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2010年04月05日

●恐るべし人間ブルドーザー (川崎フロンターレ×FC東京)


昨日の夕方は、等々力陸上競技場で第17回多摩川クラシコ。川崎フロンターレ 2−1 FC東京。昨年のクラシコ(リーグ戦)では川崎が2連勝、しかし「最も大事な」ナビスコ杯決勝では東京が勝ったという、宿敵同士の今季初戦。両チームとも中盤の大黒柱を欠く状態でのゲームとなったが、慌ただしい攻め合いの末に「人間ブルドーザー」(笑)の活躍で2点を奪った川崎が快勝を収める結果に。東京は終盤に1点を返すにとどまり、これでクラシコ3連敗となった。
 
 
2万2千観衆の前でキックオフ。序盤は双方長短のパスを交えてチャンスを探り合う展開。3分には平山の、8分にはレナチーニョのミドルシュートが枠をかすめた。スタンドの熱い雰囲気も後押しし、局面では激しい攻防が続く。11分、田坂のパスで右サイドを突破した森がクロスを上げ、鄭のヘッダーを権田がキャッチ。15分には鈴木のパスを受けた石川が右サイドを駆け上がってDFの足が止まったところで折り返し、北斗のシュートがポストわずか右を抜ける。

先制点は20分。左コーナー付近へ進出した黒津が速いクロスを入れ、森重に当たって大きくはねた球をボックス前の鄭が胸トラップから右足一閃!推定マッハ3のボールがゴール右上に突き刺さった。これは権田といえども止められまへん……0−1。しかし東京もすぐさま反撃。23分、ボックス周辺のパス回しからフリーとなった羽生が右足を振り抜き、GK川島は動けなかったものの左ポスト直撃で決まらず。こぼれ球を平山が押し込むもののこれはオフサイド。

その後は東京の攻勢に。この日は徳永もそつないプレーぶりで着実に配球。一方リードしている川崎はなぜか攻め急ぎ、淡泊なパスミスが多い。31分、平山のパスで椋原が右サイドを突破、クロスを走り込んだ平山が頭で叩くもクロスバー直撃。38分、ドリブルで持ち上がる石川からバイタルエリアの平山へパス、平山は鋭いミドルシュートを撃つが決まらない。東京はそれ以外にもあと一歩の場面を作りながら得点が奪えず、1点ビハインドで前半終了。
 
 
後半に入り、守備の数合わせのためか川崎が黒津の位置を下げて4−4−2になっていることに気づいた。対する東京は平山と鈴木がダブルポストとなり、石川と北斗が流動的に位置を入れ替えながら飛び出そうとする。46分、平山のスルーパスで石川が右サイドを突破するもクロスは北斗に合わず。47分、右サイドから黒津が意表を突く高速ロングシュート、権田がファンブルして冷や汗。52分には中盤でボールを奪った稲本のドリブルシュートがバーをかすめた。

川崎の布陣変更が功を奏したのだろうか、東京の攻撃には前半ほどの勢いがなく、逆に川崎の左右に広く展開する攻撃が目立つように。56分、ボックス手前から撃ったレナチーニョのオーバーヘッドシュートを権田がキャッチ。その直後には森が右サイドを突破してクロス、田坂が折り返したボールを鄭が頭で押し込もうとしたが、バーを叩く。ここで東京は北斗→キムの交代、今野・羽生を一列ずつ前に上げることで攻撃に勢いを出そうとする策に出た。

ところが、次の得点も川崎。61分、逆襲からボックス左手前でFKを獲得。鄭の弾丸シュートは飛んだ壁の下を抜け、横っ跳びの権田の手を弾いてゴールへ飛び込んだ。守備の対応を完全に読まれた形。0−2。追い詰められた東京は鈴木に替えて重松、羽生に替えて大竹と投入していく。石川・平山・今野に加え、フレッシュなアタッカー陣が次々に突っかける。73分、ロングボールを重松が競り落として平山がシュートした場面は、川島が横っ跳びでセーブ。

