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2014年11月30日

●奇跡は起きます!起こしてみせます!!

いやあ、おったまげた、ビックリした、仰天した。何が驚いたって、これ。

2014年J1昇格プレーオフの準決勝は、モンテディオ山形が土壇場の後半アディショナルタイムに決勝点を奪って劇的な決勝進出を決めた。

この試合、僕は一応スカパー!でキックオフから観ていたんだけど、ほぼ互角の展開からGK八田のミスを突いた山形が先制したところで風邪を引いた子供を病院に連れて行くことになってしまい「よしよし」と思いながら(ジュビロのファンにゃ悪いけれど、まあ波乱が起きた方が面白いもんね)家を出た。

家に帰ってテレビをつけると既に後半半ば。既に同点となり、さらに磐田が攻勢に出ているところだった。磐田にしてみれば守備固めより攻めきった方が良いという判断だったろうし、おそらくそれは正しかったのだろう。得点こそ奪えないものの磐田が主導権を握ったまま時計は進み、山形が最後のチャンスのCKを得たのは91分だった。これを磐田がはね返せば試合終了という場面……。

山岸の突き刺した起死回生のヘディングシュートは、今後長くサッカーファンの間で語り継がれるに違いない。Jリーグの歴史に残る一撃だった。

ノックアウト方式の大会や一発勝負などの後半追加タイム、特にセットプレーの場面でGKが攻め上がって「総攻撃」すること自体はそれほど珍しいことではない。しかし、それが功を奏するのは極めて限られた例しかないだろう。試合の最終盤ともなればリードしている側も守備に人数をかけてくるし、集中力を振り絞るのだから当然といえば当然である。

僕の記憶にあるのは、アトランタ五輪のグループリーグ第3戦、ハンガリーにリードされて追い込まれた日本が追加タイムに2点を奪って逆転勝利した試合だ。あの時、GK川口能活の攻撃参加がハンガリーのマークが混乱させ、結果的に上村健一の同点ゴールを生んだのだった。あの時くらいだろうか。ましてや、今回のようにGK自身が直接ゴールを決めるとなると……ちょっと記憶にない。

(チラベルトのような特殊なGKのいないJリーグでは、GKの得点自体過去6例しかないそうな。)

つくづく、奇跡というのは、起きるのを待つのではなく起こすものなんだな、と思う。確かにできすぎた話ではあるし、偶然に助けられた結果ではあるのだろう。でも、あの場面でもしも山岸が思いきって攻撃参加しなければ、判断良くニアにいなければ、クロスに絶妙の狙いで合わせなければ、そしてノブリンが語ったような事前の準備がなければ、あのゴールは生まれなかったに違いない。

それにしても見事なヘッダーだった。あんな素晴らしいコースとスピードで飛ぶシュート、J1のFWだってそう簡単には打てないよ。山岸が頭でジャストミートしてからボールがゴールネットに突き刺さるまでのわずかな時間、両チームのサポーターはどのような気持ちで眺めたのだろうか。どちらにとっても「信じられない瞬間」だろうが、自分が磐田サポだったらと思うとゾッとするな。

山岸範宏は浦和レッズ時代から地味ではあるけれど堅実でレベルの高く、気持ちの入ったプレーをするゴールキーパーで、僕はけっこう好きな選手。だから西川レッズ加入を受けて山形に移籍した時は「こういう選手の出場機会が確保されるのは良いことだな」と思っていた。で、この試合でも好セーブ連発だったんだけど、まさか最後にこんな形で大仕事をやってのけるとは、ね。

あと、やっぱり昇格とか降格に関わる入れ替え戦だのプレーオフだのってのはドラマティックな展開になるんだな、と。特に昇格プレーオフは始まってから2回続けて勝ち抜いたチーム(大分、徳島)がJ1で通用せず断トツで降格しているだけに「これでいいのか」と思わないでもないんだが、でもJ2中堅チームの目標には確実になるし、これだけ熱い試合を見せられては……。

まあ、ともあれ、モンテディオ山形がJ1に上がるためには、まだ決勝でジェフ千葉に勝つ必要がある。そこで勝てるかどうかで今日の山岸のゴールの価値もまた変わってくるし、「奇跡」の力を味方にした山形を関塚監督率いる千葉がどう迎え撃つのかも興味深い。ますます楽しみになってきた!
 
 
[注]

今回のエントリーのタイトルにした「奇跡は起きます!起こしてみせます!!」は、確か前にも使ったことがあると思うんだけど、これ庵野秀明監督のOVA『トップをねらえ!』最終回のクライマックスで出てくる台詞なのだ。『トップをねらえ!』はオタクのパロディ趣味とおふざけ全開でちょっと僕の肌に合わない部分もあるのだが、人間の意志と勇気が人類の未来を救う最終回の展開は、非常に僕好みなのである。
 
 
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コメント

ご無沙汰してます。
面白い試合でしたねー。
こう言うプレーオフや入れ替えせんは
確かに楽しくて、そのエンタメ延長線上に
前後期再導入があるんだろーなー、
と考えてました。

ところで、余り見えないのが北九州…。
関係者やサポなとは、さぞや悔しいと思うし
来年が心配なんてすが。
どうですか?

どうもー、ご無沙汰です。

こういう試合はやみつきになりますよね。ただ、だからといって前後期(チャンピオンシップ)方式がそんなに盛り上がるかと言ったら、また別問題のような気がするんですけどね(屋上屋を重ねる感じがして)……。

北九州は、ある意味絶好の機会を逃したわけですから、これから少し苦しい時期が来るかもしれないですね。今年の長崎とかもそうですけど、小クラブが2年連続で好成績を残すのは難しいですし。

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