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2008年05月04日

●決戦!!バイタルエリア (大宮アルディージャ×FC東京)


午後、雨上がりのNACK5スタジアムでJ1第10節。大宮アルディージャ 0-3 FC東京。昨シーズンまでの低迷を(今のところは)脱し、現在6位と4位につける好調同士の対戦。満員の観衆の見守る中で行われた試合は、ホームの大宮がボール支配率で上回って攻め立てる展開となったが、個人能力をうまく生かした東京が効率よく得点を重ね、終わってみれば3点差。ファンにしてみればチーム力の確かな伸びを感じることのできる快笑、いや快勝だった。


立ち上がり、積極的に前へ出たのは大宮。両小林を起点にデニス・マルケスとジュニオール、金澤とのショートパスの出し入れ、さらに波戸のオーバーラップも加えて押し込む。開始直後、金澤のミドルシュートを塩田が正面でキャッチ。対する東京は大分戦と同様、栗澤先発でフラットに近い中盤の「守備的」布陣。ただし、CBは佐原ではなく藤山と茂庭のコンビで、アンカーに浅利が入る分梶山は自由に前へ出て行ける形。大宮の攻勢を許しながらも崩れない。

13分、金澤のパスでジュニオールが藤山を半歩振り切ってボックスへ突入するが、塩田が体を投げ出してセーブ。そして15分、後方のパス回しから藤山がロングフィード、タイミングよくDFライン裏へ飛び出した梶山が頭頂部にポコリと当て、ふわり浮いたボールはGK江角の頭上を抜いてゴール右隅へ吸い込まれていった。「あれ?え?入った?入った!!」と、観ている側も狐につままれるような不思議なプレー。まことに梶山らしい得点だった。

先制点後も「攻める大宮、守る東京」という基本的な構図は変わらない。16分、デニス・マルケスが茂庭を引きずるように突進、シュートを塩田がきわどくストップ。20分、東京がようやくパスワークで攻め入り、長友がゴールライン際をえぐったこぼれ球を今野がシュート、ポスト右に外れ。22分には小林慶行からのスルーパスで小林大悟がボックス右へ突入、切り返しで今野をかわして入れたクロスがジュニオールに渡るもシュートできず。

大宮はパスの回りこそ悪くないものの、ペナルティボックス前で守備ブロックの締めつけにあってボールを失う場面が多い。波戸も上がるに上がれない状況。東京側では藤山の出足が鋭さが際だっており、パスカットから一気に大宮陣深くまで持ち上がる場面も。梶山もこの日は目覚めが早く、味方の突っかけた後のこぼれ球をよく拾う。焦れたマルケスが何本かミドルを撃つがいずれも枠外。逆に東京はパス攻撃から梶山がミドルシュート、わずか左上に外れ。

次の得点は32分。塩田のパントキックが競り合う赤嶺と冨田の頭上を抜け、走り込んでいたカボレがDF裏へ。カボレは飛び出した江角をよく見て右足でループシュート、完璧にコントロールされたボールはワンバウンドして左隅にゴールイン。さすが、としか言いようがない得点。大宮にしてみれば、ボールを支配しながらなかなか攻めきれないところでのカウンターパンチ。さぞかし痛かったことだろう。2-0。

これで余裕の出た東京は試合をコントロールし始める。大宮は右SB村上も攻撃参加して攻めたてようとするが、マルケスは今野と長友2人がかりで抑え、単調なクロスは中で茂庭がはね返す。41分にはオフサイドトラップの逆をとった赤嶺がボックス付近でロングボールを受けてシュートを狙うが、懸命に戻るレイナウドがブロック。結局、終了間際は焦らずボールを回した東京が2点差を守ってハーフタイムへ向かうことになった。


後半頭から大宮は藤本を投入。左右へ飛び出してボールを引き出す彼の動きに再び波戸の上がりを加え、左右に揺さぶって攻めたてる。47分、ボックス手前で栗澤がファウル、FKを小林大が直接狙うがポストの左に外れた。49分、片岡の無回転ミドルシュートを塩田がはじき出し、さらにCKからの二次攻撃で浮き球を金澤がボレーで叩くも枠をとらえられず。さらに村山が切れ込んで撃ったミドルも枠外。ここら辺はシュート精度に助けられたきらいはあった。

58分、東京は栗澤に代えて大竹を投入。さあ「ムービングタイム」の始まりだ、と言いたいところだが、こういう「切り替え時」は案外危ない。59分、左に流れた藤本のクロスにゴール前小林大が飛び込み、シュートは外れたものの冷や汗をかいた。ここで、東京は足を痛めた(?)カボレOUTで平山IN、ほぼ同時に大宮は金澤OUT森田IN。攻撃だけを考えるなら近藤が良いのだろうが、相手が森田を入れることもあり、セットプレーの守備も考えて平山を選択したか。

