●『白雪姫』と『眠れる森の美女』
最近子供がディズニーのプリンセスものにハマってて、ならばと映画のDVDを借りて観始めている。一週おきに『白雪姫』『眠れる森の美女』『シンデレラ』と観てるんだけど、どれも思っていたよりずっと面白かったので、2回に分けてレポートを掲載したい(久々に書くFC東京関係以外の記事がまさかディズニー映画とは思わなかった)。
まずはディズニー映画の原点『白雪姫』。「ハイ・ホー!ハイ・ホー!」と歌う7人のこびとたちでもおなじみ、記念すべき長編第1作である。
まず「おお!」と思わされたのは、やはり画面全体の描き込みとキャラクターの動きの流麗さ。白雪姫の手先の美しさや、動物たちとこびとのコミカルで愛らしい動き。ディズニーは一貫してフルアニメーションで、それに対して僕たちの観慣れた日本の作品は「コマ落ち」のリミテッドアニメ、というくらいの知識はあったけど、でもこうして大画面で真面目に観てみるとやはり見事だな、と。
主人公の白雪姫は、何というか、女子力抜群のキャラなのね。見た目は美人というよりかわいい感じなんだけど、物腰が柔らかく歌声が綺麗で、料理も洗濯も楽しげにこなして、誰に対しても優しくて。「女なんて!」が口癖の「おこりんぼう」というこびとがいるんだけど、白雪姫が寝る前のお祈りで微笑みながら「おこりんぼうさんと仲良くなれますように」と指を組むシーンには萌えた(笑)。
一方、白雪姫をつけ狙う王妃はもんのすごく禍々しく描かれており、とても義理の親子の揉め事の話とは思えない(笑)。白雪姫に毒リンゴを渡すために、老女に変装するのではなく魔法で老女に変身するのはディズニー独自の脚色だろうか。変身した老女がまたえらい醜くて……「おいおい「世界で一番綺麗なのは誰?」はどこ行ったんだ!」とツッコミたくなった。つか、魔女なんかと結婚すんなよ白雪姫の親父。
で、お話的にはほぼ童話のとおり……と思いきや、白雪姫が毒リンゴを口にして倒れた後で、7人のこびとが王妃(魔女)を追い詰めて崖から突き落として殺してしまう、という驚きのアクションが!まあ、童話のバージョンによっては白雪姫が王妃に陰惨な復讐をするお話になってたりするらしいから、こっちの方がまともと言えばまともか。
ということで、絵は綺麗だしキャラは魅力的だし物語に意外な展開もあるしで、75分(尺が短いのもいいな)全く飽きずに楽しむことができた。この質の高さはさすが古典的名作、というべきか。というか、これ1937年公開なんだよね。我が国で言えば日中戦争が始まって泥沼化し始めたさなか、というあたりか。その時期にこんなの作っちゃうんだから、そりゃ戦争やっても負けるわ(笑)。
続いて『眠れる森の美女』。これはかなりの傑作だった。
既に書いたとおり、『白雪姫』はアニメーションの質の高さやキャラクターの魅力、物語の展開は見事なものなんだけど、ただ一つ気になったのは王子様の存在感のなさだったんだよね。『いつか王子様が』という歌からもわかるように白雪姫の憧れであり夢の対象であるはずの王子様が、あんな影絵みたいなステレオタイプのハンサムでいいのか、という(いや別にいいんだろうけど(笑))。
この『眠れる森の美女』はそういう点でも、フィリップ王子はディズニー的なハンサム君ではあるけれど、きちんと行動で勇敢さを見せるし茶目っ気があって、つまりキャラが立っていて実に魅力的だ。おばちゃん妖精3人の活躍も素敵(キラキラ光りながら空を飛ぶ姿が綺麗)だし、もちろんオーロラ姫はこの上なく美しい。そして悪役のマレフィセントの憎憎しく手強いこと!
筋立ても完璧なお伽話の世界の中でロマンスあり、涙あり、笑いあり、大アクションあり(最後は王子が巨大化して竜になったマレフィセントと一騎打ちして倒す!『ドラクエ』かよ!)、恐怖ありと、なんというか、まさに娯楽大作とはこのことだな、と。これが1950年代に作られ得たというのは、ほんとアニメーションの強み(想像力をまんま画にできる力)の賜物だなあ、と。
唯一ツッコミを入れるとすると「宴会に呼んでもらえなかったくらいで呪いとかかけんじゃねーよ、マレフィセント」というあたりか(笑)。まあしかしいずれにせよお薦めの映画である。
正直、『白雪姫』にせよ『眠れる森の美女』にせよ、観はじめる前は「ディズニーアニメなんて子供向けでしょ」と馬鹿にしてたとこがあったんだけど、こうなってくると色々観るのが楽しみになってきた。次は『シンデレラ』にしようか『リトルマーメイド』にしようか、アナ雪はもうちょい先かな……みたいな。で、結果的には「やっぱり基本を押さえよう」と『シンデレラ』を観てみた。
(続く)
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