« 『ピーター・パン』 | メイン | FC東京の2014年を振り返ろう(後編) »

2014年12月29日

●FC東京の2014年を振り返ろう(前編)

早いもので、今年もあと2日を残すばかりとなった。今シーズンは天皇杯の日程が早くて(どっちにしろ東京は早めに負けたけど(笑))12月中旬から国内サッカーはオフとなり、年末近くになるともうストーブリーグ真っ最中、という感じである。

前田遼一の加入(公式発表も来たね)や塩田仁史の移籍など書きたい話も多いのだけれど、それは年明けに回して、とりあえず今回は長らくブログをサボっていた自分の思い出しメモも兼ねて回顧篇ということで。以下、FC東京の2014年シーズンについて4つのトピックを中心に記載してみよう。


1 マッシモ・フィッカデンティ監督の就任

今シーズンは何と言ってもこれだろう。Jリーグ初、そしてFC東京にとってももちろん初めてのイタリア人監督の就任。セリエAで残留請負人的な仕事をしてきた若手監督、チェゼーナ時代には長友を獲得して成長させた、といった事前情報はあったものの、「イタリア=守備的」という先入観もあり、期待以上に不安を抱いていたファンも多かったのではなかろうか。

実際、フィッカデンティ監督は従来の東京が経験したことのない戦術を導入した。4-3-3の並び方をした選手たちが素早い帰陣から整然と密集隊形を組んで守り、攻めては攻撃参加の枚数を制限しつつ少ない手数でカウンターを狙う。そのやり方は新鮮であるが、その一方で「やはり守備的では」「このやり方が東京にフィットするのか」と疑問に思うファンも多かったように思う。

そして開幕。僕たちの不安は半ば的中し半ば外れ、1年目の東京は独特の戦術と印象的な戦いぶりによってリーグで存在感を発揮しながらも、戦績的には不調期と好調期を行きつ戻りつする一気一憂の1年を送ることになった。(詳しくは次々項で。)


2 新戦力たちの台頭

監督が替わり戦術が変われば、起用される選手も変わる。多くの新しい戦力が台頭したのも今年の目立った成果であった。まずはユース上がりで大学在学中の新人FW武藤嘉紀。開幕からのスタメン抜擢に応えた彼は高速ドリブルと体幹の強さを武器に大活躍を見せ、新人得点記録タイの13ゴールをマークしたのに加え、日本代表に選出されて見事スターダムを駆け上がった。

次に河野広貴。加入以来2年間くすぶっていた逸材だが、マッシモ戦術の下で動き出しの鋭さと爆発的な運動量を見込まれてトップ下に起用され、アシストを重ねてレギュラーに定着した。さらにクラブ生え抜きのCB吉本が粘り強い対人守備能力を発揮してついに才能を開花させ、新加入の元シャルケFWエドゥーも、前線のターゲット兼ゴールゲッターとして大いに活躍した。

(河野と吉本は昨季の最終戦はいずれもメンバー外となり、代わりにというかナーサリーに遊びに来てウチの子とも遊んでくれた2人だったので、特に感慨深い。)

これら新しい選手たちと、森重・太田・高橋・米本・平山といった従来の選手の適応とを合わせて、僕たちは全く新しいFC東京の姿を目にすることとなったのである。(ただし、物事には表と裏があって、新しい監督と戦術に合わない選手、例えば渡邉千真や加賀健一は前年までに比べて大幅に出番を減らしたのだけれど。)
 
 
3 不調、好調、不調、14戦負けなしの快進撃、そして尻すぼみ

開幕直後の東京は、やはり新戦術に馴染むのに時間がかかり、ぎこちないプレーぶりでリーグ4試合勝ちなしと苦しむこととなった。転機はナビスコ杯初戦の鹿島戦。新鮮なメンバーによる生き生きした攻撃で快勝したこの試合で流れをつかみ、リーグ戦初勝利(清水戦)をあげてからは「点を取れば負けない」チームとなっていく。広島に敗れたものの、鳥栖、セレッソ、横浜に勝利。ファンの多くが上昇気流を感じていた。

しかし、GWの3連戦でいずれも0-1の3連敗。おまけに最下位の徳島にも引き分けてしまい、ナビスコ杯でも勝てない試合が続く。この頃は堅守に手応えを感じつつも、攻撃はサイドからのクロス一辺倒という感じでバランスが悪く、ならばとメンバーを変えてみるとさらにバランスが崩れ、という悪循環だった。W杯前のこの時期が、チームとして一番苦しかったのではなかろうか。

そしてW杯中断明け。チームを固めなおした東京は見違えるような快進撃を見せる。初戦の鹿島戦こそ引き分けたものの、その後は固く引き絞るような組織守備とそこから矢を放つような速攻が次々決まり、白星と、勝てないまでも印象的な引き分け(浦和戦は勝ちたかった!)を重ねていく。約2ヶ月間で実に14戦負けなし。順位も上位と勝点的に遠くない6位につけ、期待は大きく膨らんだ。

ところが。そこからチームは再び失速してしまう。またもチームの攻め手の少なさをさらけ出す形で得点力不足に陥り、さらにボールサイドから逆側への揺さぶりなど密集守備の弱点を突かれることも多くなって失点も増加。最後の8試合は1勝3分け4敗、内容も決して芳しくなく、スタンドからはブーイング。まさに「尻すぼみ」の印象と来シーズンに向けての課題が残る終盤戦であった。

結局リーグ戦の順位は9位。もはやお馴染みの中位であるが、途中上昇気流を感じる時期があっただけに、戦績が従前の殻を破りきれなかったのはいささか残念であった。


後編に続く


↓よかったらクリックして下さい。
にほんブログ村 サッカーブログ FC東京へ
にほんブログ村

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2753

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)