うまねんblog

これは私見だけど、どんなに良い監督でも「賞味期限」というのはあると思うのである。サー・アレックス・ファーガソンなんてのは例外中の例外であって、やはり１人の人間が持つ「引き出し」の数には限りがあるし、チームにつきっきりで指導にあたっていればその「引き出し」を（増やす間もなく）何年かで使い果たしてしまうのではなかろうか。経験的に考えて３年くらい、長くてもせいぜい５～６年くらいでチームと監督にとっての潮時が来る、みたいな。

だから、監督交代自体は仕方がないのだと思う。トリニータファンは悲しいだろうけどさ。
　
　
しかし、まあ、それにしても、だ。昨年のナビスコカップ決勝の感動を生で目撃した身としては、やはり残念なことには違いなかったりする。

トリニータの戦いぶりやチームのたどった軌跡を見ていると、シャムスカという監督は斬新な戦術を繰り出したり多くの引き出しを持っているというよりも、チームを一つのベクトルに向けてまとめるのがめっぽう上手い印象がある。特に最高の成績を残した昨シーズンなどは、合理的な戦術と選手・スタッフの情熱が奇跡的に融合したような感があり、全体が一丸となってリーグとカップ戦のタイトルに挑んでいく様が大変に好ましく感じられたものであった。

また、老獪さではなく凛とした若々しさに満ちており、経験よりも聡明さが勝っている人でもあった。自チームの選手やファンを大切にし、相手チームに敬意を持ち、時には余裕ある微笑みを、時にはストレートな怒りを顔に浮かべてベンチにたたずむ姿は、ミもフタもない言い方だが、とにかく格好良かった。あれが上司だったらそりゃ頑張れるよな、という。

だが、今季はシーズン前のハワイ遠征（パンパシフィック選手権）によるトレーニング不足や、九石ドームの荒れ芝が影響しているのかどうかは知らないが怪我人の続出、等々から悪循環に陥ってついに抜け出すことはかなわなかった。まあ、まだ４３歳の監督にとっては良い経験とも言えるのかもしれない。「外野」の身でこんなことを言っていいのかどうかはわからないけれど、一度の失敗で今まで積み上げてきた功績が水泡に帰すわけでもないし。

考えてみれば、シャムスカほどの監督が大分のような地方の小さなクラブの指揮を（好きこのんで）とったこと自体、奇跡的な出来事と思えなくもない。外野のサッカーファンに言われるまでもなく、今後大分がどのような道を歩もうとも、この４年弱のチームをトリニータファンは誇りに思うだろうし、特にナビスコカップ制覇はいつまでも彼らの素敵な思い出として残り続けるに違いない。なんつーか、「黄金時代」ってなあそういうものなんじゃないかな。