●尻すぼみはゴメンだぜ
FC東京 1−3 アルビレックス新潟 (J1第32節 味の素スタジアム)
いかんなあ、こりゃいかんよキミィ、という敗戦。
この試合、序盤こそ東京の組織守備→速攻がそれなりに機能し、7分には徳永の好判断とエドゥーの個人技から河野が先制ゴールをゲットしたものの、良かったのはそこまで。あとは丁寧につなぐ新潟のパス回しを網にかけられず攻勢を許し、大型FWの指宿にも苦戦。やっとこさボールを奪っても縦のボールがほとんど前線に収まらずチャンスを作れない。
それでも守備陣は何とか我慢していたものの、33分に田中亜土夢のスルーパスで指宿がスポッとDFライン裏に抜けてしまい同点。後半になっても流れは変わらず、東投入を用意しかけた69分にレオ・シルバに弾丸FKを決められて1-2。さらに78分にはまたも指宿・田中の連携から飛び出した山本に3点目を決められてジ・エンド。「なすすべなく」という感じの完敗だった。
チーム全体としてはホント、いいところなしの敗戦であった。一体どうしちゃったんだろうか。
この試合、守備でも攻撃でも、とにかく東京の選手は孤立する姿が目についた。一対一、ならまだ良いのだが、一対二以上の数的不利に陥る局面が多かったように思う。結果として米本・羽生をはじめボールを追いかけ回しても取れず、前線ではドリブルを仕掛けるもフォローが続かず奪われる、の繰り返し。堅実な守備のポジショニングと指宿を頂点とするパス回しでペースを握った新潟とは対照的であった。
代表組に疲れがあったのは確かだろう。武藤は動きにそれほど重さはなかったが判断がいまいちで、森重はボールへのアタックにいつものしなやかさがなく、太田はおそるおそるセーブしながらプレーをしているように見えた。ただ、そういったコンディションの問題自体ではなく、そんな彼らの個人能力に頼らざるを得ない状態がより問題であるように思えるのだ。
さすがにマッシモサッカーも相手に研究されていて、シーズン前半のようにシンプルな逆襲が決まることは少なくなった。本当はそこで、二の矢三の矢を繰り出すようなサッカーが必要なはずなんだけど、でも見えてこない。守備の方も、相変わらずタスクをこなしてはいるが、組織で相手を封じ込める意識の鋭さみたいなものが一時期に比べて感じられなくなったような。
悪い意味で慣れてきてしまったのか、それともやはりコンディションの問題なのか、いずれにせよチームの機能性が下がって武藤やエドゥー、太田らの個人技頼みになっているのが現状だろう。キーマンたる高橋秀人の埋没ぶりが、その証であるように思う。それではいけない。武藤をはじめ伸びている選手は確かに多いけれど、それでも東京が個の力で圧倒できるような状況は(少なくとも当分は)望めないのだから。
あと、フィッカデンティ監督の采配もちょっと一時期のようなシャープさを欠いているように思えた。後半になっても攻撃を作れないのを見て「こりゃ少しでもパスを散らせる選手を入れないと」と思ってたら東が用意して「よしよし」と期待したのだが、投入前にレオ・シルバのキャノン砲が決まってしまった。最近この手の立ち遅れが多いような気がするのである。
とにかく残り2試合。この日のような有様では、開幕前に懸念していた「攻撃的でない」「つまらない」サッカーそのままになってしまったではないか、と思ってしまう。せっかく新しい指揮官でチームの新たな可能性が見えてきた今シーズン、尻すぼみになってしまってはあまりにも残念である。立て直して連勝で終えることを期待したいと思う。頑張ろう、頑張って。
[追記]
この日、全体的に低調なチームの中で光っていたのは羽生直剛の働きだった。攻めては精力的なフリーランと機転の効いたパスで少ないチャンスを作り、守っても的確なポジショニングとカバーの動きで危ない場面を防ぎ続けた。彼がいなかったら本当に惨敗してしまっていたかもしれない、と思う。
そろそろファンとしては来年の布陣、各選手の契約状況が気になる時期だけれども、羽生のようなサッカーをよく知ったベテラン選手はやはりこのチームには必要なのではないかと、苦しい内容の試合を目にしながら改めて思った。来年も彼の勇姿が味の素スタジアムで観られることを願う。
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