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2008年12月07日

●どえらいものを見てしまった (ジェフ千葉×FC東京)


昨日の午後は、フクダ電子アリーナでJ1第34節。ジェフユナイテッド千葉 4-2 FC東京。長かったリーグ戦もいよいよ最終節。クラブ史上最高の年間順位とACL出場を目指す東京の相手は、2部降格の崖っぷちに立たされた17位千葉。様々な感情の入り交じった一戦は、東京が高い個人技で2点を先制して優位に進めるも、信じがたい二枚腰を発揮した千葉が終盤一挙に4点を連取して逆転勝ち。壮絶なるJ1残留劇を目撃することとなった。
 
 
前半立ち上がりから、両チーム気合いをむき出しにした攻め合いに。東京は石川の代わりに鈴木達也が初先発してMFボックス型の4-4-2、千葉は巻を1トップに立てその後ろにレイナウド・ミシェウ・深井が並ぶ4-2-3-1の布陣。開始直後、ボックス右手前から鈴木がミドルシュート、GK櫛野が両手ではじき出す。7分、右からレイナウドの巻き込むクロス、ファーにミシェウが飛び込むも一歩届かず。激しいボール争奪戦、好守の切り替えもいつになく早い。

双方とも右MF(鈴木、レイナウド)が起点になる形が多いのだが、東京は速い集散から2トップと羽生が流動的にボールへ絡んでいくのに対し、千葉は選手間の距離が広く、個々の奮闘頼みの印象であった。いつも以上に果敢に飛び出していく羽生と、アーリークロスの的としてひたすら体を張る巻の2人は特に目立つ。15分、ミシェウのアーリークロスを巻が胸トラップからボレーシュート、塩田キャッチ。17分にはカボレのミドルシュートを櫛野がキャッチ。

23分、坂本のクロスを巻が佐原と競りながらヘッダー、威力なく塩田キャッチ。26分、カボレ→羽生→赤嶺→長友とつないで左サイドをえぐるも、羽生のクロスはFWに合わず。29分には長友のドリブル突破から赤嶺が戻したボールを浅利がミドルシュート、ポストのわずか左を抜けた。東京のリズムが良くなってきたのに対し、千葉は一本調子の「巻大作戦」が手詰まり気味。36分、レイナウドが弾道を変えながら連続してクロスを入れるが、いずれもFWに合わず。

38分、左コーナー付近から赤嶺→カボレ→長友とつなぎ、クロスを逆サイドの鈴木がボレーで叩いて櫛野が懸命のセーブ。そしてそのCK、横に走ってマークを外したカボレが頭ですらし、左隅にゴールイン。東京先制。千葉側スタンドからは「WIN BY ALL」のコール。負けられない千葉はペースを上げるも、サイドから巻に放り込んでははね返され、が繰り返される。44分にはレイナウドが入れた速いクロスをファーに走り込んだ深井が合わせるが、DFがブロック。
 
 

後半にはいると東京の優勢は一層明らかになった。47分、戸田からボールを奪った今野が中央を持ち上がり、左に流れた赤嶺がキープ、戻したボールを羽生が渾身のミドルシュート!ボールは右ポストを叩き、さらにこぼれ球を拾った鈴木のシュートがバーを越える。50分、赤嶺からのサイドチェンジで鈴木が右サイドを突破、速いクロスがDFとGKの間を抜けた。硬直状態の千葉に対し、東京はスペースへ走る選手をきっちり使ってチャンスを作っていく。

東京の追加点は53分。逆襲速攻で持ち上がる今野から左をオーバーラップする長友へ展開、中にも選手は上がっていたが、長友は思い切り良く切れ込んで右足シュート!櫛野の横っ跳びも届かず、低く鋭い弾道でゴール右隅に飛び込んだ。2-0。今季の千葉の得点力、そしてこの試合で見せていた攻め手の少なさを考えれば、決定的な得点のように思えた。ここでようやく千葉ベンチが動き、ミシェウに替えて新居を投入。しかし流れは変わらない。

東京は前がかりになる千葉攻撃陣の後ろを突き、テンポよくボールを動かして好機を作る。55分、右サイド突破した鈴木のクロスが逆に抜け、拾ったカボレのシュートを櫛野がキャッチ。58分、ロングフィードを新居が頭で落とし、あわやレイナウドが抜けるか、という場面は佐原が素早い寄せでクリア。59分、右から切れ込んだ今野がDF裏へ落とすボール、走り込んだ羽生は間一髪届かず。千葉は戸田1人では中盤を支えきれず、東京の3点目は間近に思われた。

63分、羽生OUTで大竹IN、同時に深井OUT谷澤IN。谷澤はいきなりドリブルでボックスへ突入、ヒヤリとする場面を作る。68分、カボレがフェイント交じりのドリブルでDFの間を抜けたが、シュートは大ふかし。71分、谷澤がミドルシュート(枠外)。73分、オフサイド崩れを拾った鈴木の折り返しをカボレがシュートするも枠外。谷澤が入って千葉の攻撃は活性化し、一進一退の攻防に。しかし東京も浅利が要所を押さえ、特に危ないようには見えなかったのだが……。

