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2010年11月24日

●悪者見参(笑) (名古屋グランパス×FC東京)


昨日の午後は、豊田スタジアムでJ1第32節。名古屋グランパス 0−1 FC東京。今シーズンのJリーグも残りあと3節。未だ残留争いから抜け出せない我らが東京、今回は優勝を決めたばかりのグランパスと敵地で戦うというビッグゲームであった。試合は、名古屋にボールを支配される展開ながら東京の堅守速攻サッカーが冴え、大黒のファインゴールで先制。前半終わり頃からは攻められ続ける展開となるも、気迫の守備で得点を許さず逃げ切りに成功した。
 
 
平山が出場停止の東京はトップ下に梶山が入る4−2−3−1を採用。対する名古屋は怪我で金崎やダニルソンを欠くものの、凱旋試合ということで(?)闘莉王が先発復帰するなど重厚な布陣であった。パスを回して攻めたてようとする名古屋に対し、東京は自陣に構え、大黒へのロングボールなどで手数をかけず速攻を狙う。1分、玉田のミドルシュートを権田がキャッチ。直後、オフサイド崩れで抜け出した森重のシュートはバーの上。序盤から攻め合いとなった。

6分、今野のフィードで抜けた大黒が右サイドをえぐってクロス、ファーに梶山が詰めるがDFがブロック。名古屋はやはり闘莉王の攻撃参加とケネディの高さが怖い。12分、闘莉王のアーリークロスにケネディが頭で合わせるも、森重が競りかけて枠外。19分、闘莉王の撃った鋭いシュートがバーをかすめた。しかし東京もやられるばかりでなく、逆襲速攻を中心に渡り合う。21分には右タッチ際を突破した石川が切れ込んでシュート、さらに北斗もロングシュート。

そして26分、CKをはね返されてから二次攻撃の場面。右サイドでリカと石川が粘ってつないで、DFを引き連れながら中へ流れた梶山が縦パスを入れる。残っていた森重がワンタッチで落としたボールを大黒がふわりと浮かすと、弧を描くボールは前に出かけた楢崎の頭上を抜いてゴールに吸い込まれていった。おー、ビューティフォー!!観客も何が起こったか一瞬わからない、芸術的なループシュートだった。1−0。

勝って優勝報告したい名古屋はすぐに反撃。31分、左CKで徳永がかぶり、どフリーの闘莉王に渡るもシュートは右に外れて命拾い。一方の東京もこの日は好調の梶山を中心にチャンスを作り続ける。34分、楔のパスを収めた大黒が踏ん張り、奪い取るように梶山がゴール前へ持ち出してシュートするが、前に出た楢崎がセーブ。さらに37分、左突破したリカのクロスを大黒がバイシクルで狙うも楢崎がキャッチ。ここは追加点が欲しいところだったが、ものにできず。

前半の終わり頃になると東京も息切れし、名古屋の一方的な攻勢となった。40分、左サイド阿部のクロスをケネディが落とし、小川のシュートは森重がブロックしたものの、再びこぼれ球を拾った小川のシュートが権田を抜く。まさに絶体絶命の場面だったが、ゴールライン上に戻った米本がスーパークリア!さらに42分、闘莉王のアーリークロスをケネディが落とし、小川が飛び込むも併走する今野がゴール上にクリア。いやー、スペクタクルの連続である。

そしてロスタイム。波状攻撃からゴール前に浮き球が入り、闘莉王が森重と競って突入するも届かず、の場面。森重の腕が闘莉王の顔に当たったらしく、怒った闘莉王が森重の顔を突き、森重が大げさに倒れて闘莉王に警告。そのまま前半終了となったが、興奮した闘莉王が森重に食ってかかってさらにピクシーまで詰め寄る騒然とした雰囲気に。東京ゴール裏からは「闘莉王闘莉王くそったれ!」のコールが飛ぶ。森重は平然とロッカールームへ(笑)。
 

後半の立ち上がりは一進一退の攻防に。東京は監督の指示か、前に急ぎすぎず落ち着かせるような入り方をして、名古屋は攻勢を維持できない。51分、阿部OUTで三都主IN。53分、マギヌンがボックス外から低く速いシュートを撃つも権田が押さえる。55分、中盤のパス交換から石川のミドルシュートがDFに当たってCKとなり、森重が合わせるも枠外。58分には中村直がドライブのかかったシュートを放つが、上に外れ。どちらも崩せないまま時計が進む。

66分、森重が前に出て奪いきれないところ、吉村と玉田がゴール前へなだれ込むピンチとなるが、権田が出足良く体を張ってストップした。名古屋は中村→杉本、マギヌン→千代反田と替え、闘莉王を前に出すパワープレーシフトに。サイドから次々とクロスが上がっては今野や森重がはね返し、米本と徳永がかき出す場面が続く。69分、ケネディのヘッダーも権田の正面。

怖かったのは73分で、リカの戻しパスをカットした杉本が右タッチ際を快走、低いクロスにニアで玉田が合わせ、権田の脇を抜く。が、ポストのわずか左に外れてくれた。あぶねー(笑)。終盤になると東京は石川に替えて鈴木、リカに替えて重松を投入し、前からの寄せに強度が戻って名古屋は攻めあぐむようになった。85分、ロングボールを闘莉王と森重が競ってボールがこぼれ、フリーのケネディがシュートするが、弾丸のような勢いで飛んできた米本がクリア!

逃げ切りたい東京は大黒→前田の交代。前田はよく役割を理解して前でボールを収めて粘りのキープを見せ、時間は着々と過ぎていく。88分、FKから三都主のアーリークロス、闘莉王が落としてゴール前でケネディが狙うもバーの上。そして東京イレブンは最後まで集中力を切らさず、5分のロスタイムも守りきってついにタイムアップ。よっしゃ!!
 
