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2008年10月23日

●ひとつのサイクルが終わった、のかな (ACL準決勝 浦和×G大阪 テレビ観戦)

AFCチャンピオンズリーグ準決勝2ndレグ 浦和レッズ 1-3 ガンバ大阪 (J's GOAL)
 
 
ACL初の日本勢対決第2戦。最初はフットニックあたりに足を運ぼうかとも思ったのだが、まあウィーアーな人々に囲まれて観るのも精神衛生上ナンなので、おとなしく家に帰ってBS朝日でテレビ観戦することにした。ほぼ満員、真っ赤に染まるさいたまスタジアムで行われた試合は、最近の絶不調ぶりから苦戦が予想された浦和が前半に先制する展開となるも、後半ガンバがセットプレーを中心に3得点を畳みかけて見事な逆転勝利。
 
 
立ち上がり、まず目を引きつけられたのは両チームの慎重なプレーぶりである。おそるおそる壊れ物でも運ぶような感じでパスをつなぎ、前線へはロングボールを多用、さらに自陣ではセーフティーなクリアキック連発。彼らにとってのこの試合の重みというか、「失敗は許されない」という緊迫感をひしひしと感じた。さすがはビッグマッチ、という感じでもあったし、それを当たり前にやっている浦和とガンバの選手たちにちょっとジェラシー(笑)。

それでも次第にガンバがパスをつなぎ始め、予想通りの攻守の構図になるのかな、と思い始めたところで意外や浦和の攻勢に。浦和は0-0ならば勝ち抜けるのだが、それよりも得点によって嫌な流れを払拭したかったということだろうか。タイトな守備から平川らがガンバの「薄い」左サイドを突いて押し込み、ボックス内での競り合いに持ち込むこと幾度か。一方のガンバは2トップになかなかボールが収まらず、パス回しもややぎこちない。

で、36分、やはり右からの小クロスをガンバDFがクリアしきれず、こぼれ球を拾った高原がゴール左に突き刺して浦和先制。積極的にDFラインに圧力をかけて押し下げた結果とはいえ、復調してきた高原のちょうど得意なシチュエーションが生まれるあたり、ここまでは浦和の方にツキもあるように思えた。というか、「ガンバ、さすがの勝負弱さ」というか(笑)。そのまま1-0でハーフタイムへ。昨年までなら完全に浦和の勝ちパターンである。
 
 
後半、ガンバは右SHの佐々木を投入。前半のガンバは右からの崩しに人数をかけすぎていたように見えたので、単騎で突破できる佐々木投入は好采配である。これで左右のバランスが回復。そして51分、CKから山口がヘッダーを決めて同点。さすがはキャプテン!この早い時間の同点弾が双方に与えた心理的影響の大きさは想像に難くない。まだ状況は五分なのに、浦和は攻守とも動きがカタくなり、ガンバはパス回しに余裕が感じられるように。

決勝点は73分、またも右のCK。ニアの明神が懸命に足を伸ばして触ったボールが大きく跳ね、GK山岸の頭を越して山田の脚に当たり、ゴールイン。きれいな形でない分ガンバの勝利への執念が感じられるゴールであり、浦和にとっては不運な失点だった。クリアしきれずボールを押し込む形になってしまったのが、浦和の方のゲームキャプテン山田というのがまた皮肉というか。公式記録がオウンゴールじゃないのはある種の温情なのかな。

これで浦和はあと2点が必要に。以前の好調時ならいざ知らず、今の浦和には高すぎるハードルだ。それどころか、76分、この大事な場面でガンバの攻撃が炸裂する。遠藤のDFラインを斜めに横切るパスでルーカスが右サイド抜け、中央へ折り返し。これを橋本が左のスペースへワンタッチで流し、フリーで走り込む遠藤がニアサイドを抜いてゲット。流れるようなパス回し。「これで勝った!」という解放感に溢れるシュートでもあった。お見事、である。