しばらく主導権の奪い合いが続き、やがて東京のペースに。62分、ボックスへ突入した大竹がシュートを撃つも江角の正面。この時間帯は大竹と長友の健闘が光った。ともに守備では相手の足下に食いつくようなアタックで度々ボールを奪い取り、攻撃に転じるや大竹はドリブルとパスの切れ味で、長友は足腰の強さと無尽蔵のスタミナを生かした突進で相手を脅かす。長友が小林大の体当たりに近いタックルをかいくぐってタッチ際を駆け抜けた姿にはシビレた。

一方、そのちびゴリラ2人に比べると、平山はなんとも煮え切らない出来。前方である程度ポイントにはなってくれるものの、その後の仕掛けとボールの呼び込みに鋭さを欠く。70分、波戸のクロスをマルケスが折り返した場面で藤山がはね返してカウンターとなり、平山が右サイドで持ち上がるが、他にフリーのアタッカーがいるにも関わらずボールを持ちすぎて逸機。FWだからある程度のこだわりはいいとして、せめてシュートを撃ってくれないと……。

後半半ばを過ぎると両チームに疲れが目立ち始め、中盤がほとんどノーチェック状態に。大宮はマルケスが、東京は長友がミドルシュートを撃つが、いずれもGKセーブ。74分、東京はパスワークでボールを持ち上がり、赤嶺からボックス内の平山へ。平山がシュートを撃とうと切り返したところでボールがDFに当たってこぼれ、長駆フォローしていた長友が拾ってゴール左にゲット!1人疲れ知らずの運動量が生んだ、ある意味必然のゴールだった。3-0。

ここで東京は赤嶺から近藤祐への交代。「最後まで弛めるな」か?このままで終われない大宮は藤本が森田を狙ってたて続けにクロスを入れるがシュートまで至らず、77分にボックス内へ切れ込んだ片岡のシュートも枠を外れた。となると東京としては、平山と近藤に点を取らせてあげたい。可能性があったのは後者で、78分には左サイドから切れ込んで強引なシュート(枠外)、84分にはカウンターから長友のラストパスを受けてシュートを撃つが、江角がセーブ。

平山は相変わらず冴えない動きでスタンドの不満を呼ぶ。81分にはカウンターから近藤のスルーパスでボックスへ突入するが、DFと正対してやはり何もできず。86分、カウンターから大竹がスルーパス、左サイド抜けた近藤のクロスを平山がゴール前へ折り返し(このプレーは良かった)、大竹がGKの目の前に滑りこむがシュートは惜しくも外れ。結局、ロスタイムにマルケスがまたしても撃ったミドルシュートがポスト左を抜け、3点差のまま試合終了となった。



監督が現有戦力をきっちり生かす作戦を立て、選手は競争意識や個々の持ち味を織り交ぜつつそれをしっかりと遂行し、好調の相手を上回って勝つ。これを快勝と言わずして何と言うのか。とても気持ちのよい勝利だった。

前節完封勝利したCBの組合せを変えて藤山を先発させ、アンカーに浅利を置いたのは、高さ・強さよりも機動力に優れる大宮FW(森田除く)への対策だったのだろう。藤山と浅利がこの起用に応え、そしてその他の選手も守備意識を高く保ってバイタルエリアで大宮アタッカーを自由にさせなかったのがこの試合の第一の勝因。堅い守備ブロックがショートパス・ドリブル攻撃を幾度もはね返す様は、まるで先日のマンU×バルサのよう……というのは言い過ぎか(笑)。

もちろん、デニス・マルケスらのミドルシュートが先に決まっていれば試合はわからなかったわけで、梶山とカボさんのゴールは大きかった。梶山は、試合間隔が詰まると起動が早くなる(逆に言えば間隔が空くとボケる)傾向があるのは多くの人が感じているだろうが、この試合では全体のプレーレベルの高さに加えてあの不思議ゴール(笑)である。あれでこそ梶山。連戦の残り2試合もしっかり本領発揮してくれよ……と思ってたら、次は出場停止かよ。残念。

あ、梶山選手といえば、前日に娘さんが生まれたそうで。おめでとうござります。せっかくの「揺りかごダンス」に遅れて駆けつけるあたりがまた梶山らしいけど(笑)。

面白いのは、大分戦ではききの悪かった「大竹スイッチ」が今回はよくきいたこと。相手がホームチームだけにより前がかりになってくれたというのもあるだろうし、ちょっと思ったのはカボレ→平山の交代も影響したのかな、と。最近どうも「苦しくなるとカボレに蹴っとけ」の癖がついちゃってる気がするので。カボさんは確かに強力な武器だけど、その効果は時と場合によって左右されるものだし、頼り切って自分たちのサッカーを忘れてしまうのは本末転倒である。

