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2007年12月02日

●これだからJリーグは面白い ('07J1リーグ最終節)


昨日の午後は、NHK総合・NHK-BS・スカパーの数チャンネルを駆使し、横浜FC×浦和戦鹿島×清水戦を中心にJ1最終節をザッピング観戦。その結果は……いや、小瀬はともかく、秩父宮にも出かけずに家にとどまった甲斐があったというものである。なんと浦和が最下位横浜に敗れ、快勝した鹿島が逆転優勝!最高に劇的な展開を目撃することができた。ホント、これだからJリーグは面白いんだよな。


日産スタジアム。序盤から浦和の動きは固かった。蓄積された疲労に「勝たなければならない」という緊張も加わったのか、守備は受け身で寄せに鋭さがなく、攻撃も個人能力頼みで連動性を欠いていた。対する横浜は事ここに至ってようやく吹っ切れたのか、ノビノビと、しかし丁寧なサッカーを披露。17分、左サイドを駆け上がるカズから素晴らしいコースのクロスが入り、DFに競り勝った根占が蹴りこんで横浜先制。

一方カシマでは、アントラーズがいかにもこのチームらしい試合巧者ぶりを発揮。スピードに乗って突っかけてくる清水のアタッカーを落ち着いて受け止め、自らのペースで攻撃を組み立てる。20分、マルキーニョスが倒されて得たPKを小笠原が決めて先制。後半に入っても48分に本山が鋭いミドルシュートを決め、58分にはカウンターからマルキーニョスが3点目をゲット。危なげなく試合を決めてしまった。後は浦和次第の状況。

こうして徐々に追いつめられながらも、前半の浦和は眠ったままだった。カタタウを中心とする横浜の心地よい攻撃が続く。35分、ゴールライン際まで突破した根占が決定的なクロスを入れるが、どフリーのカズが決められない。降格チームらしい決定力のなさ、か。後半になると浦和は田中達也を投入して得点をもぎ取りにかかり、両サイドへの展開から良い形を作り始める。必要な得点は「2」。時間との競争であった。

時間がたつにつれ横浜の足も止まり、浦和が前がかりになって押し込んでいく。達也が、ワシントンが際どいシュートを放つ。だが、不思議なことに、この日はどうしても枠に飛ばなかった。数少ない枠内シュートも菅野が確実にセーブ。ボックス内のピンチでは山口が、小村が、山田卓が、懸命にくらいつく。30分を過ぎると負傷のポンテに代わって小野投入。的確な配球から波状攻撃が続くが、すんでの所でゴールには至らない。

85分を過ぎ、浦和はゴール正面でFKを得るもワシントンが壁に当ててしまい(小野君が蹴りたそうにしていたが……)、ロスタイムも横浜のベテラン勢の巧みな時間稼ぎに遭う。結局1-0のままタイムアップ。そのちょっと前、両手を広げてベンチから駆けだしたオリヴェイラ監督の姿を見て鹿島の選手とサポーターはようやく全てを知り、カシマスタジアムのピッチとスタンドに歓喜の爆発が起こったのだった。いやはや、なんとも。


鹿島はこれで10個目のタイトル獲得。まったくもって、お見事である。特に今回の優勝は9連勝で勝点差10をひっくり返したもので、さすがは元常勝軍団の底力というべきか。シーズン序盤こそもたついたものの、若手が育って、本山や小笠原が柱となり、大岩らベテランも支えて……気がつけばとてもいいチームに仕上がっていたんだよね。その成長ぶり、一丸となって追い上げる姿は、端から見ても感動的であった。

このチームを作り上げたオリヴェイラさんってのは、本当に良い監督なんだろうな、と思う。もちろん僕は「余所のファン」なのでずっと見ているわけではないけれど、、見聞きした限りでは監督に必要な要素をバランス良く備えている人のようだ。沈着な采配と的確なスカウティング、大胆な若手抜擢、ここぞという場面で見せる情熱、そして試合後の魅力的な微笑み。「オズの魔法使い」のニックネーム(?)はダテじゃないんだね。

浦和レッズの方は、やはりACLのしわ寄せが来た、ということなんだろう。とにかく動きが悪かった。今にして思えば、日程の一番キツい時期(川崎がイジメられていた頃ね(笑))に少しでもターンオーバーしてればなあ……というのは外野の無責任な感想だが、まあ二兎を追う者はなんとやらと言うし、Jリーグ当局がああいう態度だったから、ね。欧州の強豪だってCLと国内リーグの両方を獲るチームはほとんどないし。


個人的な感想としては、この結果は「良かった良かった」である。浦和の頂点を目指す努力は立派なものだとは思いながらも、一方でレッズ「独走」についての危惧もあったから。浦和のようなビッグクラブがそびえ立つ一方で、鹿島や川崎みたいな地方色の強いチームもやりようによっては優勝に絡めることが、リーグの盛り上がりのためには望ましいのではないだろうか。問題は、自分の応援するチームが全くの「番外地」にいることで……(笑)。

派手な優勝争いの裏でひっそりと最終戦を迎えたFC東京は、2部降格の決まっている甲府相手にアウェイで1-0の勝利。時折チャンネルを合わせるたびに(特に前半は)ピンチを迎えていたような感じなのに、よくも勝ったものである。劣勢で試合が進みながらも塩田の好セーブなどでしのいで、途中出場の川口の働きなんかもあってようやくチャンスを作り、終了間際にルーカスがうまくPKを獲ってくれた、というところか。

内容については、どっちにしろ今季はもう何を言っても仕方がない。でも、あまり負け癖がついては困るのも確かなので、勝って終われたことは来季のリスタートへ向けての好材料ではなかろうか。もしかしたら来年はいなくなってしまうかもしれない信男さんが貢献してくれたのも嬉しいところ。明日からは怒濤のストーブリーグが始まる。今野とか伊野波とか色々書かれているみたいだけど、ぜひとも、ぜひとも残ってほしい。

あ、そういや、昨日はヴェルディの昇格も決まったんだった。優勝は札幌になったみたいだけど、J2優勝チームはJ1に長居できない例が多いので、まあいいんじゃない(笑)。来年はいよいよ「東京ダービー」復活か。ラモス退任のニュースは残念な限り(1年目から「優勝するヨ!」とか言って笑かしてほしかったな)だが、是非ともこちらの敵愾心に火をつけてもらって、東京躍進の起爆剤になってくれれば……なんて思ったりして。

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コメント

うをっ(笑

小瀬に行って来ました。

試合後の社長・監督の挨拶も聞きましたが、チームに対する愛情・降格の無念さなど、想いのこもった素晴らしいものでした。

小瀬の運営は、大部分が小学生も含めたボランティアに支えられていると聞いています。小瀬に行くのは二度目でしたが、ボランティアの親切な対応には感激しました。

地元サポーターからも絶大な支持を受け、愛される甲府には、再びJ1に戻って来てもらいものです。

東京も、甲府と同じ位都民に愛されるチームになりたいものです。

>へづかさん
あ、タイトルもネタもかぶっちゃってますね(笑)。失礼しました。

>コタツねこさん
味スタも、チームボランティアの皆さんなど、頑張ってはいるんですけどね。日立台あたりとは違って、お客さんと直接接する部分はだいたいシミスポなんですよね……。

>甲府には、再びJ1に戻って来てもらいものです。
>東京も、甲府と同じ位都民に愛されるチームになりたいものです。
まったくです。

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