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2009年11月09日

●来年残しの宿題が、まず一つ (FC東京×浦和レッズ)


昨日の午後は、味の素スタジアムでJ1第31節。FC東京 0-1 浦和レッズ。2004年以来5年ぶり2度目のナビスコカップ制覇を成し遂げ、次の目標「ACL圏内」へ向かって突き進みたい我らが東京。今回はなんとその04年以来勝っていない苦手・レッズが相手であった。試合は、ホーム東京が組織守備の完成度などにものを言わせて優位に進めるも、一瞬の隙を突かれて先制点を許し、最後は守りを固める10人の相手を突き崩せずまたも敗戦。
 
 
序盤は東京がボールを支配し、じっくり回して機会をうかがう展開。4分、左サイドから今野がクロス、闘莉王を背負った平山が反転シュートで狙うもGK山岸がキャッチ。7分には右へ開いた平山から内側を追い越す鈴木へラストパスが通りかけるが、坪井が懸命のクリア。浦和も以前に比べるとポゼッション指向でつなごうとするのだが、まだまだな感じ。後ろで回していても結局は大きく蹴ってしまう場面が多い。10分、闘莉王が直接狙ったFKはバーのはるか上。

東京の攻勢が一段落すると浦和も攻撃の形を作るように。しかし東京は落ち着いてブロック守備を固め、危険なエリアへの侵入を許さない。攻めあぐみ、苛つく仕草を見せる闘莉王。ただし東京も無理してペースを上げることはせず、双方とも帰陣の早い「ゾーン守備の応酬」のような状態で淡々と時計が進む。21分、米本のミドルシュートも枠外。そして前半半ば過ぎ、しびれを切らした浦和の攻撃に誘発される形でようやくアタッキングサードでの攻防が増える。

27分、DFの間を突く米本のパスで鈴木がボックスへ進入、クロスに赤嶺が頭から飛び込むもわずかに届かず。これは惜しかった。31分、右サイドの細かいパス交換から原口が突破、田中達を狙うクロスはDFがカット。44分には今野が突如スピードアップして攻撃参加、左サイドを数十m走ってからのクロスに赤嶺が走り込むが、シュートはポスト左。スコアレスのまま前半終了。守備を崩された場面はほとんどなく「先に1点取ればイケる」という雰囲気であった。
 
 
後半立ち上がりはおそらく指示もあったのだろう、東京が浦和DFラインの後方を縦パスで狙う姿が目立った。開始直後、梶山の浮き球で赤嶺がDF裏に飛び出すが、シュートはバーの上。46分、梶山が不思議なトラップ(笑)でDF3人をいなしながらボックスへ突入するも、折り返しはカットされる。48分にはカウンターから細貝のクロスがエジミウソンに合いかけてヒヤリ。その直後、うまくDFの背後に抜け出た赤嶺がシュートするもまたバーを越してしまう。

ここまでは明らかに東京優位の流れだったが、しかし先制点は浦和。50分、原口とのパス交換からオーバーラップの高橋が右サイドを抜けてクロス、跳ねたボールにDFの足が止まったところ、エジミウソンがボレーでゴール右上に蹴り込んだ。攻撃に気が向いていた分サイド攻撃への対応が遅れたか。0-1。東京もすぐさま反撃し、51分、浦和陣中央のFKから鈴木が早いリスタートでゴール前へボールを送るも、カバーの阿部がバックヘッドでクリア。

54分、CKから東京のカウンターになりかけたところで原口が深すぎるタックルをかまし、これに2枚目のイエローカードが提示されて退場となった。浦和にしてみれば先制したところでまさかのアクシデント。しかし、東京にとってはかえって災いであったかもしれない。数的不利で戦わざるを得なくなった浦和は自陣で守りを固め、攻撃は前線の少人数に絞る作戦に。60分、FKから梅崎のクロスに闘莉王が合わせるも、DFが競りかけてシュートは枠をそれた。

東京は鈴木達に替えて長友を投入。両サイドを高く保って押し込む形に。対する浦和は田中OUTで山田暢IN、ボールを奪っても時間を使うパス回しが増えていく。東京は左右から次々とクロスを入れるが、山岸・闘莉王・坪井はやや不安定な面を見せながらもはね返す。これを見た東京は羽生→平松の交代。今野が前に出て前線と中盤を往復するポジションに。73分、ボックス内左へ走り込んだ今野のクロスを混戦の中で平山が蹴り込むが、オフサイドの判定。

77分、右CKのこぼれ球がフリーの今野の足下へこぼれるが、シュートは山岸がビッグセーブ。さらに今野がクロスを入れてブルーノが頭で叩きつけるも、また山岸が片手で弾き出す。2003年の松代といい、どうも東京の優勝争いには神憑りGKが立ちはだかるようである。その後も波状攻撃をかける東京しのぐ浦和、という構図は変わらない。84分、ボックス手前からブルーノがドライブのかかったミドルシュートを撃つも、山岸がジャンプ一番フィスティング。

87分、東京のショートカウンターの形となり、平山からDFライン裏へ飛び出す赤嶺へスルーパスが通るが、シュートはポスト右に外れ。浦和は疲労困憊のアタッカー陣に替えて高原、平川と投入していく。4分のロスタイムにも東京は効果的な攻撃を見せることはできず、結局1点差のままタイムアップ。東京はまたしても赤い大観衆を前に勝つことができなかった。
 
 

