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2010年03月07日

●開幕戦は「ここから」くらいが丁度良い (FC東京×横浜Fマリノス)


昨日の午後は、味の素スタジアムでJ1第1節。FC東京 1−0 横浜Fマリノス。さて、待ちに待った、というと言い過ぎかもしれないけど(笑)、いよいよJリーグ開幕だ。我らがFC東京、初戦の相手は木村和司監督就任・中村俊輔復帰で何かと注目を集める横浜Fマリノスであった。悪コンディションの中で行われた試合は、双方調整不足を露呈するミスの多い内容となったが、後半に怪我明けの主力を投入した東京が終了間際の得点で幸先の良いスタートを切った。
 
 
今年の開幕イベントは女子柔道48kg級で目下世界最強の(谷亮子より強い!)福見友子選手によるゲストスピーチ。まあ、率直に言って「地味だなあ」という感じは否めないのだが、しかしそもそも開幕戦だからといって派手な「イベント」で無理に盛り上げる必要があるのかいな、という気もするので、こんなもんでいいっしょ。
 
 
キックオフ。この日は朝から降り続く雨によりピッチ状態は悪く、選手たちは滑る足下やボールの転がりの不規則さに苦労しながらのプレーとなった。東京は怪我明けの石川・梶山がベンチスタートで、もちろん米本もいないためMFは松下・中村北斗・羽生・徳永。いかにも苦し紛れの布陣だが、DFの森重・椋原と合わせてとりあえずイケメンは総動員したメンバーと言えよう(笑)。対する横浜は渡邉・長谷川の2トップで山瀬と狩野が前目に張る4−4−2。

開始直後、右サイドのFKで松下がDFライン裏側に鋭く曲がり落ちるキック。中澤に競り勝った北斗が頭で合わせるが、ボールはポストに弾かれて決まらず。いきなり補強の効果を実感した場面だったが、その後は横浜が優勢に。プレス守備からショートパスをつないで攻め寄せてくる。8分、山瀬のドリブルから右の狩野へ展開、速いクロスを森重がきわどくクリア。11分、田中が椋原を振り切って左サイドを突破、クロスがフリーの渡邉に渡りかけて冷や汗をかく。

東京もブロック守備で耐えつつ反撃を図るが、ボランチの徳永が展開力に欠ける上に北斗もつなぎに加わらず、松下は消え、孤立した鈴木が無駄に走らされてばかり。椋原の攻撃参加は目を引いたものの、クロスは中澤に阻まれて平山に届かない。もっとも、東京にとって幸いだったのは、横浜もボール支配の割にはチャンスを作れないこと。ボックス外からのワンツーや浮き球は精度が低く、渡邉は今野ががっちりとマーク。双方ミス連発の中、膠着した状況が続く。

28分、横浜陣でボールを奪った北斗から右の鈴木へ展開。鈴木はボックスへ突入してフリーで走り込む北斗へ折り返すも、北斗はシュートをふかしてしまう。34分、横浜は右サイドのFKからボックス内で長谷川が浮かし、渡邉が落としたボールを拾った兵藤がDFを外してシュート、権田が倒れながらストップ。44分、中澤のロングキックをタッチ際で渡邉が拾って切れ込み、混戦の中でシュートするがポスト左。ピリッとしない雰囲気のまま前半終了となった。
 
 
後半の立ち上がりは横浜が攻勢に出る。45分、ボックス手前で東京DFに絡まれながら渡邉が突進し、右の狩野からの折り返しに長谷川が走り込むが権田が押さえる。49分にはバイタルエリアに躍り込んだ山瀬のミドルシュートがゴールわずか左上を抜けた。57分、カウンターから松下のラストパスで長友がボックスへ突入したが、中澤が体を入れてブロック。焦れた(?)横浜は60分、狩野OUT坂田INの交代。一方の東京は羽生に替えて梶山投入。

くせ者の狩野がスピード型の坂田に替わったことで横浜はパス回しの怖さがやや減り、逆に東京は梶山のパスさばきで攻撃のリズムが(少しだけ)改善。64分、松下のロングFKのこぼれ球を徳永がボレーで狙うもヒットせず。66分にもカウンターから北斗が怒濤の突進でボックス内に入るが、横浜DFが懸命に防ぐ。そして68分、北斗OUT石川IN。怪我から驚異の回復で復帰したエースの登場にスタンドが沸き立つ。さらに75分、鈴木→赤嶺の交代。

その後は中盤が開いて攻め合いに。76分、ボックス右からのFKのはね返りを梶山がボレーで狙うがバーの上。77分、東京は逆襲の場面で左サイドを平山が抜けるが、クロスは赤嶺・石川に合わず。81分、横浜はボックス周辺のパスワークからゴール前にこぼれたボールを坂田が狙うが、森重必死のタックルで枠外。87分には東京はまたもカウンターから左サイドに出た松下が好クロス、平山が落としたボールに赤嶺が飛び込むもシュートは枠に飛ばせず。

88分、左サイド深くから平山がDF2人のタックルをはね飛ばしながら突進、強烈なシュートがサイドネットに刺さる。そしてロスタイムに入った直後、東京は赤嶺のポストプレーを起点に右から石川・赤嶺・平山と並ぶカウンター。小椋のタックルをひらりとかわした石川は赤嶺にマークが付いたのを見て逆サイドにグラウンダーを送り、平山が落ち着いてゴール左隅に蹴り込んだ。見事としか言いようのない逆襲の一撃!劇的なゴールでそのまま東京が勝利を収めた。
 
