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2008年04月30日

●味わいがいのあるしょっぱさ、かな? (FC東京×大分トリニータ)


昨日の夕方は、味スタでJ1第9節。FC東京 1-0 大分トリニータ。3日前に今季リーグ2敗目を喫して迎えた、GW第2戦はホームゲーム。「リーグで上位を狙うには連敗は許されない……」などと当たり前の事を語れる状況自体を嬉しく感じつつも、スケジュールのキツさや今後の対戦相手を考えれば確かに落としたくない試合ではあった。結果は、コンディション不良や連携の未成熟を感じる出来ながら、頼れるストライカーの一撃できっちり勝点3を確保。


この日は「ゲゲゲの鬼太郎デー」ということで、試合前には鬼太郎とねずみ男がタオルマフラーを掲げて入場し、目玉の親父からも「城福東京」への応援メッセージが。こういうキャラクターもののベタな企画は、外れが少なくて良いかも。あと、ハーフタイムに映画(実写)版の予告編が流れていたけど、ウエンツだと(最近のアニメ版もそうだけど)ちょっと優等生過ぎるよな。水木先生の原作だと、煙草好きで昼寝好きで女好きのいーかげんなヤツなのに(笑)。
 


キックオフ。東京は攻撃的MFとして栗澤が先発、中盤が左から金沢・下がり気味の梶山・今野と並び、CBは茂庭と佐原が組む布陣。ただ、栗澤は守備時に右へ(金沢は左へ)流れることが多く、攻撃もそこから挙動開始するため中盤フラットに近い4-4-2のような感じ。3分、右CKからクロスがファーに流れ、拾った今野のシュートがバーを越える。対する大分はウェズレイ・高松欠場の苦しい状況。引いて守備を固め、松橋・金崎を走らせて速攻を狙う。

やはり連戦の影響か、序盤から両チームともに軽快さを欠く印象。ただし、大分の方が「守って速攻」で意思統一されている分動きが効率的。東京は分厚い大分の守備を前にボールをつなげず、楔のパスも狙われてなかなか2トップに収まらない。また梶山も相変わらずエンジンのかかりが遅く、根本を後ろから倒してしまうなど後追いの守備が目立つ。12分には徳永への長い横パスを鈴木慎吾にカットされ、そのままドリブルシュートへ持ち込まれてヒヤリ。

ところが先制したのは東京。14分、徳永のドリブル突破で右CKを獲得。栗澤のクロスを佐原が競り勝って頭で折り返し、待ち構えた赤嶺が左足のダイレクトボレーでゴール左上に突き刺した。「ズドン!」という衝撃音が響き渡りそうな、GK西川が一歩も動けない強烈な一撃。赤嶺といえば泥臭いシュートが持ち味のイメージもあるが、このプレーには「そういうのもあるのか!」と驚いた。思わず必殺技として命名したくなるような。「シーサーショット」とか(笑)。

この先制点で試合が動くかな、と思いきや、その後も同じような展開が続く。大分は速攻狙いで、一度オフサイドトラップを失敗してで危ない場面があったものの、おおむね佐原・茂庭を中心にはね返し、クロスやミドシュートは塩田が堅実にセーブ。東京は中盤でボールを引き出す動きが少なく、パスを出しあぐむ場面が頻発。

となるとやはり2トップが頼りだ。25分、赤嶺とのコンビからカボレが突進、DFの間をズズズッと抜けるも最後のタッチが大きく西川がセーブ。29分、佐原のフィードが左に流れる赤嶺に収まり、そのままボックス内へ突入。「撃て!」と叫びたい場面だったが、カボレを狙うクロスはわずかに合わず。31分にはボックス左でカボレがFKを獲得、ファーを狙う栗澤のシュート(?)はポスト直撃、こぼれ球をカボレが頭で狙うもDFブロック。これが決まれば楽だったが……。

