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2006年11月12日

●なんだ、このトンデモナイ試合は(笑) (FC東京×川崎フロンターレ)


昨日の午後、味スタでJ1第30節。FC東京 5-4 川崎フロンターレ。ここ最近、大逆転→大凡戦→大楽勝と、内容にムラはあれど公式戦3連勝している東京。この試合でも、一時は3点差をつけられる苦境に陥りながら、相手の自滅と主審様のご乱心に救われ、あれよあれよの大逆転勝利。最近の味スタには魔物でも住んでいるのかもしれない……つーか、なんなんだ、このトンデモナイ試合は(笑)。



雨の中、序盤から落ち着かない展開。7分、ゴールへ向かうFKを土肥がうまく処理できず、何とかかき出したボールを谷口に押し込まれて川崎先制。14分には右サイドでクリアを拾った憂太がややアウトにかけたクロスをゴール前に入れ、GKがパンチをミスったこぼれ球にルーカスが反応して同点。東京の攻撃陣が生き生きとしているのに対し、川崎DF陣の動きは重そう。「点は取れそうだ」というのが立ち上がりの印象であった。

しかし、2点目を先に奪ったのは川崎。17分、スローインから左サイドを抜けた谷口が土肥のギリギリ届かない場所へグラウンダーのクロスを入れ、藤山と併走した我那覇が土肥の脇を抜いた。さすがにソツがない。その後は帰陣の遅い東京に対して川崎がカウンターでいい形を作るが、外国人アタッカーが単独突破に拘りすぎて失敗、という場面が何度か。東京もルーカスが強烈なミドルを放つも、GK吉原に弾かれてしまう。

ともあれ、「このまま1点差で行けばまだまだ」というところだったが、43分。速攻から左サイドゴールライン際まで走ったマギヌンがマイナスのクロス、これをファーに走り込むジュニーニョがダイレクトボレーで叩き込んで1-3。うーむ……。局面局面では東京も決して負けていないし、今野は中盤で獅子奮迅の活躍を見せているのだが、どうも「ここぞ」という場面での連動性は川崎の方が上の様子。なるほど、3位と下の方(笑)の対戦であった。


後半、ハーフタイムの指示も効いたか川崎の戦いぶりは前半より良くなったように見えた。東京の個人能力を生かした攻撃に対し、タイトな守備ブロックを素早く形成して対応する。49分には、東京陣での競り合いで大きく跳ねたボールに対する藤山の反応が遅れ、抜け出たマギヌンが土肥との一対一を制して追加点。1-4。川崎の守備がやや改善していたこともあり、ここまでは完全な負けパターンであった。ここまでは。

51分、左サイドからボックスへ突入しようとした憂太が倒されFK。川崎がマークの確認をしている最中に憂太は虚を突いたクイックリスタート、ニアにいた戸田が左足を一振りしてゴールイン。全く人を食った、憂太らしいアシストだった。素晴らしい(笑)。川崎側はこれが頭にきたのか、ガンガン前に出だすが(まだ2点リードなんだから落ち着いて回しても良かったのに)、それが裏目。53分にジュニーニョがダイビングをとられて2回目の警告で退場。
 

これで流れが変わった。川崎は前へ出られなくなって東京の一方的攻勢に。憂太が中盤の底に下がってのパスさばきで味方を前に出し、徳永もガンガン駆け上がる。さらに、珍しく(?)、倉又監督が早めの交代で引く相手に対応。スペースを失った石川と戸田を下げて馬力のある規郎を入れ、宮沢・平山の投入でパワープレイも準備。梶山OUTは惜しいような気もしたが、いずれも妥当な交代だったと思う。川崎の方は、マギヌンOUT佐原INで逃げ切りシフト。

55分に憂太の地を這うミドルシュートが、64分にはピッチに炎の痕が残りそうな規郎の弾丸FKが、吉原を襲う。67分には今野のミドルシュートがポストわずか右を抜けた。注目の平山は相変わらずスローモーだが(笑)、ハイボールの競り合いに勝ち、足下でも着実にさばいてシュートを狙う。71分には憂太のクロスをピタッと止めて吉原と一対一になりかけるも、DF必死の寄せで逸機。ただ、少なくとも相手の脅威になっていたのは事実だ。

その後も憂太のミドルをボックス内で止めた今野の反転シュートがネットを揺らしたり(オフサイド)、ボックス内中央の規郎にパスが通ったりと好機が続くが、なかなか追撃の1点が奪えない。ようやく3点目が入ったのは、83分。今野のアーリークロスにルーカスがDFと絡みながら競りかけ、吉原の弱いパンチボールを規郎が頭でつなぎ、最後は平山が押し込んだ。名古屋戦といい今回といい、運なのか嗅覚なのか……何にせよ、貴重な1点。

