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2007年08月09日

●靖国神社へ行ってみた


午後、竹橋の国立近代美術館で『アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌』展を観た後、なんとなく九段下まで散歩したところで「そういえば、靖国神社なる所には行ったことがないな、俺」ということに気づいた。別に「日本人ならば、靖国へ参拝してしかるべきだ」などとは全く思わない質なのだが、まあ知っておくのもよかろうとういことで立ち寄ってみた。


神社の周りには何台か右翼の街宣車が出ていて、そのせいか上空にはホバリングで静止する警視庁(?)のヘリが。今日は62年前に長崎に原爆が落とされた日だが、それと何か関係があるのだろうか。それとも安倍首相の靖国参拝についてのアピールか?ようわからん。

参道の途中にでっかい銅像が立っているので誰かと思ったら、なんと大村益次郎(村田蔵六)であった。ほおおおお、知らなかったなあ。確かに「日本陸軍の創設者」ではあるので、言われてみれば「なるほど」なんだが。脇をオッサン2人連れが「大村?知らんなあ」と言いながら通り過ぎていった。おい、ウチの郷土の偉人になんてことを(笑)。


山口県といえば、参道の脇でいい味を醸し出していたふっる~い売店(セルフの食堂付)に「晋ちゃんまんじゅう」と「アッキーラッキークッキー」が置いてあった。参院選前に山口宇部空港で見かけて、もう二度とお目にかかれないと思っていたのだが。感動の再会(笑)である。



で、これが拝殿ということになるのかな。ちゃんと作法にならい、水で手を清めて口をゆすいで、二拝二拍手一拝する。鳥居の脇には、回天特別攻撃隊で戦死した方の遺書が掲げてあった。昭和20年8月4日に亡くなったとか。終戦まであと11日、か。遺書の内容よりも、その日付を見て思わずため息をついてしまった。

『日本のいちばん長い日』を持ち出すまでもなく、あれほどの大戦争を終わらせるというのはそれ自体がこの上なく困難な事ではあるし、「本土決戦」を避けることができたのも事実ではあるのだ。それでも、あと何日か、いや1日でも早く終戦まで持ち込めていたら、助かった命は沢山あったはずなんだよな……(そして行き着く先は「そもそも始めなければ……」だ)。



拝殿の脇にある「遊就館」にも立ち寄った。明治維新から太平洋戦争(大東亜戦争)終戦に至るまでの戦争関連資料を年代順に展示してある資料館である。ここは前から観たかったのだ。


入館すると、いきなりでーん!とゼロ戦と機関車と89式加農(かのん)砲が。「りっくんランド」と同じく軍事オタクが喜びそうな展示だが、自衛隊の広報施設と違うのはこれらが実戦にさらされた兵器であるということ。特に加農砲は沖縄の洞窟陣地に配置されていたらしく、あちこちに銃痕を含めて傷がつきまくり。

館内の展示室は20室ほど。最初の展示が「元帥刀」であったのをはじめ、全体的にはやはり軍国主義的、あるいは歴史修正主義的な色彩が強いように思えた。ただ、解説自体は丁寧で、歴史的にも価値のあるモノも多そう。現存する唯一の「軍旗」とか、バロン西がロス五輪で優勝した時の賞状とか。驚いたのは、阿南陸相切腹時の「一死を以て大罪を謝し奉る」の遺書。血がベッタリ着いた本物が展示されていた。これは凄いな。

思わず笑いそうになってしまったのは日露戦争に関する展示で、大音量で軍艦マーチが流れる中で「こうして我が軍は大勝利を収めたのである!」みたいな景気のいいVTRが流れるんだけど、どうも軍艦マーチというとパチンコ屋を連想してしまうのである。

終盤は遺品や遺書、遺影の展示が中心。そして最後の大展示室には人間魚雷「回天」やロケット特攻機「桜花」の実物が展示されていた。これはさすがに厳粛な気持ちになったというか、ありきたりだけれども「これを繰り返しちゃいかんよな」という感じ。もっとも、似たような事は今でも世界のあちこちで起こっているわけで……平日の昼間ということで若いお客さんが多かったようだけど、彼らはどう感じたのかな。それがとても気になる。


まあ、「来てよかった」とは思った。実際に観てみないと感じられないこともあるから。

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コメント

8月9日に右翼が騒ぐのは長崎に原爆が落ちたからではなく、この日にソビエトが中立条約を破棄して対日参戦したからです。

あ、なるほど。言われてみればそうですね。私、全くぼけてました。ありがとうございます。>ゴッドホースさん

僕も以前に「一度行ってみなければ」と思い、行ってみました。
坪内祐三「靖国」(新潮文庫)を読んでみてください。参考になりますよ。

そうですよね。一度は行って、場を体験してこないと、とは思いますよね。>潤さん

「靖国」ですか。ありがとうございます。本屋で探してみます。

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