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2010年03月22日

●浮上のきっかけはどこだ (FC東京×セレッソ大阪)


一昨日の夜は、味の素スタジアムでJ1第3節。FC東京 0−0 セレッソ大阪。開幕横浜戦を劇的な勝利で飾ったものの、前節は鬼門埼玉で浦和に敗戦を喫した東京。ホーム連勝で弾みをつけたい今回の相手は、J2からの昇格組であり今シーズン初勝利を目指すセレッソであった。味スタ今季初のナイトゲームは双方ともに様々な問題を露呈する内容の乏しい試合となり、2万観客のため息とブーイングと沈黙の交錯する中でスコアレスドローに終わってしまった。
 
 
立ち上がりはセレッソ攻撃陣の意欲的な動きが目立った。3−6−1の布陣で1トップのアドリアーノを狙った縦パスと、香川・乾の変幻パス交換を交えて攻勢に出ようとする。しかし、先にチャンスを作ったのは東京。6分、フェイントでDFをかわした平山のシュートがポストわずか左を抜ける。直後には平山のパスから赤嶺がシュート、GKキムがキャッチ。8分には茂庭が石川を倒してボックス左でFKとなり、クロスに平松が飛び込むもキムがきわどくクリア。

DFラインのメンバー変更にも関わらず東京のブロック守備は機能しており、セレッソは香川・乾がパスを回しても、両サイドで東京が優勢なこともあって後方からのフォローが遅く、なかなかボックスに入れない。逆に東京がパスカットからシンプルにDFのギャップを突いてチャンスを作る。11分、徳永が中盤を持ち上がって赤嶺とのパス交換でボックスへ突入するが、ラストパスが合わず。20分には羽生の強烈なロングシュートをキムが横っ跳びでキャッチ。

完全な東京ペース。だが、やはり中盤から前でのパス精度や動きだしのズレが多く、決定機はさほど多くない。27分、羽生の技ありパスからカウンター。石川のシュートをキムが弾いたボールを羽生がゴール前に入れ、足下に収めた赤嶺が反転シュートするもキムがまた好セーブ。残り時間が少なくなると東京も息切れし、セレッソもいい形を作るように。37分、香川がドリブルで右サイドを突破、クロスを権田が弾いたところで尾亦がシュートするが、長友がブロック。
 
 
後半開始。47分、バイタルエリアからドリブルで仕掛けた石川が左足でシュート、キムがキャッチ。直後にはリフティング混じりのドリブルで香川がCBの間を突くが、幸いシュートはバーを越した。その後は東京がスカスカなセレッソの中盤に対してほぼ一方的にボールを支配するも、相変わらず相手の守備を崩すコンビネーションが出ない。57分、DFと正対した平山がフェイントから鋭く左足を振り抜くが、ボールは左ポストを直撃して決まらず。これは惜しかった。

58分、東京は松下に替えて大竹を投入。久々の「スイッチ」投入に期待が高まるが、攻撃はほとんど加速しない。60分にはコーナー付近でボール処理をミスしたDFから大竹がボールを奪うも、羽生のクロスはFWに合わず。逆に、交代後は攻守のバランスが微妙に狂ったのか、セレッソ側のサイド攻撃に勢いが出てしまう。63分、マルチネスのパスで香川が左サイドを突破、権田がクロスに触れず冷や汗。69分、石川OUTで初登場のリカルジーニョIN。

注目のリカルジーニョだが、ガンガン仕掛けるかと思いきや中途半端なつなぎプレーに終始し、守備時にはDFラインに吸収されて相手の攻撃を呼び込んでしまう。71分、乾のパスで尾亦が左サイドを突破、香川のヘッダーがバーを越えてヒヤリ。好機と見たかセレッソはここで播戸を投入。アタッカーがバラバラな東京は何とか立て直すべく、羽生→鈴木達の交代。81分には平山のポストプレーから大竹が強烈なミドルシュートを撃つも、キムがまたしても弾き出す。

