うまねんblog

そして、そこからの大竹の動きが凄かった。中後に後ろから突き飛ばされながら（中後は両手広げてノーファウルをアピール）倒れずつんのめりのままワンタッチしてさらに前進、前へ出る曽ヶ端にすわ抑えられてしまうか、という瞬間に左足のつま先でチョン、とボールの方向を変えてゲット。あるいは手をついていたか、というくらい前のめりの体勢から飛び出したスーパーシュート。あり得ないというか泥臭いというか……お前は戸田か、それとも坂本竜馬か。

この時、横で観ていたカミさんが「プレー後に曽ヶ端が絡んだのが腹立つ！」と怒っていたのだが、なるほど確かにシュート後、曽ヶ端はでんぐり返しの体勢になった大竹と交錯している。まあ、激突というより「転がってきた大竹を受け止めた」という感じではあったんだけれども。実際、大竹はお尻をついたまま笑顔でガッツポーズをして仲間に抱きかかえられ、全くダメージはなかった様子。大竹がやたら丈夫だっただけという可能性もあるが。

つーか、エルゴラに載った写真を見ればよくわかる。あの瞬間、曽ヶ端は完全にボールを見失ったんだね。彼にしてみれば、スッ、と人とボールが左右に交差した次の瞬間にもの凄い勢いでちっちゃな青赤の塊が転がってきて、気がつけば腕の中に大竹が、ゴールの中にはボールが入っていた、と。そんな感じだったのではなかろうか。大竹がくるりと一回転するとボールがパッと消える。忍術というか、消える魔球というか。ドロン、パッ。

……まあ妄想はさておき、こう長々と書いてしまうくらい本当に愉しいゴールだったわけだ。東京ファンにとっては（笑）。セクシー（城福監督流だとラブリーか）で、泥臭くて、あり得なくて、それでいてちょっとユーモラスなところもあって。「これぞＦＣ東京の得点である」とでも言ったらいいのだろうか。おまけに鹿島相手の決勝点にもなったのだから、もう言うことなし。こういう場面をたくさん作れれば、そりゃあ味スタも満員くらいにはなるよ、きっと。