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2011年04月25日

●再開、即がっくし (ジェフ千葉×FC東京)


昨日の午後は、フクダ電子アリーナでJ2「第8節」。ジェフユナイテッド千葉 3−0 FC東京。3月5日の開幕から1ヶ月半余、東日本大震災による中断からようやくリーグ戦の再開である。初戦を辛勝している我らが東京、今回は2戦目にして早くも昇格争い最大のライバルとの対戦となった。試合は、前半から東京が優位に進めるも先制点を奪えず、終盤ついに炸裂した「オーロイ砲」の前に3連続失点。チームの行き先にいきなり暗雲漂う結果となってしまった。
 
 
1万数千人の観客が賑やかに詰めかけながら、やはりどこか普段と違う雰囲気のフクアリ。試合前には特別のTシャツを着て入場した両チームの選手たちがメッセージ横断幕を掲げる。震災の犠牲者に黙祷が捧げられ、双方のゴール裏からは「ニッポン!」コールと盛大な拍手が。そしてキックオフ。

平山が長期離脱中の東京は高松1トップの梶山トップ下、徳永・米本がボランチを務め、サイドには機動力に優れる選手を並べて速攻を狙う。5分、椋原のクロスを叩いた高松のヘッダーをGK岡本がキャッチ。対するジェフは予想通り超長身FWオーロイへロングボールを集めるが、このオーロイがでかいのなんのって……マジでむっくんの倍くらいあるように見えたぞ(笑)。2分、そのオーロイを囮に使う形で突進する深井のシュートがポストわずか左を抜けた。

前半半ばを過ぎる頃になると、徐々に東京の攻勢となっていく。まずオーロイを森重が密着マークで封じ込め、二列目から飛び出すアタッカーはことごとく今野がカバー。攻撃では相手守備の早い寄せに苦しむものの、谷澤・鈴木の精力的な動きでサイドをこじ開けようとする。24分、椋原の速いクロスがファーの谷澤に通るがシュートは枠外。その直後には谷澤が左サイドでヒラリとDFをかわしながら突破し、クロスを梶山が反転シュートするがDFがブロック。

29分、パス交換から梶山が左に流れて折り返し、谷澤がミドルシュートするが左に外れ。31分、オーロイの落としで米倉が左サイドを突破、クロスにオーロイが飛び込むが権田が果敢に飛び出して押さえた。37分、右サイド攻撃で鈴木が抜け、逆から阿部が折り返して谷澤が狙うもDFに当たって枠外へ。東京にしてみればこの流れの中で先制しておきたいところだが、サイド攻撃一辺倒ということもあってDFを崩せず、決定的な場面は作れないまま時間が進む。

アクシデントが起こったのは37分過ぎ。左サイドで相手と競り合った後で米本が左膝を押さえて倒れ、苦しそうに地面を叩く。すぐに羽生が呼ばれて交代となった。担架で運び出される米本。東京側は重苦しい雰囲気となり、ロスタイムには米倉が徳永の背後をとってボックスへ突入するピンチがあったが、幸いシュートは右に外れてくれた。0−0のままハーフタイムへ。
 
 
後半、千葉はDFミリガンを投入、同時に東京は鈴木OUTでセザーIN。立ち上がりは奮起した千葉が押し込むも、権田や森重が速いクロスをはね返しているうち再び東京ペースに。54分、左から谷澤のインスイングのクロスがファーに抜け、高松のダイビングヘッドが僅か右に外れ。55分にはDF2人をかわして突破した椋原のクロスが正面にこぼれたところ、谷澤がシュートするがポスト左。残念ながらこの日のヤザーはどうしてもシュートが枠に行かなかった。

58分、セザー→高松→右からボックスに入る椋原とパスがつながるも、シュートはサイドネットへ。シュートこそ撃てているが、どうにもゴールは遠そうだ。そして59分、試合の流れが変わるプレー。左サイドからミリガンが30mはあろうかという超ロングスロー。ゴール前の混戦は今野がかき出して事無きを得たものの、自信を得た千葉はどんどん早めに放り込むように。66分、アーリークロスに今野とオーロイが競って流れたボールを青木が頭で叩き、ヒヤリ。

東京はセザーがドリブル勝負を挑み、ボックス付近でいくつかFKを得る。が、いずれも得点には至らず、71分に森重が狙ったシュートも惜しくもサイドネット。そうしているうち東京は梶山を筆頭にセカンドボールに足が出なくなり、攻撃を全く組み立てられなくなる。「アウェイで引き分けなら、まあ、悪くはないか」と、そんな考えも頭をよぎったのだが……。

東京が高松に替えて大竹を投入し、羽生をトップ下に上げた直後の78分。またもミリガンが左サイドから速いロングスローを入れ、森重に頭一つ競り勝ったオーロイがヘッダー一発、権田の手を弾いてゴール左隅に決まってしまった。「ここまでうまく抑えてたのに…」とガッカリした失点。0−1。追い詰められた東京は前がかりとなり、79分、スルーパスに反応した羽生が右サイドを突破、クロスを大竹が落として追い越す椋原が狙うも、DFが滑り込んでブロックした。

