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2009年11月23日

●ヒミコとユキヒコの旅(接触篇)


三連休の土日は九州に行ってきた。佐藤由紀彦ファンのカミさんがV・ファーレン長崎の試合を観に行くので、そのお供である。日曜の千葉×東京@フクアリにも(去年のアレもあったし)後ろ髪を引かれたのだが、何しろ今回の長崎の対戦相手はアマラオのいるFC刈谷なんである。つまり「由紀彦×アマラオ」(笑)。ただ、いくら何でもJFL観戦だけではアレなので、ついでに吉野ヶ里遺跡見学を兼ねてみようと。カミさん曰く「目的はヒミコとユキヒコ」だって。
 
 
土曜の朝、8時前の羽田発スカイマークで福岡空港へ。博多から長崎線急行「シーサイドライナー」に乗って鳥栖で各駅停車に乗り換え、11時半過ぎに吉野ヶ里公園駅到着。飛行機がかなり遅れたのでこの時間になったが、それがなければ3時間ちょっとで着きそうな感じ。カシマスタジアムより近いな(笑)。福岡空港ではレベルファイブスタジアムが、鳥栖駅ではベストアメニティスタジアムがすぐ目の前に見えた。アウェイファンには実に嬉しい立地だわなー。

途中、博多駅での乗り換えの際、ホームに博多ラーメンのお店を発見。いやあ、やっぱり最近はこういうのがあるんだね。名古屋駅ホームのきしめんなんかが昔から有名だけど。昼食にはちょっと早かったのだが、とりあえずラーメンを1杯すすってみた。うーん……大ぶりのネギがいい感じだし、スープは熱くてさっぱりしていて割と美味しい、かな、という程度。
 
 

キレイな駅から田舎道を10分ほど歩いて吉野ヶ里歴史公園。ここは1980年代以降本格的に発掘された日本最大級の遺跡で、現在では弥生時代後期の環濠集落の様子が再現されている(Wikipediaの記述によれば、「日本の城郭の始まりとも言える」とのこと)。雄大な敷地に多数の住居や倉庫、濠や塀、さらには墳墓までが再現されて雄大な公園となっていた。一昔前の古代遺跡ブームの時には随分にぎわっていたそうだが、今はお客さんも少なめだ。

復元された住居などに入ってみる。当時の人に合ったサイズだから、やはり僕らには少々狭すぎるようだ。意外だったのは、王の家も他の住居とさほど違いがなかったこと。技術的な限界があったのかもしれないし、当時はまだ(身分的な差はともかく)経済的に大きな格差が発生するほどの物質的な余裕がなかったのかもしれない。物見やぐらに上ってみると公園全体が見渡せて気持ちがよかった。誰だ、「馬鹿と煙は高いところが好き」とか言ってるのは。
 
 
「北内郭」という、まつりごとが行われていた場所。さすがに権力の中枢だけあって厳重に塀で取り囲まれているし、中心の建物も例外的にサイズが大きい。2階の大広間では王とその他の有力者の会議の様子が人形で再現されている。今風に言うと閣議ですか。さらに上の3階では、巫女さんが何やら儀式中。この時代はやはり祭政一致なのね。


「北内郭」のさらに奥に建てられた墳丘墓。歴代の王はここに埋葬され、中からは十数棺の甕棺が発掘されたそうで、発見された時の様子が再現されている。まあ、本当に聖なる場所だったんだろうね。それぞれの穴には2千年弱の経過によってバリバリに割れた棺と青銅の剣が収まっていた(さすがに人骨はなかった)。割れた卵形の甕棺の様子を見て「ギャオスの卵みたいだな」と思ってしまったのは、我ながら不謹慎で「昔の人、ゴメンナサイね」である。


そして実はこの墳丘墓、入口が「北内郭」や王・有力者の住居がある「南内郭」とは逆方向(北)を向いているのはまあわかるとして、その入口と「北内郭」とを結んだ線上のはるか先に雲仙普賢岳の山頂がある、という事実には驚かされた。というか、その技術と発想の神秘にちょっと感動した。昔の人スゲー。ちなみに、その線上の屋外には王以外の墓がいっぱいあった。甕棺というのは陶器2つをくっつけて遺体を収めるので、ガシャポンのカプセルのようでもあるな。


それにしても、集落内に巡らされた環濠や塀の厳重なこと!正面入口の脇には「逆茂木」なんていうトラップも仕掛けてあったし、「集落」というより「要塞」と呼びたいような。後の「城郭」の走りというのも頷ける話である。墓からは首のない人骨や矢尻の残った骨も見つかったそうだし、この場所だけをもって「倭国大乱」の証拠とするのは微妙かもしれないけど、まあその頃から普通に戦争やってたんだね。つか、青銅器の武器では殺されたくないなー。滅茶苦茶痛そうだ。

場内の展示室では『よみがえる邪馬台国』という特別企画展をやっていて、魏志倭人伝の解説やら当時の遺物やらがズラリと並んでいた。縫目の残る絹織物やガラス細工など、当時の高い技術をうかがわせる展示はなかなか興味深い。邪馬台国九州説については……どうなんだろう。とりあえず吉野ヶ里は違うらしいけど、まだ結論は出ていないというところか。つーか、九州の人が九州説を、関西の人が畿内説を一生懸命唱えたりするのは微笑ましいっすな。
 
