« 12年ぶりの大学生 ('10-'11天皇杯2回戦) | メイン | 『ヘルボーイ』 »

2010年09月13日

●レッズ戦は毎回疲れるねえ (FC東京×浦和レッズ)


日曜の夜は味の素スタジアムでJ1第22節。FC東京 0−1 浦和レッズ。ナビスコ杯が悔しい敗退となり、大宮に勝点で追い越されたこともあっていよいよリーグ戦(の残留争い)に専念すべき状況になってきた東京。今回は、実に04年以来勝つことができていない「苦手中の苦手」レッズとの対戦であった。試合は全体的にミスの多い「どっちもどっち」の内容となったが、東京は前半途中のアクシデントから劣勢に立ち、後半PKで失った1点を覆せず完封負け。
 
 
3万弱の観客数と、このカードにしては寂しいスタンドの中でキックオフ。

序盤は東京が押し気味に試合を進めた。鋭い寄せを繰り返してボールホルダーを追い詰め、たまらず浦和が長いボールを蹴ると着実にはね返して速攻を狙う。1分に高橋が、8分には羽生が低く鋭いロングシュートを撃ってGK山岸がキャッチ。10分、森重の好フィードを大黒がきれいに落として梶山がゴール左に蹴り込むが、オフサイド。浦和も柏木を中心にパスをつなごうとするが、連携がイマイチでなかなか進めない。12分の直接FKも柏木のシュートは壁直撃。

そんな東京ペースだった19分、椋原のアーリークロスで大黒が飛び出す惜しい場面(オフサイド)の直後、アクシデント発生。チームの要の羽生が負傷で今野と交代。ここから浦和の時間帯となり、パスワークの中で柏木やポンテの働きが目立ち始める。スルーパスでポンテがボックスへ突入した場面は北斗がきわどくクリア。28分、東京の連携ミスから浦和のショートカウンターとなり、エジミウソンのクロスにサヌが合わせるが、幸いヘッダーはバーを越えた。

東京は週2試合続きの疲れが出たか、早くも足が止まり、リカが快足を飛ばすばかりの攻撃に。ただし浦和もアタッカー、特に原口にミスが多く、決定機は作れない。35分、平川のクロスを叩く細貝のボレーも枠外。と、ここで足を痛めた高橋も石川に交代。東京は交代枠がわずか1つになってしまう。惜しかったのは44分で、中央を持ち上がる梶山がフェイントでDFをかわしてシュート、山岸を抜いて決まったかに見えたが、左ポストに当たって外れ。0−0で後半へ。
 
 
後半は最初から中盤が伸び、浦和はパス交換による崩しを、東京は鋭い寄せからの逆襲速攻を狙う攻め合いに。しかし双方DFライン(特に高橋交代によりCBが今野・森重のセットになった東京)が踏ん張ってなかなかチャンスが生まれない。53分、前目でボールを奪った東京が右サイドのリカからボックス内の石川へつなぐが、シュートはDFに当たって山岸の胸にスッポリ。浦和の方も足を痛めた山田が外れて坪井IN。コンディション的にはどちらもキツそうだ。

57分、東京はサイド展開から北斗のパスが大黒の足下へ収まるが、DFが絡んでシュートできず。直後、浦和はサイド攻撃のこぼれ球を柏木がシュートし、地を這うボールを権田が横っ跳びで弾き出す。59分には東京のカウンターになって梶山から右の石川へ展開、クロスに飛び込んだ椋原(!)がどんピシャのヘッダーを撃つも、こちらは山岸が横っ跳びで好セーブ。いずれもあと一歩決め手が足りないように見え、あるいは1点勝負かという雰囲気も漂いだす。

そして65分。中央を突進する柏木が前線に速いグラウンダーを入れ、エジミウソンがワンタッチでDFの背後へ。走り込んだ原口を森重が倒してしまい、PKの笛が鳴った。これをポンテが左隅に決めて浦和先制。柏木のドリブル→パスのタイミングが素晴らしく、その瞬間に東京DFはフリーズさせられてしまっていた。0−1。東京はリカに替えて平山投入。浦和は得点直後こそかさにかかって攻勢に出たものの、スタミナに配慮してか、次第にゆっくり回すように。

エジミウソン・原口→堀之内・高崎と選手を替えながら逃げ切りを狙う浦和に対し、東京は残り15分を切る頃から再び前がかりに。81分、左CKから逆サイドに流れたボールを徳永がシュート、バーに当たって決まらず。惜しい……。終盤になると東京は肉離れ(?)の達也が外れて10人になってしまい、最後はパワープレイに賭ける形に。ロスタイムには今野の足下にボールが落ちる場面も2度あったがシュートを枠に飛ばせず、結局1点差のまま終了となった。
  
 