33分、右サイドで長友に競り勝った金崎が切れ込んでクロス、松橋が狙った反転ボレーがポスト左を抜けて冷や汗。35分、FKの長いボールをカボレが落として栗澤が左足ボレーで狙うも西川キャッチ。最後の10分はどちらも攻めあぐね、ゆる~く後方で回し合う膠着状態に。まあ、リードしている方としては焦る必要はないのだが。43分、長友が突然左サイドを突破してクロス、DFと競る赤嶺が頭で合わせたが、ポストわずか右に外れ。1-0で前半終了となった。


ハーフタイム明けから、大分は前半に比べてグッと前がかりになってきた。47分、セットプレー崩れから横に揺さぶって右からのクロス、森重が落としたボールに深谷が飛び込むがボレーシュートはバーの上。東京もつられるように動きがアグレッシブさを増し、毎度のように梶山もお目覚め(笑)。中盤で両チームのせめぎ合いが続いていく。55分には自陣FKからのロングボールをカボレがゴール前へ頭で落とし、赤嶺が反転ボレーで狙うも宇宙開発。

大分は57分に根本→前田の交代。これに対して東京は59分に栗澤OUT大竹IN、前に出る相手の裏を狙いたい。ここでさあ攻撃開始、となるのが最近の東京のパターンだが、この日は疲れのせいか「スイッチ」のききが悪かった。ホベルト・エジミウソン相手に中盤を支配できず、逆に速攻でいい形を作られる。64分、自陣深くで茂庭が前田にボールを奪われるピンチ。67分にもカウンターから鈴木のアーリークロスに松橋が飛び込んでわずかに合わず。

ここで威力を発揮したのがカボレ先生。周りのフォローが期待できない状況ながら、ど迫力のドリブルで幾度となく敵陣へ突進し、たまらずDFが倒してはFK、の連続。決定機まではなかなか至らないものの、相手の攻撃をせき止め、味方に息をつかせる効果はあった。71分、中盤の争奪戦でボールを拾った赤嶺がすかさずスルーパス、DFの間に走り込んだカボレがシュートを撃つも、西川が倒れながら足に当ててセーブ。ここはさすが西川、というべきか。

後半も半ばを過ぎると、双方とも足が止まり始める。スカスカの中盤は東京のパス攻撃に都合が良いはずなのだが、どうにもボールを引き出す動きが少なくて……。そんな中、大分側の判定への不満が目立つ。カボレが倒されるたびFKが与えられる一方で赤嶺が反則をとられることも多く、こちらにしてみれば偏ったジャッジという印象は薄かったのだが、選手だけでなくシャムスカ監督までが主審に食ってかかる場面も。その場ではちょっと不思議な感じがした。

リードしている東京にしてみれば膠着するのは悪くないが、1点差では不安である。カボレや赤嶺らが仕掛けはするが、深谷の好守備もあってゴールは遠い。東京は金沢OUT浅利INで中の守りを固め、大分はDFの上本に代えてFW市原投入で前を厚くする。ここら辺は両監督の意図がはっきり見えて面白かった。84分、東京陣ボックス前の混戦からホベルトの足下にボールが落ちてスルーパス、市原がゴールラインまでえぐるもクロスは塩田がキャッチ。

86分、またも突進するカボレをボックス前で倒した森重が2回目の警告で退場。やれやれ、といったところ。そのFKは大竹が壁に当て、二次攻撃から徳永のクロスを今野が頭で叩くが、ボールはバーに当たってノーゴール。とどめを刺しそこねた感じ。東京は89分に「クローザー」信男さんを投入、大分のロングボール攻撃も佐原と茂庭がしっかりはね返す。ロスタイムにはクリアキック直後の長友に前田がタックルをかまして2人目の退場。やや物騒な雰囲気の中で試合終了となった。


