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2007年11月05日

●ガンバ、「懐深さ」の勝利 ('07ナビスコカップ決勝)


土曜日の午後は、国立競技場でナビスコカップ決勝を観戦。川崎フロンターレ 0-1 ガンバ大阪。ともに過去決勝に進出しながら敗れており、この大会での優勝経験のない強豪同士の対戦。途中までは一進一退の攻防が続く展開となったが、戦術変更から後半早々に先制点を得たガンバがリードを巧みに使って逃げ切り勝ち。見事初優勝を決めた。結局、現段階で「上手い」方のチームが勝利した印象のゲーム。


試合前、僕は川崎有利と読んでいた。鋭い逆襲速攻を持ち味とする川崎はポゼッション志向の強いガンバに対して「噛み合わせ」がいいだろう、と(8月の対戦でも4-1と川崎が圧勝している)。実際、前半は川崎の方が少し優勢だったと思う。ジュニーニョ・森の個人技はあわやの場面を何度か作り出していたし、自慢の3バックは(おそらく太陽の向きも考慮した)ガンバの「らしからぬ」ロングボールを確実にはね返していた。

ところが、後半に入り、ガンバがシステムに手を入れて左SB安田を前に出したことで風向きが変わる。前半押され気味だった森との対決で安田が圧倒するようになり、さらに谷口・憲剛への厳しいチェックでジュニーニョ・鄭へのパス供給の遮断に成功。遠藤のボールタッチは増え、逆にジュニーニョがボールを求めて自陣まで下がる姿が目に付くように。後半10分、バレーのクロスを安田が押し込んだ得点は決して「たまたま」ではない。

こうなるとガンバは強い。あまり前がかりにならず、遠藤・二川を中心とするパス回しで川崎の突っかけをいなす。そして川崎が人数をかけて攻め上がるや、マグノとバレーを走らせてその後ろを脅かす。余裕の試合運びである。川崎も4バックにシフトして憲剛を前に出すなど反撃を図るのだが、ガンバの冷静な守備にあと一本のパスが通らない。結局、終了間際のジュニーニョのヘッダーも枠を捉えられず、0-1のままタイムアップ。



スコア的にはわずか1点差。際どい勝負であったのは間違いなく、先制点が川崎に入っていれば勝負の行方はわからなかった。ただ、一方で、両チームの総合力の差が見えた試合でもあったように思う。試合中の対応力、選手層の厚さ、そしてそもそも個々の選手の能力の高さ。当然川崎も高いレベルにあるのは言うまでもないが、懐の深さ、積み重ねてきたものの大きさではガンバが一枚上手だったかな、と。

例えば、どちらも流れの中でシステム変更をそつなくこなすのはさすがなんだが、緩急づけや戦い方の多様さではちょっと差があったような。また、播戸・寺田・家長と豪華メンバーをサブに置くガンバに比べると、川崎にはスーパーサブ的存在がいなかった(我那覇の怪我はかなりの痛手なのだろう)。そして、そもそも、トラップやクリアといった個々のプレーの精度が……選手の資質の差は確かにあったように思う。僅かなんだけどね。

個人的には、ACLの「あれ」などを考えてフロンターレに勝ってほしい気持ちが強かったんだけど、ガンバほどの強くて魅力的なチームが無冠に終わるのも理不尽な話ではあるので、今回の結果はこれはこれでいいのかな、とも思う。ただ、挫折や「本当に悔しい思い」を経験したチームが強くなっていく近年のパターン(浦和、柏、川崎、そしてガンバ!)を考えれば、川崎も今後まだまだ強くなっていく可能性はあるのだろう。

つーか、このガンバをリーグ戦で突き放しつつある浦和レッズって……。

ちょっと嬉しかったのは、ガンバの西野監督がゴール裏のサポーターから「西野!オレ!」コールを受けて、さらに選手たちに胴上げされていたこと。柏レイソルが99年に同じ会場で優勝を決めた時も西野監督だったんだけど、あの時はサポーターからあまり歓迎されている雰囲気ではなくて、スタンドに挨拶する時も選手の列の一番後ろに離れて付いていくような感じだったから。今度は報われて良かったですね、という。


しかし、試合前の演出(双方のホームスタジアムの映像とDJを使ってたみたい)やファンの盛り上げ方も含め、ファイナルの雰囲気は本当に素晴らしかった。これが「他人事」ではなくて、自分のチームの話だったらどんなに素晴らしいことだろうか……04年の決勝を諸事情により観戦できなかった僕としては、羨ましいとしか言いようがない。東京が次にこの舞台に立てるのは来年か、再来年か、それともウン十年後か(笑)。
 
 
[追記]
試合終了後にガンバ大阪の優勝がアナウンスされた時、川崎サポーターの多くが悔しさを抑えながら拍手を送っていたのは、とても立派だし素敵な事だと僕は思った。

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コメント

うらやましかった~。私たちも水色マスゲーム地帯にいたんですけど、うらやましくてしょうがなかった。ガンバのマスゲームもきれいだったし。あ~あ。

昔はナビスコカラーの飾りがなんだか目についていやだったんだけど、菓子杯が(浦和のおかげで)盛り上がってくると、客席がだんだん華やかになり、なんだかナビスコ飾りがしょぼく感じられてきたのが感慨深かった(笑)

ガンバいいサッカーしてましたね。

>客席がだんだん華やかになり、なんだかナビスコ飾りがしょぼく感じられてきた
確かに。失礼ながら昔はいかにも安っぽい感じ(チケットもとりやすかったし)だったのが、ファンの盛り上がりによってステータスも雰囲気も向上してきたのは感じられますね。

東京の優勝も、一応そのナビスコカップの地位向上に貢献……したのかな(笑)?

>ガンバいいサッカーしてましたね。
この日みたいな「圧倒的じゃないけど強い!」サッカーをされるようになると、ますます手強くなっちゃいますね。西野おそるべし。

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