終盤は双方中盤がユルい中で粗い攻め合いに。東京はSBキムがアーリークロスを入れるが、待ち構えたDFにはね返される。そしてロスタイム。91分、ボックス手前のパス交換から香川がゴール前へ突入するが、足を滑らせてくれて命拾い。92分、浮き球を叩いた播戸のボレーは枠外。さらに93分、左サイドをスポンと抜けた乾のクロスがゴール前フリーの播戸へ通るも、トラップに手間取ったところを権田が前に出てセーブ。0−0のまま試合終了となった。
 
 
開幕戦の時は「「ここから」くらいが丁度良い」なんて書いたけど、そこから下がってどうする(笑)。……というと言い過ぎかもしれないが、あまり良くなってないな〜、という試合だった。

セレッソに関しては、正直なところここまで対戦した3チームの中では一番弱かったように思う。香川・乾の変幻自在なコンビネーションは確かに魅力だが、それ以外に突出した選手はおらず、チーム全体としても機能しているとは言い難い。3バック・両サイド・ボランチ・アタッカーが分離していて中盤はかなりユルい印象であり、主力MF2枚を欠く東京にとっては願ってもない相手だったはずだ。それなのに、1点さえ奪えなかったのだから失望感は否めない。

なんというか、確かに梶山・米本の穴は大きいのだが、後半のバラバラぶりなんかを見るとそれ以前に選手たちの間で攻撃のイメージが全然共有できていないのではないかと心配になってきた。さすがに石川がいる時は仕掛けのイメージが明確になっているようだけど、彼が退いてしまうと途端にどう動いたら良いのかわからなくなってしまうという。単に平山・赤嶺目がけてクロスを上げても駄目なのはわかってるのに、まるでそれ以外に選択肢がないかのような。

これは、実は今に始まったことではなくて、もしかしたら昨年の秋に石川が負傷して以来(あるいはカボレが中東に移籍してしまって以来)チームが抱え続けている問題なのかもしれない。城福流パスサッカーの要である梶山もしばらく出られなさそうなことでもあるし、また一昨年に3トップにした時(あるいは昨年3トップをあきらめた時)のようなコンセプトの変更が必要になるのかもしれない。まあ、ここら辺はあと何試合か見てみないとまだわからないけど。

一方、この試合で良かった点を挙げるとすれば、完封したことに尽きるのではなかろうか。3試合でわずか1失点。今回も、キム・平松と2人DFを入れ替えたのに(後半ロスタイムの集中の欠如を除けば)あまりほころびが見られなかった。攻撃はある意味水ものでもあるわけで、チームが今後タイトルに挑んでいく上でベースになるのはディフェンス。守備が比較的安定しているのは好材料に違いない。MFに比べれば監督も駒の使い方に迷ってないように見えるし。

個々の選手について。羽生は後半途中までキレキレの出来だった。梶山・米本不在の中で貴重な「気の利く」選手である。徳永は少しずつマシにはなってきているけど、やはりパスさばき云々の選手じゃないよな(ドリブルで運んだ方が早い)。リカルジーニョは練習試合で点をとっていると聞いて期待してたんだけど、全然駄目だった。特長が見えなかった。同じく初登場のキム君は、守備は悪くなかったけどフィードが平凡だったか。ただしサウスポーは貴重な存在。

いやー、でもやっぱし、勝てなかった上に内容が良くなかったのだからファンとしては当然ながらストレスがたまってしまう。こんな試合を続けていては「味スタを満員」に出来るはずもないのは言うまでもない、よね。次の大宮戦はきっちり勝ってほしい。
 
 
[付記]
茂庭は元気そうだった。全盛期のスピード感はないかもしれないけど、守備ではけっこう粘り強く頑張っているように見えた。終盤には機を見て攻め上がる場面もあったのだが、そこでほとんど何もできないのは東京在籍時と同じ(笑)。ベテランになると得意不得意は仕方がないやね。
 

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