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2009年11月25日

●ヒミコとユキヒコの旅(発動篇)


日曜日。7時半くらいに起床して身支度し、バイキングの朝食(良いホテルに泊まる醍醐味はこれですよ!!)を山盛り食ってからチェックアウト。雨模様の中、路面電車に乗って浦上まで北上し、「長崎西洋館」というラ○ホチックな建物近くの坂を上って原爆関係施設へ。以前広島の同じ趣旨の施設には行ったことがあるのだが、やはりこっちも見なきゃ、ということで。

まずは「長崎爆死没者追悼平和記念館」。展示施設とは別に、最近(?)追悼のための場所を設けたのは広島と同じ。地上には直径29mの水盤と、2つの大きなガラスケース(爆心地の方向を向いている)が。施設全体を水が流れる設計になっているのは、当時被爆した方の多くが水を求めたからだという。この辺も広島の追悼施設と同様だ。地下では静謐かつ荘厳な空間の中に、亡くなった方々の名簿が安置してある。さすがの僕もここではひたすら黙祷。


続いて市営の「長崎原爆資料館」。被爆前の長崎、原爆投下の瞬間、熱戦・爆風・放射能による被害、そして被爆者の訴えとこの惨状に至るまでの歴史的経緯。広島の資料館に比べればボリュームは小さいが、だからといって決して深刻さが失せるわけではない。記録写真を見ていた小さな女の子が母親に向かって叫んだ。「お母さん、ヒトがこうなってしまうん!?」。展示を見た後は隣の敷地にある爆心地へ。廃墟の中に残っていた浦上天主堂の柱……。

歴史の解釈や政治的なウンヌンがあるのならば、引っかかる要素の多いであろう資料館には立ち入らずともよい。また、小賢しいコメントなぞ発しなくてもよい。ただ、オバマ大統領には、その在任中にぜひ長崎か広島の爆心地に立ち、追悼施設で黙って花を置いてほしいと思う。それだけで世界へ向けての十分すぎるくらいのメッセージになるはずだから。
 
 

昼前に浦上駅から「シーサイドライナー」に乗って北上し、30分弱で諫早駅に到着。以前「長崎で食べるリンガーハットのちゃんぽんは美味い」なる話を聞いたことがあったので探してみたが、残念ながら駅前に見つからず。仕方なくケンタで昼食を済ませてタクシーを拾い、長崎県立総合運動公園陸上競技場へ。チケットを買って入場してみると案外(失礼)きれいで広々としたスタジアムだった。メンバー発表。残念ながら由紀彦はベンチで、アマラオは登録外。

ということでJFL後期第16節。V・ファーレン長崎 0-0 FC刈谷

序盤からペースを握ったのはホームの長崎だった。中心となったのはMFの原田武男。さすがに元J1のベテランらしくポジショニングが抜群で、攻めては的確な引き出す動きとパスさばきで味方を動かし、守っては右へ左へカバーに奔走して穴を埋め続ける。逆に言えば、「原田システム」と言いたくなるほど彼に依存したサッカーのようにも見えた。一方の刈谷は直線的なサッカーで、FWにガンと当ててゴールを目指すも、その後の展開がとても乏しい感じ。

ということで長崎がサイドから攻めたててチャンスを得る。が、サイドの単純なコンビ頼みゆえに刈谷の中寄りの防御も崩れず、精度の低いクロスをはね返されるばかり。刈谷の方も長崎のGK近藤(元東京)の堅実なプレーもあってチャンスはほとんどなく、スコアレスで前半終了。注目の刈谷・アマラオコーチはベンチに座ったままじっと動かず。浮氣監督(元東ガス)の熱い叫びにひたすら「そうそう」と相づちを打っているだけのようにも見えた。ビートきよしか(笑)。
 

後半も、立ち上がりから長崎がラッシュをかけるも崩しきれず。55分を過ぎる頃になると原田の運動量がグッと落ちて単なる「指示出し大将」になってしまう。これを見た刈谷は二列目が前がかりになり、組み立ては粗々ながらセカンドボールをどんどん拾って波状攻撃をかける。長崎、ピンチ!……のようにも見えたのだが、刈谷はシュートチャンスでことごとく枠に飛ばせずじまい。ただし、原田が停止している長崎も、岩本監督はなかなか交代のカードを切らず。

長崎初の(そして唯一の)交代は残り20分を切ってから。原田→川崎。「由紀彦じゃないのかよ!」と、東京からはるばる来た身にしてみれば叫びたくなるところなれど、この交代は(その遅さを別として)一応当たった。川崎はバイタルエリアでよくつなぎの役割を果たし、長崎の攻撃が再び活性化。MF大塚が幾度も右サイドを突破、クロスからFW福嶋やSB隅田が決定的なシュートを撃つ。が、いずれもきわどく外れたりGKのファインセーブにあったりして決まらず。