74分、青木と鈴木がボールを奪いあって交錯、こぼれ球をすかさず谷澤が前線へフィード。ボールは佐原の頭を越え、その背後に走り込んだ新居のボレーが塩田の手をはじいてゴールイン。DFにしてみれば最も対処しづらい類の、見事なダイレクトプレーだった。2-1。そして「やるなあ」と感心していたのもつかの間、77分、青木のロングフィードを前線の巻が長友をはね飛ばして落とし、フォローの谷澤がボレーシュートをゴール右隅に突き刺した。2-2。

これで試合は一気にヒートアップ。78分、徳永が長駆右サイドをえぐって鈴木のシュートがバーの上へ。その直後、CKのはね返りを工藤がゴール前でボレーシュートするもふかしてしまう。絶望の淵から蘇った千葉はもうイケイケの総攻撃である。そして80分、ボックス内でボールをクリアしようとした今野がレイナウドに絡まれ、思わず倒してしまいPK。レイナウドが冷静にゴール上に突き刺して決めた。2-3。わずか10分弱の間の3失点。唖然、であった。

今度は東京が意地の攻勢に出る。鈴木に替えて近藤を投入、どんどん前線へボールを入れて圧力をかける。83分、アーリークロスを赤嶺が落とし、ボックス内今野の足下へ。ジェフDFが懸命にかき出す。さらにCKの連続となり、大竹のクロスを赤嶺がヘディングシュートする場面もあったが、工藤がなんとゴールライン上でクリア。そして85分、戸田のクリアキックを新居がDF裏へ入れ、絶妙のタイミングで飛び出した谷澤が独走して塩田も抜き、ゲット。2-4。

場内騒然とした雰囲気に包まれる中、東京は浅利OUTで平山IN、4トップとも言える布陣でパワープレーに出る。しかし、千葉は巻を後方に下げ、さらに工藤に替えて下村を投入して対抗。尽きない運動量でこぼれ球を拾い続け、着実に時間を使っていく。スタンドでは「ヴェルディも、ジュビロも負けているらしい」というささやきも。結局、東京が決定機を作ることもないまま4分のロスタイムも過ぎて試合終了。「WIN BY ALL」が響き渡った。そして残留決定の歓喜。
 
 

なんちゅーか、どえらいものを見てしまった、見せてもらった、という感じである。

東京の出来は決して悪くなく、むしろいい部類だったと思う。闘志むき出しでかかってくる千葉の選手に対して気迫で負けているようには見えなかったし、後半半ばまでは羽生と鈴木の縦横無尽の動きもあり、よくパスを回して試合を支配(「人もボールも~」なら4-4-2の方がいいな)、きちんと2得点もゲット。浅利の助けで今野も復活した感があり、梶山の穴も特に感じられず、サイドからアーリークロス一本槍の相手に完敗するとはとても思えない内容だった。

分かれ目は千葉の選手交代だろうか。新居と谷澤の動きはよくDFをかく乱し、東京のDFラインを下げて混戦に持ち込む要因となったのは確かだ。それにしても、まさかわずか10分あまりの間に4失点を喫するとは……。ハードワークがもたらした3点目はともかく、1点目、2点目、4点目の勢いと精度はほとんど異常ですらあった。千葉ファン・サポーターだけではなく、やはりサッカーの神様の見えざる力が後押ししていたのではないかと、真面目にそう思う。

あえて東京の「敗因」を挙げるならば、2-0とした後しばらくの時間帯、いくつかあった決定機に決められなかったこと。あとは、「いいサッカーで勝ってやろう」という欲が出た(ように見えた)ことか。そこを「得点を入れて逆転する」こと以外眼中になかった千葉(まさに究極のダイレクトプレーだ)に足下をすくわれた、と。まあ、それも質の高いサッカーを求める志の高さの表れとも言えるわけで、今回はくさす気にはならない。むしろ、華々しく散ったと言えるかもね。

試合のMVPは、何といっても谷澤だろう。積極的なドリブルで流れを変え、精度抜群のシュートで貴重な2得点をものにした。持ち味の嫌らしい振る舞いで赤嶺の冷静さを奪ったのも大きい(笑)。同じく途中交代の新居も見事な仕事ぶりだった。彼ら2人が入るまでの千葉は「創造性のないグランパス」という感じだったのだが……。あと、90分フル回転で体を張り通した巻の頑張りには、見ていて胸が熱くなるものがあった。まさに「ミスタージェフ」だね。

