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2014年12月28日

●『ピーター・パン』

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年末はクリスマス前から子供と一緒にインフルエンザにかかってしまい、家に引きこもってEテレの子供向け番組やDVDを見続ける日々になってしまっている。その中で、ディズニー映画もこれで6本目となるのだが、DVDで『ピーター・パン』を観た。
 
 
物語はうろ覚えに記憶していたとおり。ロンドンに住むウェンディとその兄弟たちが夜更けに訪れたピーター・パンに誘われ、「子供が子供のままでいられる」ネバーランドに旅をする。しかし、そこにはかつてピーターに左腕を切り落とされ復讐を誓うフック船長が待ち受けていた。ピーターとウェンディたちはフック船長と戦うが、彼の策略にはまってしまい……というもの。

まず驚いたのは、描写のワイルドさというか前時代ぶりというか。ウェンディや彼女の母親ら女性たちが完全に母性的な役割ばかり期待されて描かれているのも今の時代ならば女性差別と言われそうだし、なぜかネバーランドにインディアンが住んでいて、酋長はじめ真っ赤な肌で半裸のまま出てきてうっほうっほ踊ったりするのは、さすがに僕も「おいおい」とツッコミたくなった(笑)。

それと、ピーター・パンって超気分屋だし自信過剰だし女の子と見れば見境なくいい顔するしで、けっこうヒドイ奴だったのね。最初にウェンディの家の屋根に張り付いて何やら悪い顔をしている姿は、ほとんど犯罪者のようにしか見えない(夜這いかけてんのかよ、と)。これはこれで「子供」の一面を表しているということなのかな。子供から無垢さをとったら邪悪さが残った、みたいな。

物語の方は……フック船長の陰謀でピーター・パンあわや爆死、の展開はスリリングだけど、フック船長自体は戦闘能力ではピーターにかなわないのね(悪巧みを駆使して何とか五分近く、みたいな)。むしろ劇中で何度か食われかけて死闘を繰り広げる(このドタバタ描写が最高!)ワニの方がよほどいいライバルっぽい。僕が邦題付けるなら『ピーター・パン フック船長vs人喰い鰐』にするぞ(笑)。

あとは、ティンカー・ベルの可愛らしさも良かったですな。いいじゃない、ヤキモチ焼き。ああいうツンデレな女の子は個人的にはけっこう好きである。まあ、実際には、あそこまで四六時中一緒にいられて妬かれてたらたまらんのかもしれんけど。(そこまで女の子に好かれた事がないからよーわからん。)
 
 
ということで、この映画、全体的には「なんじゃこれ!ワハハ!」てな感じで観てたんだけど、実はラストシーンにはちょっと感動してしまったのだ。いつも「夢みたいなことを言うな!」「大人になれ!」と子供たちを叱っているウェンディのお父さんが空に浮かぶピーター・パンの帆船(の形をした雲?)を見て、「あれは子供の頃に見たことがあるぞ!」と言って家族で肩を寄せ合うところ。

この場面の解釈はおそらく二通りあって、根は優しいお父さんがウェンディたちに話を合わせてあげている(お母さんはそう思ったみたいね)というのが一つ。もう一つは、やはりお父さんも子供の頃はネバーランド的なものに思いを寄せたり見たりしていて、実際に空飛ぶ船(の形)を見てそれを思い出した、というもの。どちらであっても、救いのあるというか、素敵なお話だな、と僕は思う。

ピーター・パンの物語ではネバーランド=夢の国と現実の世界とが対置されているわけだけど、「ピーターパン症候群」なんて言葉があるくらいで、やはり僕らの目で見ると「子供が子供のままでいられる」というのは逃避やまやかしにも見えてしまうわけだ。それはただの嘘なんじゃないかと。で、そこを乗り越えようとして、たとえばスピルバーグは『フック』なんて映画を作ったりもしたんだよね。

でも、実はこの映画の中に既にヒントは隠されていたのではないかな、と。最後のお父さんの台詞の中に。つまり、誰でも大人になって子供の頃の夢の大半は忘れてしまうんだけど、でも時には夢見ていたことを思い出すことはできる。もしくは、その気になれば子供たちと一緒にもう一度夢を見ることだってできる。「誰もが大人にならなくてはならない」とは「誰もが昔子供だった」ということでもあるのだから。

先日のクリスマス・イブ、(他の多くのご家庭でも同じだったと思うが)我が家でも僕がサンタクロースに変身して子供の枕元にプレゼントを置いたりしたわけだけど、あれだって子供に対する「お付き合い」であると同時に、僕らももう一度童心に帰ってサンタクロースの夢を見ているのだと言えなくもない。少なくとも子供の夢を壊しちゃいけない、という気持ちはあるのだよな。

ネバーランドはきっとあるし、サンタはきっといる。あなたがもしそれを本気で信じるのであれば。そういうことだと、僕は思う。


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