●それってどうなのよ神様
サッカーのテレビ解説でおなじみ、”ジャンルカ・トト・富樫”こと富樫洋一さんがアフリカネーションズカップ取材中に急死されたそうである。
このニュースを知ったときは、とにかくびっくりした。そして大きなショックを受けた。ついこの間JSPORTSの欧州CL特番で元気な姿を拝見したばかりでもあったし、なんつーか、僕の思い込みかもしれないけど、この人がブラウン管を通じて作り出していた(作り出そうとしていた)雰囲気というのは、「死」とか「悲劇」とかとは対極と言っていいものであったはずだから。
昨秋W杯予選の中継を観た時にもちょっと書いたが、いつでもどこでも、深刻な状況においてもギャグを飛ばさずにはおれない富樫さんのノリに昔はついて行けず、「ちゃんと解説らしくしろ!」なんて腹を立てたりもしていた。でも、サッカー観戦を重ねる(あるいは歳をとる)につれて僕の方に余裕が出てきたのだろう、最近は素直に楽しんだり癒されたりしていた。
技術的・戦術的な「解説」ももちろんサッカーには必要ではあるのだけれど、そこにこだわりすぎず、とにかくサッカーというものの喜びや楽しみを表現していく「コメンテーター」もまた、その国のサッカーを豊かにしていく上で不可欠なのである。そういった意味で、富樫さんはとても貴重な存在であったように思う。
ああ、あの、一見シリアスな口調から繰り出されるビミョ~なギャグももう聞けないし、実況アナや東本貢司さんを困らせたり、鈴木良平さんにツッコまれたりする姿ももう見られないのか。残念というか、ちょっと未だに信じがたい気がしてしまう。もしかしたら今週末のセリエA中継にでも出てくるんじゃないか、フツーに。
とにかく、今まで楽しませてくれて本当にありがとうございました。謹んでご冥福をお祈りします。