« 1人じゃないって~~ってか | メイン | なんだ、このトンデモナイ試合は(笑) (FC東京×川崎フロンターレ) »

2006年11月10日

●よくぞこのシンドイ試合で…… ('06アジアユース準決勝)

昨晩、NHK-BSでアジアユース準決勝。日本 2-2(PK3-2) 韓国。U20W杯出場も決め、アジア王者へ向かってばく進する若き日本代表。今回はサウジ戦に続き、いや、それをはるかに上回る大苦戦だったが、韓国の攻勢に対して数的不利に陥りながらも粘りに粘り、ついに最後まで戦い抜く。そして、ご褒美のようなPK勝ち。泥んこの中の、美しい勝利だった。


前半立ち上がりから、日本にとっては「うまく行かない」展開が続いた。キックオフ直後、マークの確認にもたついているうちに守備の大穴を突かれ、いきなりの失点。すぐに得意のパスワークで反撃に出るものの、森島が何度かあった決定機を決められない。そうしているうちに叩きつけるような雨が降り始め、ピッチ状態も力のいる、いかにも韓国向きのものに。「いかんなあ」という雰囲気であった。

だが、このチームはやはり良くも悪くも頑固というか、「できることをする」姿勢が一貫しているというか、日本はその後もパスを丁寧につなぎ続け、前半の間は韓国に対してペースを譲ることがなかった。ただ、えなり、じゃなかった、河原がGKと一対一の大決定機でシュートミスし、柏木の鮮やかなミドルシュートが相手GKのファインセーブで防がれた時には、早くも「こりゃ駄目かも」と思ったものだが。


後半早々、柏木のトリッキーなラストパスからDFライン裏に出た森島が、今度こそしっかり決めて同点に追いつく。楔のパスをとっさにヒールで流した柏木の機転も見事だったけど、そこで慌てずDFを引きつけてから切り返しでちぎってGKの脇下を抜いた森島も素晴らしかった。この後の展開を考えれば、本当にここでとっておいてよかった、としか言いようのないゴールでもあったのだ。

同点に追いつかれた韓国は、前へ出る圧力をグッと強めてきた。このプッシュに対し、悪ピッチでつなぎのサッカーはやはりキツいのか、日本は一気に受け身に回ってしまう。サイドからガンガン勝負を挑む相手アタッカーに対してDFラインはベタ引きになり、韓国のお家芸とも言える強烈なミドルが次々に日本ゴールを襲う。ゴール右上をわずかに抜けるボールだけで3~4回はあっただろうか?

そして83分、裏に抜けかけたFWを槙野が後ろから引っかけてしまい、一発レッド。守備の要の退場で状況はさらに厳しくなった。そこから後はもう、「よく守った」というより「何で入らないの?」というくらいにピンチの連続。壁の隙間を抜けた弾丸FKはGK林がかろうじて弾き出し、サイドから崩されシュートに林届かず、という場面も好カバーの内田がゴールライン上で奇跡的クリア。なんとか、延長に突入。韓国の19番はいい選手だ……。


延長に入っても日本は自陣に押し込められたまま。勢いに乗る韓国はドカンドカンとシュートやアーリークロスを蹴り込んでくる。ここで魅せたのが林。叩きつけられたヘッダーを横っ跳びで防ぎ、FWの体当たりにも勇気をもって競り合っていく。息つく暇もなく飛び込んでくるボールを、ほとんどノーミスで処理し続ける。この子、見た目はあんまり冴えないけど(ゴメン)、実はもの凄い大物かもしれん、と思った。

そして前半終了間際。柏木の巧みな持ち上がりから右へ展開、クロスを柏木がすらしてファーの森島がシュート、はね返りをさらにファーにいた青木がシュート!ボールはGKとDFの間をぬうようにしてゴールへ転がり込んでいった。よし!!後半に入って、開始直後の5番のミドルシュートも、林が素晴らしい反応でビッグセーブ。よし、よし、行ける!!

ところが、後半5分。日本陣ボックスすぐ外であヤシいファウルの判定。8番のキックが壁の中を抜けて、さすがの林も反応できずゴールイン。あれはファウルじゃないだろ……などと言っても仕方がないのだが……若人たちには非常にいい経験であるのは確かだろう。その後も何度かピンチを迎えながら、林の獅子奮迅の活躍に引っ張られるDF陣はギリギリのところで踏みとどまり、PK戦へ突入。

PK戦も、1人目の梅崎があっさり中央に決め、韓国がバーやポストに当ててくれたところまでは良かったのだが、日本選手ももう足腰が限界状態。柏木が右に引っかけてポストに当てちゃったのを皮切りに外すわ外すわ……しかしそこでまた林が踏ん張り、試合中には見られないような気迫の表情も見せて防ぎきる。最後は6人目、青木が決め、林がストップしてついに日本の勝利が決まった。苦しい戦いだった。


確かに、韓国アタッカーの決定力のなさ(枠内シュート率の低さ)や、運にも助けられた面はあるだろう。しかし、それでも連戦と悪コンディションにアジア最強の敵(個々の身体能力は韓国の方が上だった)という三重苦の中、本当によく勝ってくれたものだと思う。ただでさえJリーグで高いレベルの実戦経験を積んでいる世代だが、これでもう一回りたくましくなってくれるのではなかろうか。

特に、林と柏木の活躍は文句なしに素晴らしかった。林は、見た感じちょっとつかみどころのないような印象だけど、しかしフィールディングは実に安定しているし、PK戦の雄叫びを見る限り闘志を内に秘めるタイプなのだろう。頼もしい。柏木は、ここぞという場面で上がってくるタイミングと、そこでのボールさばきの巧みさには目を見張るものがある。2人とも、実に楽しみな素材だと思う。

これで、優勝まであと1勝。この世代のアジアの大会では優勝したことがないらしいから、ホント、是が非でも優勝してほしいものである。せっかくこんだけ苦しい試合を勝ってきたんだから……。吉田監督は韓国戦の前に「これが事実上の決勝戦だ」と檄を飛ばしていたらしいので、それはそれで立て直しは大変だろうけれども。とにかくあと少し!頑張って!!

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2137

コメント

こんにちは。

私も柏木はすごくいい選手だと思いました。
広島のユースは常にいい選手を輩出し続けていますが、あやかりたいもんです。

こんにちは。

柏木は、「ここだ」という時の上がるタイミングの判断とか、その時の華麗なゴールさばきに独特の魅力のある選手ですね。

「スマートな今野」と言ったら、ちょっと褒めすぎかな(笑)。

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)