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2010年11月21日

●泣くな森重。戦いはまだ続くよ。 (FC東京×川崎フロンターレ)


昨日の午後は、味の素スタジアムで第18回多摩川クラシコ。FC東京 1−2川崎フロンターレ。日曜日のリーグ戦でFマリノスを、水曜日の天皇杯でジェフを撃破して調子を上げてきた我らが東京。1週間で3試合目となる今節は、宿敵フロンターレとの対戦となった。前回の雪辱を果たしたい東京であったが、ほぼ互角の攻防の中で後半早々に先制され、一旦はセットプレーで追いついたものの、終盤にミス絡みでジュニーニョの一発をくらってショッキングな敗戦。
 
 
キックオフ。東京はバランスに注意しつつ、ボールの奪い所を見定めて鋭く切り返そうとする大熊サッカー。1分、平山が鋭いターンから左タッチ際を突進、逆サイドでパスを受けた石川が切れ込んでシュートするがGK相澤がキャッチした。一方の川崎も後ろ厚めの選手配置で、スイッチが入るや外国人FWを軸に一気に持ち上がるお馴染みの攻撃。9分、小宮山のドリブルから中への折り返しをジュニーニョがトゥキックでミドルシュート、権田が横っ跳びで弾き出す。

11分、川崎はジュニーニョが左サイドを高速突破、折り返しをヴィトール・ジュニオールがシュートする寸前で北斗がカット。東京は相変わらず梶山がピリッとせず、敵陣に持ち込んだ辺りでパスカットされる場面が多く、切り返していく川崎のカウンターの鋭さが目立つ。ただし、CBの今野・森重も懐の深い守備で決定的な突破は許さない。17分、左サイドを縦に勝負した羽生のクロスに大黒が飛び込み、相澤と交錯しながらシュートするが、惜しくも決まらず。

前半半ばを過ぎるとどちらも攻めながらチャンスに至らず、膠着状態となった。東京の選手は多少苛ついているのか、絶対通らない類のトンチンカンなパスがいつも以上に多いように見えた。35分の東京の右CK、競り合いの中でこぼれ球に反応した森重がダイビングヘッドを狙うも、相澤がキャッチした。44分には右CKでV・ジュニオールのインスイングのクロスに権田が触れずヒヤリとするが、これは川崎のファウルで助かった。無得点のままハーフタイムへ。
 
 
意外というか何というか、後半は早々にスコアが動いた。47分、持ち上がる楠神からボックス内左に走り込むジュニーニョへボールが収まり、DFを集めたところで中央へパス、巧く割り込んだ矢島が反転シュートをゴール右隅に突き刺した。まさに最悪の入り方である。0−1。これを見た大熊監督は早くも動き、羽生に替えてリカルジーニョを投入。リカはいつも通りドリブルで積極的に仕掛けるが、なかなかスペースを見つけられず行き詰まるシーンが目立つ。

53分、左サイドで縦に仕掛けたジュニーニョのシュートがサイドネットに突き刺さって冷や汗。56分、川崎陣深くでルーズボールを拾った大黒のパスを受けたリカがDF前でシュートするが相澤がキャッチ。ここで東京は大黒OUTで椋原IN、徳永をボランチ、梶山をトップ下に上げて4−2−3−1にシフト。ともかくも、これでより前線に近いところでパス回しができるようになった。もちろん川崎はカウンター狙い。63分、小宮山のシュートを権田がキャッチ。

64分、ドリブル突破を図ったリカがボックス手前でFK獲得。石川の強烈なシュートは相澤が弾き出したものの、次のCK、叩きつけた森重のヘッダーが相澤の手を弾いて決まった。会心の一撃!拳を握って平山らと抱き合う森重。1−1。これで雰囲気的にも振り出しとなり、以後は勝点3を賭けた攻め合いとなる。67分、ヒラリと伊藤をかわしたリカが左タッチ際を突破、クロスを石川が胸トラップからシュートするも相澤がキャッチ。69分、川崎は黒津を投入。