 

正直内容は良くなかった。だからこそ、最後のカウンター攻撃の価値は高い、と思う。

プレビューにも書いたように、開幕戦はそのシーズンのチームのお披露目の場。だからファンとしては「今年はどんなチームが見られるのかな〜」とウキウキ気分でスタジアムに足を運ぶわけだが(って、俺だけか?)、今回はまあ主力MF3人が先発できない時点でわかっちゃいたけど「参考外」だった。特に前半の出来はひどく、松下の高精度FKと28分のショートカウンターを除けば自分たちのサッカーが全くできなかった。何しろシュートがたったの2本である。

それでも勝てた要因を挙げると、一つには対戦相手のサッカーの完成度が低かったこと。もう一つは、昨年のブロック守備戦術がちゃんと引き継がれていたことだろう。思い起こせば昨季は攻撃で新しいコンセプトを追求する一方で、守備戦術の崩れが序盤の苦戦につながった。今季は攻撃がイマイチな代わりに、守備の熟成度は損なうことなくシーズンインすることができた(ように見える)。リーグ戦で結果を目指す上では、今季の方が良い傾向ではなかろうか。

それにしても、である。米本の穴の大きさを思い知らされる試合でもあった。梶山・石川がしばらくフル出場できないとなるとなおさらに。ボランチで代役出場した徳永はやはり展開力やアタッカーのキャッチアップの部分で物足りなかった。元々一点突破的なフィジカルが強みの選手なので、攻守に広い視野を求められるポジションは向いていないのかも。松下を下げるか、成長した今野を前に上げるか。徳永の上達待ちを含め、しばらくは試行錯誤が続くのだろうか。

当分の間は、この試合でもそうなったように、基本的には守りを固めつつセットプレー(審判の判定基準の変更により増えそう)やカウンター攻撃でチャンスを作っていくしかないのだろう。そうして何とか上位に踏みとどまっている内にベストの組み合わせが見つかって……というのが理想的なシナリオになるのかな。しかし、松下や森重をとって「地味だけど良い補強したなあ」なんて思ってたら、米本が壊れた時に控えの守備的MFが誰もいないという罠が(笑)。

個々の選手を見ると、MVPには何といっても平山を挙げなければなるまい。決勝ゴールの落ち着きぶりも素晴らしかったし、その直前にDF2人を振り切ったプレーなんて完全に国見時代の姿だった。今季は15ゴールくらいはとって完全に「ストライカー」として代表クラスになってほしい。新戦力の2人は、いずれも自分の持ち場でしっかり仕事をしてくれた印象。石川の復活もとても嬉しい。ちょっと心配なのは、長友と羽生が調子悪そうに見えたことだろうか。

まあ、城福監督の試合後のコメントにもあった通り「ここから」だよね。ここから。

Fマリノスの方は、前半の勢い込んだパス攻撃に新監督の方向性が見えていたのだろうか。ただ、熟成度はまだ全然低く、敵陣まではつなぐことができてもバイタルエリアに入ると連携が駄目、という感じだった。こちらも「ここから」なのかな。気になるのは、残念ながらベンチ外だった中村俊輔の使い方。今回は少しチマチマしたサッカーになっていたので、彼が入って大きな展開が加わると面白いかもしれないが……。もし山瀬が余ったらウチにちょーだい(笑)。

あ、そういえば、プレビューで10年前の開幕横浜戦の事を書いてて「東京は浅利引退・藤山退団であの時のメンバーが1人もいなくなっちゃったな……」とか思ってたんだけど、横浜はまだ松田と波戸が現役で頑張ってるんだね。凄い人たちだ。
 
 
試合後は、東すか編集長とカミさんと3人で新宿三丁目に出て居酒屋で祝勝会。もつポン酢や鶏すき焼きをつまみにプレミアムモルツ4杯と角ハイボール2杯(別に社長へのあてつけではない(笑))。さらに飲み足りないので同じく三丁目のブリティッシュパブでガンバ大阪×名古屋戦(ガチャさんその守備は……)を観ながらバスペールエール、フラーズESB、ギネス。試合後に飲み過ぎて二日酔いになるあたりも「ああ、開幕したのね」と。これが9ヶ月も続くのか!
 

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コメント

モルツを飲んだらもっさんにしばかれますよ(笑)。

CBにキムor徳永で、今チャンボランチはダメですか?

あと、賛同が得られるかわかりませんが、城福さんが、サッカー選手が子供のあこがれの職業no.1になっていないことで奮起してましたが、東京を例にとると、チームを支えてきたベテランが、ちょいと使いづらいからといってすぐ放出されるてしまうようでは、とても小さい子の憧れの職業にはならないと思うのですが、、、どうでしょ?

>モルツを飲んだらもっさんにしばかれますよ(笑)。
だって、プレミアム美味しいんだも〜ん。

>CBにキムor徳永で、今チャンボランチはダメですか?
非常に微妙ですね〜(笑)。徳永のCBは原さんの時の不安な記憶があるし、キム君は未知数だし。

>チームを支えてきたベテランが、ちょいと使いづらいからといってすぐ放出される
>てしまうようでは、とても小さい子の憧れの職業にはならないと思うのですが
うーん……でも、今の東京は(少なくとも他のチームに比べれば)ちょいと使いづらいからといってすぐ放出しているわけではないと私は思ってます。

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