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2007年09月25日

●かくて「地球は救われた」 (柏レイソル×川崎フロンターレ)


日曜日の夜は、日立柏サッカー場でJ1第26節その2。柏レイソル 4-0 川崎フロンターレ。後半戦も絶好調、目標のシーズン勝点「45」まで早くもあと「2」に迫った柏が、ACLの強行日程に苦しむ川崎を迎え撃った一戦。前半こそ拮抗した展開になったものの、後半はホーム観衆の熱い声援を受けたレイソルがフロンターレを圧倒、終わってみれば4得点の快勝に。ともあれ、その志の高さに共感を覚えずにはいられない両チームであった。


水曜日にACL準々決を控えた川崎は、なんとジュニーニョ・中村憲・森・マギヌン・寺田・箕輪を休ませて「2軍編成」で試合に臨んだ。一方の柏は現在のベストメンバー。となると当然柏が優位と思いきや、前半は川崎が健闘を見せる。我那覇のポストプレー、黒津や大橋の飛び出し、谷口と伊藤らDF陣の厳しい当たり。ピッチ各所で激しい肉弾戦が繰り広げられ、ほぼ互角の形勢のまま前半終了。これはおそらく川崎のゲームプラン通りだったろう。

均衡が崩れたのは48分。右CKからボックス内にこぼれたボールを李がボレーで決めた。苦しい体勢・厳しい角度ながら、よく足に引っかけてゴールへ運んだ得点。続いて51分、後方からのパスで左サイド抜けた菅沼が、DFに競りかけられながらも思い切ってシュート、ボールはDFの足に当たって左隅にゴールイン。昼間観た東京×清水戦でもそうだったが、早い時間の追加点が試合の流れを決定づけた。シュート意識の高さの勝利である。

川崎も反撃に出るのだが、中村憲抜きでは攻撃に構成力を欠いて苦しい力ずくの攻撃。逆に柏はカウンターからチャンスを作る。72分、永井のパスで太田が右サイドを抜け出して一対一となり、切り返しでGK川島をかわしてゲット。さらに76分、リスタートからのシュートを川島が弾いた場面、よく詰めたアルセウが押し込んだ。これでなんと4-0。最後は北嶋の惜しいシュートもあり、わっしょいわっしょいの雰囲気のまま試合終了。勝点はついに46!!



この試合、まず感心したのはフロンターレの思い切ったメンバー編成である。ジュニーニョと中村憲を先発させないのはある程度予想もついたが、半分以上の入れ替え、それもベンチにも入れないとは……。大した度胸というか、今季はとにかくACLに賭けるということなんだろう。こういう割り切った采配は結構エライと思う。ただ、書いておかねばならないのは、この日も川崎は決してヌルい戦いをしていたわけではない、ということだ。

現場で観ていて、身体を張る選手たちの、そしてテクニカルエリアからしばしばはみ出して(笑)指示を出す関塚監督の本気度、戦う気持ちというのは存分に伝わってきた。だからこそ試合後、ゴール裏へ挨拶に行った選手と監督(こういう時に監督が行くのは正しい、と思う)に対して、サポーターからは盛大な拍手とコールが送られたのだろう。「ベストメンバー規定」なんぞクソ食らえ!彼らはより大きなもののために戦っているのだ。



柏レイソルは……本当に勝点45に到達しちゃったよ!しかも8試合残して。順位も5位である。シーズン前、誰がここまでの快進撃を予想できただろうか。失礼ながら、フランサはともかく、それ以外はそんなに大した戦力じゃないと思うんだけどねえ(笑)。石崎監督の目線の高さ、ヒーローインタビューで李君が「サッカーが楽しい!」と力説したように選手が力を発揮できる環境、そしてファン・サポーターや地域の支援。好循環なのは間違いない。