ここで光ったのが稲本。川崎DFがはね返したボールを収め、あるいは自らボールをむしり取り、的確な判断でボールをさばき続ける。時間の経過とともに彼を起点とするカウンターが増えていった。79分、木村→レナチーニョ→左サイドを走る鄭とパスがつながり、鄭は権田と一対一となるもシュートは枠外。80分、椋原のクロスを重松が頭で叩くがボールはポスト右を抜けた。83分には逆襲速攻から鄭がゴール前で反転シュート、権田が好反応でストップ。

終盤は両チームとも疲れが出てミスが増え、なかなか攻撃を組み立てられないように。特に東京はバイタルエリアにパスを出し入れするものの川崎が8人がかりで待ち構える状況では難しい。気がつけばロスタイムも2分を経過。東京は右スローインから椋原がえぐってクロス、重松が胸トラップから放ったシュートは川島に止められたものの、こぼれ球を今野が押し込んでゲット。1−2。しかし反撃もここまで。結局、1点差を守りきったフロンターレの勝利となった。
 
 
いやー負けたのは残念だけど、やっぱり多摩川クラシコは面白いな、と。

新興チーム同士の対戦を「クラシコ」(しかもその前に「多摩川」が付く)などと呼ぶトボけたネーミングや、凶悪なタヌキとイルカが殺し合う遊び心たっぷりのプロモーションももちろん楽しいけど、両チームのファン・サポーターに煽られるせいもあるのか、シーソーゲームになったり超緊迫の接戦になったりと試合内容の方も毎回退屈しないのが素晴らしい。以前は7点差で負けた試合もあったような気もするが、まああれはあれで滅多になさそうな事件だし(笑)。

FC東京は、川崎の拙い試合運びに助けられた面はあるにせよ、前半は今季の中では良い出来だったのではなかろうか。ボランチはそつなく配球できていたし、相手が引いた際のバイタルエリアでのパス交換やサイド深くに引き延ばしてからの仕掛けもなかなか有効だった。ただ、川崎が4−4−2に変えてからはボックス前でせき止められてチャンスを作れず、アタッカーを入れ替えて打開しようとしているうちに攻撃がバラバラに。後半はピンチの方がずっと多かった。

采配も、最後今野が点をとったあたりからしても決して的外れには見えなかったんだけど……まあこの結果については、それ以前に力不足という印象が強いかな。

個々の選手について。2トップはそれなりに仕事ができていたかと。1点とれれば全然印象は違ったはず。石川は警戒されまくり。羽生はコンディションが悪そう。今野はさすが。徳永は、ただ広い方へとパスを流すばかりのこれまでに比べればマシに見えた。大竹と長友は良いところなし。むっくんはボチボチ。森重と権田は少し雰囲気にやられたのかも。北斗は早く結果がほしい。キムのCBは収穫か。重松はやはり何かを起こす力を持っている選手だなあ、という。

で、だ。この試合の結果、星が2勝1分2敗の五分になってしまい、しかも次の相手は王者・鹿島である。これはヤバい。例年通り中位で苦しむかそれとも上位を窺うかの大事な分かれ道かもしれない。敵は強いが、何とか勝点をもぎとってほしいものである。頼むぞい。
 
 
フロンターレは、前半リードしてからの淡泊な攻撃はいただけないものの、4−4−2にシフトしてからは安定した試合運びだった。鄭大世の2発にはビックリ。特に1点目はワールドクラスでしょうあれは。なんか、いつもは好きな選手なんだけど、東京にそうする大世クンはキライ!みたいな(笑)。あとは稲本も素晴らしかったね。攻守に渡って判断が速くて的確で、「欧州組」の強みはフィジカルやテクニックでないことを大いに見せつけてくれた。大人になったんだなあ。

てか、川崎ゴール裏に出ていた「人間ブルドーザー 鄭大世」と「強力 いなもと」のダンマクは個人的にはかなり好きだったりする(笑)。
 

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