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2007年09月20日

●「別れた方がお互いのため」ってやつか

モウリーニョ監督が退団 チェルシーが発表 (スポーツナビ=共同通信社)
 
 
やっぱりそうなったか。

突然、普通なら考えられないタイミングで飛び込んできたビッグニュース。いくら公式戦3試合勝ちなしとはいえ、まだシーズン序盤、首位と勝点2差の5位に付けているのに……。もっとも、昨年あたりからモウリーニョ監督とオーナー&フロントの間でゴタゴタが絶えないと言われていただけに、いざこうなってみると「まさか」というより「やっぱり」という感が強い。それに、この退任劇は双方にとって悪い話ではないような気もするのだ。


モウリーニョ監督が就任した04~05年からの2シーズンは、成績・内容ともに素晴らしかった。鉄壁の守備、速攻を軸にした強力な攻撃、そしてテリーにJ・コールら逸材の才能開花。特にウイングのダフとロッペンは凄まじい破壊力で、サイド攻撃大好き人間としては大いに興奮させられたものだ。監督の采配もとにかく当たりまくり。CLこそ準決勝止まりだったものの、リーグも連覇し国内カップも獲得。まさに文句なし、というやつだ。

しかし昨シーズン、チームは行き詰まりを見せた。シェフチェンコとバラックが加わって陣容は間違いなく豪華になったものの、それと反比例するようにチームの機能性は低下して個人能力頼みのサッカーに。終盤の「ドログバ大作戦」はまさにその象徴である。結局、カップ戦2つを獲得しリーグも2位に食い込んだものの、苦戦の連続であったし、内容的にも魅力が損なわれた印象であった。そして伝えられる監督とオーナーの確執……。

今にして思うと、留任は果たしたものの、今季のモウリーニョは表情にも言動にもやや精彩を欠いていたような気がする。意に添わぬロッペン放出もあったし、1つのチームで4年目というのは彼のキャリアで初めての事だから、そういう意味でもキツかったのかも。長期政権というとすぐ持ち出されるのはユナイテッドのファーガソン監督だが、チームの全権を握る形で中期的な強化を進めたサー・アレックスとモウリーニョを同列には扱えない。

また、アブラモビッチ・オーナーの顔もこの3年で随分変わってしまったように見える。チームを買収して2年くらいの間はニコニコと楽しそうに試合を眺める姿がよくテレビに映っていたのに、最近では険しい表情ばかりが目立つ。離婚騒動の影響があるのかどうかは知らないが(笑)、シェフチェンコの件といい、独裁的オーナーとしての自我が前面に出てきたのだろうか。だとするならば、モウリーニョとの衝突は不可避だったのだろう。

結局、一言で言って、チェルシーというチームは一つのサイクルを終えた、ということなんだと思う。無理して一緒にいるよりもここはスパッと別れてやり直そう、というのは正しい判断ではないか。おそらく、スカイスポーツが「解任」と伝えたように、切り出したのはチームの方なんだと思う。でも、極東の一モウリーニョファンから見ても「もうやめた方がいいかも」と思えた状況だったし、モウリーニョ本人も案外納得ずくではあるまいか。

まあ、ここら辺は「うまく行かなくなった人間関係」一般と同じだよな。夫婦とか。


しかし、この3年余りの間、ジョゼさん(ウチでは親しみを込めてこう呼ぶ)とチェルシーの連中には本当に楽しませてもらった。2004年のロンドン旅行の際、The Valleyで「一番良い頃のチェルシー」を観ることができたのは一生の思い出である。テリーの2ゴールにダフとロッペンのキレキレドリブルで4得点!ジョゼさんも、当時のトレードマークの「一着しか持ってないカシミヤのコート」を着ていて、存在感とオーラが凄まじかった。

もう一つ忘れられないのは、去年の最終戦だったか、リーグ優勝を逃して選手もファンもガックリと落胆していた試合後、ゴール裏まで1人で歩いていって「選手たちを讃えてくれ!」とファンに呼びかけていたジョゼさんの姿である。いわゆる「パフォーマンス」かもしれない。でも、あれでかなりの数のチェルシー・ファン、そして何より選手たちが救われたのだと、僕は信じている。少なくともキャプテンのジョン・テリーが男泣きしていたのは確かだ。


いつか、僕の応援するチームがジョゼさんみたいな「すげえ監督」の下で戦う時が来たならば、どんなに素晴らしいことだろう。僕はそんな空想をすることがある。今のFC東京のサッカー・ヒエラルキーにおける位置やチームの状況を考えたら、「ウチに来てほしい」なんて口が裂けても言えない(つーか、笑いものだよな)。でも、いつかは……いつか、世界一を本気で狙う東京が、ジョゼさんみたいなコーチとともに高みを目指す戦いをするならば……。


まあ、とりあえず、これで本来のマンチェスター・ユナイテッドファンに戻れるかな、僕は(笑)。
 

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コメント

「モウリーニョって言っちゃったね」って、フロントがまず言ってみるとか(笑)
以前、モウリーニョと接触するポルトガル人と仕事した時に、「あの監督は優秀なのは疑いもないんだけど、地雷、爆弾降り注ぐ中じゃないと、仕事やってる気にならないんだよ。紛争地帯に行きたがるジャーナリストに近い」って言ってた(曝)。アドレナリン中毒かな。きっとアブラさんとの確執ってより、その確執自体が物足りなかったんじゃないかな。もっと激しく喧嘩してたら、もう一年延びたんじゃないかな。な〜んてね。

>「モウリーニョって言っちゃったね」って、フロントがまず言ってみるとか(笑)
「冗談ならもうちょっとうまいこと言え」と一笑に付されちゃいそうな気がします(笑)。まあ、駄目もとで声をかけてみるってのはアリですけどね。でも、まずは外国人監督「受け入れ」の実績を作らないと。

>紛争地帯に行きたがるジャーナリストに近い
なんか、すげーよくわかるたとえですね、それ(笑)。確かに、決して長くないこれまでの経歴を見ても、戦い、戦い、また戦いだからなあ、この人。

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