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2011年03月06日

●俺たちは還ってきた(笑) (FC東京×サガン鳥栖)


昨日の午後は、味の素スタジアムでJ2開幕戦。FC東京 1−0 サガン鳥栖。さあいよいよ心待ちにしていた(といっても別に2部に落ちたかったわけではないけど)リーグ開幕、初戦の相手が「オリジナルJ2メンバー10チームの中で唯一J1昇格経験のない」鳥栖というのも「日程くん」の粋な配慮(?)と言うべきか。試合はいかにもJ2らしい地味な内容となったが、新加入選手の活躍で後半主導権を奪った東京が、最小得点ながらも無事に勝利を収めた。
 
 
快晴に恵まれた味スタには2万1千余りのファン・サポーターが詰めかけた。相手がサガンということを考えれば、この入りにチーム関係者はさぞかしホッとしたことだろう。試合前には「味の素スタジアム開業10周年」と銘打って、東京スカパラダイスオーケストラのライブが行われた。曲は文句なしに良かったけど、横で観ていた東すか編集長が「大変申し訳ございません!2部の試合なんかに来ていただいて!!」と叫んだのを聞いて思わず失笑。ははは。

キックオフ。初戦らしく、序盤は落ち着かない流れになった。東京は平山・鈴木の2トップに谷澤・北斗・羽生・高橋で中盤を組む布陣。早く前に運ぼうという意図は見えるのだが、中で縦パスが入らずにサイドを強引に突破しようとするプレーばかりが目立つ。一方の鳥栖は早い寄せからバランスよいパス回しで攻めようとするのだが、勝負所でパスの精度が低いため、個人能力で上回る東京DFに軽々と奪われてしまう。どちらにもなかなかチャンスが生まれない。

17分、左CKから正面にこぼれたボールを北斗がシュートするもバーの上。19分、羽生が鋭い切り返しでDFをかわしてボックスへ突入、シュートは惜しくもサイドネット。前半中頃になると鳥栖が引き気味になり、豊田をターゲットにカウンターを狙う形になった。東京はボールは保持するものの攻めあぐむ状況は変わらない。中央では高橋が鳥栖のプレスの標的になっており、危なっかしいキープから後ろに戻すか雑に前に蹴ってボールを失う場面が多かった。

32分、鳥栖はカウンターから豊田が強烈なミドルシュート、バーに当たったボールを塩田が辛うじて押さえてヒヤリ。39分、正面35mほどのFKで國吉が強烈なロングシュートを撃ち、塩田が横っ跳びで弾き出す。さらにCKで豊田のヘッダーが際どくバーを越え、場内に「おいおい」という空気が。終了間際にはさすがに東京の攻勢となるが、波状攻撃からクロスのはね返りを羽生が落とし、走り込む高橋が叩いたシュートはGK正面。0−0でハーフタイムへ。
 
 
後半、東京は北斗に替えてロベルト・セザーを投入し、鈴木が右MFにシフト。この交代は奏効した。セザーが精力的に裏を狙うことで鳥栖のDFラインに下がる動きが増え、東京の攻撃MFが仕掛けるスペースが生まれるように。48分、谷澤のパスカットから逆襲速攻となり、鈴木のミドルシュートがポスト左を抜ける。52分にも谷澤の反転パスから鈴木が突進し、強烈なミドルシュートが惜しくも左に外れ。ようやくペースをつかんだかな、という感じであった。

55分、右CKをファーで谷澤が折り返し、ゴール前で平山がシュートするがDFがブロック。57分には鳥栖の大きなパス回しから柳澤がボックスへ突入するピンチとなるが、今野・森重のカバーで事なきを得る。そして60分、高橋から左サイドを上がる阿部へ好展開、クロスはややふかし気味になったものの、平山がGK室と競ってボールがこぼれ、詰める谷澤がゴール上へ蹴り込んでゲット!さすがにゴール前へ4人上がっていると何かが起こるのであった。1−0。

その後も東京ペースが続く。64分、ポストに入った平山から左へ展開し、谷澤のクロスに高橋が飛び込むが届かず。追いつきたい鳥栖は選手を替えながら次第に前がかりとなって、今度は東京がカウンターを狙う形に。70分、鳥栖がボックス右手前でFKを獲得、クロスを塩田がワンハンドで弾き出す。東京は追加点が欲しいところだが、どうも高橋を筆頭にミスが多く、平山からの展開にもスムーズさが見られない。80分、左サイドのFKを鈴木が直接狙うも枠外。