そういう意味では、カボさんの使い方も含め、上にも書いたようにゲームプランがはまって3得点完封という「完勝」であったにも関わらず、一方でチームとして目指すべき「Moving Football」の理想からすればまだまだ発展途上であることも忘れてはならないだろう。おそらく、城福監督にとって勝敗、そして勝点という「現実」と「人もボールも動くサッカー」という「理想」は決して矛盾するものではないだろうし、むしろ車の両輪と考えるべきものだろうから。

……な~んて書いたりはしても、やはりつい頬がゆるんでしまうのを止められない自分がいる。この勝利で勝点は20となり、試合終了時点で暫定首位、数時間後に浦和には抜かれたものの同勝点の2位である。いや、なんつーか、シーズン前の期待をはるかに上回る快進撃に、正直笑いが止まらんですよ!!は~っ、はっはっはっはっはっは。この喜びがいつまで続くのだろうか。最後まで続くといいなあ、というのは行き過ぎた望みなのだろうか……。


ところで、今回は新装なったNACK5スタジアム(大宮公園サッカー場)での初観戦。ありきたりな感想だけどやっぱりサッカー専用スタジアムはいいな、と。長友のドリブル突破を目の前で観ることができてオジサン失神しそうになりましたよ(笑)。ただ、一応首都圏のチームのホームスタジアムとしては1万5千程度の収容数は少なすぎるし、バックスタンドは傾斜もついてなくてちと見づらいかな、とも思った。敷地が狭いので仕方がないとはいえ、ちょっと残念。

あと、今年登場の大宮のマスコット「アルディ」君の彼女(?)「ミーヤ」ちゃんも初めて着ぐるみ実物を見ることができた。ホームページ等で見る画像は正直イマイチなんだけど、実物はメチャクチャ可愛いなあ。このカップル、ディズニーキャラでは「チップとデール」がお気に入りの僕としては、個人的にはパルちゃん一家やグランパスくん一家よりも上かも。アルディ君がミーヤちゃんと手をつないで、きちんとエスコートしてあげているのが何ともほほえましい。

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コメント

お疲れさまでした。
Nack5スタジアム、ゴール裏エリアへの入退場は少々キツいものがありましたが、周辺の環境も含めよかったですねー。
無失点勝利〜5時間天下のおかげかもしれませんが。

>大宮のマスコット
ミーヤの登場でアルディは確実に中の人…じゃなくてキャラクターが変わったようです。
二人は数あるマスコットカップルの中でぶっちぎりのラブラブ感(笑)が売り(?)なのか、一部から「バCップル」と呼ばれているようです。
http://std-photo.at.webry.info/200804/article_1.html

前半の梶山、カボレの二点は、大宮の高いラインの裏を突く意図が見えた攻撃がハマっただけに、相手のダメージが大きかったと思います。

逆に、東京サイドには大きな自信になり、体力的にキツイ中、精神的には優位に立てたと思います。素晴らしい攻撃でした。


ちなみに、アウェーゴール裏で観戦していたのですが、見やすいのは素晴らしいのですが、少し座席が窮屈で、昨日のように混雑すると大柄な私はチト辛かったです。もう少しゆったり座れたら、最高なんですが・・・。

>梶山は、試合間隔が詰まると起動が早くなる

梶山は叩き良化型。鉄砲は効かないタイプなんですよ。で、たまにずぶいとこがあったりする。って馬かよw

>アル&ミーや
あいつらべたべたし過ぎなんだよな~。。
ったく。。。

>周辺の環境も含めよかったですねー。
駅からの動線が神社の参道でね。緑も一杯で、歩いても全然苦じゃない感じでしたね。あとはもう少しスタジアムが大きければなー、という感じですかね。

>ぶっちぎりのラブラブ感(笑)
「バカップル」ですか(笑)。いや、仲むつまじくていいじゃないですかねー。殺伐としがちなサッカー場だからこそ、笑い(苦笑や微笑み含む)の要素もほしいものです。

>大宮の高いラインの裏を突く意図が見えた攻撃
あれ、実は狙い通りだったみたいですね。ラインの高さだけじゃなく、守備がゾーンであることも見越してその隙を狙って。とてもうまく行きました。

>って馬かよw
確かに、人間よりも馬に関する形容詞を使った方がしっくり来るね(笑)。たまにじゃなくて、いつもずぶいけどな。血統的にはサドラーズウェルズ系かな(笑)。底力はかなりあるぞ、と。

>あいつらべたべたし過ぎなんだよな~。。
まあまあ。負けた時にはしゃくに障るものかもしれませんが、でも良い感じだと思いましたよ。キャラが立っていて。

>血統的にはサドラーズウェルズ系かな(笑)。

ってことはプレミアに移籍したらJ以上の大活躍をするかもですねw

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