面白かったのはFC刈谷のベンチである。前半は浮氣が立ちっぱなしでアマラオはじっと座っていたのが、後半は浮氣が座りっぱなしでアマが前に出て指示を送る。特に攻勢の時間帯はまるで大熊さんのようなオーバーアクション連発(笑)。一体どういう役割になっているのか?あるいはアマラオに監督の修行をさせてくれているのか?そもそもアマにちゃんと指示が出せるのか?謎は深まるばかりだが、そうこうしているうちに0-0のまま試合終了となった。


いや、なかなか面白かった。こういうサッカーもいいよな、という。

正直なところ、いつも観ているJ1・J2や、ましてやテレビで目にする欧州の試合と比べると(当たり前だが)レベルは高くない。タッチライン際ではボールはすぐ外に出るし、プレッシャーを受けると慌ててパスをあさっての方向に蹴ってしまう。特に刈谷の方は「組み立て?何それ?」という感じ。それでも、サッカーはサッカーだ。そこには戦術的意図があり、持てる範囲でのテクニックの駆使があり、ひたむきな意志がある。東京だって昔はこんなチームだったはずだ。

試合後の小嶺社長の挨拶を聞くと、V・ファーレンは再来年度のJ2昇格を目指しているとのこと。丁寧につないでサイドから崩すスタイルには志の高さを感じるのだが、チーム力自体はまだまだか。当面、原田に依存した攻守のあり方からの脱却が課題になるのだろう。監督の岩本さんも熱血漢だが引き出しは多くなさそうで……。しかし長崎国体に向けて整備の進むスタジアムや国見高校の人脈など、好材料も持っているチーム。伸びしろの大きさに期待しよう。

残念だったのは、やはり由紀彦のプレーが見られなかったこと。前節では普通に先発したので期待していたのだが。由紀彦ファンのカミさんは今年5回目のファーレン観戦だが、由紀彦が見られたのはたった1回だそうな。勝率2割(笑)。彼のクロスは絶品なんだがなあ……。ま、姿が見られただけでもよしとするか。あ、もちろん刈谷のアマラオと浮氣の元気な姿が見られたのも嬉しかったっす。アマラオ、ホームではテントの片付けとかもやってるらしいけど。

試合後、由紀彦とアマラオがしばし語らっていたのはちょっといい光景。そして選手たちが引き上げるのを見届けて、コンコースで着替えてからスタンドを出たら、そこでファーレンの選手たちが即席のサイン会をやっていた。こういう「近さ」もまた、ファンにとってはJ1ではなかなか味わえない喜びだろう。東京がJFLで優勝した時も、確か駒沢の駐車場でサポーターが選手たちを胴上げしたんだよな。もちろんウチのカミさんは由紀彦に向かって猛ダッシュ(笑)。
 
 
まだ雨がパラつく中、ちょうどよい時間のバスがなかったので諫早駅まで歩いて戻った。所要時間30分弱だったろうか。途中微妙に道を間違えながらようやく駅に近づいたと思ったら、その国道沿いに黄色い看板が……「あ、リンガーハット!!」。さっき探した駅前とは反対側にあったのだった。うーむ。本当にそれほど美味いかどうかはともかく、食ってみたかった。残念。

諫早から大村線で2駅、大村駅でバスに乗り込んで長崎空港へ。ここは1975年に世界初の海上空港として開業したとのことで、海の上の長い橋を渡って行くエントランスは独特の趣。改修もされたのだろう、中もとてもきれいだった。スタバでお茶してから、中華レストラン「牡丹」で夕食。またちゃんぽん(笑)。「江山楼」の豪華さには比べるべくもないが、ツルツルシコシコの麺とシャキシャキのもやしはなかなかに美味。リンガーハットの悔しさ(笑)も少し晴れたかな。

19時頃のANAで出発。ボーイング777という新しめの機体だったせいか、気流にあおられた割には怖さがなかったような。追い風のおかげでわずか1時間半弱で羽田に到着。着陸時に窓から見えた東京の夜景は相変わらずの素晴らしさだった。その土地土地の夜景も悪くないけど、光の密度とボリュームが段違いだわな。香港はもっと凄いというが、どんなもんだろ。
 
 
ということで、我ながらおつかめさま。次に長崎に遠征するのは何年後になるのかな……。
 

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コメント

あれ?発動篇なのに皆生きてる・・・(笑)

わかる人にはわかる、いいツッコミであります(笑)。

リインカネーション(輪廻)して長崎で邂逅を果たしたって解釈だと思いましたがw

前のエントリーで平塚をサンマーメンのあそこにしたのは花水ラオシャンの酸っぱいタンメンだと人を選ぶと思われるからですw
自分にとっては湘南と言っても藤沢辺りから見ると平塚…川向こうのチームって感覚だったりします。
小平や東所沢に居た時期が長かったからかも知れませんが。

>リインカネーション(輪廻)して長崎で邂逅を果たしたって解釈

なるほど。自分でも気づかなかった(笑)。

つーか、いずれにせよ『イデオン』見てない人には何のことだかさっぱりわからないの介ですな。

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