今年は目標が勝点45ということで、柏のゴール裏にはいつも「地球滅亡まであと勝ち点○○」という横断幕が揚げられていた。この元ネタはもちろん『宇宙戦艦ヤマト』で、この試合の前にも「地球か…何もかもみな懐かしい……」という沖田艦長の名台詞(と、あとデスラー総統の声)がゴール裏から聞こえてきた。そして見事目標達成して「どうするんだろう」と思っていたら、案の定「コスモクリーナーで地球は救われた」の横断幕が。なるほど、ハッピーエンドだ(笑)。

  宇宙戦艦ヤマト (Wikipedeia)

ちなみに、ゴール裏に挨拶に行った柏の選手たちはいつものごとく各自専用のゲーフラを持たされてサポーターと一緒に盛り上がっていたが、ヤマトネタに反応する選手はほとんどいなかった様子である。李君はドラゴンボールのテーマ(と、手製の神龍のハリボテ)にウケていたようだが。『ヤマト』でピンと来るのはオッサンのアニオタだけか……何しろ初放映が1974年だからね。あ、俺の生まれた年じゃないか(笑)!


それにしても、レイソルはチーム力といいサポーターや日立台(と周辺地域)の団結と雰囲気といい、よくぞここまで持ち直してきたものである。2004年の柏の葉なんて目を覆いたくなるようなネガティブ横断幕とブーイングの嵐で、「ああ、これじゃ駄目になるよな」と思っていたら翌年本当に降格したもんね。まあ、浦和とか川崎とかもそうだけど、いっそ落ちた方が再建もやりやすいのかもしれんけど。ちょうどいい指導者にも巡り会えたし。

ちなみに、『宇宙戦艦ヤマト』は「異界への冒険と帰還」等の神話的なモチーフを備えている物語だが、メインテーマは何といっても「荒廃からの再生」である。ガミラス星の攻撃により赤黒く放射能汚染した地球。人類滅亡まであと1年……という困難な状況を、老練な指揮官と若い乗組員達が乗り越えていくストーリー。もしかしたら、あの横断幕を出した柏のサポーターは、そんな「ヤマト」を自分たちの愛するチームと重ねたのかもしれない。

『宇宙戦艦ヤマト』の物語は、コスモクリーナーDを積んだ傷だらけのヤマトが地球へ吸い込まれていき、赤黒く荒れた大地が美しい青と緑へ再生される場面で終わる。目の前ではしゃぐ柏レイソルの選手やファン・サポーターを眺めながら、何となくそのラストシーンを思い出していた。
 
 
 

おまけ。羨ましすぎる朝日新聞の号外版。なんと、試合後柏駅までの帰り道で配布される!!
 

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コメント

ヤマトとの重ね方になるほど!と膝を打ちました。

川崎ホームのときは、川崎がジュニーニョ/谷口を欠いてスコアレスドローでした。柏は開幕直後の快進撃が途絶えて、調子を落としていた頃でしたが、中断期間によく立て直しましたね。

朝日新聞は等々力でも号外配ってますね。

東京はトーチュウ様だけでなく、全方位外交なんでしょうかね?

・365日FC東京-中日(東京)新聞
・ファンブック-毎日新聞
・アサヒタウンズ-朝日新聞
・俺達FC東京-産経新聞・終了
・移籍情報が当たる報知-読売新聞

スターシアのテーマを聞きながら、「あれ、絶対ほとんどのサポと選手わかんないよね」って我が家でも言ってました。あ、うちヤマト世代(笑)

『宇宙戦艦ヤマト』の良さはな、『宇宙戦艦ヤマト』の良さはな、1年で帰って来るってところにあるんだよ(ダイバスター風)。J2向けだな^^

>中断期間によく立て直しましたね。
そう、そこがノブリンのスゴイところですね。アジアカップ中断以後の方が勝点ペースいいくらいですから。マークされ始めてからの方が。

>全方位外交なんでしょうかね?
その方がいいんじゃないでしょうか、首都のビッグクラブとしては(笑)。

>スターシアのテーマ
「ア~ア~アアア~ア~ア~」ってヤツですね。ちなみに、私は『さらば宇宙戦艦ヤマト』世代です。カミさんは「全然わからん」と言ってますた(笑)。

>J2向けだな^^
去年やってればもっとハマッたんですかね、そういう意味では。

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