズを支持し続けている親友(非常に立派な人)が「常勝レッズしか知らない層が増えているのが不安」とふとこぼしたのを思い出します。

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