東京の方では、まず鈴木達也の活躍が光っていた。スピードと運動量に加えて、個々の局面での判断が的確なのが良い。石川もうかうかしられないと思う。羽生も、後半途中までしかもたなかったけれど、揺れる心情にめげず攻撃をよく支えてくれた。今野は浅利と組むとやりやすそう。PKの場面は、生粋のDFじゃないところが出てしまった感じか。赤嶺も厳しいマークにさらされながら味方のシュートチャンスをよく作った。あとは、カボさんが決めてくれれば。

つーか、正直、逆転の後は「これはもう千葉残留で仕方がないな」と思っていたので、やる気マンマンの大竹のクロスをやる気ムンムンの赤嶺が頭で叩いた時には、思わず「あちゃー!」と叫びそうになった(笑)。あと、ボックス内で今野の足下にボールが落ちた時とか。

いや、しかし、結果は散々だったけれど、城福監督もコメントしているとおり、千葉の神がかり的ファイティングスピリットには学ぶべきところがあった。もちろん有終の美を飾るに越したことはないにせよ、この敗戦で東京が何かを失ったというわけでもない。むしろ、こういう試合は若いチームにとって貴重な経験になるはずだ。まだ天皇杯があるわけだし、仮にACLに出ようと出まいと、来年目指すところはまず「リーグ優勝」であることに変わりはないはずだから。

ともかく、ジェフ千葉の皆さんは残留おめでとう!!
 
 
(注)
フクアリの電光掲示板には試合の経過時間がデジタルで表示されないため、メモは場内のアナログ時計を見てとった。よって、今回、時間表記はけっこういい加減、かもしれない。
 

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コメント

お疲れでした、何ともいい難い試合でしたね。
清水戦でも同様な形に成りそうで怖いです。
少し時間が取れるので監督も粛清じゃなかった修正して貰えば良いかと。
入れ替え戦は磐田と仙台ですか、名波と由紀彦さんを2試合見れるんですね。

敗戦は確かに悔しいけれど、率直な感想は「素晴らしい試合を見せてもらったまた」です。


murataさんのご指摘どおり、東京の敗因は千葉の交代選手を抑えられなかったことだと思います。梶山有給の影響で、サブに守備的な中盤の選手がいなかったのも痛かった。

また、通常の試合なら同点の時点で、守って引分け狙いの選択もあったかもしれませんが、東京も勝ちに行きましたから、しょうがない結果だと思います。


東京の選手が気迫で千葉に負けたとは思いませんでしたが、あの日に限っては「勝利の女神」は、千葉に微笑んだのでしょう。

>梶山有給の影響で、サブに守備的な中盤の選手がいなかったのも痛かった。
そうですね、始めっから浅利さんが出ていたんで、リードした場面で浅利投入というある種の逃げ切りパターンが使えなかったのが思わぬ形で出てしまいましたね。もし、控えに浅利がいたら、羽生に代えて浅利ができたなあ・・・。

天皇杯は準々決勝が山だ(見に行きますぞ、私)。もし、勝ったらエコパまで行くのと同時に決勝のチケット確保に出ないと。

伝説になりそうな試合でしたね。
我が家は、私がFC東京ソシオで
妹が、ジェフ千葉ファン・・・。
正直、生きた心地がしませんでした。

いずれにせよ滅多にお目にかかれない、ある意味スペシャルな試合だったということで。06年の逆転勝利@フクアリの意趣返しをされたとも言えますが。

繰り返しになりますが、私は東京ファンというより、一サッカーファンとしてこの大逆転劇には鳥肌が立ちました。マジで。「すげえもん見た」と。

つーか、年に何回もこんな事があったら、それこそ生きた心地がしないですよね(笑)。確かに悔しい敗戦でもありますが、ちゃんと糧にしてくれるでしょう、今のスタッフと選手たちならば。

>我が家は、私がFC東京ソシオで
>妹が、ジェフ千葉ファン・・・。
ホッとしたでしょう(笑)。私の友人で「夫が東京ファン、妻が磐田ファン」という方がいらっしゃいますが、9月の5-1の試合の時は大変だったそうですよ。その後の清水戦1-5でどうにかバランスがとれたらしいですけど。

こんばんわ。
はじめまして。いつも楽しみに覗かせていただいています。
我が家,予算の都合でe2観戦でしたが、2-2になり、緑が負けていることを知った瞬間に、東京にはエンペラーズカップがあると犬の残留ををサポートしてしまった我が家4人のSOCIOをお許しください。
さらに娘の受験に犬の落ちないグッズを買おうかと思っていることもお許しください。

はじめましてー。

千葉の神がかりなゴールが決まるたび、思わず「ウォー!」と叫んで興奮してしまった私をお許しください(笑)。だって、どれもゴラッソだったんですもの。現地で、特にゴール裏じゃなくてメインスタンドとかで観ていたら、もう凄かったですよ。グルーヴが。

>娘の受験に犬の落ちないグッズを買おうか
まさに最強グッズ。娘さんにもぜひ「何があってもあきらめないように」とお伝えください。

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