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2008年10月27日

●これぞ会心の勝利ダ! (FC東京×鹿島アントラーズ)


昨日の午後は、味の素スタジアムでJ1第30節。FC東京 3-2 鹿島アントラーズ。清水・大分に残念な連敗を喫し、優勝争いからはやや遠ざかった感のある東京。今回は首位を走るアントラーズをホームに迎え、ACL出場権獲得のためにも踏ん張りどころの大一番となった。試合は激しい攻め合いとなったが、東京が気迫溢れるプレーで優位に立ち、「静かなる大砲」の活躍で3点を奪取。粘る鹿島を1点差で振り切って会心の勝利をものにした。
 
 
3万3千強の大観衆が作り出す心地よい緊張感の中、キックオフ。序盤はジャブの撃ち合い、両チームともSBを上げず縦のボールを多用して主導権を奪いあう。最初のシュートはようやく7分、羽生のミドルを曽ヶ端がキャッチ。その直後に今度は青木の強烈なミドルシュートを塩田が弾き出し、さらにダニーロのミドルがポスト左を抜けた。10分過ぎにはカボレのパスミスをマルキーニョスがカットし、興梠にラストパスが通りかけるも茂庭が速い寄せで防ぐ。

東京は平山・石川が先発する「剛」の布陣。この試合に向けて気持ちを高めていたのだろう、鋭い寄せと守→攻の切り替えの速さが目を引く。14分、平山から左展開、カボレが切り込んでシュート(枠外)。16分、左へ寄せてから右の徳永へナイスな展開、石川のクロスに平山が頭で合わせるがGK正面。一方鹿島も黙っているはずもなく、2人の外国人を軸に反撃。19分、興梠がボックス手前でFKを獲得、中後のシュートは枠外。小笠原がいなくて助かった……。

試合は完全な攻め合いに。22分鹿島の右FK、DFとGKの間を抜けるクロスに興梠が飛び込むがあと一歩届かず。直後、右サイド上がる平山がボックス手前で内へ平行パス、カボレがダイレクトで狙うもバーの上。28分、今野からDF裏へ走る石川へパスが通るが、シュートは曽ヶ端が体を張ってストップ。さらに徳永のクロスを平山が落として石川が反転シュート、曽ヶ端キャッチ。その直後にはマルキーニョスのミドルシュートがゴール左に際どく外れ。

30分頃になると、それまで抑えていた長友が「そろそろ行くか」と上がり始める。左コーナー付近からの低いクロスに石川が飛び込む際どい場面も。サイドで優勢に立った東京は自然と押し込む形になり、鹿島の選手が話し合う姿が目立つように。平山が次々とボールを収め、羽生を潤滑油にアタッカーたちが仕掛けていく。ここで先制したかったが……鹿島のCBはさすがに強靱で、クロスは全てはね返され、なかなか決定機には至らない。スコアレスで前半終了。
 
 
後半、鹿島は負傷の本山がOUTでマルシーニョIN、前半の劣勢を覆すべくラッシュをかける。48分、右サイドのFKから中後がアウトスイングの好クロス、平山があわやオウンゴールのヘディングでヒヤリ(塩田キャッチ)。49分、左→右の大きな展開から内田が長友と競争してクロス、ダニーロの折り返しを東京DFがかろうじてクリア。52分には興梠が快足を飛ばして持ち上がり、マルシーニョの折り返しを走り込む青木がシュートするが、ふかしてしまう。

東京も負けてはいない。53分、ボックス手前から羽生がボックス内へクイックパス、平山が抜けかけたがトラップが大きく逸機。そして56分、左CKから石川が速いクロス、ニアに走り込んだカボレが頭ですらしたボールは曽ヶ端の手をはじいて左隅にゴールイン。1-0。しかしわずか3分後、内田のスルーパスでマルシーニョがDF裏へ抜け、塩田もかわしてクロス、興梠がダイビングヘッドを決めてあっという間の同点。くそ。つーか、面白いじゃねえかオイ!

攻め合いは続く。特に東京の左サイドは、内田がバンバン上がるそれ以上に長友がガンガン上がりまくり、実に見応えがあった。東京は疲れの見える石川に替えて鈴木達投入。67分前後には東京が波状攻撃をかけるも鹿島DFが粘ってしのぐ。73分、ハイボールが茂庭の頭越しに跳ね、マルキーニョスにかっさらいかけたところ、塩田とマルキーニョスが交錯して命拾い。さらに右サイドの細かいパス交換から内田のクロスに興梠が飛び込むがわずかに届かず。