正直、内容的にはしょっぱい試合だった。ウェズレイ・高松を欠く相手を完封したのはいいとして、パスが回るでもなく、押し込んでたたみかけるでもなく、やや退屈な試合ではあった。もっとも前節負けていること、今後連戦が待っていることを考えれば、勝点3でとりあえず満足すべきなのかもしれない。言い方を変えれば、「4位」に象徴されるようにここまで手応えのある戦いができているからこそ、リーグ戦の流れの中でその試合の評価ができる、ということ。

清水戦では「栗澤がほしいな」と思ったものだが、よく考えたら栗澤・今野・梶山・金沢という以前からのメンバーで簡単に「ムービング」できたら苦労はないよな(笑)。この日の出来を見る限り、もちろん連戦や代表合宿の疲れは考慮するにせよ、やっぱり羽生やエメルソンで刺激を与えながら時間をかけてチームを変えなきゃいけないんだろうな、と再認識。我慢はある程度できるようになった。次は流れに応じた判断と、それを形にする意思。まあ、本当の「城福東京」が姿を現すのは夏以降、かな。

しかし城福さんという人は毎度の事ながら、丁寧に作戦をたててくれるのが心強い。この試合も内容で多くを望めないのはわかっていたのだろう、大分が蹴ってくるのを見越して佐原・茂庭のCBで中を固め、前節突かれた両SBの守備は金沢と栗澤を左右に散らすことでケア。試合前には「今日は1-0の試合になる」と言ったそうだが、本当にそうなってしまったのだからできすぎというヤツである。そりゃ選手も信頼するに違いない。今のところ運も向いているし。

個々の選手をみると、この試合でまず讃えられるべきはFWだろう。赤嶺はストライカーとしての強靱さを感じさせる左足の一撃で、また一段ステップアップした印象である。カボレは突進力と技術でいい位置のFKをとりまくり、本当にチームを助けてくれた。次はゴールを期待。DFもおおむね破綻はなし。佐原はもうCBとしてファーストチョイスだ。中盤は、金沢の調子がイマイチだったのと、やっぱり前半の梶山には大いに不満が残る。もっとやれると思うんだがなあ。

さて、これで勝点を17に伸ばして4位もキープ。期待も高まるが、次はガンバ大阪に逆転勝ちを収めて勢いに乗る6位大宮である。昨年までのショボい(失礼)相手とは別物と思った方が良く、やっぱり作戦と選手たちの我慢、そしてここぞというところでの集中力が求められることになりそう。ちなみに次節大宮に勝ち、名古屋がガンバに負け(ありそう)、鹿島が川崎に勝てず(大いにありそう)、浦和が神戸に負ければ(あるかな?)……なんと首位である。え?
 
 
 
ところで、試合中やたら大分の選手とベンチが興奮していて、本文中にも書いたように西村レフリーがあからさまな東京びいきにも見えなかったために「?」だったのだが、どうもこういうことがあったらしい。「死ね」はもちろん論外だが、その前の「黙っとけ!」も酷い。Jリーグの公式HPには「「スポーツマンシップ」とは、相手を、そしてルールを尊重し、フェアに、そして真摯に戦うこと。」という文章が掲載されてるんだけど、どうやら審判はその埒外にあるらしい。

結局、「判定の正確性」ばかり重視して、選手や関係者、審判同士とのコミュニケーションという部分をなおざりにしてきたツケが出てきているということではなかろうか。ゼロックスの家本さんや新潟×京都戦の佐藤さん、そしてこの日の事件(報道が事実だとすれば、だが)を見ても、そう思えてならない。数年前の福西ハンド事件の時なんかは協会インストラクターだったモットラムさんとかが叩かれたんだけど、おそらく問題はもっと根源的な部分にある。

とりあえず今できる事を考えると、まず主審の胸にピンマイクをつけて、テレビ中継でその音声が流れるようにする。これで、その審判が選手とどのようにコミュニケーションをとっているかがファンにもわかるようになるはずだ。お茶の間にさらされることで審判も(場合によっては選手も)とんでもない振る舞いはしづらくなるだろう。ちなみにラグビーのトップリーグではとっくのとうにやっていて、一部審判の独特の言い回しが2ちゃんねるで話題になったりも(笑)。