 

吉野ヶ里公園駅に戻り、親切なJR九州の駅員さんから切符を買って長崎へ向かう。佐賀で特急「かもめ29号」に乗り換え。この電車が良かった!885系の車両(通称「白いかもめ」)に当たったのだが、とてもきれいだし、シートも革張りで柔らかい。気持ちよくてウトウトしっぱなし。僕たちは普通の指定席だったのだが、グリーン車をのぞいたカミさんは「ビジネスクラスみたい!」と驚いていた。「JR九州、あなどれんな~」と妙な感心をしているうちに長崎到着。

実は、長崎は初訪問だったのである。「コンパクトで、けっこうゴチャゴチャした街だな」というのが第一印象。山と湾に挟まれているのは神戸と同じだが、規模はこちらの方がかなり小さい。湾の地形や道路も曲がりくねっていて路面電車とバスと自動車が混在して走っていて、混雑加減なんかはちょっと広島あたりにも似ているような気がしないでもない。
 

「長崎といえば出島だろ!」ということで、路面電車(釣銭方式ではなく両替方式だということを忘れていて、焦った)に乗って「出島和蘭商館跡」へ。ここ数年でだいぶ当時の建物が復元され、1/10の模型なんかもできたらしいのだが……閉館間際で暗くなっていたこともあるのか、雰囲気がよくわからなかった。つーか、「出島」といってももはや周りが埋め立てられて内陸になってしまっているのが残念ではある。和洋折衷の内装とか展示とかは勉強になりますた。


すっかり暗くなった街をブラブラと歩いて中華街へ。同じ中華街でも横浜・神戸に比べるとかなりコンパクトな印象だった。「江山楼」で夕食。棒々鶏に春巻、フカヒレスープ、青島ビール。で、〆に評判の特上ちゃんぽんを食べてみた。そしたら、無茶苦茶美味かったんだこれが!!魚介類満載の豪華な具もさることながら、クリーミーで旨味たっぷりのスープが何とも……満腹のはずなのにどんどん入るっのが凄いな。あまりの美味さに写真撮るのを忘れた。

満足してまた路面電車に乗り、長崎駅まで戻ってベストウェスタンプレミアホテル長崎にチェックイン。こういうお高めのホテルには滅多に泊まらないので、やや緊張気味に過ごす(笑)。
 
 
夜中、寝る前にNHKの「サタデースポーツ」でJリーグ各試合の模様を確認。注目はやはりJ2昇格争いの天王山・甲府×湘南。逆襲速攻を武器に湘南が2点をリードするも、満員観衆の大声援を受ける甲府も粘り、後半半ばついに追いつく。で、迎えた後半ロスタイム、FKからアジエルのクロスに飛び出したGKが触れず、浮き上がったボールがクロスバーを直撃。はね返りを落ち着いてボレーで叩いた坂本がゴール右隅に突き刺して、湘南が劇的な勝ち越し勝利。

ダイジェストでもバンバン伝わる攻防の熱さや1点目の湘南の鮮やかなカウンターにも目を見張ったが、特に感動したのは決勝点である。あの場面でバーからああもいいはね返りが来るかな……よくポストやバーをDFに喩えることがあるが、この日のバーは12人目の湘南アタッカーだった。そして、ゴール前に密集したDFを避けて「これしかない」コースに突き刺した坂本もお見事、の一言。吹いてきたいい風を見事味方につけた、本当に素晴らしい得点だった。

興奮してなかなか寝つけなかったが、昼間の疲れに身を任せて何とか就寝。
 
 
(続く)
 

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コメント

ご無沙汰しております。
もしや、日曜日は雨にぬれて諫早の競技場に居たのですか?

実は…
私もそこに居たのですけど(笑)。

ちなみに日曜日の夜は、長崎市内の繁華街で大枚はいたいて卓袱料理に舌包み…
じゃなくて、トルコライス食っていました(笑)。

続き、楽しみにしています!

お疲れです、次は発動編ですか?w
鳥栖の立地が羨ましいサポーターは多いでしょうね。

>甲府×湘南
好カードでしたね。
ほうとうの小作×サンマーメンの三幸苑の戦いは最後まで目が離せませんね。
(食い物で考えるのもあれですがw)

>もしや、日曜日は雨にぬれて諫早の競技場に居たのですか?
いました、いました。いや、こないだブレディスローカップの後で森末さんと飲みながら「長崎でクロゴマさんに会ったら大笑い」とか話してましたし、日曜もバクスタに刈谷サポーターが数人いるのを見て「あの1人、クロゴマさんかも」とは思ってたんですけどね。残念ながら双眼鏡を持ってなかったので確かめられませんでした。「やっぱり」みたいな(笑)。

>トルコライス食っていました(笑)。
なんか、トルコライスも名物なんですってね。理由は全く思いつかないのですが。不思議です。

>次は発動編ですか?w
ネタばらししたらアカン(笑)。

>鳥栖の立地が羨ましいサポーターは多いでしょうね。
そうですねー。ただ、駅に近すぎて、駅の混雑がエライことになりそうな気もしましたが。佐賀あたりだと車で来る人も多いのかな。

>ほうとうの小作×サンマーメンの三幸苑の戦い
ほうとうは、再来年に食べに行くことにしましょう。つーか、そこでサンマーメンが出ますか……。

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