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2007年10月01日

●悲観も楽観もなく (ジェフ千葉×FC東京 テレビ観戦)

昨日のJ1第27節@フクアリは、今日になってようやく録画で観た。ジェフユナイテッド千葉 3-2 FC東京。いずれも4連勝と好調、順位的にも勝点1差で接近するチーム同士の対戦。前半はジェフペース、後半は東京ペースとはっきり分かれた展開となり、先に3点を奪った千葉が東京の猛反撃を2点に抑えて逃げ切りに成功。わかりやすいというか面白いというか……どうしてこのカードはいつもこんな感じの試合になるのだ。


降りしぶく雨の中でキックオフ。まずは東京が前がかりとなり、1分、石川の低いクロスからこぼれ球をルーカスがシュートするがGK立石セーブ。悪くない立ち上がりだった。しかし東京の攻勢は長続きせず、5分を過ぎたあたりから千葉が落ち着いてパスを回し出す。9分、中盤から左斜め前に新居が持ち上がり、オーバーラップする工藤をケアしてDFが下がったところで思い切りのいいミドルシュート、右隅に決まって千葉が先制。

そこからは完全な千葉ペースに。タッチの少ないパスによる速い展開で東京は右に左に振り回され、あわやのところでDFがラストパスやシュートをカットする場面が続く。15分、水野のフィードをボックス内で新居が落としたところへ佐藤勇が走り込むも、藤山が懸命の戻りで防ぐ。22分には左から山岸が切れ込むと見せかけてヒールパス、外を追い越す下村がクロスを上げ、ファーでフリーになっていた巻が飛び込むもスリップして合わせきれず。

東京も反撃に出ようとするのだが、展開のパターンが少ない上にミスも多く、中盤を破れない。石川や徳永の単独突破、そしてセットプレー頼み。27分、左手前のFKからルーカスがミドルを撃つも立石の正面。そして30分、千葉の追加点。工藤と水野のパスワークでボックス前まで持ち上がって右へ展開。佐藤勇のクロスを新居がDFと競り合って落とし、拾った工藤が流れながらシュート、左隅に決まった。鮮やかな得点だった。

東京はその直後に孤軍奮闘状態の石川がパスカットから一気に持ち上がってボックスへ突入するが、惜しいところでシュートできず。後は延々東京陣でのジェフのボール支配が続く。いつ失点してもおかしくない状況だったが、ここはDFがよく粘った。ロスタイムに下村のクロスが塩田の前を通過したシーンも新居の足が届かず、2点差のままハーフタイムへ。内容の差をそのまま反映した点差だったのではないだろうか。


原監督が活を入れたのだろう、後半は再び東京がラッシュ。51分には孤立気味の石川と攻撃への絡みの少ない栗澤に代えて規郎・リチェーリを投入。この交代は効いた。54分、パスワークの中でうまく中央に潜り込んだリチェーリがボックスへ突入してシュート、ポストわずか右に外れる。その後もリチェーリのスピードに今野・福西の押し上げが加わって東京が攻勢。57分には規郎のシュート性のクロスがGKとDFの間を抜けるあわやのシーン。

ところが。60分、水野のロングフィードをボックス手前でDFに挟まれながら受けた新居が、きれいなターンからボックスへ突入、徳永が後ろから倒してしまいPK。これを水野がきっちり決めた。反撃機運が高まっていただけに、痛いカウンターパンチだった。0-3。残りは30分、ジェフは守り固めで新居OUT池田IN、これは「勝負あったか」に思えたのだが……このまま終わらないのがこの対戦の面白いところ(笑)。

65分、東京は金沢OUT平山INの交代。フォーメーションなぞくそくらえ、なりふり構わず力ずくで得点をもぎ取りに行く態勢。今年何度か失敗している作戦でもあるが、この日は驚くことにこれが大当たりであった。68分、左サイドのFKが右へ流れたところ、拾った徳永がクロス。ファーの茂庭が折り返し、飛び上がった今野のヘディングシュートが立石の頭上を抜いた。1-3。これで東京は勢いに乗ることに。

一方の千葉はカウンターを狙いたいところだが、新居を欠いた攻撃陣は仕掛けに鋭さを欠く。東京は福西を上げっぱなしにして攻撃に集中することができた。74分、今野のスルーパスで福西がDFライン裏に抜けるも、シュートは飛び出した立石がブロック。そして77分にはフィールド中央で粘った茂庭がスルーパス(!)、またも抜け出した福西が中島に倒されてPK。これをルーカスが右隅に決めて1点差。なんとなんとなんと!である。

81分、ボックスすぐ外正面で東京がFKをゲットし、本当に昨年の再現なるかという局面。しかし、残念ながら規郎のシュートは壁を直撃。その直後には今度は巻が東京陣で粘ってキープ、FKを奪ったところで千葉がFW青木を入れてバランスを取り戻す。青木はよくボールを引き出して東京のDFラインを押し下げ、存分に時間を稼いだ。結局、ロスタイムの平山・赤嶺のシュートもゴールには至らず、千葉が辛くも1点差を守りきって試合終了。