85分、東京は羽生→ホベルトの交代。平山のコーナーキープも飛び出して、完全に逃げ切り態勢である。88分、右タッチ際でDFをかわしたセザーが斜めにドリブルで切れ込み、細かいステップでDFを翻弄してシュート!しかし残念ながら室にセーブされてしまった。セザーはロスタイムにもボックス内でシュートを撃つなど最後までアピール。結局、終盤はほとんど鳥栖にチャンスを作らせなかった東京がそのまま完封勝ち。なんと1年ぶりのホーム戦勝利である。
 
 

なんつーか、初っぱなから「J2」を意識させられる試合だったというか。

正直、内容的にはあまり良くなかった。特に前半はアタッカーの連携はないわ楔は入らないわDFラインのパス回しもぎこちないわで、「まさかこのままサイドの単騎勝負と平山へのロングボールだけで終わってしまうのでは」という思いまで頭をちらついたが、さすがに後半は少しマシになった。ただ、それでもパスミスや連携のぎこちなさは最後まで解消されず、終盤には絶好機もあったのに2点目はとれずじまい。反省点の多い試合だったのは間違いないだろう。

一つ確認できたのは、やはり個人能力についてJ2では多くの対戦相手を上回れるのだろう、ということ。一対一で負ける場面はほとんどなかったし、軽率なプレーで悪い形になっても、相手のプレーの精度が低くて助けられたケースが多かった。鳥栖レベルのチームなら普通にやれば負けることはないだろう。が、逆に言えば、これが上位陣、例えば千葉・京都のような個人能力に優れたチームや湘南・横浜のようにより組織力に秀でたチーム相手だと不安だな、と。

まあ、それでも、どんな内容であれ、主力選手の多く(権田、米本、梶山、石川、PJ)を欠く中で初戦を勝ちきったのは喜ぶべきなんだろうし、谷澤・セザーといった新加入選手が活躍したのは大きな収穫であった。岡山戦には米本も戻ってくるが、石川(結婚おめでとう!)・梶山の復帰も待ち遠しい。しばらくはパッとしない内容が続くかもしれないが、チームもファン・サポーターも我慢しながらしぶとく勝点を重ねていく事が肝心なんだと思う。とにかく勝点だべ。

MVPは谷澤。持ち前のバランスの良さを発揮して、特に後半は攻撃の要になっていた。つか、まさか初戦から谷澤の馬鹿ヒーローインタビュー(彼のキャラクターに関してはこちら参照)を聞けるとはな……「これから、よろしくお願いするんで、よろしくお願いします!」(笑)。素晴らしい。期待通り、最近の東京に不足しがちだった「笑い」を補充してくれる選手になりそうだ。

攻撃陣では鈴木達也も(特に右サイドに回ってから)良かった。セザーはボールを持ったプレーは少なかったけれど、あの緩急つけたドリブルは魅力的であった。サイドに逃げたり縦に走るんじゃなくて、どんどん中へ切り込んでいくプレーだし。守備陣では今野・徳永の強さが光ったのと、それと塩田ね。抜群の安定感だった。彼のいてくれる有り難さを痛感したよ。

良くなかったのは、まずは高橋。ゴール前への飛び出しや得点につながった展開パスなど、いいプレーもあった。でも、やっぱりボランチに求められるのはミスの少なさだから。あと、彼のせいだけではないのかもしれないけど、いくらなんでも楔のパスが少なすぎ。DFでは森重が少し動きが重かったような。あと、中村北斗は、ちょっと厳しいのではないかな。
 
しかし、考えてみれば、JFLや前回のJ2の頃はどちらかと言えばこういうマッタリ系ないしイマイチな試合の方が多かったわけで、既視感を感じるというか「還ってきた」感慨を覚えるというか(笑)。前半は「えー!」とか「おいおい」とか言いながら観ていたのだが、途中からは東すか編集長と2人して味スタを江戸陸に、平山と鈴木達也をアマラオと岡元に脳内変換して、腹を抱えながら観ることにした。ロスタイムのセザーのズッコケシュートとか面白かったし。

あんまりストレス溜めてもしょうがないからねえ。むしろ楽しまないと。
 
 
[付記]
味スタは国体に向けた改修の真っ最中。トラック設置部分に敷かれる人工芝も新しくなったのだが、これが派手に明るいグリーンで……肝心のピッチが暗く見えるし、周りがチラつく感じがしてどうも観づらい。普通、映画館のスクリーン等と同じで「興行として見せたい部分」が一番明るくなるはずだがなあ。時間が経って色が落ち着けば、あるいはこちらの目が慣れれば大丈夫になるのだろうか。いや、昨年までの暗い色も、それはそれでヴェルディっぽかったけどー。

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