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2010年09月19日

●最悪の現状が見えた試合、そして (ジュビロ磐田×FC東京)


昨日の午後は、ヤマハスタジアムでJ1第23節。ジュビロ磐田 2−1 FC東京。現在14位と追い詰められている東京にとって、順位の近いチームが相手となる今節からの4戦は残留争いにおける正念場である。だが、この試合も前半から攻守ともバラバラの状態で磐田に蹂躙されて2失点を喫し、後半石川のスーパーゴールで追い上げるものの同点ゴールは遠く、あえなく敗戦。神戸・仙台が勝点を得たことによりついに降格圏の16位へ転落してしまった。
 
 
現地は肌を焼くような強い日差しが照りつけており、試合は過酷な暑さの中で行われた。

序盤からペースを握ったのは磐田。ボールホルダーへの積極的な寄せから、前田の巧みなポストプレーとジウシーニョのスペースへの飛び出しを交え、速いパス交換で前進していく。1分、左CKから古賀のヘッダーが権田の正面を突く。対する東京は4−3−3でスタート。石川とリカの突破力を生かしたい形だが、これが機能しない。慣れない布陣でつなぐのが精一杯の攻撃は磐田守備陣に読まれてパスカットされまくり、守備もマークずれが激しくスカスカの印象。

15分、ジウシーニョがボックス内でこぼれ球を拾ってシュートするが、ポスト右。18分、上田が徳永の後方へ好フィード、飛び出した船谷がクロスを上げ、逆サイドに走り込むジウシーニョがダイレクトで蹴り込んだ。電光石火の速攻。0−1。先制した磐田は動きを落ち着かせ、東京も少しずつつなげるように。23分、大黒が落としたボールを石川がシュートするがDFがブロック。28分には左CKから混戦となり、こぼれ球を梶山がシュートするもGK川口がキャッチ。

しかし33分、磐田に追加点。流れの中からボックス手前で前田が仕掛け、ワンツーでキムを、切り返しで今野を抜き去ってゴール左にゲットした。シュートも権田の逆を突く見事なもの。0−2。その後も東京はセカンドボールに足が出ず、とにかく動きが重い。38分、大きなパス交換からジウシーニョが飛び出して権田と一対一になるが、シュートはポスト右を抜けた。終了間際にはボックス手前で前田がフェイントからシュートするも、これも僅か右に外れてくれた。
 
 
後半、前半のうちにキム→大竹と交代していた東京は徳永がボランチに、松下が左SBに入って4−4−2に布陣を変更。監督から檄が飛んだのか、前半に比べればアグレッシブな動きで前がかりに。しかしチャンスを作るのは磐田の方で、49分、逆襲速攻からジウシーニョのパスで前田がボックス左に飛び出してシュート、権田がストップ。55分、左サイド突破した菅沼が低いクロス、権田と今野が交錯して前田の足下にボールが落ちるが、シュートは外れて命拾い。

流れが変わったのは59分。右から切れ込む石川のドリブルに対して磐田の寄せが甘くなり、石川は思い切って左足を一閃。ドライブのかかったボールは川口の頭上を越してあっという間にゴールへ飛び込んだ。久々に出たスーパーナオ!1−2。ちょうど磐田の足が止まり始めた事もあり、ここから全体的に東京が押し込む形に。平山投入直後の69分には右CKから波状攻撃となり、石川のクロスを受けた森重のボレーシュートが左ポストを叩く。お、惜しい。

ところが、東京の攻勢もここまで。パスを回しながらも磐田DFを崩す形はほとんどなく、いくつか上がった松下のクロスも川口とDF陣が着実に処理。逆に磐田はカウンターから幾度か決定機をつかみ、特に79分にCKから古賀のヘッダーがポスト右を抜けた場面や81分にやはりCKから菅沼のボレーがバーを叩いた場面、それと89分にジウシーニョが権田と一対一になった場面は完全に1点ものだったが、不思議と決まらず。結局、1点差のまま試合終了となった。
 
 