「浦和の壁」破りは、明確な課題として来シーズンに持ち越されたということで。

浦和レッズは、(失礼な言い方になるかもしれないが)「腐ってもレッズ」だった。こちらの守備力が上がっているせいもあって浦和の攻撃に従来ほどの怖さは感じられなかったし、闘莉王を初めトップフォームじゃない選手も幾人かいたようだ。こちらのホームということを考えれば、負けてはいけない相手だったように思う。ただ、後半立ち上がりの落ち着かない時間帯に見せた攻撃のキレや10人になってからの粘り強さは、さすがに勝ち慣れたチームではあるな、と。

つーか、今後若い方の山田や原口、そしてこの試合で良いプレーを見せていた高橋あたりが成長してきたら、浦和は今年よりずっと恐るべき相手になるはずだ。来年のナビスコ決勝あたりで当たったりしたら随分イヤな流れになるよな……。やっぱり今回勝っておきたかった。

FC東京にしてみれば、一番まずいパターンにはまってしまったというか。ナビスコ杯決勝の激戦明けだったことを考えれば、前がかりになるよりも相手の攻撃を封じることを重視した(ように見えた)前半はあれで良かったのだと思う。しかし後半「さあギアを上げていこうか」というところでポカーンと失点してしまったのは痛かった。それに加えて退場者が出たことで相手が守りを固めてしまって……5日前とは逆の意味で、先制点の大きさを痛感した試合だった。

敗因は、途中から10人になったとはいえ浦和をシュートわずか5本に抑えた守備ではなく、1点も奪うことができなかった攻撃に求めるべきか。相手に引かれた時の攻撃はどのチームにとっても課題ではあるのだが、東京もまだまだやるべき事は多いように思える。この試合では、駒の問題はあるにせよ、サイドからの力攻めにやや固執しすぎたように見えたのと、あと大竹(セットのキッカーでもあるのに!)を出さなかったのはちょっと。まあ、結果論になるのかな。

個々の選手については、今回はあまりあれこれ書く気にならない。火曜日にあれだけの試合をしたばかりなのだ、モチベーションにせよフィジカルにせよ、ピークを保つのは至難の業なのだろう。特に米本はいつものキレと運動量を発揮できなかったような。他にあえて残念だったところを挙げると、赤嶺にはシュートを1本くらいは枠内に飛ばしてほしかったかな、と。つーか、やっぱりここは川崎戦で出場がかなわなかった選手を使ってほしかったような気がする。
 
ということで、久しぶりの敗戦で順位は1つ下がって6位に。が、それよりも大事なのは、川崎・鹿島がいずれも勝ったせいで優勝が絶望的になってしまったことだ。いや奇跡ってのはそう簡単に起こらないものだってのはわかってたつもりなんだけど……ここ数試合の出来とナビスコ後の川崎の落胆ぶりを見たら、もう少しは楽しめるかと期待していたので(川崎は立派だ)。あとはACL出場権と天皇杯か。いずれにせよ、来季につながる戦いを見せてほしい、と思う。

ま、ものは考えようだから。楽しみは来年にとっておくと思えば(笑)。

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コメント

昨日、味スタに行きました。
まずは、ナビスコ優勝めでとうございます。
昨日は、やはり疲れもあったのでは?
あいかわらず浦和はつまらないサッカーで(笑)春先のホームの時は、まだいいサッカーをしていたのですが・・・

なんかラグビーと同じように、前にパスしたらいけないようなサッカーですよ(笑)

石川選手を見れなかったのは残念でしたが東京の選手はよく走ってますね(比較が浦和だから?) 次回の対戦は来年となりますが、優勝が懸かるような一戦となる事を期待しています。

お疲れでした、ナビスコでの戦い方を今度は浦和にされちゃったですな、試合巧者でした、是非、天皇杯で再戦を(ry

平山と赤嶺がヒーローに成り損ねたり梶山がイマイチだったりと残念です
今野無双モードは面白かったんですが長友の使い方は周り的には迷ってた感が。

ACL出場権は結構難しく成った気がします、梶山出停もそうだし手駒が少ないなぁ。
大竹、悔しいなら小平で頑張れよ!

米とむっくんがちょっと疲れていたのか精彩を欠いていた感じでしたね~。
来年こそはギャフンと言わせたいものです。

>まずは、ナビスコ優勝めでとうございます。
>昨日は、やはり疲れもあったのでは?
ありがとうございます。
確かに、米本・椋原をはじめとして東京の選手たちはややキレを欠いていたように思います。まあ、まだ若い選手が多いしナビスコの決勝では全力を尽くした感じだったので、ある程度は仕方がないのかな、とは思います。

>春先のホームの時は、まだいいサッカーをしていたのですが・・・
そうそう。さいスタで見た時には「ああ、浦和も案外と早くパスサッカーをものにしてくるのかな」と思ったのですが、やはりそこは一筋縄ではいかないですね。うちもかなり苦労してますから。

>次回の対戦は来年となりますが、優勝が懸かるような一戦となる事を期待しています。
ぜひぜひ、よろしくお願いします。

>是非、天皇杯で再戦を(ry
こらこら(笑)。

>今野無双モードは面白かったんですが長友の使い方は周り的には迷ってた感が。
確かに。今野と長友と両方前に行っちゃうと、さすがにバランスが悪いというか整合性がとれないというか。奇策は奇策なんでしょうかねえ。

>梶山出停もそうだし手駒が少ないなぁ。
浅利がいますよ(笑)!!
まあ、ちょっと気の毒な状況にあるようにも思える、大竹や田邉に頑張ってもらいましょう。

>来年こそはギャフンと言わせたいものです。
そうそう。来年の楽しみですよ、楽しみ。

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