72分、カウンターで中央大きく空いたスペースをV・ジュニオールが一気にゴール前まで突進するが、シュートはポスト右を抜けて命拾い。73分、椋原のクロスを左サイドに流れた平山が落とすも、DFと競り合う石川はシュートできず。79分、寺田のロングフィードで右サイドを抜けた黒津が切り返しで北斗をかわして撃ったシュートはサイドネット。

そして83分、左サイドに飛んだ縦パスを森重がクリアしきれず、その背後で拾ったジュニーニョが権田の頭上を抜くループシュートを決める。森重にとっては痛恨のミスだった。1−2。追い詰められた東京は北斗→前田の交代で前を厚くするも功を奏さず、最後はパワープレーの中で権田も上がる総攻撃に出るが、佐原を投入した川崎の高いDFラインを破れない。こぼれ球を叩いた平山のシュートも相澤が横っ跳びでセーブ。そのまま試合終了となってしまった。
 
 

「サッカー楽ありゃ苦もあるさ」とでも言ったらいいのだろうか。ここ2試合の連勝でいい波に乗っていただけに、この負けは実に悔しい。

相手は上位のフロンターレとはいえ、出場停止で中村憲剛を、怪我で田坂と森を欠いており、正直「勝てると思わなかった」と言えば嘘になるだろう。だが、実際蓋を開けてみると、整備されたカウンターの鋭さでは川崎の方が一枚上手。固く守って綻びを探し合う展開だった前半は互角に戦えたものの、撃ち合いになった後半は苦しい戦いを強いられることになった。それでも、幸いなことにセットプレーで同点に追いつくことができて「さあこれから」だったのだが……。

結局、今の東京の攻撃では、マリノスやガンバに比べてタイトな川崎のDFをこじ開けることができなかった。リカは個人技である程度突破できていたし、4−2−3−1の布陣も相手を押し込む助けになっていたと思う。ただ、梶山・石川の出来が悪かったせいもあって、武器がもう一つ二つ足りなかった印象だ。そういう意味では、3人目の交代が後手に回った(そして動かないうちに失点してしまった)ことと、投入されたのが大竹ではなかったことは残念に思えた。

森重は、良くも悪くもこの日の主役であった。試合前にはJ1通算100試合出場の花束贈呈を受け、前半はエレガントな足技とを柔らかい身のこなしで川崎アタッカーを封じきり、後半もCKから同点ゴールを決めて見せた。チームが勝つか引き分けていればMVP級の活躍だったと思う。それが、まさかの暗転。V・ジュニオールの蹴ったライナー性の縦パスは簡単にクリアできるものではなかったと思うけれど、よりによってジュニーニョに渡してしまうとは。

一番悔しいのは当然ながら本人だろう。試合全般に渡って良いプレーをしていただけに、もったいない「ミス」である。試合後、涙を拭いながら(だよな、あれは)スタンドに挨拶する姿には胸を打たれるものがあった。なんちゅーか、別に泣けばいいってもんでもないのかもしれんけど、でもそこまで気持ちを込めて頑張ってくれているという事実が応援者としては嬉しいんだよね……1999年の小峯隆幸を思い出したよ。泣くな森重、俺は最後まで君の味方だ。頑張れ。
 
 
とにかく、次の試合(名古屋戦)はもう2日後にやってきてしまう。一度の敗北は一度(かそれ以上)の勝利で取り返すしかなく、チームもファンも早々に気持ちを切り替えなければならないのだろう。そしてその次はホーム最終戦(山形戦)、さらにその次はリーグ最終戦(京都戦)。ここまで来たらもう、ブーたれても仕方があんめえよ。僕は、ただ僕の好きなチーム、好きな選手たちを信じて拍手と歓声を送るのみである。大丈夫、要は勝てばいいんだから(笑)。
 

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コメント

平山の2得点で目立たなかったけれど横浜戦、そして川崎戦と梶山の出来がかなり悪いのが心配です。

相手のマークがキツいのはわかりますが、球離れが悪く、パスもかなり相手に読まれてカットされているのがチーム全体のリズムを悪くしています。

まあ、そうは言ってもシーズン残り三試合になってチームのやり方を変更出来ないですから、梶山には開き直って思い切ったプレイをしてもらたいです。

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