残りの15分は、ガンバがボールを回して時間を使い、浦和は絶望的な反撃を試みるも決定機に至らず、の繰り返し。レッズの背中を押していたのは数万の大観衆への義務感だったろうか、それとも前回王者としての誇りだっただろうか。干されていたはずの永井までが投入される総攻撃体勢。しかし、エジミウソン渾身の反転シュートがゴールポストに当たって外れ、ロスタイム3分間もあっという間に過ぎて試合終了。ガンバ大阪、初の決勝進出。
 
 
ひとつのサイクルが終わったのかな、と改めて思わされる試合だった。闘莉王は応援してたんだけどな、例の一件もあったし。

ガンバの調子は良かったわけではないと思う。前半はパス回しはぎこちなく、遠藤が1人で動き回って「何とか動かしている」状態だった。後半も、相手が気落ちしてからの3点目を除けばガンバらしい崩しは少なかった。ただ、試合を通して「普通にやれていた」こと、その結果として要所で得点できたのはここ数年の経験の賜物であり、そういう意味ではやっぱり勝利に相応しい戦いではあったのかな、と。「勝負弱い」なんて書いてゴメンナサイ(笑)。

逆に言えば、決定的だったのは、勝負所でレッズが底力を出せなかったことではないか。1-1になってからの反発力のなさは不思議なくらいであった。確かに、先制しながら追いつかれる展開、先に2点目を許せば2点が必要になる、というプレッシャーのかかる状況ではあった。でも、スコア的には五分であったし、そもそもこうした状況を克服し続けて頂点に達したのが昨季の浦和であり、後押しするさいスタ6万観衆の力であったはずである。

要因としては色々なものがあるのだろう。戦術的な完成度の低さ、代表組を筆頭に連戦によるコンディションの問題(これは相手も同様だし、様々な経緯からあまり同情できないけど)、伝えられる監督と選手の関係悪化による雰囲気の悪さ、前回の優勝によるモチベーション低下。そうしたものをひっくるめて一言で言っちゃうと、やはり浦和というチームもひとつのサイクルが終わって次への移行期になりつつあるのかな、と。そういう印象を抱いたのだ。

でも、超余計なお世話ながら、「出戻り監督」はJであまり成功例がないので、ブッフバルトを呼び戻すのは得策ではないかも……なんつって。

もちろん、サイクルという意味では、ガンバも西野監督が就任して今年で7年目。そろそろ「賞味期限」が過ぎても全くおかしくない時期だし、実際外国人選手の移籍や主力の病気があったとはいえ試合内容もピークに比べて落ちてる気がするんだよね。西野監督がけっこう好きな僕としては、この千載一遇の機会を逃さずサクッと優勝しちゃってほしいと思っている。もうリーグもカップも獲ってるし。そして次の代表監督へ、とは思わないけど(笑)。
 
 
と、珍しくACLなんぞを真面目に観て記事を書いてみたのも、現在7位のFC東京にとって現実的な目標は優勝ではなくACLの出場権であり、城福監督もその旨のコメントをしているらしいから。浦和とガンバのガチンコ勝負を見ていると、いかにこの両チームがここ数年のタイトル争いやアジアでの戦いから得たものが大きいか、痛感させられるのである。ああいう舞台に東京が立って青赤のユニフォームを着た選手たちが戦ってくれたら、どんなにシビレることだろう。

あと、ついでに言うと、今年新たなサイクルが始まった東京にしても、たとえそれが順調に行って大きな成果を上げたとしても、いずれ(おそらく数年後)そのサイクルの終焉が来る、ということは頭の片隅にとどめておくべきだろう。アレックス・ファーガソンのような存在は例外中の例外(というより、サイクルの交替=監督交替でない例と言った方がいいか)。あのライカールトのバルセロナだって、わずか数年で終わってしまったのだから……。
 