84分、さらなる幸運(笑)が。川崎陣左サイドのFK、マルコンが遅延行為で2回目の警告。ちょっと気の毒すぎる判定(ボールをセットしてほんの数秒…)だったが、まさか奥谷主審が東京の味方をしてくれる日が来るなんて。川崎の「汚い」印象の蓄積のせいとも言えるか。ともかくこれで圧倒的有利。ちょっとパスを回すだけで、すぐ数的優位ができてしまう。川崎側はバタバタ倒れたりして時間を使う「いつもの手」に出るが、この日はさすがに余力がなかった。

東京側の選手はもう迷わず上がりまくり、スタンドももちろん大盛り上がり。徳永がほとんどウイングの位置に入り、さらに伊野波がその外を上がっていくシーンも何度か。そして89分、平山とDFが競ったこぼれ球をDF伊藤がクリアミス、規郎がつなぎ、ポスト前でフリーになっていた宮沢が頭で押し込んでついに同点!興奮のあまり、看板を飛び越えてスタンドに駆け寄る宮沢。頭でのゴールといい、彼にしては珍しいシーンである。

こうなるともう止まらない。ロスタイムは6分。おそらく選手もファンも、引き分けなど全く頭になかったことだろう。そして5分を過ぎた頃だったろうか?川崎陣中央でセカンドボールを拾った今野が持ち上がり、ノープレッシャーのまま思い切ったロングシュート!ボールは濡れたピッチを滑ってDFの間を抜け、吉原の横っ跳びも届かずゴール右隅に吸い込まれた。なんとなんと、逆転である。もちろんそのまま試合終了。「まさか」の勝利であった。



ミラクルな試合だった。両チーム計9点も入り、3点差がひっくり返る試合なんて滅多に見られないはず。おそらく、味スタに詰めかけたお客さん(川崎ファン除く)のほとんどは満足してくれたのではないだろうか。ただ、冷静に考えれば、繰り返しになるが、相手の自滅と主審の暴走に助けられた試合であったのも確かなのだ。なぜ3点差も追うはめになったのか。ジュニーニョ退場までの相手との差はどこにあったのか。反省材料は多い。

試合後、選手もファンも狂喜乱舞する中、日頃はクールな憂太が派手なガッツポーズを繰り返していたのが印象的だった。絶好調だけに、チームを勝たせることについて大きな責任を感じていたのかもしれない。そうだと嬉しいねえ。そういや、開始早々中村にガツンと当たったりもしていたな。上では「人をくった」なんて書いたけれども、2点目をアシストしたFKは試合の勝敗のキーとなるプレーだった。3点差と2点差では大違いだから。

試合を通したMVPを1人選ぶとしたら、今野だろうか。前半の川崎が得点を重ねる時間帯においても、彼は前後左右に動き回り、ボールをかっさらうだけでなくボールホルダーにプレッシャーをかけて相手の攻撃の精度を確実に低下させていた。そして、あの素晴らしい決勝ゴール。試合後のインタビューでも「相手は可哀想だったけど……勝ったのは僕たちです!」と、聡明にして頼もしい発言。憂太と今野、この2人で「軸」は決まりだ!!

ちなみに、これでリーグ戦3連勝となったわけだけど、3連勝は実に2002年以来の事らしい。原さんのチームは何だかんだ言って「負けない」のが長所だったからなあ(ただし、この日みたいな試合終盤の猛攻も原さんの遺産だと思う)。まあ、変な勘違いさえしなければ、勝ち癖が付くこと自体は決して悪いことではないはず。2000年2ndステージに5連勝5連敗ってあったけど、今年は6連敗もあったから6連勝くらい、どうですかね(笑)。

でも、そうなったら、帳尻が合って、結局また変わらないまま来季に突入しちゃうのかな。

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コメント

たらたら長文、読む気もしねぇ。

その割に、コメント書く気はしたんですね(笑)。

>そうなったら、帳尻が合って、結局また変わらないまま来季に突入しちゃうのかな

同意w
まさに『終わりよければ全てよし』。
毎年ダマされてるようなw

>けんぴさん
「帳尻合わせの東京」ですね(笑)。合わせ方が何とも派手かつ麻薬的で、嬉しいやら困ってしまうやらなのですが。

>誰だか知らんが23:29に投稿した人
わざわざリンクまで、ありがとうございます(笑)。

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