残念ではあるけれど、不思議と腹は立たなかったというか。この試合については。

今のFC東京はスペース作りについては羽生に、配球については梶山に依存したサッカーになっている(森重が最終ラインに入る時は特に)。だから、その羽生を怪我で早々に欠いてしまったのはあまりに痛く、彼の交替を境にチーム全体が失速していった感は強い。ただ、その割には健闘したというか、梶山のポスト直撃、椋原のヘッダーと徳永のバー直撃と惜しい場面は作ることができたし、守備の方も65分を除けば相手に与えた決定機は意外と少なかったと思う。

問題は、やはり攻撃の質になるだろうか。上に挙げたように選手の頑張りや好判断、偶然によって幾つかチャンスは得たものの、組織的に崩す場面は相変わらず少なかった。東京の攻撃に連動性や「閃き」が欠けていることは先日の広島戦を見れば明らかで、この日もワンタッチパスや「第3の動き」を使って仕掛ける場面は浦和の方が(広島に比べれば雑だったけど)多かった。これを書き出すといつも同じ内容になってしまうので、あまりクドクドとは書かないけど。

つまり、これだけショッパイ試合が続くということは、今日の惨状が何かのアクシデント(だけ)による突発的なものではなく、これまでのチーム作りに間違った部分があって、それが続いてきた結果として起こっているのだろうということ。テンパって毎度スクランブルやって、それでいて勝てないサッカーなど当然ながら魅力的ではない。事ここに至ってはリスクを承知で何かを大きく変えても良いのではないか。それで未来への可能性が少しでも開けるのであれば。

ちなみに、レッズは東京が1部昇格した00年にJ2へ降格しているが、その後立派に立ち直ってJリーグもACLも優勝しているぞ。どうせ今季は1部残留、たとえ「右肩上がり」になってもせいぜい中位が関の山なんだから、逆に城福監督には開き直ってとことん「いいサッカー」を追求してほしいものだと個人的には思う。その先に天皇杯優勝→ACL出場なんて逆転の一発があるかもしれないし、たとえ降格しても広島の例もあるし……とか書くと怒られるか(笑)。

まあ、とにかく、怪我人には早く直ってもらいたいもんだと思う。鈴木達也の強行再出場には胸が痛んだ。つーか、させちゃいかんだろう、あれは。
 
 
浦和レッズは……残留争いで苦しむチームのファンに言われたくはないかもしれないけど(笑)、現体制になって1年半経つのに案外完成度が高くなっていないんだな、と思った。田中達也や山田直輝が度々怪我をしたり、ポンテが年くっちゃったり、あと阿部が抜けたりしてメンバー的にもキツそうではあるけれど。フィンケさんの仕事は「土台作り」にとどまるのだろうか。閃き(フレア)に満ちた柏木と闘志溢れる細貝のコンビには、なかなか可能性を感じたのだが。
 
 
[付記1]
聞いた話によると、試合後の浦和側スタンドに「祝!J2東京ダービー開催」とかいう横断幕が掲げてあったらしい。ちょっと笑ってしまった(笑)。ツイッターとか見てると本気で腹を立てている人もいるようだけど、まあ笑って流せばいいじゃん、と思う。昔「金町ダービー」とかいって日立台で柏と東京のサポーターが掛け合いをやってた時期だって、柏側のゴール裏には不適切な表現の横断幕が出ていたもんですよ。「さよならセレッソ!」だってあったでしょ。

[付記2]
実は7月から来た仕事場の新しい上司が、けっこう気合の入った浦和ファンなんである。自分の部屋にもレッズのポスター貼ったり、あと棚にレッズのユニフォームを着た「コバトン」のぬいぐるみが座っていたり。今度あのコバトンをドロンパとすり替えてやろうかと思っているのだが、バレたらやっぱりクビになったりするのだろうか。
 

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2652

コメント

不当解雇になります(笑

>逆に城福監督には開き直ってとことん「いいサッカー」を追求してほしいものだと個人的には思う。

おっしゃる通りです!

ここは現実路線に変更して成功?した岡田監督の事例は忘れて・・・
→あれも腹をくくって、開き直った結果だと推察しますが。

城福監督には、ブレずに理想を追い求めて欲しいですし、それを冷静に見守りたいですね。

正直、今季は期待が大きかった分、ちょっとキツいですが。。。(汗

>天皇杯優勝→ACL出場なんて逆転の一発があるかもしれないし、

まさに!
夢を追い求めましょう!

>コバトンをドロンパとすり替えてやろうかと思っているのだが

それよりもアルディージャのリス君とすり替えた方が…。

それにしてもレッズ戦はグダグダの上に呪われてるかのごとく故障者が3人出るし、シュートは白い枠にはじかれるしで気持ちがなえてしまうような試合でしたな。次の磐田戦は、車すっ飛ばして行ってゴール裏で昔のユニを着て応援しますよ。

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)