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コメント

某明大前ではウィアーな方も控え目かつマナーもよく、大変居心地よろしゅうございました。

私もガンバは勝負弱いというイメージが未だに強いですが、2005年最終節や去年のナビスコ杯など、本当の大一番は獲ってますね。ACLも獲って欲しいところです。

サイクルについては考えさせられます。チーム全体としてのサイクルと、戦術面のサイクル、共に近年短くなっているような気がします。甲府大木然り、ノブリン然り。

一方、JFKサッカーは特定の形ではなく、場面場面の判断を重視するサッカーだと思うので、比較的サイクルとは無縁なのかな、と思うのですが如何でしょうか。。。

むしろ、選手達の判断や力量次第で良くも悪くもなるサッカーで、選手たちがタスクをこなせなければ画餅に帰すサッカーなのかな、と。

最後に、サポの力を過大評価する訳ではありませんが、サポが変にサイクルを乱すことのないよう、願わんばかりです。

ガンバの勝利はよそごととはいえ、感動的でした。点取ったときの喜びようとか。ルーカスも心なしかいきいきしてませんでした?西野さんの「賞味期限」はまだ先な気が、僕はしています。

以前監督時代に原さんが言っていました。
「監督が変わらないなら選手を入れ替える、選手を替えないなら監督を入れ替える、強いチームのチーム作りはこのどちらかだ。」

ガンバは監督を替えずに中心選手を入れ替えるチームマネージメントが成功した例だと思います。稲本、宮本、大黒、アラウージョと、選手が抜けるたびに強くなっている気がする。マンUやユベントスも中心選手を入れ替えるのが感動的にうまいですね。浦和は選手を入れ替えているように見えて、中心選手は実はほとんどかわっていないので、一旦チーム力はがくっと落ちるかもしれないと思っています。

東京も、城福さんで長く行く気なら、チームの中心を外に出す大胆さが必要なんじゃないかなあ。原さんも外国人含め好き嫌いがはっきりしていて、ほとんど同じ顔ぶれを使い続けていたし。

>私もガンバは勝負弱いというイメージが未だに強いですが、
>2005年最終節や去年のナビスコ杯など、本当の大一番は獲ってますね。
確かに。まあ、ホントのホントに勝負弱かったら、タイトルを獲ることはできないですものね。やっているサッカーが見事なので、かえって「もっと勝てるはず」と落差を感じちゃうのかも。

>チーム全体としてのサイクルと、戦術面のサイクル、共に近年短くなっているような気が
戦術に関して言うと、やはりスカウティングの進歩によって、同じやり方で勝ち続けるのが非常に難しくなっているような気はします。

>サポが変にサイクルを乱すことのないよう、願わんばかりです。
まったく(笑)。

>ガンバの勝利はよそごととはいえ、感動的でした。
いや、ホント。あのハジけるような喜びようといい、素晴らしい3点目といい、サッカーの歓喜の本質は「解放」にあるのだなあ、と、見ているこちらまで爽快になる試合でした。

>「監督が変わらないなら選手を入れ替える、
>選手を替えないなら監督を入れ替える」
ああ、そういえばそういう発言がありましたね。さすがに原さんはよくわかっているというか、その通りだと思います。マンUなんかは監督は一緒ですが、中心選手(ベッカム!)を入れ替えたり、ヘッドコーチが替わったりして循環しているし、アーセナルも中心選手をうまくシフトしていますよね。本文にも書きましたが、サイクルの終わり=監督交替とは限らない、と。

そういう意味では、西野さんは一戦必勝の「戦術家」というより、戦力の循環を巧みに行う「マネージャー」なのかもしれないですね。とすれば、「賞味期限」も相当に長くてもおかしくない。なるほど……まあ、7年でも十分に長いですけどね(笑)。

>東京も、城福さんで長く行く気なら、チームの中心を外に出す大胆さが必要
同感です。そして、その裏返しで、場合によってはチームの中心を他所から持ってくることも断行しなければなりません。今シーズン羽生を獲ったのは、そういう意味でもポイントが高い。

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