昨今のFC東京の不振ぶりが典型的に表れた試合だったように思う。

スコア的には接戦となったが、それはジュビロの詰めが甘かったから(決定機の数は6対1くらいか)で、内容的には完敗だった。特に4−3−3−で臨んだ前半は中で前進しようとすればパスカットされ、外のウイングに回せば孤立し、守っても相手のパス攻撃に翻弄されてプレッシャーをかけられず、良いところが全くなかった。後半は昨年来やり慣れている4−4−2に戻して少し持ち直したものの、カウンター対応がほとんどできていないなど隙がありまくりだった。

浦和戦の時も書いたように、これはシステムがどうとか選手の出来が云々という以前の問題で、今季半年間のチーム作りが失敗してきた結果なんだよね。芯がないところで形をしょちゅういじり回すから、選手は戸惑って実力を発揮し切れてないように見えるし、当然結果も出ない。観ている側も単なる好不調の波を超えたチーム力の向上を感じることができず、不満がたまっていく。でも事態を打開しなきゃいけないからまた何かをいじって……まさに悪循環である。

これまた前回も書いたことだけど、こういう時には「何かを大きく変えること」と「何かを固くやり抜くこと」のどちらか、あるいは両方が必要になる。さてFC東京はどういう選択をするのだろう……と書いていたところに「城福監督解任」との発表が。ありゃりゃ。

まあ、仕方がないな、と。最近の城福監督は采配もグラグラ揺れ動いて自信がなさそうだったし、試合後のインタビューなんかも凄惨な雰囲気さえ漂ってちょっと見てられない感じだった。判定やら日程やらに噛みつくことも多くなってたし。高い志をもって「タイトル争い」を掲げていた城福さんにとっては、「うまく行っても残留(と天皇杯)」しかなくなってしまった現状はモチベーション的にも難しいものがありそう。ここで一休みしてもらうのがベターかとは思う。

チームとしても、取りかえしのつかない状況に陥らないためには残り11試合の今がギリギリの所だったのだろう。それはよくわかる(もちろん裏目に出る可能性もあるわけだが)。で、問題は後任の監督だが……熊かよ(笑)!!いやあわかりやすいというか安易というか、結局「身内」に戻るパターンかよ、という。でも時間もないし仕方なかったのかな。来年以降も見据えた人選をしてほしいと思っていたのだけど……あ、残留したらそのまま来年も大熊さんか。

とにかく、城福さん、お疲れ様でした。とりあえずさようなら。いつかまた、どこかで。
 
 
[追記]
上では「熊かよ(笑)!!」なんて失礼な書き方をしたけど、実は個人的にはちょっと嬉しかったりする。まあ、万一J2に落ちたとしても、2部の戦い方を知ってる監督だしな(笑)。
 

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コメント

私もメインスタンドの最前列で応援していましたが、新システム、全く機能しませんでした。

石川がサイドに張るので徳永が前に上がれず、かといって石川がトッブの位置に入ってもポールは来ず。ヤマハはスタンドと選手が近いので、石川がイライラしているのが、痛いくらい分かりました。

梶山も最初は高い位置にいたのですが、守備のマークがずれているためフォローに走り回り、攻撃に移るときには低い位置まで下げさせられてました。

負傷者の影響で4-4-2に戻してから、少し落ち着きましたが、徳永は右SBからボランチ、そしてCBとポジションチェンジ。これだけ試合中に動かしては、いくらなんでも連携は取れないでしょう。

城福監督は好きな監督なので解任は残念ですが、懸命に修正を続けているうちに機能不全になってしまった以上、仕方ないと思います。

後は選手が意地を見せて残留してくれる事を信じてます。現在の順位は監督だけのせいではないことは、選手が一番分かっているはずですから。

磐田戦お疲れでした、大和も暑かった&熱かったです。

今日のツイート見ててビックリしました。
城福さんもオクもお疲れでした。
今期はこのままでシーズン後だと思ってたんで(本人も)ショックだったですね。
仕方ないと言えばそうなんですが…壊れる姿も見たくないですし。

ポゼッションは先制してからですね、「SEXY東京」コールしながらw
長澤さんも頑張って下さい。

身内に「戻る」と言うより、「続く」だと思っているんですが、実際はどうなんでしょうかね?

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