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2009年10月04日

●東京の中盤、なめたらいかんぜよ (名古屋グランパス×FC東京 テレビ観戦)

J1第28節、瑞穂陸上競技場でのアウェイゲームはスカパー!e2でテレビ観戦。名古屋グランパス 1-2 FC東京。ともに重要なカップ戦を勝ち上がる一方で、リーグ戦では中位に位置する両チーム。今回は上位進出を狙うためには「蹴落としたい」相手との対戦であった。試合は、開始早々に名古屋が突出した個を生かして先制するも、フィジカルコンディションで優位に立つ東京が前半のうちに逆転。後半の名古屋の反撃も封じ、見事に連勝を飾った。
 
 
東京は最近の傾向通りに抑え気味の立ち上がり。SBは上がりを控え、石川や鈴木が単騎で仕掛ける姿が目立つ。一方の名古屋はホームゆえか無闇にケネディ目がけて蹴ることはせず、つなぎながら押し上げる意図が見えた。が、名古屋は連戦の影響か動きが重く、ペースを握ったのは東京であった。名古屋のSBの後方のスペースに鈴木らが走り込んで基点を作り、空いた内側に梶山が上がって攻撃を作っていく。15分までに撃ったシュートが実に5本。

ところが、先制したのは名古屋。18分、左CKをケネディがファーで頭一つ抜けて折り返し、吉田が押し込んでゲット。「わかっていても止められない」ケネディーハンマー。喜ぶ名古屋イレブンの向こう側、スタンドに立っていた東京ファンが苦笑している姿が印象的。0-1。これで試合の流れが変わり、今度はパスをつなぎながら押し込む東京とやや引き気味に逆襲を狙う名古屋、という構図に。中盤では梶山がトイメンの三都主を子供扱いにして主導権を握る。

20分、ボックス手前の細かいパス交換から徳永が右サイドを抜け、グラウンダーのクロスをニアに走り込む鈴木がヒールで引っかけて狙うも、GK広野がセーブ。24分、茂庭のフィードを石川が落として平山が持ち上がり、右サイドでSB阿部の後方へ走り込む石川へラストパス。石川は追いすがる阿部を切り返しでかわしてから左足でシュート、横っ跳びの広野の指先を抜けてゴール左隅へ決まった。さすがリーグNO1シューター(と言っていいよね?)!1-1。

続く30分、小気味よいパスワークから梶山が右サイドで上がる徳永へ矢のようなロングパス。徳永は縦に走ってから低く速いクロスを入れ、ニアでDF2人を引き連れた鈴木が小さく浮かせるシュート、広野の頭上を越して見事に決まった。パスワークといい、最後のシュートといい、名古屋DFに何もさせなかった素晴らしい得点であった。磐田戦の決勝点もそうだったが、中→外→中と揺さぶってDFのマークが混乱してしまう典型的なパターンでもある。2-1。

その後は名古屋も反撃に出るが、パス回しの動きはいかにも鈍重で東京の守備ブロックになかなか切り込めない。32分、好トラップで長友をかわしたケネディが左サイドにフリーで走り込むマギヌンへラストパスを通すも、シュートは権田がナイスセーブ。36分、玉田のミドルシュートも権田が正面でストップ。逆に42分にはユルい名古屋DFの隙を突いて鈴木→石川でGKと一対一の大チャンスを作るが、これは広野がセーブ。東京優勢のままハーフタイムへ。
 
 
後半頭から名古屋はほとんどチームに貢献できない三都主とミス頻発のマギヌンを下げ、中村・ブルザノビッチを投入。これで一時的に名古屋は息を吹き返し、サイド攻撃を軸に攻勢に出る。速いクロスを権田のセーブで幾度かしのぎ、ブルザノビッチとケネディのパス交換をゴール前でようやくはね返す場面も。しかし、55分を過ぎる頃にはクイックネスでもハードワークでも勝る東京が再び優勢に。中盤では梶山が中村を圧倒し、早くも56分には中村に警告。

60分過ぎ、ケネディと競り合った茂庭が肘を顔面に受けて負傷退場するアクシデント。試合は数分間中断し、佐原がスクランブル出場することに。普通に考えればピンチだが、ここで奮起した東京イレブンは厳しいプレス守備を敢行、勢いに押された名古屋はすっかり攻めあぐんでしまう。66分、鈴木のしつこいフォアチェックが広野のミスキックを誘い、パスでつないで最後は鈴木のシュート(広野キャッチ)。名古屋は玉田→杉本と交代させるも、流れは変わらない。

69分、東京が2枚目のカードを切る。羽生OUTで椋原IN、椋原はSHの位置に。あまりにあからさまなサイド警戒で逆に中央の守りが心配になったくらいだが、そこを突くだけの力がこの日の名古屋にはなかった。ブルザノビッチ・ケネディ・杉本のバラバラの個人技を東京の守備ブロックがきっちりはね返す。梶山と平山が警告をもらったのはやや残念だったが、それでも失点の気配はほとんどなし。前方では石川と鈴木が逆襲速攻で名古屋DFを脅かす。

