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2009年11月12日

●国見パワー炸裂 ('09-'10天皇杯3回戦 テレビ観戦)

昨日の夜は、NHK-BSで天皇杯3回戦@長崎県立総合運動公園。FC東京 3-2 ザスパ草津。ナビスコ杯決勝のために日程変更となっていた一戦は、リーグ戦優勝が絶望的になったチームにとっては「2冠」への夢をつなぐ大切なゲームであり、国見高校出身の平山・中村北斗にとっては「凱旋試合」であった。草津の積極果敢なサッカーと強風に苦しめられる展開となったが、国見コンビのゴールなどで得点を重ねた東京が接戦をものにし、4回戦進出。
 
 
強風が吹きつける中でキックオフ。立ち上がりからペースを握ったのは草津だった。前目からの積極的なチェイスと、小気味よくつなぎながら前がかる攻撃。やや雑なプレーはあるものの、気後れは見られない。13分、ボックス右手前のFK、MF熊林のシュートがポストを叩く。一方、リーグ戦に比べて半分ほどメンバーを変えてきた東京は守備はそれなりに安定しているものの、攻撃ではフォローや動き直しの鈍さが目立ち、風上ながらなかなか前に進めない。

草津の攻撃の中心はやはり都倉賢。高さと攻撃性に柔らかさも加えたFWはこの日も存在感を発揮し、ゴール前では佐原と互角に渡り合う。29分には松下のクロスに対して佐原を振り切ってヘッダー、ポストのわずか左を抜けた。東京の側では攻撃陣の連携が悪い中で田邉が悪目立ちしている感じで、中途半端なドリブルをしてはボールを失っていた。23分、偶然はねたボールに反応した平山がDFライン裏に飛び出すが、有薗が気迫のカバーリングで防ぐ。

しかし、そんな苦戦の時こそセットプレー。32分、右CKを祐介(!)が蹴り、佐原が頭で叩きつけてゴール左にゲットした。それまで祐介はオフサイド連発であまり役に立っていなかったが、これはいいキックだった。1-0。これで東京はペースをつかみ、攻勢に。34分にはパスカットした米本が素早くラストパス、DFラインのギャップに走り込んだ祐介のシュートはポストわずか左に外れ。押されながらもきっちり1点リードし、悪くない雰囲気でハーフタイムへ。
 
 
後半は風上に回った草津が反転攻勢に出る。50分、松下のミドルシュートを塩田がキャッチ。51分、東京は不振の田邉を外して中村北斗。57分、左タッチ際でボールを奪った平山が一気に持ち上がって中央の祐介に折り返すが、シュートはGK正面。そしてその直後、GKのパント一発で抜けた都倉が前に出る塩田の上を抜くシュートを決めた。塩田は風を気にしすぎたか?いずれにせよ「怖いストライカーはどんな状況でも怖い」と痛感する失点だった。1-1。

その後も草津はかさにかかって攻めたてる。ところが、アタッキングサードまでは幾度もボールを運ぶものの、慣れないJ1の圧力ゆえか細かいミスが出て決定機には至らない。逆に東京は米本がセカンドボールを拾いまくり、60分に梶山を投入してからは中盤に余裕が出始める。そして63分、ボックス左手前のFKで北斗が右足一閃、ほぼ無回転の高速シュートは壁を越し、外へ曲がり落ちてゴール右隅に突き刺さった。いやあ、凄い迫力。ほあた!2-1。

その後も攻める草津、ブロック守備で受け止める東京、という構図が続く。76分、草津が廣山→高田の交代をした直後、右に流れた梶山からきれいなサイドチェンジが左サイドの羽生に通り、羽生はすかさずインスイングのクロス。DFの前で跳躍した平山が巧みなヘッダーをゴール右に流し込んだ。なんか最近平山の頭が凄い!ということで3-1。これで勝負あり、か……?だが、草津はまだ諦めなかった。吹っ切れたように速いパスで次々とサイドを突いてきた。

こうなると風上の勢いは怖い。81分、下がってボールを収めた都倉から左へ展開、小池のDFとGKの間を抜く好クロスを逆サイドへ走り込んだ高田が蹴り込んだ。3-2。さらに草津はバテ始めた東京を押し込む。82分には都倉からゴール前へ走る高田へスルーパスが通りかけるも、椋原がナイスカット。83分、左サイドをえぐる小池のシュートは塩田がキャッチ。終盤はさすがに草津も疲れが出て、赤嶺・平山が前線で粘って時間を使ってくれた。そのまま終了。
 
 
いやー面白かった。と、風にさらされないテレビの前のファンは余裕のコメント(笑)。

FC東京にしてみれば、必要にして十分な結果である。代表への拠出と怪我などの問題で多くの主力が使えず、おまけに中2日ではるばる長崎まで遠征しての試合である。内容的には物足りない部分もあったものの、90分で決着をつけて勝ち切れたのだから上出来だろう。つーか、城福監督も試合前にコメントしていたとおり、ノックアウトの大会なんて「とにかく勝てばいい」のだ。組織守備が安定してくると、こういう状況でも大崩れしにくくなるのがいいよな。

個々の選手では、平山のプレーがとても頼もしく感じられた。今回は凱旋試合(本人曰く「このスタジアムでは負けたことがない」とか(笑))だから気合が入っていたせいもあるのだろうが、すっかり表情が凛々しくなったね。中村北斗も同様で、国見組にはいい日だった。梶山は出場時間は短かかったけれどさすがのパスさばき。佐原も攻守で貢献してくれて、もしかしたらMVPは彼かもしれない。赤嶺・ブルーノ・平松あたりもきちんと役割は果たしていたように思う。

気になるのは、やはり激戦続きの反動からか疲れの見える選手がいること。椋原、羽生、米本あたり、か。もちろん彼らはそれなりにいい仕事をしてくれているけど、パフォーマンスは微妙に落ちているような。あと、この日も早い時間に替えられてしまった田邉についても心配。春の清水戦の頃は球離れも早くてキビキビとしていたのが、すっかりスランプに陥って煮え切らないプレーぶりに。デビューの頃の馬場憂太と同じで、長い目で見てあげないと難しいのかも。

まあ、次の試合もわずか4日後。今度の会場は丸亀だそうで、つくづく「お疲れ様」でである。相手は既に昇格を決めて勢いに乗っている仙台だから相当に手強いとは思うのだが、なんとかうまくやり繰りして可能性をつないでほしいものである。そろそろ大竹が見たいぞー。

ザスパ草津は、個人技の劣勢は否めないものの、小気味よい攻撃で実力を魅せてくれたと思う。特に都倉は……いや、間違いなく他のチームとの競合になるのだが、何とか獲得できないものだろうか。どう考えてもウチは来年FWが足りなくなるからねえ。試合終了の笛が鳴った後、倒れ込んだ都倉を90分間バトルった佐原が引き起こしてあげたのはいい光景だったが、来年は青赤の2人を応援したいもんだと思う。とかいって、2人とも川崎にいたりしてな(笑)。
 
 
[付記]
今月の下旬、このスタジアムでとあるJFLの試合を観戦する予定。

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コメント

最近は地元のチームがJ昇格を目指してJFLを戦っているため、JFLにも詳しくなれました。
>とあるJFLの試合
東京サポーターなら行かなきゃ!ですね。

>東京サポーターなら行かなきゃ!ですね。

ええ、懐かしい感じというか、センチメンタリズムというか、諫早の地でちょっとひたってこようかと。長崎って行ったことないし。

2人とも出なかったらどうしよう(笑)。

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