何とか追いつきたい東京だが、梶山・徳永から全くパスが出ず、大竹・セザーは空回りして攻勢に至らない。逆に83分、カウンターからオーロイのスルーパスで米倉が飛び出し、権田の股下を抜いてゲット。決定的な追加点。東京は今野を前に上げるスクランブルに出るものの攻守ともにバラバラとなってしまい、終了間際には青木のクロスをオーロイが悠々と頭で突き刺し0−3。あれよあれよの3失点で叩きのめされた東京が一矢報いることもなく、試合終了となった。
 
 

いや、再開の喜びはどこへやら、東京ファンとしては非常にヘコむ試合であった。
 
0−3というスコアもさることながら、失望したのは開幕戦と変わらぬ内容の悪さである。千葉の精力的な守備があったとはいえ中盤でパス回しらしいパス回しは見られず、攻撃はサイドに偏り、アタッカー間の連携も乏しかった。シュートは17本も撃っており、たまたまどれかが入れば展開も変わったのかもしれない。でも、実際には相手守備を崩す場面が少なかったため(決定機は2度の椋原のシュート場面くらいか)、現場で観ていて点の入る気はあまりしなかった。

例えば、高松の使い方。初出場の高松は前線で攻撃の基点になろうとよく頑張っていたと思う。でも、彼に楔のパスはほとんど入らず、フォローも追い越す動きも少なすぎた。単にゴールゲッターとして期待していたのか?それならそれで、トップ下がもっとボールを収めなければならないだろうに、それもできない(梶山の出来が酷かったせいもあるけど)。米本退場後の選手配置もそう。とにかく、チームの中で整理されていない事がかなりあるような印象を受けた。

つまり、鳥栖戦でも感じたことだけど、チームがどういうサッカーをやろうとしてるのかが見えないのだ。去年は城福監督にせよ、その行き詰まりを修正しようとした大熊監督にせよ、見ていてその意図はある程度わかるように思えた。しかし、今はそれが全くわからない。即座に結果を出す事を期待して大熊監督を続投させたはずなのに、これではいかんと思う。ビハインドを背負ってパニックに陥る姿(今野がCK蹴ったのを見て悲しくなった)も既視感があったし。

まだ2試合目だから、もう少し様子を見るべきなのかもしれない。だけど、もしかすると手遅れになる前に何らかの荒療治が必要になるかもしれないな、とも思う。それが監督に関してなのか、選手起用に関してなのか……うーん、憂鬱になってきたぞ。いかんなあ、「イマイチな試合をマッタリ楽しむ」のが個人的な目標だったのに(笑)。ま、いくら何でも3失点の完封負けじゃ楽しむどころじゃないよなあ。今年は早くも「昇格できたら儲けもの」気分。

それにしても、ジェフの飛び道具は凄かった。オーロイのど迫力は予想通りっちゃ予想通りだったけれども(後半途中まで森重はほぼ完璧に封じ込めてたし)、ミリガンの超ロングスローインは全く予期していなかった。クラウチだけなら対策の立てようもあるが、それにデラップロケットまで加わってはなあ、という。ミもフタもないやり方ではあるかもしれないが、1部昇格を目指2部チームとしては真に正しい姿勢であると思った。これもまたJ2の洗礼ってか。

まあ、とにかく次だ、次。日曜の味スタで僕の悲観論なんぞ吹っ飛ばしてほしい。マジで。
 
 
[付記1]
しかし考えてみれば、「たかがサッカー」で勝った負けたなんてことで喜んだり落ち込んだりできるのも、本当にありがたいことなんだな、と。それが3月11日以降の日々でつくづく痛感したことだった。大地震と津波による被害、そしてそれに続く原発事故の深刻な状況は僕にとっても(もちろん東北で被害にあった人々の悲しみや苦労の足下にも及ばないとしても)大きなショックであった。ホント、震災が起こってしばらくはサッカーどころじゃなかったもの。

何というか、以前の僕にとってサッカー(やラグビー)というイベントは平板な日常=ケの中の非日常=ハレだったはずが、震災という大きな非日常を経て、それらもまた取り戻すべき日常の一部であることが意識できたというか。大いなる日常の中に位置づけられる、ささやかで平和な非日常。だからこそ、この上なく尊く貴重であるのだろう、おそらくは。未来は不確かで不安も大きいけれど、これからもできる限りサッカーを楽しんで行きたい。そう僕は思っている。

まあ、そんな大層な事を書いたりはしても、やっぱり試合に負ければ悔しいことに変わりはないんだけどね(笑)。早く次の1勝が見たい。勝たないと再開した気がしないヨ!!
 
 
[付記2]
米本がんばれ。俺たちはいつまでも待っているぞ。

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コメント

こんにちは。やりたいことが見えない、仰るとおりだと思います。シーズンまだ2試合目と楽観ししたいです。それでも昇格は出来るのでは?…とは、過去のJ2の歴史を見ると、甘いのでしょうか。東京相変わらずですね~(笑)。これは、愛を込めて。まだベストメンバーではないので、全然これからに期待しています!

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