あとは、判定に不服がある時、各チームのキャプテンに限って主審に説明を求めることができるようにする、とかね。これはルール変更までしなくてもリーグと各チームの申し合わせで実現可能ではないだろうか。確かイングランドのプレミアシップが今年それに近い方法にして、逆にキャプテン以外で主審に食ってかかると速攻で警告、になっていたような。形骸化しがちな「キャプテン」に意味と権威を与える意味でも、やってほしいような気もする。

しかし、先日シジクレイ・アタリバ・増嶋の退場を見て背筋を寒くしたばかりなのに、今度は相手チームとはいえこんな事になるとは……まさに「明日は我が身」、他人事ではない。

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コメント

むかし社会人ラグビーの試合を見ていたら、試合が荒れそうになったとき、主審が試合中に両チームのキャプテンを呼んで熱く語っていたのをマイクが拾っていました。「せっかくここまでいい試合をしていたのに、これじゃ台無しじゃないか。最後までフェアに戦おう!」という感じで、結構感心しました。主審と選手が一緒に試合を作っていく感覚はサッカーではなかなかないですね。モットラムさんは、選手とコミュニケーションをとることの大切さを強調していたはずですが。

シジクレイではなく、ウェズレイでは~?

試合後はいっつも(会社で)見てるので(こっそり)これからもがんばってくださーい。

>胡志明さん
そうなんですね。ラグビーとサッカーではカルチャーが違うでしょうし、もちろんラグビーでも駄目な審判・居丈高な審判はいるわけですが、「主審と選手が一緒に作っていく」という部分はより強調されているように思います。それを第三者にも伝える役目をマイクが果たしている、と。

おっしゃるとおり、モットラムさんなんかは言葉の壁はあったにせよ、現役の頃は笑顔で選手とやりとりしながらレフリングをしていましたし、インストラクターになってからも「意図を明確にし、伝える」ことの大切さを説いていたように思うんですけどね。

JSPORTSの番組に出演して判定について解説をしたりもしてました。

http://umanen.org/blog/2005/03/post14.html


>シジクレイではなく、ウェズレイでは~?
あ、ホントだ。さっそく(こっそり)直しておきました(笑)。これからもがんばりまっす。

はじめましてのご挨拶もせず、失礼しました。

マイクをつける案は断然支持します。テレビで流せばアナウンサーの意味のないおしゃべりも減るだろうし。
キャプテンのみ異議を認める案は、大人の集団ならうまく機能するでしょうが、今のJだと「審判に話しかけると即イエロー」となりそうで、かえってコミュニケーションを後退させる結果になりはしないかと恐れています。

レスどうもありがとうございました。
東すかの復活を心より楽しみにしています。

>キャプテンのみ異議を認める案
難しいところですが、選手→主審という意思伝達と同時に、審判の側から選手たち(を代表するキャプテン)に対して適切な説明がなされることで、コミュニケーションの円滑化が期待できるのでは、という趣旨であります。

>東すかの復活を心より楽しみにしています。
今はまだ何とも言えませんが、楽しみにしていただけると幸いです。もちっと待って。

 暫定首位ですね。9月の時点で首位だったら、もしかして・・・ひょっとして・・・?

はじめまして、初コメントです。

>ところで、試合中やたら大分の選手とベンチが興奮していて

前田俊介が1枚目のイエローを貰ったあたりの場面ですかね?
ボールボーイの返球が遅いとかで、シャムスカ監督や大分の選手が怒っている・・
と調布FMのピッチレポーターが言ってました。
多分、これではないかと。

もし検討違いなことを書いていたらすみません。
こういうこともあったみたいです、という報告ということでお願いします(笑

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