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2007年09月27日

●「こ…これが……戦い……」 ('07ACL準々決勝2ndレグ)


昨晩は、等々力競技場でACL準々決勝2ndレグ。川崎フロンターレ 0-0(延長0-0、PK4-5) セパハン。1stレグのスコアレスドローによって、どちらにとっても「勝てばいい」というわかりやすいシチュエーション。ホームの川崎が終始優位に試合を進めるも1点が奪えず、セパハンの「思うつぼ」な膠着状態に。結局、PK戦を制したセパハンがベスト4進出を決めた。


立ち上がりからフロンターレがボールを支配。憲剛・谷口の中盤が着実にボールを動かし、ジュニーニョ・鄭大世・森が仕掛けていく。しかし、セパハンの守りもなかなか堅い。攻撃参加は多い時でも3~4人、守りに入れば前線に1人残して10人で自陣を固め、憲剛には密着マークを付ける。それでも川崎はサイドからの崩しやジュニーニョの個人技でシュートまで持ち込むがゴールならず。「負けはないよな」という雰囲気でハーフタイムへ。

後半になっても川崎ペースは変わらない。ところが、好機を決められないでいるうちに選手たちの動きが極端に落ちていく。日曜日に主力を温存したとはいえ、1stレグの長時間移動のダメージが残っているのかもしれない。突破役だった森の負傷退場とマギヌンの絶不調も痛かった。セパハンは審判へクレームをつけ、接触の後には大げさに痛がり、露骨な時間稼ぎを繰り返す。スタンドにも次第にフラストレーションが溜まっていった。

終盤になると、ジュニーニョと憲剛が「電池切れ」。こうなるともういけない。川崎は逃げのパスと雑な放り込みばかりになり、時間がズルズルと過ぎていく。延長戦では憲剛・鄭に代えて大橋・我那覇を入れるも、既に周りが疲れ果てていては思うような効果を発揮せず。まさにセパハンの「術中にはまった」感があった。バックスタンドで興奮して「あいつら時間稼ぎばかりしやがって……退場だよな!」と場内係員に話しかけるオッサンがいた(笑)。

ため息とイライラの充満する中、試合はPK戦に突入。川崎の選手が蹴る前に必ずボールを抱え、大きく弾ませたりバランスボールのごとく柔軟体操に使ったり、とにかく嫌がらせしまくりのセパハンGK。それでも両チーム順調に決めていったが……4人目、よりによって谷口が失敗。彼は国内水準だとふてぶてしい方なんだがなあ。セパハンは全員が成功し、ついに決着がついた。イラン国旗を広げて川崎ベンチの前を走るセパハンの選手。うーむ。



まあ、セパハンの戦い方はいかにも中東っぽいイヤらしさ満載で、好きか嫌いかと言われれば明らかに「嫌い」だし、尊敬できないのは確かだ。ただ、スポーツとは「意志と意図をもって、自分(たち)の持っているものをどこまで出せるか(出し合えるか)」という営みである。そう考えると、この試合で「自分たちの持ち味」を出し尽くしたのはセパハンの方だったろう。あの守備戦術(確かに迫力もあった)と嫌がらせの徹底……。

川崎の選手やスタッフ、そしてファン・サポーターにしてみれば、悔しくて悔しくて夜も眠れないような結果に違いない。内容的にはフロンターレが明らかに上だった。セパハンのセコセコプレーには主審もおかんむりで、ジャッジもかなり川崎寄りだったのではないかと思う。いい位置でのFKもたくさんもらった。でも、それらを活かせなかった。最後は、身体と心の両方が限界点に達したのか、単に時間を食いつぶすだけのプレーに終始してしまった。

要するに、まだ力が足りなかった。そして、アジアを戦う経験が不足していた。そういうことなんだろうと思う。

ただ、このような結末を迎えてもなお、僕は今季のフロンターレの戦いをうらやましく思わずにはいられない。出場する事自体が難しい大会ゆえの、勝敗の切実さ。未知の強敵と相まみえる興奮と恐怖。Jでではあり得ない悔しさ、怒り、喜び……やはり、ACLに出場してこそ得られるものというのは、確かにあると思うのだ。いや、本当にうらやましいとしか言いようがない。FC東京もできるだけ早くその高みまで達してほしいものだ。



新丸子への帰り道、敗戦を残念がっているお連れさんに向かって「まあ、また頑張るよ!だから、また応援に来てくれよな!頑張るから!」と気丈に話しかけているフロンターレサポーターがいて、ちょっと泣けた。
 

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コメント

この次のエントリを読んだ上で、
なおかつ川崎の戦いぶりを称賛した上で書きます。

「露骨な時間稼ぎは気持ち良くないですね」

アジアの戦いに出られた川崎に負けず、
来季は東京も捲土重来を期して戦ってほしいものです。

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