勝ち越し点は77分。左サイドでパスを受けたカボレが急加速で内田をちぎり、速いクロスをゴール前へ。逆サイドから走り込む羽生とDFが絡まって混戦となったが、長友が押し込んでゲット。狭い局面だけに小回りの効く長友で良かった……というより、「なぜお前がそこにいる」(笑)。2-1。鹿島は田代を投入するが、東京もお疲れ様の羽生OUTで大竹IN。81分、左CKから逆サイドに抜けたクロスを鈴木が拾い、シュートは惜しくもサイドネット。

82分、またボックス左でパスを受けたカボレが今度は立ちふさがるDFの足下を抜くパス。これをニアに走り込む鈴木がヒールで流し、続く大竹が中後に押されて体勢を崩しながらもシュートを決めた。でんぐり返りシュート炸裂。3-1。ところが、これで勝ったと思ったのもつかの間、40分、鹿島は中央から右の興梠へ展開、折り返しを勢いよくボックスへ突入した田代がシュート、左ポストに当たってゴールイン。なるほど、これは首位のチームだ。

終盤は鹿島が必死の反撃。87分、右サイド突破した増田のクロスから、新井場の強烈なシュートがポスト左。さらに左スローインからボックス内で跳ねたボールを増田がボレーシュート(枠外)。東京はカボレOUT、赤嶺IN。89分には無限のスタミナを見せる長友が1人カウンター、DFに当たってループになったシュートを曽ヶ端が片手セーブ。ロスタイムには平山・赤嶺がコーナーで燃える頑健キープを見せ、そのまま東京が逃げ切りに成功した。首位撃破!!
 
 

大観衆の前で、強いチームを相手に、良い試合をして、勝つ。これらの条件を満たした試合を快勝と言わずして何と言うのか。いや、素晴らしかった。春の多摩川クラシコ以降はなかなか4拍子揃わなかったんだけど、ついにきた、という感じである。これが見たかったのだ。

個人的には、勝因や敗因を「気持ち」に求める精神論的な物言いはあまり好きではない。でも、この日の東京の選手たちは遠目に見ても気迫が違っていた。王者アントラーズ相手にひるまずピッチ各所で互角以上に渡りあい、ついに撃ち合いを制して勝利。もちろん、負傷者が多い鹿島側の苦しい台所事情や、サイドの攻防を意識した布陣の工夫(内田対策としての左長友とか)の効果もあったのだろうが、それにしても素晴らしい集中力、ファイトぶりであった。

何より嬉しかったのは、試合後の選手たちの表情が達成感と満足感に満ちていたように見えたことだ(ただし赤嶺を除く)。弾けるような茂庭と石川の笑顔と、彼らのじゃれ合い。堂々と胸を張って手を振る大竹と長友。いや、ホント、選手たちのああいう姿を見ることこそがファンとしての醍醐味なんである。本人曰く「目標を実現する節」で結果を出した城福監督も、引き上げる際にスタンドに向かってガッツポーズを繰り返していた。We Did It!ってやつやね。

個々の選手では、まず讃えるべきはカボレだろう。3得点全てに絡む大活躍。あの突破力は内田にしてみれば「反則だ!」と叫びたくなったのでは。ホッピードリブルの威力を思い知ったか。次に、平山。あれほどまでにボールを収めてくれるとは。DFのチャージにも易々とは負けなかったし、このチームに入ってから一番機能した試合だったかもしれない。石川もキレキレで新井場に攻撃の仕事をほとんどさせず、この2人の先発起用は成功だった。

中盤では、羽生の献身ぶりは今さら書くまでもないけれど、梶山と今野もここ最近では良い出来だったと思う。「先生」が身近にいたのが良かったのかな。鈴木達也は自分の役回りをよく心得て、全力投球してくれるのが好もしい。アシストもお見事。あとは、大竹か。結果的に決勝点となった3点目は、倒れないで頑張ることの大事さを再認識させてくれた。これで4得点の全てが決勝点。03年の阿部吉朗を思い起こさせる「無駄撃ちのなさ」である。

DF陣では、まず長友。終盤のオーバーラップは圧巻だった。もしかしたら僕の見てきた中で一番運動量の豊富なSBかもしれない。佐原と徳永と塩田はボチボチか。茂庭は良かった。特に良かったのは前半43分、ダニーロのクロスが左サイドへ抜けた場面。快足を飛ばしてゴールライン際の難しいボールに追いついて拍手喝采……までは良かったのだが、次のフィードキックが思いっきりタッチを割って皆ズッコケた(笑)。あれぞ東京テイスト、だよな。

これでホッと一息の連敗ストップ。ガンバが負けたので(清水つえーな)6位に浮上である。おまけに、笑えることに名古屋が引き分けて大分も敗れたため、上位も再び団子になって首位との勝点差は「5」、ACL進出圏内(3位)まではたったの「3」である。まあ開幕前の監督発言から判断する限り、今季の目標は「終盤まで優勝の可能性を残す」レベルだったと思われる。少なくともその意味では、1年目の新生東京は既に成功を収めたと言ってもいいだろう。