終盤になると名古屋はハイクロスを放り込み始めるも、佐原が反則覚悟の激しい当たりでケネディを自由にさせず、中盤は梶山・米本が支配してセカンドボールもほとんどキープ。83分、石川に替えて藤山を投入。左右で椋原・藤山が体を張った守備をすることで名古屋はサイドへ渡すのにも苦労するようになり、やっと上がった精度の低いクロスは権田の餌食に。鈴木が逆襲からシュートしたりキープしたりしているうちに6分のロスタイムも過ぎて、無事試合終了。
 
 
いや、完勝だった。磐田戦の後半でチームの何かが目覚めたのだろうか(笑)。

スコアこそ1点差だったが、シュート数が7対18であるなど内容的にはもっと差があった。押しながらセットで先制されてしまったものの立ち直りは早く、ラブリーな個人技と崩しでたて続けの2得点。その後はゲームコントロールに重点を置いて試合を運び、ほとんど危なげなく逃げ切り。相手が連戦の疲れでヘロヘロだったことを差し引いても満足の行く勝利である。面白さでは磐田戦みたいな試合の方が上だけど、上位に行くためにはこういうのも増やさないと。

しかし、名古屋はどうして三都主をセンターハーフで起用したのだろうか。もちろんACLとのターンオーバーということなんだろうが、覚醒モードの梶山とリーグ新人王間違いなし(だよね?)の米本が組む東京ボランチとのマッチアップが「守備苦手」の選手じゃちょっといかんだろう。SBの助けがなくてもぜーんぜん中盤で勝ててたもんね。これは楽だった。ピクシーもさすがに気づいて後半頭から中村を入れたけど、時既に遅し。なめたらいかんぜよ(笑)。

あと、この日は采配もバッチリだった。今年の城福監督はスタメンを固定化する一方で選手交代を無難に済ます傾向が強く、それが好調時は安定感をもたらす一方で不調時には停滞感を生む要因にもなっていた。しかし、ナビスコ杯清水戦終盤の徹底した守備戦術に続き、前節からはリーグ戦でも思い切った采配が見られるようになっている。苦しい台所事情と「必勝」の状況がヒロシの中の何かを変えたのだろうか。だとしたら、11月以降も楽しみになるね。

つーか、「11月3日まではとにかく我慢」の方針がチームを劣化させてしまうかも、という心配はこの2試合を見る限りは杞憂に終わるかもしれないな、と思う。というか、そうなってくれい。

個々の選手に目を向けると、MVPは鈴木達也。96分間これでもかというくらいに名古屋DFを引っかき回してくれましたな。正直なところ先制された時点でスペースを失って駄目かも、と思ったのだが、連戦でフラフラのDF相手だとそんなの全然関係なし。技ありの逆転ゴールも見事だった。残留に向けての交渉は順調に進んでいるのだろうか……。そんな「2号」に負けず劣らず、本家ジーザスの石川も大活躍。攻撃ももちろん、守備の貢献も大きかった。

梶山は前節に続いて堂々たるプレーぶり。もう中位くらいの相手だと、最初からあきらめてボール取りに来ないもんね。よく考えたら凄い話である。平山も攻撃できっちり役割を果たして合格点の出来。守備陣では長友が良かった。攻撃ではあまり目立ったなかったけど、その代わり後方のカバー役に徹して名古屋の右サイド攻撃をほとんど機能させなかった。あと、佐原か。入っていきなりケネディにファウルしたのには笑ったけど、あの気迫がいいんだよな。

てな感じで、磐田戦に引き続く逆転勝利で7位浮上。鹿島があっと驚く4連敗でもたつきまくっているため、気がつけばリーグ上位は昨年に引き続き団子状態、東京から3位G大阪(いや実質は川崎か)までは勝点差6、首位の清水ともわずか「7」の差になってやんの。いやー、なんか昨年もそうだったけど、Jリーグってのはホントに先が読めないというか、棚ぼた感があるというか……。次の相手は残留争いで必死のレイソルか。これはこれで一つの試金石になるか。
 

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コメント

こんばんは。
モニは左眼窩底骨折(某中華を見て訂正)ですか、まぁ成ってしまった事を嘆いても仕方ないですが無念ですね。

梶山も熱く成り過ぎるなよ~と。

藤が久々に気合が入ってる所が見れたのが良かった。
佐原は気持ちが伝わったが更に貰いそうだったのでヒヤヒヤしてました。

>モニは左眼窩底骨折(某中華を見て訂正)ですか、

茂庭は、最近また出場機会を得るようになってからは体のキレも良かったし、できることをきちんとこなしてチームによく貢献していたと思うのですが……チームの台所事情も苦しくなりますが、何より本人が悔しいでしょうね。頑張れ!!

そういう意味では、やはり忸怩たる思いでいるであろう佐原にも頑張ってもらいたいもんです。おっしゃるとおり、赤もらわない程度にね(笑)。

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