 

いやー、熱い試合だった。終了の笛を聞いてガッツポーズしたのも久しぶりである。

いい形で先制しながら2点目がとれず、多くの時間帯で名古屋の攻勢にさらされて苦しい内容だった。また、既に優勝を決めている名古屋はメンバーこそ揃えてきたものの必死ではなかったろうから、1点差の勝利は「快勝」とは言えないのかもしれない。しかし、残留争いの真っ只中にいる東京にとって今回は勝つことが全てであり、とにかくその意味では文句なしの結果だった。選手たちが90分間見せた気迫と意思統一は素晴らしく、まさに「魂の勝利」であった。

この試合、大熊体制になってから攻撃の中心だった平山を欠きながら、いかに試合を組み立てるかがキーポイントだったように思う。そういう意味では、4−2−3−1の布陣が機能したのは間違いなく勝因の一つだろう。守備に重心を置きながら梶山と豊富なサイドアタッカーを生かすためにはベストの選択だった。選手交代も順当だったと思う。まあ、繰り返しになるが追加点を奪えなかったのは反省材料かもしれんし、もう少し交代が早くても良かった気はするけど。

新潟戦の観戦記でもちょっと書いたことだが、堅守速攻の大熊サッカーは上位チームとの方が戦いやすいのは確かなんだろうね。選手たちの気合の入った粘り強いプレーぶりを見ても、大熊さんは本当にそういう方向での仕込みが上手いんである。この試合では梶山を前に置いたこともあって「急ぎすぎ」もやや改善されていたし、かなりバランスの良いチームになってきた。

MVPは米本。抜群の危険察知能力を発揮した40分や85分のプレーも凄かったが、それ以外の時間も中盤でサイドで後方で守備の穴を埋めまくって、目覚ましい活躍だった。試合終了と同時に足がつって倒れ込んでしまったのはむろん大健闘の証である。もはや絶対に欠かせない選手だろう。攻撃では、もちろん虎の子の1点を挙げた大黒を讃えなくてはなるまい。ゴールハンターとしての本能と技巧がいかんなく発揮された美しい得点。ホント、いてくれて良かった。

梶山は前節とはうって変わって素晴らしい出来。バイタルエリアを浮遊しつつ決定的なパスを狙う彼得意の形が、ダニルソンのいない名古屋相手にはまったというのもあるのだろう。それにしても良かった。中盤では、徳永も頑張っていた。不器用だけどがむしゃらさが表に出るようになって、東京っぽい選手になってきたなような。あと、DFの森重と今野は、巨漢アタッカー相手によく戦い抜いたな、と。特に森重は先制点にも絡んだし、良い仕事ぶりだったと思う。

前半ロスタイムのもめ事について。VTRも見てみたけど、闘莉王やピクシーが激怒するほどのプレーではなかったように見えた。まあ、森重の事だから他にもやってたのかもしれないし、これまでのイメージもあるのかな。シャムスカサッカーはけっこう武闘派だから。2人にしてみれば、「凱旋試合」で不甲斐ない戦いぶりだった名古屋に活を入れる意図もあったのかもしれない。いずれにせよ、彼らのコメントについては半分くらい割り引いて聞けばいい、と僕は思う。

つか、闘莉王にケネディに増川って、あんなデカい連中がぞろぞろ前線に上がってきたら、そりゃきれいなだけのプレーじゃ防げねえっつーの。だからそんな怒んないでよピクシー(笑)。
 
ともあれ。神戸が大宮と引き分けたため、東京と神戸との勝点差は「3」にまで広がった。得失点差を考えれば、これで残り2試合のうち1勝すればほぼJ1残留できる計算となった。いやーそう考えると、改めて大きな勝ち星だったんだな、と。次はホーム最終戦で山形と。上にも書いたように大熊サッカーは上位との対戦で威力を発揮するものの、下位との対戦ではやや不安を残すのだが、とにかく勝って自力で残留を決めてほしいと思う。今度は平山、君の出番だ。
 
 

今回は試合結果はもちろん、その前後のグルメでも充実の遠征であった。「山本屋本店」のみそ煮込みうどん、「風来坊」の手羽先揚げ、「珈琲店かこ」のモーニング、「よしだ」のきしめん、そして「コメダ珈琲店」のコーヒーとミニシロノワール、等々。ちなみに「コメダ珈琲店」で読んだ中日スポーツの一面には闘莉王と森重の写真が使われ、闘莉王&ピクシーのコメントにより森重がすっかり悪者扱いなのであった。これがホントの悪者見参ってか。ご馳走様。
 
 
[追記]
前半終了時のもめ事についてもうひと言。闘莉王が顔を突いた後の森重の倒れ方は、確かに大げさではあった。だから、ピクシーや闘莉王がコメントで言っている「汚いプレー」云々というのがその事を指しているのだとすればわからないでもないし、個人的にもオーバーアクションでファウルやカードを呼び込む行為というのはあまり好きにはなれない。ただ、それにしたって「そもそも人の顔を指で突いたらいかんだろ」(けっこう怖いぞ)という話ではあるのだけれど。
 

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コメント

昨年、ケネディが茂庭の顔面潰したことを棚に上げといて、何いってんだ妖精ゴラァ!!!

…というのが僕の気持ちですw。豊田行った人は勝ち組♪

いやあ、全くですね。闘莉王もしかり。

http://www.youtube.com/watch?v=VyzO_LPFOdo

っていうか、そもそもVTRで見る限り「肘打ち」というほどのもんじゃないし、森重のプレー。

まぁ、ピクシと釣男は糞っ垂れ、ということで・・・

人の悪口を書くときは、きちんと記名してやりましょう(笑)。

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