ちゅーか、城福さん、パッションは十分に感じられましたよ。大したもんだ。
 
 
 
[追記]
上に大竹のゴールを「でんぐり返りシュート」と表現したが、これはいつも僕の後ろの席に座っている男性が叫んだ言葉。かなり面白かったので、ちと拝借しますた。パクリ失礼(笑)。
 

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コメント

大竹シュートすごかったですね。
日テレうるぐすで、足元ズーム&スロー再生していてやっと何が起こったかわかりました。
スタジオで感嘆のため息がもれていました。以前からカボレがサイドでボールを持つと、大竹はかならず二アに走りこむ動きを繰り返していたので、必然のゴールだったのだと思います。

大竹は4得点すべて決勝点ももちろんすごいですが、ほとんど途中交代直後に決めているのが信じられないです。(川崎戦交代後1分、大宮戦交代後18分、札幌戦交代後3分、鹿島戦交代後3分)こんな選手今後またあらわれるのでしょうか。

来シーズンは間違いなく壁にぶつかるでしょうし、怪我も含め未来のことは誰にも分かりませんが、とりあえず今シーズンの大竹の姿はしっかり目に焼き付けておこうと思います。

お疲れでした、

城福監督の仕掛け(長友に「内田と勝負したいだろ?」と左コンバートをけしかけるw)が功を奏す結果でした。
羽生さんとボランチ2人は本当に会心の出来でしたね。
モニのフィードミスもそれまでが完璧だっただけに笑いましたw
大竹”アルシャービン”洋平は良い仕事をしてくれましたネ。

中後に本当にむかついてましたが、最後に鹿島相手に鹿島ったので飯が美味かったですw

追伸 塩田はなんだ、えーと、その、もう少し落ち着こうよ。

>大竹シュートすごかったですね。
いや、まったくですね。エル・ゴラッソに掲載されていた写真だとよく分かるのですが、曽ヶ端は完全にボールを見失いましたね。なんか、小さい青赤がくるっと転がったと思ったら、次の瞬間ゴールの中にボールがあった、みたいな(笑)。

ああいう、かつての東京なら戸田あたりがやりそうな、訳の分からないというか、泥臭いゴールをチーム屈指のファンタジスタがやってしまうあたりが大竹の魅力であり、今のチームの良さでもあります。

>ほとんど途中交代直後に決めているのが信じられないです。
ああ、それは気づきませんでした。なるほどね~。相手もすぐには対応しきれないんでしょうね。

>来シーズンは間違いなく壁にぶつかるでしょうし、
そうかもしれないですね。でも、付けてほしいなあ、「14番」。

>長友に「内田と勝負したいだろ?」と左コンバートをけしかけるw
で、「見たか岡田!!」みたいな(笑)。

>羽生さんとボランチ2人は本当に会心の出来
ねえ。梶山も今野もあれくらいやってくれれば全く文句はないんですけど。

>鹿島相手に鹿島った
あのいやらしい頑健キープですね(笑)。確かに、「おお、まるでこちらが強豪チームみたいではないか!!」とすごく良い気分で見ていられました(笑)。

>塩田はなんだ、えーと、その、もう少し落ち着こうよ。
そう。もっとどっしり構えないと……なんだか、試合前後も含めて、あの「過剰さ」は私にはちょっと怯えているというか、平常心を失って空回りしているように思えます。

青赤さんお見事でした。まさしく作戦勝ち。
サイドの選手個人がどうというより、問題はウチの中盤にあったような……。篤人や新井場を生かすいつもの体制をきちんと作り直せなかったのが敗因かな、と思っています。(小笠原がいればその辺ピッチ内で修正もできたんだろうけど)

まあ、この際、長友くんにはこの勢いでガンガン活躍していただいて、代表には長友がいれば十分、内田を呼ぶ必要はない、という印象を強めていただければ幸いでございます。

>文京区の鹿さん
なるほど、確かに日曜日の鹿島は中盤と、あとFWもちょっと攻め急ぎの感はありましたね。きっちりつないでSBが上がるまで待つということができず、少数でやや無理に仕掛けてはボールロスト、という場面は多かったかも。青木・中後ではまだまだなのかな。

相手方の我々としても、落ち着かせたりペースアップしたり、「ゲームを操れる」小笠原の不在は大きかったように感じました。実際、霧のカシマではボコられたわけだし(笑)。

>代表には長友がいれば十分、内田を呼ぶ必要はない、という印象を強めていただければ
それはちょっとズルいなあ(笑)。長友は左もできるので、別に内田がいなくてもいいよーん、とはならんのです。つーか、この試合も別に長友が内田を圧倒したわけではないですから。

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