監督の采配を一つのきっかけとして、双方の強さと弱さがはっきり見えた試合であった。

千葉にしてみれば、前半は満足できる内容・スコアであったろう。速いパス回しと厚いフォロー、FWの軽快な仕掛け。実に見応えがあった。だが、後半もカウンターで3点目を挙げたところまではよかったものの、新居→池田の交代は結果的に失敗だった。精力的でダイナミズムもあるが、懐は浅くワンペースなのが「オシムベース」のジェフ(修正は試みているようだが)。あれではわざわざ東京のパワープレイを呼び込んだようなものだ。

FC東京にしてみれば、いつも通りの「帳尻合わせ」というところか……過去の千葉戦の勝利パターンを考えれば前からのプレスで主導権を握りたかったところだろうが、前半の布陣は機能しなかった。おそらく原さんらしく、「勝ち試合のメンバー」へのこだわりと福西の決定力への期待があったのだろう。で、福西を生かすためには栗澤が必要だったと。後半の内容を見ればその気持ちはよくわかる。ただ、それでは水野を抑えられなかった。

東京というチームの抱える問題の本質は、実はここら辺にあるのではないかという気もする。メンバーや戦術の組み立てにおけるバランスの問題というか、「あちらを立てればこちらが立たず」というゼロサム・ゲームにおける失敗というか。もちろんバランスの適正値というのは相手によっても変わってくるわけなんだけど、今季は右でバランスをとれば左のチームにすくわれ、左に軌道修正すると右のチームにボカチンくらい、という状態。

要は不器用なんだな。ミもフタもない言い方をすると。相手に応じた戦いが出来ない。それは、ジェフ千葉と同様に「懐が浅い」ということでもある。でも、選手の実力と「こうなれば強い」というパターンは間違いなくある。だから、驚くような戦いをする一方で、ハマらないとコロッとやられてしまったりもする……って、これまでも書いてきたことを言い換えているだけなんだけど、なかなかチームが脱皮しきらんからまた書いてしもうた。

個々の選手では、まずリチェーリが良かった。去年は本当に「速いだけ」の印象だったけれども、段々と相手の嫌がる位置取りや動き方を考えられるようになってるかも。今野と赤嶺は相変わらずの活躍。福西は……功罪あるかもしれないが、決定機に絡む能力はさすが。DF陣は、個人の粘りと組織としての劣勢とで、うーむ、という感じ。問題は石川(と周りの関係)。いつもの事ながら、攻撃時、なぜあんなに外へ張っちゃうのかねえ。


まあ、負けたからといって特に悲観する気にもならず、逆に終盤猛攻を仕掛けたからといって別に楽観する気にもならない、と。少なくともテレビで落ち着いて観た限りでは、そんな試合のように思えた。そういや、去年の4月にもホームで同じような試合をしていたような(スコアも同じ)。あの時は、後半頭にガーロ監督が3枚替えの荒技で無理矢理流れを変えたのだった。なんか、チームとしての進歩が、ちょっと(笑)。
 

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コメント

同時間帯にJスポで世界戦(ロードレース)の生放送がありましたが、現地に行ってきました。
ちなみに、ロード世界戦の結果は現在情報遮断中(ただいま録画再生中)です。

>問題は石川(と周りの関係)。いつもの事ながら、攻撃時、なぜあんなに外へ張っちゃうのかねえ。
jsgoalに試合後のコメントが載っていますが、石川のポジショニングに関しては監督の指示らしいですね。
メインスタンドのアウェイ寄りで見ていましたが、交代直後ベンチでやや荒れ気味(受け取ったタオルを投げる等)なのが気になりました。

こんにちは、スポナビで西部さんがまとめていますね。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/jtoto/column/200710/at00014822.html 
去年の試合の事は自分も感じました(笑)
徳永…モニの自作自演っぷりを見習えと。

レースの話題だとF1富士でのバス渋滞でヤシマ作戦の如くな列だったとか…。

フクアリのメインスタンド・東京サイドの最前列で、見てました。つまり、後半の東京の右サイドです。

同じスピード系でも石川とリチェーリではタイプが違い、相手のいないスペースを疾走する石川と、相手を引きつけながら一瞬の隙を突くリチェーリという感じでしょうか。

千葉戦では、明らかにリチェーリの方が効果的でした。タメが出来て、他の選手の上がる時間を稼いだ分、攻撃に厚みが出たようです。石川は速すぎて、中央が間に合わない状況でした。

石川も頑張っているのですが、監督の意図や他のメンバーの感覚と自分の感覚の差に戸惑っているようです。

>世界戦(ロードレース)
最近自転車の方は観るのが精一杯で、書く方まで追いつかないのですが……強かったですね、ベッティーニ!!あの小さな身体のどこにあのパワーが詰まっているのか、本当に不思議です。

>石川のポジショニングに関しては監督の指示
まあ、押し込まれた時の逆襲要員ということなんでしょうけどね……どうかな~。

>徳永…モニの自作自演っぷりを見習えと。
正直と言えば正直なのかもしれないですが(笑)。

>F1富士でのバス渋滞でヤシマ作戦の如くな列
ヤシマ作戦と違って、こっちの方は結果的に萌えないから×ですね(笑)。

>石川は速すぎて、中央が間に合わない状況でした。
そうなんですよね。リチェーリの方がずっと、まだ周りとの関係で「効く」ポジショニングや動きをしているように見えました。

>監督の意図や他のメンバーの感覚と自分の感覚の差に戸惑っているようです。
うーん……なんか、彼を見ていると「正直者がバカを見る」ってな感じを受けるんですよね、私は。やっぱり環境を変えた方がいいのかな。

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